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教育、国際関係、我々の社会生活・・・少し上から眺めてみよう。

【なんとか】中央アジアの資源ってどうなの??【スタン】

2007年04月30日 01時55分52秒 | 地政学・国際関係
  日本の外交というと、最近どうも「東アジア」と「アメリカ」関係で騒ぎが多いので、他の地域のことを忘れがちですが、そんな中面白い記事を見つけました。

経産相とウズベキスタン首相が声明、資源開発で関係強化へ
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070428i112.htm?from=main1

--------以下引用--------

ウズベキスタン訪問中の甘利経済産業相は28日、同国のミルジヨエフ首相と会談し、ウランや石油、天然ガスなどの資源開発や技術協力の面で関係強化することを明記した共同声明を発表した。

 声明では、日本企業によるウズベキスタンへの投資を促すため両国官民による「ビジネス・投資環境改善ワーキンググループ」を設けることを盛り込んだ。

 一方、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構とウズベキスタン政府がウランなどの探査・開発で協力を進めることなど、3件の覚書を両国の官民が交わした。

 甘利経産相は29日、ウラン埋蔵量で世界第2位のカザフスタンを訪れ、同国のナザルバエフ大統領と会談する予定だ。

--------引用以上--------

  「ウズベキスタン」「カザフスタン」という、おそらくみなさんに耳慣れない国名が登場しました。

  上の二カ国はいわゆる「中央アジア」に位置する国です。



  この地域の特性を簡単にまとめると、二つのポイントがあります。

1.トルコ系のイスラム教徒が多数派である
2.かつてソビエト連邦の一部だった


  この地域は8世紀半ばにイスラム王朝であるアッバース朝の支配を受けて以来、支配的宗教はイスラム教でした(1.)。ところが、1552年にロシアがカザン・ハン国を併合して以降、ロシアの勢力が拡大し、それがそのままソビエト連邦に受け継がれたわけです(2.)。
  ソ連は社会主義国家であり、社会主義(マルクス・レーニン主義)の中核思想は「無神論」でした。当然中央アジアにおける教育にもこの考えが持ち込まれました。今でも他のイスラム教国、たとえばサウジアラビアやイランに比べて、社会全体の宗教色は薄いです。

  この地域は、1991年のソ連崩壊以降、一貫してロシアの影響から抜けだそうとしています。その際、国策として天然資源開発が組み込まれており、欧米の企業がたくさん進出しています。
  今回の甘利大臣の訪問も、当然日本の資源戦略の一環でしょう。

  では、日本は中央アジアでの資源開発に成功するでしょうか。

  結論から言えば、あまり期待しない方がいいというのが私の考えです。

  ところで、中央アジア二カ国の特性として、上で私が触れなかったことがあります。それは、

    3.内陸国である

  という点です。

  そんなの地図を見りゃあわかるだろ、という声が聞こえてきそうですが、これは決定的に重要なことなのです。

  上の地図で、もう一度ウズベキスタンを見てみて下さい。隣接している国全てに、ある特徴があります。何だかわかりますかね?

  アフガニスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギスタン・・・スタンスタンうるせえと言いたくなります(ちなみに「スタン」はペルシア語起源の単語で「国・地域」という意味)が、ここに挙げたのは全て内陸国です。つまり、ウズベキスタンは内陸国に囲まれた内陸国なのです。

  ここから、日本にとって非常に重大な問題が持ち上がるのです。それは、資源をどうやって日本に運んでくるかというものです。

  ウランや石油、天然ガスなどの資源を、飛行機に乗せて運んでくるわけに行きません。そんなことをしたら、運ぶ度に損失が生じてしまいます。

  それなら、陸路で輸送して、船に乗せようということになるわけですが、これが非常に困難な方法なのです。

  一番近いのは、ウズベキスタンからアフガニスタンを通り、パキスタンの「カラチ」という港まで運んでくるルートです。
  アフガニスタン・・・何年か前にたびたび耳にした国です。今あの国はどうなっているんでしょうか。

アフガニスタンの治安現況
http://www.jiji.com/jc/c?g=saf2&k=2007042600654  

--------以下引用--------

 (1)アフガニスタンについては、首都カブール、ジャララバード、ヘラート、バーミアン、マザリ・シャリフ各市内に対して危険情報「渡航の延期をお勧めします。」を、これらを除く全土に対して危険情報「退避を勧告します。渡航は延期してください。」(「退避勧告」)を発出するとともに、スポット情報において、累次にわたりテロや誘拐の脅威について注意を促しています(2007年4月19日付けスポット情報「治安情勢」等)。

