窓際日記・福島原発

窓際という仕事の雑感

ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・16・ホーキング放射のシミュレーション(4)

2019-03-31 22:03:57 | Weblog

個々の原始BHがホーキング放射を出す事によってどのような質量を持ってプランクレベルまで到達する事になるのか、それはランダムシミュレーションを行ってみないと分からない事であります。
そうでありますが、一応ここではプランク質量にまで到達したBHをスタートラインとして、それ以降のもっともありそうなシナリオを見ていく事にします。

但し、以下のお話は前回まで繰り広げてきた「多層の仮想粒子放出モデル」ではなく一番ホライズンに近い最下層のみを使ったものであり、そしてそれはホーキングさんが最初に想定したモデルと同一のものでもあります。
従いまして、多層の仮想粒子放出モデルで近似される現実の状況においては、よりエネルギーレベルが低い仮想粒子のBHへの飛び込みが想定されますので、計算のステップ数はより多くなる事が想定できます。

さてそれで計算のスタートラインはBHがプランク質量に到達した所からです。
プランク質量MpはMp=2.176*10^(-8)(kg)=21.76μgとなります。
BH半径Rsはプランク長さLpの2倍。(Lp=1.616*10^-35)
その時のBHのホーキング温度TはT=5.639*10^30(K)。
そしてその時に一番放出される確率の高い周波数νによる放出エネルギーはhν = 2.82 kTであり、E=⊿M*C^2によって質量換算をすると2.443E-09(kg)となります。(注1)

そうであればこのエネルギーをもった仮想粒子(ニュートリノを想定)がBHに飛び込む事により、BHはそのエネルギー分だけ質量がマイナスになる、と言う事は従来からの説明の繰り返しになります。
そうなりますと、次の計算のスタートはBHの質量がMp-⊿Mということになり、上記と同様にして温度T、そうして対応する換算質量⊿Mを求めていく事になります。

そのようにして、まずはBHの直径がLp未満に至るまでを計算します。
以下その結果になります。

  M(Kg)    T(K)    ⊿M(Kg)  M-⊿M(Kg)  2*Rs/Lp
!2.176E-08   5.638E+30  2.443E-09  1.932E-08    4.0
!1.932E-08   6.351E+30  2.751E-09  1.657E-08    3.55
!1.657E-08   7.407E+30  3.208E-09  1.336E-08    3.04
!1.336E-08   9.186E+30  3.979E-09  9.378E-09    2.46
!9.378E-09   1.308E+31  5.667E-09  3.711E-09    1.72
!3.711E-09                               0.68

2*Rs/LpはBHの直径がLpの何倍になっているかを示しています。
その結果は、5回目終了時点で1倍を割り込んでしまいますので、6回目以降のホーキング放射はトンネル・ホーキング放射となる事が分かります。(注2)
つまり5回目終了時点で、このBHは「準安定の状況になった」と判断できます。
そうして、大方のBHはこのようにしてプランクレベル到達後5~6回のホーキング放射を出す事で準安定の状況に至るであろう、と予想する事ができます。

さてそれで「この状況のBHがダークマターの正体である」と言うのが当方の主張になる訳であります。

ちなみに5回目終了時点でのBHの表面積は1.452*Lp^2であり、つまりこのBHは情報量は1ビットしか持っていないBHである、と言う事になります。(注5)


さてその後、長い期間をかけてトンネルしてのBHへの飛び込みを試みていた仮想粒子がある時に成功します。(注3)
それはプランクレベル到達後のこのBHにとっては6回目の飛びこみになりますが、その結果は以下の様になります。

   M(Kg)    T(K)    ⊿M(Kg)  M-⊿M(Kg)  
!3.711E-09   3.307E+31  1.432E-08  -1.061E-08
!-1.061E-08  <--END

計算結果ではほぼ一回の飛び込みでこのBHはプラス質量のBHからマイナス質量のBHへと変化する事になります。
そうして、これがインフレーションでつくられた原始BHが最後の最後にたどり着く安定した姿であり、そうしてそれは又ダークエネルギーの正体でもある、と言うのもまた今回提案している主張となります。(注4)

