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【安全保障】対馬を「防衛特区」にしよう!!【生活向上】

2007年02月06日 01時01分27秒 | 地政学・国際関係
  「防衛特区」のアイデアについてお話しする前に、対馬のような離島が共通して抱える問題について述べたいと思います。

  まず、ごく一部の例外を除いて、離島は深刻な「人口減」に悩まされています。●こちらのホームページによると、昭和40~45年の人口減少率は対前5年比で12%、最近の平成7~12年も7.2%と高いままです。対馬も、平成7~12年で約5%人口が減少しています。
  さらに、これに追い打ちをかけるのが、「高齢化」です。対馬は高齢者(65歳以上)の比率が23%ですが、北部の上県地区ではでは28%に達しています。これは全国平均より高く、この傾向に歯止めがかかる様子はありません。
  原因はいろいろあると思うのですが、ごく単純化して言えば「仕事がない」「不便」ということで、本土に人が出ていってしまうということでしょう。そして、そんなことは何十年も前からずっと言われてきたことです。

 「海洋国家」である日本にとって、このような状況は好ましいことではありません。

  我が国の国境は全て離島付近にあり、国土の防衛のためには離島が安定した社会状況であることが絶対条件です。
  なぜなら、離島が窮乏すれば、国境を接する外国に身売りをする人間が現れたり、不満が高まったところにスパイや工作員のような人間が活動する余地ができてしまうからです。本土から来た訳の分からない住人が「市民」団体を結成し、何かある度に暴れている沖縄を見ていただければよくわかるのではないでしょうか。
  小さな島一つなどどうでもいいではないか、という人は、ことの重大性をよくわかっていません。
  日本が「海洋国家」だということは、とりもなおさず、海上輸送路(シーレーン)が命綱だということです。
  日本が先の戦争で完全な敗北を決定づけたのは1944年8月のサイパン陥落でした。ここを取られれば、東シナ海の制海権を米軍に奪われるということを意味します。つまり、本土と台湾以南との物資の運搬を、潜水艦攻撃によって遮断されてしまうわけです。
  どんなに小さい島であっても、潜水艦や工作船(●この事件の船など)の活動拠点になります。そうすれば、シーレーンを脅かされることになります。
  そして何より、そこに住んでいる人々は日本国民なのであり、日本政府には「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」(13条)を保障する義務があるのです。だからこそ、敵国が工作をしかける余地を与えてはいけないのです。

  では、離島を振興する方法として、どんなものがあるでしょうか?

  すぐに思いつくのは「産業振興」「観光振興」ですが、政府や自治体が金をかけてもなかなかうまく行きません。産業を一から作り出しても産物を売らなければいけないわけですし、観光地にそもそも適していないような離島も少なくないのです。だいいち、盆暮れ正月ぐらいしかない休みを、わざわざ離島で過ごそうというのは、そうとうな旅行通しかいないはずです。 
  そうだとすれば、このような既製の離島振興をいくらやっても、離島防衛にはつながらないことは明白です。

  「公共事業」ならどうでしょうか?

  これもほとんどはダメでしょう。橋や道路を造っても、その間だけしか雇用は生み出せません。それどころか、無理な開発は、環境破壊や災害時の被害拡大につながるおそれもあります。なにより、無駄な公共事業にお金を投じることがこれ以上許される風潮ではありません。
  
  しかし、何かあるはずです。橋や道路の建設とは違って「反復性」があり、観光旅行と違って「継続性」があり、しかも、市場原理の影響が少ないものが・・・。

  そう、一つだけあるんです。それは「軍隊」です。

  さすがに100人程度ではたいしたメリットはないかもしれませんが、自衛隊員が1000人規模で駐屯すれば、離島では馬鹿に出来ないだけのお金が落ちることになります。
  たとえば、もし、その1000人の隊員が、「地元の業者から借りた宿舎」に住み、「島の出入り業者によって提供される食糧や生活必需品」を買い、さらに休日は「島の店で買い物をしたりレジャーを楽しむ」としたらどうでしょう。相当な需要喚起につながるのではないでしょうか。
  しかも、自衛隊は「オールインワン」の組織なので、僻地では難しい医療や高速度の輸送といったサービスを提供したり、台風などの自然災害の場合も迅速に復旧活動を行うことができます。
  さらに、平時に置いても、本土の大企業でないとできないような高度な建設作業や、生活必需品のヘリ輸送など、使い道はたくさんあるのです。