  (2)3月4日にヘルマンド県でタリバーンに拉致されたイタリア人ジャーナリストが同月19日に解放されましたが、同解放は、アフガニスタン政府に拘束されていたタリバーン関係者の釈放と引き替えに行われた旨報じられました。さらに、4月3日にはニムローズ県でフランス人NGO活動家2人とアフガン人職員3人がタリバーンに誘拐されました。今後、タリバーン等の反政府勢力が、被拘束者の奪還に向けてさらに外国人を誘拐する可能性が指摘されており、日本人を含む外国人が誘拐の標的になる可能性は排除されないことから、特に東部については、より一層の注意が必要です。

  (3)また、昨年の事例を踏まえれば、アフガニスタンでは雪解けが始まる春以降にテロリストの活動が活発化しており、今後は治安がさらに不安定化することも懸念されます。さらに、これまで外国人を標的とした誘拐事件や、日本のNGOのアフガニスタン人職員が搭乗した車両に対する銃撃事件が発生しており、日本人も誘拐やテロなどの標的となる可能性は排除されません。首都カブールにおいても多くのテロ事件が発生しているほか、昨年以降、全土で自爆テロ事件の発生が顕著になっており、本年1~3月期に発生した自爆テロは昨年同期の約4倍に当たる41件にのぼりました。

--------引用以上--------

>1~3月期に発生した自爆テロは昨年同期の
>約4倍に当たる41件


  こんなところで、石油パイプラインを建設したり、ウランを輸送したりしたら、何が起こるかは、小学生でも想像できます。

  かりに、アフガニスタンが何とかなったとして、パキスタンはどうでしょうか。たとえば、こんな資料があります。

中国とパキスタンの反テロ合同軍事演習「友情2006」
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2007/01/post_2651.html

  もう、タイトルだけで雰囲気が掴めますね。要するに、この国は中国の影響下にあるのです。
  日本の資源外交を中国が助けてくれる、などと思っているお人好しは、訪日した温家宝の演説を「名前の通り温かい」だの「歴史的な名演説」だの、わけのわからないお世辞を言っている馬鹿共●こちらのブログを参照)くらいでしょう。当然、横やりが入るに決まっています。

  ところで、中国といえば、資源に飢えているとしかいいようのない行動を世界各地で展開しているのは有名です。
  当然、中央アジアの石油・天然ガスも狙っており、すでに着々と地歩を固めているようです。

カザフスタン=中国間の原油パイプラインが建設開始(PDF)
http://oilresearch.jogmec.go.jp/enq/frame.php?lurl=/information/pdf/2004/0406_out_j.m_kz.cn_oil_pl.pdf

  このニュースが出たのが2004年5月です。建設はかなり進んでいると思われます。

  それ以上に、重要なのが以下のリンクの内容です。
  
中国と中央アジアを結ぶ「新シルクロード」建設
http://www.china.org.cn/japanese/244086.htm

--------以下引用--------

現在、中国国内では、連雲港から新疆ウイグル自治区のホルゴスまでの幹線道路がすでに全線開通しており、「新シルクロード」中国区間の整備はすでに完了している。中国とタジキスタンを結ぶ中国―タジキスタン自動車道路も開通しており、中国―キルギスーウズベクスタン自動車道路の建設工事もすでにスタートしており、タジキスタンーキルギス間およびタジキスタンーウズベクスタン自動車道路の建設および改造プロジェクトについても合意に達しており、カザフスタンを東から西へと横断する国際基準レール鉄道、中国―キルギスーウズベクスタン鉄道などのプロジェクトも前後して交渉のテーブルのテーマとなっている。