注1
プランク則に依ります。<--リンク

注2
トンネル・ホーキング放射についてはこちらを参照ねがいます。<--リンク

注3
長い期間についてはこちらを参照ねがいます。<--リンク

注4
BH質量がプラスからマイナスにジャンプすることでそれまで存在していたホライズンが消失し、従ってそれ以降はホーキング放射の機構が働かなくなり、このマイナス質量のBH、あるいはマイナス質量の裸の特異点は安定して存在し続ける事になります。
この件、議論詳細はこちらを参照願います。<--リンク

注5
日経サイエンス2017年1月号・「ホログラフィー原理を解く」によれば『ベッケンシュタインはBHの半径程度の波長をもつ光子がBHに吸収されるとBHの表面積がLp^2ほど増加する事を見出し、これがBHの持つエントロピーの最小単位であるとした』と記述されている。<--リンク
以下、この内容についてのちょっとした計算です。

BH半径RsはRs=2*G*M/C^2 .
波長λがRs程度であるのでその振動数νはν=C/λでエネルギーEはE=h*ν=h*C/λ。
換算質量⊿Mは⊿M=E/C^2=(h*C/λ)/C^2=h/(C*λ)
λにRsを代入して整理すると⊿M=h*C/(2*G*M)

BHが⊿Mを吸収したのでホライズン半径がその分増加します。
増加後の半径をRs1とするとRs1=2*G*(M+⊿M)/C^2=Rs+⊿Rs
その時の表面積SはS=4*Pi*(Rs+⊿Rs)^2
いままでhは生hだったので2*Piで割っておかないとプランク単位系にならないので忘れずに。
従ってこれ以降はhは(生h)/(2*Pi)を表します。

それやこれやを加味して整理すると
S=4*Pi*(Rs^2+2*Rs*⊿Rs+⊿Rs^2)
↑=4*Pi*Rs^2+2*(sqrt((G*h)・C^3))^2+h^2/(Pi*C^2*M^2)
↑=4*Pi*Rs^2+2*(Lp)^2+h^2/(Pi*C^2*M^2)

こうして分かる事はRs程度の波長ですとBHの表面積が2倍のLp^2ほど増加してしまう、サイエンスの記事の倍になってしまいます。
それを半分にするにはBHに入る光子の振動数を半分にしてやればよい、つまりBHの直径程度の光子を吸収させればよい事になります。
以下、その様にした場合の計算結果です。
S=4*Pi*Rs^2+(Lp)^2+h^2/(4*Pi*C^2*M^2)

こうしてBHの質量Mがプランク質量Mに比較して相当に大きい場合(1kgを超える程度のBHの場合)は第3項をネグってしまい、「表面積はLp^2ほど増加する」というベッケンシュタインさんの主張が成立する事がわかります。

まあそれはそれとしてBHホライズン直径がLpになった時のBHの表面積は4*Pi*(Lp/2)^2=Pi*Lp^2でありこうしてこのBHのもつ情報量が3ビット程度である事が分かるのであります。

注6
ニュートリノ放出のプロセスでBHがプラス質量からマイナス質量へジャンプするときに放出されるニュートリノのエネルギーは質量換算で1.432E-08(kg)であると算出しました。
しかしこの値はBHホライズンの近くでのエネルギー値であって、実際に我々が観測できたとすれば、それはこのBHの重力ポテンシャルの井戸を登りきった後のニュートリノのエネルギーになります。
詳細なお話は後程とさせていただきますが、概算ではホライズン近傍で持っていたエネルギーはかなりの部分、ポテンシャル井戸を登るのに費やされ、残りの8%ほどのエネルギーが観測される事になるもの思われます。

この部分の記述は誤りのようです。
訂正詳細は「ホーキングさんが考えたこと・20」の記事を参照願います。<--リンク

追記(2021/2/22):上記記述ではトンネルホーキング放射によってBHがマイナスエネルギー状態に落ちる、としていますが、後述する検討結果からは「運動量保存則を考慮した場合、BHのマイナスエネルギーへのジャンプは禁止される」が正解である事が判明しております。この件、詳細は以下のページを参照願います。

・26・BH(ブラックホール)は消滅可能なのか?(4)


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/iB5Z8

http://archive.fo/6hSC9

https://archive.fo/w6xa9

 