  そのようなメリットを享受できる環境として、私が提案したいのは「防衛特区」という制度なのです。

  この防衛特区の特徴は、単なる「基地のある町」に留まらず、地元住民にとって積極的に経済効果や福祉充実をもたらすことにあります。

  対馬をモデルにして話をすると、まず現在の陸自・海自の人員を増強します。ランドパワーの国が本土上陸をする通り道であるとすると、相当重要な地区なので、陸自3000人、海自500人といったところでしょうか。そして、それに見合う設備を作ります。

  ここで重要なのは、できるだけ地元の企業に設備の建設・維持管理を行ってもらうことです。

  自衛隊の基地ができても、その基地が本土から運ばれてくる資材で建設され、本土から輸送される食糧や生活必需品を利用していたら、地元にはほとんど経済効果はありません。
  極端な話、防衛機密に関する部分や、地元の業者には技術的に困難な部分以外は、全て地元企業に委せるべきでしょう。基地内で働く用務員や、基地に付属するコモディティー部門は全て地元住民に任せるべきです(もちろん、スパイが入り込まないように採用は慎重にする)。
  たとえば、隊員の宿舎はアパート形式にして、地元に金が落ちるようにしたり、食材は可能な限り地場ものを使うようにしたりすればいいでしょう。対馬の特産物にはウニやイカといった海産物や、椎茸などがあるので、これらを加工してレーション(戦闘糧食)にするのもいいかもしれません。きっとマニアには飛ぶように売れます(笑)。

  重要なのは、この基地には必ず「病院」と「娯楽施設」を付属させることです。

  まず、「病院」についてですが、自衛隊の強みについて説明してくれているサイトがあるので、そこから引用します。

自衛隊の災害派遣について知ることのできるページ
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/5761/outline2.html

(以下引用、一部省略)
  
  自治体保有のヘリは、予算等の制約により年間300時間までしか飛行しない(メーカー指示による300時間毎の点検と航空法による年1回の点検をあわせて実施)運用をしているところが大半だということですが、自衛隊の場合はたとえ同様の運用であっても、多くの機体を保有しているため活動の制約条件にはならないでしょう。

(引用以上)

  この高度の輸送機能に、高度な機能を備えた病院が加われば、僻地医療の問題のほとんどが解決します。
  たとえば、対馬の基地に「対馬防衛病院」を作り、その分院を各地に配置します。普段は防衛大を出たお医者さんが分院にいるのですが、高度な医療を提供する場合は防衛病院にヘリコプターで輸送するようにすればいいのです。有事や災害の際には被災者の救助拠点として、これほど適当な場所はありません。
  また、この連携システムに近隣の離島を加えれば、防衛特区外の離島も恩恵にあずかることができます。つまり、航空機や宅配便の分野で用いられている「スポーク・アンド・ハブ」という概念を、より小回りにして離島医療に応用するのです。

  「娯楽施設」というのは、隊員の息抜きというのもありますが、何より現地の人々が利用できるというメリットがあります。
  こちらは、純粋な商業ベースだと破綻するおそれがありますから、テナントを出店する大手企業に対して、赤字をカバーして余りある法人税減税措置という特典を与えればいいでしょう。
  余談になりますが、法人税というのはこういう風に運用すべきなのです。つまり、もともと高めに設定して置いて、日本のためになるような活動をする企業については減税をするという風にすれば、企業は嫌でも社会に貢献するようになります。防衛特区がそのモデルケースになればよいと願っています。
  招致する業者ですが、「パチンコ」などという反社会的なレジャーを参入させては本末転倒になるので、基地に入ってもらう業者は、ゲームセンターや本屋、衣料品店、居酒屋などがいいでしょう。要するに、離島に手を出しにくい業種を招けばいいということです。一部で話が盛り上がっている「公営カジノ」なども面白いかも知れません。  