--------引用以上--------

  この新シルクロードとやらが持つ意味を見逃してはいけません。

  道路で国同士が結ばれるということは、両国の交流が活発になるということだけを意味していません。裏返しとして、有事の際に、隣接国に軍事力を投射できるという利点があるのです。
  三つ前のリンクにある中国・パキスタン間の合同軍時演習の目的が「反テロ」であることを、みなさんはどう考えたでしょうか。
  中国は、●「東トルキスタン」の分離独立問題を抱えています。
  この地域を完全に中国に同化するために、女性は強制中絶、男性は政治犯として処刑しまくっています。そして、中国国内では、この問題にに起因するテロ行為や暴動が起こっているという話を聞きますが、中国当局は自分に都合の悪い情報は徹底的に握りつぶしており、日本や欧米には正確な情報が伝わってきません。
  しかし、この問題は中国にとってはかえって「チャンス」でもあるわけです。なぜなら、東トルキスタンのウイグル人は「トルコ系イスラム教徒」であり、隣接国であるなんとかスタンに逃げ込んだテロリスト討伐という名目で、これらの国々に軍事力を差し向けることが可能だからです。反テロを錦の御旗にして世界中を荒らし回っている困った国が、こういう名目を使ってもいいよという風潮を作り出してしまったわけですが・・・。
  つまり、仮になんとかスタンの国々が、中国と敵対する、もしくは、中国が敵対している国に協力するということになれば、「反テロ」を名目に人民解放軍が侵入し、権益の維持を図ることができるということです。
  実際には、そのような中国による侵略の可能性があるというだけで中国には十分です。戦争を実際にやるのは下策(愚かな手段)です。むしろ、軍事力や経済力を使って相手国の意思をコントロールすることが重要なのです。

  では、日本はウズベキスタンに対して、「意思をコントロールする手段」を持っているのでしょうか?
  細かい周辺知識をいちいち挙げていると本質が見えなくなるのでズバリ申し上げますが、日本は内陸国に対して、意思をコントロールするための手段を何も持っていないのです。

  ここで思い出してほしいのは、地政学の法則です。

  日本は、対外的には「シーパワー」(海洋国家)であることは間違いありません。国境が全て海上に存在することがその根拠です。
  それに対して、ウズベキスタンなどの中央アジア諸国は「ランドパワー」(大陸国家)です。
  こういったランドパワーの国の意思をコントロールするための最も効果的な手段は、「陸軍力」です。要するに、言うことを聞かなければ、おまえの国を叩きつぶすと脅すことです。
  航空戦力や核ミサイルでもいいのではないか、と思ってしまいそうですが、それは正しくありません。制空権を取り、大規模な爆撃を行っても、その国の生産手段や国民をコントロールすることはできません。核ミサイルを使っても、放射能汚染や諸外国からの非難というデメリットがあるので、同じことです。
  当たり前ですが、陸軍力は、陸地を接していないと使用できません。その国との間に広大な砂漠や急峻な山脈があれば陸軍力を用いることが難しくなりますが、道路の拡幅や鉄道の敷設でかなりの程度カバーすることができます。だから、ランドパワーの国は鉄道や高速道路が大好き(ロシアとシベリア鉄道を思い浮かべればすぐにわかる)です。
  これを上に挙げた中央アジアの状況に当てはめてみると、中国は中央アジア諸国をコントロールし、権益を維持発展させるための条件を満たしていますが、日本にはそれが全くないということは簡単にわかるでしょう。

  日本が権益を持つべきなのは「海」や「港」です。そうしておいて、離れた地域同士を海運で結びつける、もしくは、自国に資源を導いて付加価値をつけて転売するというのが、シーパワーの王道です。ギリシャのアテネ、中世のベネチア、近代のイギリス・・・小さな国土しか持たない海洋国家が発展してきたことが、その何よりの証拠です。
  その一番の障害になるのが、ランドパワー国家が遠隔地を一本の交通手段で結ぶことです。なぜなら、そういう交通手段が出来てしまうと、シーパワーの利益の源泉である、海洋経由の「中間マージン」(イギリス型)や「付加価値の付与」(日本型)が発生しなくなってしまうからです。
  だから、シーパワーが取るべき戦略は、ランドパワーを分断しておき、そのような交通手段を作らせない・利用させないことです。
  たとえば、第一次大戦前に、ドイツがオスマン・トルコ領内を通る「バグダード鉄道」を敷設しようとした時、イギリスは宿敵フランスと「英仏協商」を結んで、フランスとロシアにドイツを挟撃させようとしました。以前の記事でも書いたような、ランドパワー同士を相討ちさせるという戦略を見事に実行したわけです。
  甘利大臣のウズベク・カザフ両国訪問が、中国に対する牽制であるという可能性はあります。しかし、それならばインドやイランを使った方が効果的です。むやみに中央アジアにお金を落とさない方がいいでしょう。現地に大規模な生産設備や日本人居留地のような「権益」を持つに至っては論外です。

