日々是勉強

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こんなノートは命取り!!!

2005年08月05日 00時32分16秒 | 勉強について
  勉強のプロというのは、物事を理解しやすく伝授するだけではまだまだだと思います。どうすれば覚えられるか、という勉強のやり方までカバーできて、初めて一人前といえるのではないでしょうか。

 今日は、勉強法の中でも、ノートの徹底活用法を述べてみたいと思います。

 非常に嫌な言い方ですが、「この子は多分成績は伸びないな」という生徒は、私にはすぐにわかります。

  一つは、「話を聞いていない生徒」ですが、もう一つは、話題が変わっているのにまだ前のことのノートを取っている生徒です。
  その生徒が鈍い、ということではありません。そういう生徒は、字も綺麗なことが多いです。それに、取ったノートが結構きちんと整理されていて、見やすかったりします。
  しかし、実は、それが落とし穴だったりするのです。

   授業中にノートを一生懸命取っている生徒がよくないのは、「データ抽出」と「データ整理」を、いっぺんに実行してしまっているからです。

  「データ抽出」というのは、自分が知らない知識や、誤解しているポイントを認識し、理解することです。
 
  また、「データ整理」というのは、抽出したものを後で使えるように加工し、集約することです。

  この二つの作業は、似ているようで全く違います。

  「データ抽出」はどちらかというと、何かを見たり聴いたりする必要があるのに対して、「データ整理」は、そういうものを取捨選択していく作業です。これをいっぺんにやろうとすると、どういうことになるか。

  答は簡単です。どちらも中途半端に終わってしまうのです。

  私も一応、「受験生」なので(※2007年で廃業(笑)しました)、これは自分の所行を振り返って大いに反省すべき点があります。

  問題集を解いて、知らないことを見つけたり、あやふやだったり誤解していたりする知識を再認識する。それ自体は必ず必要な作業です。
  そして、その後にすぐ、わかったことをカードにまとめるようにしていました。実は、これがいけなかったのです。
  後から振り返って見ると、あまり重要でないものと、そうでないものを、一緒くたにしてカードに記録してしまっていたのです。そうなると、後で見直すときに「これはどれが大事なんだ?」と首をひねることが何度もありました。
  つまり、「データ整理」が機能していないことがよくあったのです。

  しかも、それが「データ抽出」の方にまで悪影響を及ぼしてきました。とにかく問題を沢山解くべきときに、出てきたものを理解しようと必死になってしまうため、たくさんの問題に当たることができなくなってしまったのです。
  そうなると、試験本番を穴が出来た状態で迎えてしまう。その焦りたるや、もうここでは形容しがたいものがあります。
  面白いことに、そういう穴の開いたところが一番出題されるものなのです。先日の試験も、「これ、見たことあるんだけど」という問題が多いのにも関わらず、その内容や構成をいちいち考えてしまい、すらすら書くことがほとんどできませんでした。

  このような失敗体験から言えることは何でしょうか。

  もう決まりでしょう。

  データ整理と、データ抽出は
  必ず分けてやれ


 ということです。

  問題を解いて解説を聞く。これはデータ抽出の時間です。だから、解いて、話を聞いて理解することに全力を集中すべき
です。
  ここに、綺麗なノートを取るという「データ整理」が入り込んでしまうと、たちまち問題点の理解というデータ抽出の効率が落ちてしまいます。そうなると、せっかくきちんと取ったノートも、後で見たら「なんだっけこれ?」ということになり、無駄な努力に終わってしまうのです。

  これを防ぐには、「データ抽出」と「データ整理」の時間を、可能な限り分ける
しかありません。

  全くノートを取らない、ということは無茶です。だから、ノートを取るのはなるべく単純な作業に絞るのです。

  具体的に言うと、

 ●色は一色だけ
 ●字は綺麗に書かない
 ●色分け、飾りなど言語道断
 ●何かわかったことや聞き取れたことは全て書く


  という3点を必ず守ってください。
  特に、中学生のみなさんは、国語の授業では、先生が喋っていることは全て書き取るくらいのつもりでいてください。
  国語の授業ではここは、こういう意味なんだよというようなことを、先生がよく口にします。そして、それがよくテストにも出るのです。そういうことを聞き漏らさないためにノートというのは取るのです。
  後から馬鹿の一つ覚えのようにワークブックをやっていても点数は上がりません。ぜひ、先生のちょっとした話を書き取るようにしてください。

  そうしておいて、後からそのノートを整理します。
 
  たくさん取ったノートの中には、無駄な記述もあります。また、すでに頭に入っているものもあるし、重要度も違うでしょう。それを整理し直すだけでも、立派な復習になるじゃありませんか。
  そこに来て、先生が授業で言ったことを思い出せれば、完璧です。

  さらに、詰めとして、そのノートを試験前に何回か見直すようにすれば、間違いなく成績は上がります。
  試験前だけ勉強している「フツーの生徒」は、だいたいが「データ抽出」と「データ整理」をいっぺんにやろうとして、どんどん自分の首を絞めてしまいます。例えば、冬休みが終わってから慌てて過去問をやったり、社会の年号を丸暗記しているような生徒は、だいたい落ちます。
  これに対して、普段から、抽出したデータを整理しておくクセのついている受験生は、それを見直すだけでいいのです。脳味噌の良し悪しが同じだとしたら、どちらの方が成果が出やすいか、言うまでもありません。

  こういうことを言うと、必ずこういう反論が出てきます。

  それは、「成績のいい○○ちゃんは、授業中にきちんとノートをとっている。自分もそれを真似しているだけだ」というものです。

  そういう人には、逆に私から以下のような質問をしたいです。

  ○○ちゃんとあなたは、頭の作りや性格が全く同じなのか?
  ○○ちゃんと同じやり方をして、成績が上がったのか?

  頭のいい人の真似をしてはいけません。もともとの記憶力や理解力がずば抜けていれば、多少無駄なことをやっていてもいい成績が取れたりします。覚えるべき事柄と比べて、脳味噌の出来が圧倒的に有利だからです。そういう場合は、「データ抽出」と「データ整理」をいっぺんにやっても破綻しないのです。
  しかし、そういう人に限って、大学入試や、国家Ⅰ種公務員・司法試験といった難しい試験で失敗します。高校入試などと比べて、処理すべき情報量が圧倒的だからです。
  逆に言えば、大学入試くらいなら、上に書いたようなノートの取り方など、地味ですが確実に結果を出せるやり方を貫けば合格できます。

  漫画の「ドラゴン桜」は、決して誇張や嘘ではないということです。

  頭がいい「だけ」の人の真似をして一緒に転落するか、自分のやり方をしっかり反省し、頭のいい人との差を認めてコツコツやっていくか。

  まずは、ノートの活用法から変えてみませんか?

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