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オランダvs日本【11月欧州遠征】

2013年11月17日 | 日本代表(ザックJAPAN)
■ オランダvs日本【11月欧州遠征】
   オランダ(2-2)日本
       ・前半13分 ファン・デル・ファールト(オランダ)
       ・前半39分 ロッベン(オランダ)
       ・前半44分 大迫勇也(日本)
       ・後半15分 本田圭佑(日本)


この試合の詳細は、ブログランキングにてサポーターの方のエントリーをご覧下さい。


■ チャレンジを忘れてはならない

◆ 時には「内容」より「結果」が重要である
オランダ相手に2-2のドローとした日本。
正直、勝てる試合であった。そういう意味では、コンフェデの時のイタリア戦と同じような少し残念な感情もあるが、イタリア戦との大きな違いは0-2から同点としたことである。

試合前、今回の欧州遠征「オランダ、ベルギー」との試合では内容よりも結果を出して欲しいとTwitterでつぶやいた。試合前の会見でザッケローニ監督は、結果よりも内容、本大会へ向けてのプロセスの一つでしかないというある種「逃げの発言」をしていた。しかし、オランダ戦終わってみれば、やはり、0-2から2-2と2点奪い同点にしたという結果がチームに自信を取り戻させたような試合だった。

コンフェデのイタリア戦はリードしたまま勝てなかった。あるいは、引き分け勝ち点「1」を取れなかったという、ポジティブな「内容」とネガティブな「結果」が残った。しかし、今回のオランダ戦は、ポジティブな「内容と結果」だった。勿論、勝てる試合だったので、諸手を挙げて喜ぶことは出来ないが、0-2から2-2として本大会であれば、オランダ相手に少なくとも勝ち点「1」を奪ったことになる。
内容は重要ではあるが、時と場合によっては、内容よりも結果が重要である。
コンフェデのイタリア戦、一年前のフランス戦(アウェイで1-0の勝利)などと同様に今回のオランダ戦はザックJAPANにとっては分岐点となる試合であった。

■ 大きな3つの収穫

この試合、大きな3つの収穫があった。「いつものスタメン」から4人を変えてきたことが、まずスタートだった。
その意図を試合後の会見で次のように述べている。
今日のボランチだが、山口(螢)をフルで、長谷部(誠)と遠藤(保仁)を半分ずつ使ったのは考えがあってのことか、あるいはコンディションの問題か?(大住良之/フリーランス)

まず山口をテストしたかったこと。このような試合で新しい戦力を試すのは当然のことだろう。
2つめは3日後にベルギー戦があり、中盤のポジションの負担があるので、ローテーションを考えた。

スポーツナビ - ザック監督「結果より内容のほうが大切」国際親善試合 オランダ戦後会見

GKの西川の起用に関しては、この辺のタイミングでW杯出場国との試合経験が必要だと考えたのであろう。
しかし、想定外だったのは「山口、清武、大迫」のスタメンである。特に、東アジア杯組の「山口、大迫」は驚きだった。そして、このスタメン変更が最近のザックJAPANにみられた停滞感・マンネリを打破し、新たな可能性を提示することとなった。

◆収穫1 大迫と柿谷の使い分け
この試合、0-2とオランダに2点差をつけられて前半を折り返していたら、後半に3失点目を喫して日本は負けていたかもしれない。この試合の流れを変えたのは、紛れもなく前半44分の大迫のゴールである。ドリブルで仕掛けた長谷部からのパスをダイレクトで値千金のゴールを決めた大迫。

実は、前半20分頃だったろうか、長谷部が全く同じようなパスを清武に通している。しかし、清武は後ろから上がってきた長友へパスを出した。

ここまで柿谷が1トップのポジションを担っていたが、ゴールという結果を出せずにいた。やっとチャンスを得た大迫が結果を出した。後半交代出場した柿谷にも決定機はあったが、決められなかった。ストライカーとしてプロとして、この結果の差は非常に大きい。

久し振りの出場ということもあり、前半の大迫は前線からのプレス以外大した仕事をしていなかった。しかし、ゴールを決めたことにより、後半の動きは良くなった。そして、周りとの連携も徐々に良くなり2点目の本田のゴールのアシストも記録した。

柿谷と大迫ではFWとしての特徴は異なる。
大迫は、日本のストロングポイントの2列目の選手を活かし連動性を含めバランスも良いプレーが出来る。一方、柿谷はDFライン裏を切り裂くスピードと卓越したテクニックがある。この特徴が異なる若い2人のFWを中盤以降のベテランが活かせれば、ザックJAPANの攻撃の幅が広がるような気がした。つまり、対戦相手、試合状況によって2人を使い分けることが出来れば、ザックJAPANの攻撃がもう一皮剥ける可能性を感じる試合だった。今後もこの2人のどちらかを軸にするのではなく、平等に使い分けることが出来るかが、ザックに問われたミッションのような気がする。

◆収穫2 ボランチ山口の台頭とボランチの組み合わせ
90分間テストした山口だが、結果から言えば成功だった。この試合で山口は「遠藤・長谷部」のコンビに続く第3のボランチに上り詰めたと言っていいと思う。セレッソ大阪でのプレーをコンスタントに見ていないので、詳細は不明だが、この試合を見る限り、簡単に2つの特徴が分かった。
 ・縦パスを奪うインターセプト力は高い
 ・ポジショニングとカバーリングは改善の余地あり