  日本企業が巨額の投資を行ったところを、根こそぎランドパワーに持って行かれるという失敗は、満州国がよい例です。
  日本は、旅順という後背補給港があったにも関わらず、満州国の権益を守り通すことができませんでした。周りが敵だらけで、長大な国境線を守らなくてはいけない・・・周りが海しかない日本には、もともと向いていなかったのです。
  もし、何とかして世界恐慌後の不況を脱したかったなら、同じシーパワーであるイギリス・オランダのアジア権益を狙った方が賢明だったでしょう。マラッカ海峡とマリアナ諸島だけ押さえておけば、この地域の権益は守ることができるからです。

  この考えは、現代においても当てはまるはずです。ランドパワーが有利な土俵で戦いを進めてはいけません。
  とりあえず原油や天然ガスを利用しながら、「風力発電」「太陽光発電」「波力発電」「海洋温度差発電」といった、シーパワーに有利な発電方法を発展させ、高度な技術が必要な燃料電池を実用化レベルに持っていき、内陸国の石油権益を相対化する方向へ向かわなければいけません。
  そうすれば、おのずと道は開けるでしょう。政府やマスコミも、そういうことをもっと盛んに宣伝してほしいものです。そうすれば、日本国民ももっと未来に夢を持つことができると思うのですが・・・。    

【勉強法】社会は「暗記」科目なのか??

2007年04月05日 01時43分59秒 | 勉強について
  さて、私が務めている塾も、3月から新年度に入っています。

  昨今は、行き帰りの生徒の安全というのが問題になっています。しかし、いくらなんでもこれはないだろうという事件を紹介しておきます。朝鮮日報から。

中3男子、フラれた腹いせに放火
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2007/03/20/20070320000036.html

(以下引用)

  光州南部警察署は20日、女友達が誘いを断ったという理由で学習塾に放火した光州某中学校3年A少年(14)を放火未遂容疑で身柄を拘束、現在取り調べを行っている。
 この少年は19日午後8時50分頃、同じ学習塾に通う女子生徒からデートの誘いを断られたことに腹を立て、光州南区の学習塾の窓にトイレットペーパー挟み、放火したところを講師に発見された。

 警察の調べによると、少年は今月9日にも放火未遂事件を起こしており、誘いを断った女子生徒を脅すため、これまでにも事件をおこしていたことが分かった。

(引用以上)

  さる国の放火というのは、もはや「風物詩」「民俗行事」と化しているという感があります。●こちらのサイトを見るとよくわかりますが、

ライターを売ってくれないので、中学生が放火」

「喧嘩して妻が逃げたので、自宅に放火」
 
  など、日本では考えられない事例が多発しています。

  この国の人間には観光ビザが免除されているようですが、神社や日の丸を掲揚している建物に放火してもらいたくはないものです。

  さて、今回は、勉強についての話です。私が塾で政治関連のヨタ話ばかりしているわけではない(笑)ことを知っていただければと思います。

  どうも、受験勉強の世界は、真偽を検証されることなく流通している迷信が多いような気がします。その最たるものは、

   「社会は暗記物である」

  という言葉でしょう。

  この言葉にも、一応の「論拠」はあります。すなわち、社会の入試問題で問われるのは知識のある・なしなので、結局それを沢山覚えた人間が点数を取れる、ということです。
  しかし、この考えは重大な誤解が前提になっています。それは、「暗記」と「記憶」をごっちゃにしている点です。
  暗記というのは、たとえて言えば、接着剤で壁にものを貼り付けることと似ています。確かに頭の中に一定の時間留まりはするのですが、何か少し違うことをすると簡単に剥がれてしまうわけです。
  私は英語の熟語のテストなどを、別の科目の授業をやった後に実施することが多いのですが、それを宣言すると必ず生徒がブーブー不満を口にし始めます。
  彼彼女らの言いたいことは、要するに「早くしないと忘れちゃう」ということです。直前に暗記しているから、早いこと吐き出してしまわないと忘れるわけです。これでは意味がありません。
  これに対して、記憶というのは、頭の中にある物事がボルトで固定されたような状態とでも言えばいいのでしょうか。何かのきっかけさえあれば、簡単に思い出すことが出来ます。 
  当然ですが、物事を覚えるときは、「記憶」した方がいいに決まっています。ところが不思議なもので、勉強が苦手な人ほど暗記に頼ろうとする傾向があるのです。そうして、ますます出来なくなっていくのです。社会に限らず、理科の知識や、数学の解き方などもそういうことがあります。

