黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

イタリア旅行記 #03 サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂 1

2011-04-11 00:49:10 | イタリア旅行記
2010の暮れに行ったイタリアの旅行記です。

サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂
サンタポリナーレ・ヌオヴォ

ラヴェンナ2日目、ホテルのすぐ近くにあった
<サンタポリナーレ・ヌオヴォ>を見学。
約1,500年前に建設された、
初期キリスト教の世界で異端だった、
アリウス派の聖堂。
その後、正教派の聖堂として改修されたものの、
初期のキリスト教美術を今日に伝える教会堂として、
世界遺産に登録されています。





サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂
サンタポリナーレ・ヌオヴォ(画像はクリックで拡大します)

聖堂で最も目を引くのは、
堂内両側の壁面丈上部に造られたモザイク画です。
イタリアのたいがいの遺産的施設は、
撮影は自由ですが、フラッシュと三脚が使えません。
なので、あまり雰囲気を伝える画像が撮れず、
画像からはモザイクの凄さが全く伝わりませんが、
実際に見るとその奥行感に圧倒されます。





サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂
サンタポリナーレ・ヌオヴォ(画像はクリックで拡大します)

聖堂に入って左側の壁面に描かれた、
かつてのラヴェンナの光景です。
現在では埋め立てが進んで、
海まではけっこう距離がありあすが、
かつては港町だったそうです。
そうのせいで、幾度となく水害に遭うので、
床上げの改修も行なわれ、
本来4段あったモザイク画は、
現在では3段になってしまっています。





サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂
サンタポリナーレ・ヌオヴォ(画像はクリックで拡大します)

聖堂に入って右側の壁面を飾る、
このバシリカを建設したテオドリクスの宮殿、
と言われている図像です。
冒頭で触れた様に、アリウス派は異端とされ、
宮殿の図像がかなり改修されているようです。





サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂
サンタポリナーレ・ヌオヴォ(画像はクリックで拡大します)

上画像の側楼の部分の拡大ですが、
柱の部分に腕や手だけが見えると思います。
これは、かつてそれに伴う人が描かれていたものの、
アリウス派の特徴を持った装飾だったので、
消されてしまった名残だそうです。





サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂
サンタポリナーレ・ヌオヴォ(画像はクリックで拡大します)

聖堂に入って左側の壁面には、
港から聖母子像まで22人の聖女が描かれていますが、
どの聖女も一人として同じ聖女はいません。
図像自体はとても素朴ですが、
それを造り上げているモザイクの装飾は、
何処まで近づいて見ても、
その複雑さが失われる事がないのが不思議です。





サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂
サンタポリナーレ・ヌオヴォ(画像はクリックで拡大します)

これは東方三賢人と呼ばれる、
キリスト教世界の定番の図像だそうですが、
こちらも、図像自体は素朴ながら、
モザイクの複雑さは極め付きです。
特にラヴェンナのモザイクは、
切り出したガラスの平面部分ではなく、
裏側の、切り出した面を表向きに埋め込む事で、
限りなく複雑な光の反射を生み出している、
と言う話を、以前テレビ番組で見た事がありますが、
なるほど、その輝きはとても複雑です。





サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂
サンタポリナーレ・ヌオヴォ(画像はクリックで拡大します)

モザイク画の一番上の段には、
キリストの奇跡と受難にまつわる26シーンが描かれています。
一番端には最後の晩餐の光景もありました。
最後の晩餐というとダ・ヴィンチのそれが有名ですが、
この図像をみると、
みんな椅子に座るのではなく、横たわっていて、
また皿の上には魚が乗っています。

とにかく、初めて見るラヴェンナのモザイク画は、
その奥行きの深さにクラクラします。


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2 Comments

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Unknown (Nylaicanai)
2011-04-12 09:52:16
ご無沙汰しております。
あまりにも良い旅をされている様子に、正直、ビックリしました。
この辺り(地域、歴史)にお強いのですか?
このサンタポリナーレ・ヌオヴォのエントリーにも、ぐいぐい引き込まれましたよ。
素晴らしい!
引き続き、楽しみにしています。
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▼Nilaicanaiさんへ (KLO @ 廃墟徒然草)
2011-04-13 03:27:04
お久しぶりでございます。
> この辺り(地域、歴史)にお強いのですか?
全然明るくないですー
明るい人と行ったんで、
いろいろ教えてもらいました~
ただ、とてもよかったんで、
アップしようと思いました~

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