  また、防衛特区における上のような設備や、指定された地域の警備活動を自衛隊が行えるように、関係法令を整備していきます。ここで警察との連携や警備活動のノウハウを確立できれば、原子力発電所の周辺地域も防衛特区にするメリットも出てくるでしょう。テロ防止という観点からも、大きなメリットになるに違いありません。

  そんな面倒なことをしなくても、沖縄がそうしているように、対馬に米軍を招致すればいいのではないか?と考える方もいるかもしれませんが、私はあまり賛成できません。
  なぜなら、あくまでコントロール主体がアメリカ政府だからです。上に挙げた業者の選定や医療システムを、米軍に向かって「ちゃんとやりなさい」と命令することはできません。地域の役に立てるためには、日本の自衛隊でなくてはいけないのです。
  もちろん、これは米軍の駐屯地も併設する場合には当てはまりません。日本の周りは、台湾以外はどこも凶暴な国ばかりですから、たとえ100人でも米軍に駐屯してもらうメリットはあるでしょう。

  私の考えでは、まずこれを対馬で成功させ、その後は同様に防衛上重要な離島を特区にしていきます。例を挙げると、

 対台湾・・・与那国島

 対中国・・・石垣島(尖閣諸島)、大東島(沖の鳥島)

 対朝鮮・・・隠岐(竹島)、佐渡

 対ロシア・・・奥尻島、利尻島

  では、それ以外の島は恩恵に全くあずかれないのか?というと、そうではありません。
  日本には、自衛隊以外にも安全保障に重要な役割を果たしている機関があるのを忘れてはいけません。海上保安庁です。
  海上保安庁の役割として、「密航阻止」や「密輸摘発」、さらには「不法操業漁船の駆逐」(一番厄介なのは朝鮮の漁船だが、台湾の漁船もかなり悪質)といったものがあります。日本は周囲の無秩序な国からすれば相当「おいしい」国ですから、海のガードは堅いに越したことがありません。
  そこで、防衛特区同様、「海上保安特区」も設けるというのはどうでしょう。この場合も、海保の人員配置を、保安管区よりも離島に多くして、防衛特区同様の設備を備えるようにすればいいのです。もちろん、対馬のように密航対策と防衛目的が混在している場合は、合同で設備を利用すればいいでしょう。
  そのために、海上保安庁の予算を5000億円程度まで拡大し、人員も2倍近く増やしていきます。管轄も、国土交通省(●安全保障に不適切な支持母体の人物が大臣になりかねない)から内閣府の直属にするべきです。年間約9兆円かけている男女共同参画局の無駄遣いに比べれば、安全保障のみならず離島住民の役に立つ海保の予算増額など安いものです。

  このように、「防衛特区」と「海上保安特区」は、単に安全保障に資するだけでなく、自然岸壁を消滅させるような護岸工事や、利用者がほとんどいない立派な道路といった「もの」ではなく、防衛・海上保安のための「ひと」を離島に置くことが出来て、しかも住民の福祉増進につながる優良公共事業なのです。
  離島が外国人観光客を呼びまくっていたら、いつの間にか外国企業に不動産を買い占められていた・・・などという事態を招いてはしゃれになりません。是非防衛特区を創設して、海洋国家日本の平和を守っていきましょう。


参考図書:
日本の島ガイド シマダス

日本離島センター

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6 コメント

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ついでに‥‥ (のらくろ)
2007-02-06 06:20:01
なるほど、前回の私の投稿ははいささか洞察が不十分でした。ご容赦のほどを。

で、ついでに、ですが‥‥。

被参政権には「徴兵」というのはいかがでしょうか。

もちろん、本人に対しては「これから」なので、当面は本人が代議士在職中に、配偶者又は2親等以内の血族が徴兵されることにするのです。配属先はもちろん「防衛特区又は海上保安特区」。

元総理みたいな独身者は、本人が徴兵完了しない限り、現在の任期をもって自動的に「失職」してしまうようにします。

社民、共産のごとき売国代議士が歳費でもって養われるなど不届き千万。こういう輩は国会から絶対放逐しなければならない。
対馬は (蝦夷王)
2007-02-06 14:45:41
元寇の時に上陸されて住民が殺戮されたんですが、それを歴史の授業でちゃんと教えてるのかな。