  では、どうすれば「記憶」という状態に持っていくことができるのか。ここがわかれば、暗記に頼っている人間を大きくリードすることができます。

  まず、一番重要なのは覚えるべきものの意味を知ることです。
  英語の単語が一番良い例でしょう。複雑そうな単語、長い単語は覚えづらいと思われがちですが、アルファベットの塊に特定の意味が伴っていることがよくあります。いくらなんでもbatやstudyなどといった単語までそうしろとはいいませんが、beautifulなら「beauty(美)」が「full(いっぱい)」、comfortableやportableのableは「できる」などがそうです。
  そういう意味をいちいち取り上げたり調べたりする方が時間がかかるじゃないかという方もいるかもしれませんが、意味が分からずに覚えるとかなり頭に負担がかかることを忘れてはいけません。丸暗記の方がよほど時間がかかります。
  社会の勉強でも、やはり意味をいちいちかみしめる必要があります。「大化の改新」なら、どうして皇族方が蘇我氏を暗殺しなければならなかったか、「北陸地方は水田単作地帯」なら、なぜ新潟では他の作物が作りにくいのか、簡単でもいいから知っておくべきです。
  本当に親切な先生というのは、自分の好き嫌いに偏ることなく、そういう物事の意味をわかりやすく説明してくれる先生です。そういった説明をちょっとメモしておく方が、黒板に書かれた文字を写す作業より何十倍も意味があります。
  興味がないことに意味を見いだすのはなかなか苦痛ですが、そういうときにはわざとでもいいから「ふーん」「なるほど」「そうなんだ」と思う(できたら口に出す)ことで、自分をだます(笑)というのが有効です。そのうち、その気になってくることが結構あります。
  とにかく、初めから遠ざけないことです。そういう姿勢を直さずに、後から変な暗記勉強をするくらいなら、勉強などしない方がましです。

  次に、知識と知識のつながりを重視することが必要です。
  よく思うのですが、勉強が下手な人ほど「コンピューターの真似」をしています。
  コンピューターというのは、あらゆるデータを「逐一検索」しています。たとえて言えば、トランプの神経衰弱で、一番端っこのトランプから一番手前のトランプまで、全てのトランプをめくっていって、条件に合うカードを見つけ出しているようなものです。
  勉強でこれと似ているのが、「一問一答」です。みなさんも使ったことが一度はあるでしょう。左側に「不平士族に担ぎ出されて西南戦争を起こした人物は誰か」という問題があって、右に「西郷隆盛」という答えが出ているあれです。
  後で述べるように、これは全く無意味ではないのですが、初めからこれを使ってしまうと非常に効率が悪くなります。知識を「逐一検索」している状態になるので、角度を変えた出題をされてしまうと、すぐに思い出せなくなってしまうのです。それに、だいたい一個一個の知識がどこに位置づけられているかわからないまま、問題を解けるのでしょうか。そういう覚え方は避けるべきです。
  ものを覚えるときは、必ず他の事柄と関連づけて覚えなくてはいけません。具体的には、一つの知識を覚えるときは必ず関連する複数の知識に目を通し、その間のつながりを確認する作業を入れることです。
  たとえば、「南北朝を統一した人物は誰か」という問いがあって、「足利義満」と答えられることにはあまり意味がありません。足利義満のように、教科書で写真付きで紹介されるような歴史上の有名人であれば、複数の業績を挙げているのが普通だからです。
  そうするくらいなら、初めから「足利義満がやったことを5つ挙げよ」とでもメモしておいて、その横に