まず、相手の縦へと入っていくるパスを奪うインターセプト力、相手選手からボールを奪う、いわゆる「ボール狩り」の能力は非常に高い。長谷部、遠藤にはないものがある。前からプレスを仕掛けるザックJAPANの守備力を活かせる原動力になると思う。

しかし、一方で、4-3-3と横にワイドなポジショニングを取るオランダ相手だからこそ、明確になったのが、横と後方へのポジショニング、カバーリングの悪さである。特に、ボランチ・エリアの横のポジショニング、カバーリングには、まだまだ改善の余地がある。日本の2失点目、山口はサイドへチェイスに行ったが、結果として中央を長谷部一人だけにしてしまい、長谷部のロッベンへの対応のまずさもあったが2点目をオランダに与えてしまった。

そもそも、なぜザックはこの試合で山口をテストしたかったのだろうか?
これまで不動の「遠藤・長谷部」コンビへの何かしらの不安なのか、マンネリ感(停滞感)なのか、何か変化が必要だと考えたのであろうか。過去にも、ボランチには(今回の招集されている)高橋、細貝などを起用してきた。特に、細貝は「遠藤・長谷部」のコンビの続く第3のボランチ候補と見られていたが、正直、物足りなさ、もっと言えば安定性や特徴をアピールすることが出来なかった。(高橋に関しては、招集回数を考えれば、出場機会が少なく気の毒でしょうがない)

本大会、ポジション的に遠藤や長谷部がイエローカードの累積で出場出来ない可能性は大いにあり得る。そこへのリスクケアという意味でもう一人、3人目のボランチは必要なのはザックも分かっていたのであろう。

今回の山口の90分間起用により、ボランチの組み合わせのバリエーションが増えたことが収穫であった。
「遠藤・長谷部」、「長谷部・山口」、「遠藤・山口」という3パターンである。
組み合わせにより、ボランチのカラーが変わるということが、オランダで証明された。是非、もう一度ベルギー戦でもスタメン起用して欲しい。前述のポジショニングなど山口に対してまだまだポジティブな面よりネガティブな面で気になっているポイントがあるので90分間見てみたいというのが、正直な意見だったりする。

◆収穫3 「3-4-3」ではなく選手交代こそが、オプション
前述のように、大迫、山口の台頭が、ザックJAPANにとって大きな収穫であった。そして、遠藤、香川をローテーションの為にベンチスタートにさせたことにより、予想外の収穫があった。

後半、オランダの中盤のキープレーヤーだったデ・ヨングがベンチに下がったこと、遠藤、香川を後半から投入して、日本が自分たちに傾いた流れを活かして、後半15分、バルサのような流れるパスワークで本田がゴールを決めて同点としチーム復調の兆しを見せた。その後、香川、柿谷のシュートのいずれかが決まっていれば、3-2と勝利出来た試合だった。

これまでザックは、3-4-3というフォーメーション(システム)の変更をチームのオプションとして考えていた。3-4-3はアルベルト・ザッケローニという監督にとって重要なフォーメーション(システム)であることは分かる。しかし、それを浸透させるには時間的に難しい。しかし、ザックがオプション欲しいというのも事実だろう。

 1.結果を出せずにいた柿谷に代えて大迫を投入したこと。
 2.試してみたかった山口の90分間の起用。
 3.ローテーションとして香川、遠藤を控えにしたこと。

3つの要因が、「選手起用によって、チームの戦い方(カラー)を変えることが出来る」という、大きな可能性を提示した試合であった。

ザックは過去に対戦相手によりメンバーを変えたことがあった。例えば、香川のトップ下での起用、コンフェデのブラジル戦でのスタメン変更、本田の1トップなど選手の交代により、変化(オプション)を出したかった。しかし、いずれも大きな変化、結果を生むことが出来なかった。それにより、ザックの中で選手の固定化による連携の強化という方向へ進んで行ったのかもしれない。それがチーム内の競争、活性化を欠いて停滞感を生み出した。

ところが、今回の選手起用は予想以上の変化をチームに与えた。
軸として考えていた柿谷に代えて起用した大迫が結果を出し、後半から香川、遠藤を投入し、キャプテン長谷部を外してまでも山口を90分使い続けたことにより、皮肉にもザックの好む攻撃的な形に変化した。前半も2失点したとは言え、決してザックがいつも口にする「バランス」が悪かったとは思えない。

今回のオランダ戦での選手交代による「内容と結果」は、はっきり言って偶然の産物かもしれない。
今後もこのような形で同じような内容・結果が期待出来るかは分からない。しかしながら、ここまでザックJAPANに漂っていた停滞感を打破するきっかけとなり、3-4-3にしなくても4-2-3-1でも、大きな攻撃的な変化を出せることが証明された試合であった。それも前回のW杯準優勝国オランダ相手にである。

この劇的な変化・きっかけを今度どのように活かせるかは、監督のザッケローニの考え、手腕によるところである。最初に述べたように、今回のオランダ戦は、ザックJAPANにとって大きな分岐点となる試合であると断言してもいい。あとは、この変化、流れを生かすも殺すも監督次第である。こういう面も次のベルギー戦は見どころとして欲しい。

追記
この試合で改めてはっきりしたのは、ザックJAPANはコンディションさえ良ければ、オフ・ザ・ボールの動きも増えて、プレッシングも含め日本らしいサッカーが出来るということである。そして、逆に言えば、コンディションによりこのチームは大きく差が出るということである。

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