半島から島伝いに日本に侵攻する、或いは日本海と東シナ海の通行を遮断するという目的のためには対馬占領は大きな効果を持つわけですから、地元振興を別にして考えてももっと大規模に軍事力を配置すべき場所なんですね。

現行の政治制度では防衛省を始め幾つもの役所に根回ししなければならないでしょうが、対馬の市長さんには是非検討して頂きたいですね。
Unknown (ニゲロンパ)
2007-02-07 18:34:16
問題は移転にかかる費用とイメージが悪い点ですかね。

ただでさえ日本の財政は厳しいですし。
アメリカと日本だけに文句を言ってくる自称平和団体がうるさく言ってきそうですね。

超えなければなならないハードルは高そうですね。
コメントありがとうございます (ろろ)
2007-02-08 00:28:24
>>のらくろさん

>被参政権には「徴兵」というのはいかがでしょうか。

  なるほど。特区を創設すると、ただでさえ人手が足りないですし、国家に対する忠誠心の有無がわかりますからね。
  福島瑞穂さんや共産党員の方々には、憲法訴訟でもやってもらう(もちろんその間被選挙権は無し)ということで(笑)。

  もっとも、「公務員」で「日本のために働ける」という職種ですから、志願兵だけでも十分人気がありそうな気がします。それに、政治家の子女となると、使えない人が多い気もしますね。そういう人は、電通に引き取ってもらうのが一番いいかなと(笑)。あ、現首相の韓流狂いの配偶者は、電通出身でしたっけ?(爆)

>>蝦夷王さん

  前回の記事でも申し上げた「チョークポイント」というやつです。ここを押さえれば、(日本にとっても外国にとっても)敵の海軍を分断できるという大きなメリットがあります。だからこそ、日露戦争のときに大海戦があったのです。

>元寇の時に上陸されて住民が殺戮されたんですが、
>それを歴史の授業でちゃんと教えてるのかな。

  教えていないでしょうね。相手の心情を思いやって・・・とかいうやつです。そうやって何年も何年も片想いばかりしてきた結果が、「対馬はわが領土」ですよ。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
  だいいち、元寇だって、高麗人がフビライハーンに「やっちまいましょう」と提案したものです。博多湾に現れた元軍のうち、モンゴル人などほとんどいませんでした。

高麗来襲・・元寇に隠された側面
http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/no_frame/history/honbun/genkou.html

  こういう歴史は彼らは知らないし、知ろうともしません。知ったとしても、信じません。朝鮮相手に、日本人が合理的だと思える主張をわかってもらおうというのは間違いです。

>>ニゲロンパさん

>問題は移転にかかる費用と
>イメージが悪い点ですかね。

  「悪い」というより「悪くする人間がいる」ということですね。国民一般が自衛隊に対してイメージが悪いということは決してないと思います。

  費用については、男女共同参画局と社会保険庁を潰したり、米軍への思いやり予算を削ったりすれば十分捻出可能です。一番大変なのは、自主国防を許さないアメリカを説得することでしょうね。

>アメリカと日本だけに文句を言ってくる自称平和団体

  「教え子を再び戦場に送るな」とか言っている教職員組合が一番問題ですね。まあ、彼らも最近はめっきり信用をなくしたようですが。
これいいかも@沖縄 (Masaya)
2007-02-08 00:57:32
久々のコメ欄登場です。
特区という発想はなかった…ですが、かつて伊良部町が自衛隊を誘致しようとしていたのがまさにこれに近いイメージでしょうか。

もちろん実施の際は思いやり予算の削減や無駄金の切り詰め、米軍基地の再編(集約)、国防のドクトリンの確立も含めてでお願いしたいところですね。

>>masayaさん (ろろ)
2007-02-08 04:41:16
  お久しぶりです。

>かつて伊良部町が自衛隊を誘致しようとしていた

  これ、いい発想ですね。こういう発想ができる人物に、是非沖縄県知事になってほしいものです。

  防衛特区は、軍事プレゼンスの強化と地域振興を同時に推進でき、公共事業として有望であると確信しています。ぜひ、八重山あたりから一つどうでしょう?