  ①南北朝統一
  ②京都室町に「花の御所」を建設
  ④明との間で勘合貿易を開始
  ④金閣
  ⑤能の世阿弥を後援

  とでも書いておく方がいいでしょう。そして、とどめに、

  「日本をまとめた後、貿易で金儲け、そのカネで北山文化をプロデュース」

  などとメモしておけば完璧でしょう。この一言で、5つの事柄にハッキリしたつながりが見えてくるからです(歴史学の観点から見ればどうかとは思いますが・・・)。そう考えてみると、一番初めに挙げた「意味を知る」ことと余り大差がないのかもしれません。
  そこまで面倒くさくで出来ない!!という人に、いい方法を教えましょう。
  知識と知識のつながりがちゃんと書いてあるものがあるのです。学校の教科書です。
  歴史や公民は、この方法がかなり使えます。特に歴史は、きちんとした文脈に従って整理されています。だから、何か覚える時には、必ず教科書の何処にその知識が書いてあるのか確認する(できれば印を付ける)ようにするといいでしょう。あるいは、上のようなメモ書きを作るときに、教科書に書いてある文章をパクってくるという使い方もあります。
  「ニューコース」のような学習参考書や、塾のテキストでもいいのですが、初めから簡略化してしまっていることが多いので、前後のつながりがかえってわかりにくくなっています。普段の勉強には使わない方がいいでしょう。
  地理の教科書は情報量が少なすぎるので、出来れば地図帳を使う方がいいでしょう。受験用の地図帳(「受験対応」と書いてあるもの)なら、関連知識のイラストや図表が挟まれているので、一緒に見ておくとかなり効果的です。歴史で有れば、年表で出来事や人物を確認するのもいいですね。
  とにかく、同時代、同地域の何かと関連づけて覚えることが大事です。
  
  また、覚える対象を全体として把握することを意識すべきです。
  塾の先生でも学校の先生でもそうですが、「本当にこの人お金もらってんのかな」と言いたくなるような人がいます。大抵は何を言っているのかよくわからない人です。  あるいは、いつもいつも授業時間をオーバーしている先生もいます。学校で言えば、中学2年生の2月になってまだ江戸時代の中頃のことを喋ってる社会の先生といったところでしょうか。  
  この両者に共通しているのは、初めから詳しく取り扱いすぎていることです。入試問題を見ればわかりますが、「卑弥呼」や「縄文時代の生活」などというものはほとんど出ません。●学習指導要領でも、「古代」の目標事項が4つしかないのに対して、「近現代」のところは8つもあります。当然、後者の方が重視されているのです。だから、縄文時代や弥生時代でウネウネと細かい話をしている暇など本来ならないはずなのです。
  まあ、だからといって日教組教員(狂員)が近現代史の暗い部分の「解説(怪説)」に恐ろしいまでの情熱を傾けているのも勘弁願いたいものですが・・・。 
  話し下手、授業下手も、全体の中での位置づけを意識していないという点では同じです。
  勉強も同じです。下手の横好きにならないよう、以下のように心がけるべきでしょう。

 (1)まず、できるだけ早く全体を終えるようにする
 (2)細かい知識はとりあえず置いておく


  (1)について言うと、一回目の勉強は、全ての範囲に、一応目を通したという状態を作れれば十分です。後述するように、どうせ何度も繰り返すものですから、一度目は「こういうこともあるのか」程度でおしまいにしておくべきです。
  (2)については、(1)が出来ていない以上は、細かいことを覚えても無駄だということです。車のボディが出来ていないのに、高額のカーオーディオやカーナビを揃えても意味がないのと同じです。
  具体的には、科目全体を網羅した薄い問題集を使うといいでしょう。このとき、後でやり直したとき役に立つように、間違ったりすぐに思い浮かばなかったりした問題に印を付けておくとよいです。
  それ以前に全く知識がない場合は、教科書の太字の所だけを読んでいくという手もあります。数学ならば、例題だけをどんどん解いていくことがこれに当たります。
  とにかくこの段階では、「覚えていないのではないか」と疑わないことが重要です。

  そして、一巡目が終わったら、すぐ二巡目に入ります。
  今度は、一巡目で出来が悪かった箇所(印が付いているはず!)を中心に問題を解いていきます。分からなかったところは自分の弱点ですから、手で書いてみたり、カードに記録しておくなどして、3回目に当たったら解けるようにしておくことが重要です。
  
  注意すべき事としては、上に挙げたような作業は直前に慌てて始めても全く意味がないということです。
  慌ててやるから、しっかり覚えられなくて、暗記に頼るようになるのです。逆に言えば、記憶するためには、覚える作業をしながら、ある程度の時間を重ねることが必要なのです。 
  私はもう司法試験の勉強をやめてしまいましたが、今になって「あ!この条文は、こういう時に使えばいいんだ」とか「こんな細かいことを覚えていたけど、要するにこことここさえわかっていればよかったんだな」と思うことが結構あります。
  そう思えるようになったのは、時間を置いて、覚えたものを醒めた目でとらえ返すことができるようになったからでしょう。そういう腑に落ちるような瞬間があると、なぜか記憶が鮮明になったりします。時には、その知識を覚えたとき、どんな服を着ていたとか、誰それの顔が思い浮かんだとか、そういうことも一緒に思い出せるくらいです。
  おそらく、脳の中で、無意識に整理のような作業が行われているのでしょう。しかし、それはホットな状態では難しいことでもあります。
  だから、直前と言われるような時期になる前に、何度かヤマを作って、そこまでに必要な知識を叩き込んでおくようにすべきなのです。そして、直前にはそういう知識に漏れがないかをチェックしていくわけです。
  先に挙げた「一問一答」というのは、こういう時にこそ使うべきです。旺文社や代ゼミ当たりが出している英単語集なんかもそうです。最後に、「こういうこともあったよね」的に振り返る材料として使うべきなのです。
  もちろん、その場合でも、以前からやってきた問題集や、昔まとめたメモやノートを読み直すことの方が大切です。

  少しは参考になったでしょうか?

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【NEW】「地政学を勉強してみよう」追補【NEW】

2007年04月01日 00時27分46秒 | 地政学・国際関係
  本業が春期講習中で、更新が滞っており、申し訳ありません。

  ●前回の記事について、少々補足してみたい事が出てきました。そこで、追補の記事を上梓いたします。

  まず、ランドパワー(ロシア、中国、朝鮮)の海洋進出封殺について、日本は大きく前進しました。以下のリンクは重要です。

日豪2プラス2創設で一致/防衛相とハワード首相
http://www.shikoku-np.co.jp/national/political/article.aspx?id=20070313000254

(以下引用)

久間章生防衛相は13日午前、ハワード・オーストラリア首相と都内で会談し、外務、防衛担当閣僚による日豪安全保障協議委員会(2プラス2)を創設することで一致した。同日夕の安倍晋三首相との日豪首脳会談で発表予定の安全保障協力に関する共同宣言に盛り込まれる。

 ハワード氏は、陸上自衛隊が駐留していたイラク南部サマワで豪軍が治安維持を担当するなど、両国の防衛交流が緊密になっていることに触れ「共同宣言の締結は、日本との防衛分野での関係を密にするものだ」と評価。同時に「オーストラリアが2プラス2を実施しているのは米国、英国だけで、日本との2プラス2を前進させることが重要になる」と述べた。

 久間氏は2プラス2の実現に賛意を示した上で「ネルソン国防相の訪日をお願いしたい」と要請した。

(引用以上)

  久間防衛長官は、以前アメリカのイラク政策を批判した発言をした人物です。穿った見方ですが、防衛庁内の制服組(自衛官経験者)が彼を担いでいるのかも知れません。
  その目的は、ズバリ「アメリカを通さない軍当局同士の連携」です。

  さらに、この記事です。

日豪首脳、安保協力共同宣言に署名
http://tuf.co.jp/i/news/mori/0314/03140941.htm

(以下引用)

  安倍総理はオーストラリアのハワード首相と首脳会談を行い、安全保障協力に関する共同宣言に署名しました。日本が安全保障の分野で協力関係を結ぶのは、アメリカ以外では初めてです。
  「安全保障協力に関する日本とオーストラリアの共同宣言」では、両国の協力をテロ対策や海上の安全・平和活動などにも拡大するとし、防衛当局の人的交流や共同訓練の実施のほか、外務・防衛担当閣僚による対話、いわゆるツープラスツーの創設なども盛り込んでいます。
  また首脳会談では、EPA=経済連携協定の交渉を進めていくことも合意されましたが、これについて安倍総理は「日本にとっての農業の重要性を認識しながら相互の利益を実現させていきたい」と述べ、日本の農産物への影響に配慮しながら交渉を進める姿勢を強調しました。

(引用以上)

>日本が安全保障の分野で協力関係を結ぶのは、アメリカ以外では初めて

  このことの重要性は、いくら強調してもしすぎることはありません。

  アメリカは、ランドパワーを制圧するために、リムランド(ランドパワーと接触する海岸部)の国と個別の安全保障条約を結んできました。リムランドにいる国を自分の権益下に置くためです。いわゆるスパイクマン理論(詳しくは、●こちらのリンク)というものです。
  この戦略は、アメリカの力が圧倒的だった時期(たとえば湾岸戦争まで)は有効に働いていましたが、いわゆる9.11テロ以降、アメリカが中東に戦力を集中させるような軍事戦略を採るようになると、しだいにボロを出すようになりました。
  そして、本来はスパイクマン理論ではタブーだった、アメリカ抜きの海洋国家による安全保障協力体制が持ち上がってきたのです。もう、アメリカにはこれを止める力はないでしょう。ただでさえ、一触即発の中東で手一杯なのですから。

  オーストラリアは資源国であり、その資源を一番買っているのは我が日本です。オーストラリアとしては、太平洋西部の海の安定は至上命題なのです。そういう点で、日本とは地政学上の利害が完全に一致します。
  経済連携協定(EPA)については、交渉をして行くしか有りません。しかし、オーストラリアの農作物は、日本と相互補完になっているものが少なくありません。その中でも特に牛肉は、狂牛病のリスクがゼロです。●牛丼チェーンの「すき家」が米国産牛肉を一切使わずに、オーストラリア産牛肉だけを使った牛丼を提供しているのは有名な話ですね。
  それに、農産物の品質に問題があるなら、改善して欲しいという交渉をすればいいのです。武力にものをいわせて不良牛肉を押し売りしてくるヤクザのような国とは違い、対等なパートナーシップのあるオーストラリアは必ず交渉に応じます。
  たとえば、オレンジやレモンにしようしている防かび剤(TBZやイマザリル)は、輸出向け食品に使用しないように申し入れるのです。そのかわり、「オーストラリア産フルーツのは安全」という宣伝をすればよいでしょう。
  その割を食うのはアメリカの農薬漬けフルーツでしょうが、そんなのは知ったことではありません。相手国の消費者感情を無視して「買え」と言ってくるような国から、食べ物を買う必要はありません。
  
  要するに、我が国に、やってもいない慰安婦の強制徴発を謝罪しろという決議を議会がしてくるような「同盟国」など不要だということです。アメリカは日本を嘗めきっています。少し距離を置いて、他の国との提携も模索するべきです。

  また、ランドパワー同士を相討ちさせるための格好の材料を見つけました。政府関係者の方がもしご覧になっていたら(笑)、ぜひ参考にして下さい。

朝鮮族学校の経費難
http://www.searchnavi.com/~hp/chosenzoku/news4/070313-2.htm

(以下引用)

《朝鮮族学校の運営に存在する一番難しい問題点》に、おおよそ 89%の校長たちが 経費難》を挙げた。》朝鮮族学校で一番至急に解決しなければならない問題点》でも 《資金の解決》(57%)が過半数 1位と出て、朝鮮族学校の運営で資金難が一番深刻な問題であると言う事をうかがうことができる。

(引用以上)

  前回の記事では、朝鮮族が運営する「延辺大学」への援助を通じて、中国東北部における朝鮮族の民族運動を活発化させるという提案をしましたが、朝鮮族学校の運営基金を設立するというのも有望なプランですね。費用対効果も良さそうです。
  もちろん、こういう場所には在日朝鮮人を間に噛ませて間接的に資金援助をするわけです。在日朝鮮人の多くが、日本を敵視しており、おかしな運動に加担しているのは事実ですが、そうでない者も一定数は存在します。そういう連中を、アメと鞭でコントロールし、ランドパワーの対立を煽るための活動に協力させるべきです。
  ネット右翼や自称「保守」の方々も、もういい加減現実と向き合った方がいいです。在日朝鮮人をいきなり全員排除するより、こういう工作活動に従事できる人々を残し、敵性の強い連中を排除していくべきです(もちろんそれは、「朝鮮総連は悪い奴だが韓国民団は悪くない」という馬鹿げた図式を指すのではない)。
  以前も言いましたが、日本にも敵がいるように、ランドパワー(在日朝鮮人も含む)にも敵が存在するのです。それを利用して、最終的には自分たちが生き残るための道筋を探すのが、本当の国家戦略です。
  地政学は、そのための視点を提供してくれる貴重な分野です。本ブログでも紹介した地政学のサイトに行って、是非いろいろ考えてみて下さい。