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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・15・ホーキング放射のシミュレーション(3)

2019-03-22 22:07:52 | Weblog
さて、提示したホーキング放射のモデルで寿命の計算は一応出来るようになりました。
しかしながら、ずうっと言ってきた問題「仮想粒子の到達距離の話」の決着がまだついていない様です。
それでこのページではその事について今回提示したモデルを使って検討してみます。

まずはエネルギーと時間の不確定性関係。
ΔE*Δt=h/2程度というのが厳しめの数値の模様です。<--リンク
ちなみにこのページではhはすでにプランク定数を2*Piで割っているものとします。

さて例によって中心から距離rの位置にある粒子生成点を取り上げます
まずはrをホライズン半径Rsで割ってXとします。

その位置の温度Trはホライズン温度Tsを使ってTr=Ts*(1/X^2)と書けます。
Tsが出ましたので、プランクの放射則にその値をいれると、Tsでのスペクトルが出てくるのでした。
そのスペクトルのピークの位置はΔE/2= hν = 2.82 Kb・T です。<--リンク
ただしここで、真空から借りたエネルギーはΔEですが、2つの仮想粒子に等分に分けられるので、粒子一つ当たりのエネルギーはΔE/2となります。

そうなりますと仮想粒子の存在時間ΔtはΔt=(h/2)/ΔE=(h/2)/(2*2.82・Kb・Tr)=(h/2)/(2*2.82・Kb*Ts/X^2)。
ホライズン側に飛んだ粒子の飛行距離Δlは速度を光速とするとΔl=C*(h・X^2)/(4・2.82・kb・Ts)

Ts=(h・C^3)/(8・Pi・Kb・M・G)を入れて整理すると
Δl=((2・Pi・X^2)/2.82)*(M・G/C^2)
Rs=2・(M・G/C^2)を使って
Y=Δl/Rsを求めます。
ここでYはRs単位系(勝手にそう呼んでいるのです。)で表した飛行継続距離となり、
Y=(Pi/2.82)・X^2=1.114*X^2となります。

これで温度Trで一番多く生成される仮想粒子の飛行距離が計算できました。

次に例のBH到達可能性を示す円錐を考えます。
BHまでの一番長い距離はその円錐を作っている接線であり、その接線の長さはXをつかってsqrt(X^2-1)となります。

それで、Yの値がこのsqrt(X^2-1)より大きければ仮想粒子はBHに到達可能なのだが、短いと到達する前に仮想粒子は消滅する、そういう事になります。
それで、比率1.114X^2/sqrt(X^2-1)の値を調べる事になります。

ここでまたしてもWolfram|Alphaさんの出番です。<--リンク
上記の式をコピペして極小値と書いてリターン。
X=1.41421の時に2.228と返ってくるはずです。
2.228が最悪条件ですので、幸いなことに一番多く発生する仮想粒子は円錐の側面を含み、円錐の中のエリアに飛んでいればBHに到達できると、そう判断できます。

しかしながら、この粒子のエネルギー量の2.228倍となった仮想粒子の存在可能時間は1/2.228倍となり、つまり円錐側面に沿った飛行距離がBH到達ぎりぎりという事になります。
そして、それを超えたエネルギーを持った仮想粒子はこの円錐側面に沿って飛行した場合はBHに到達できない、という事になります。
つまり、一番多く発生する粒子の振動数の2.228倍を超える振動数に対応したエネルギーを持つ仮想粒子が発生した場合はBHに到達するのはより難しくなる、という事になります。
それらの仮想粒子は所定の飛行コースには入っているのですが、飛行時間が足りない、航続距離が足りないという事が起こりえます。

この部分の効果、エネルギーがある値より高い、高周波側の仮想粒子がBHに到達しにくくなる、と言う要素は前回・14で提示した計算式には反映されていません。
したがってその効果を考慮にいれますと、BHの寿命は前回提示した計算式よりは多少は延びるであろう、という事になります。


以下、最悪条件X=1.41421の時の状況を確認しておきましょう。
Wolframを使います。
プランクの放射則を簡略化した式x^3/(e^(x/100)-1)を使います。(注2)
ここでxは振動数を表しています。
「x^3/(e^(x/100)-1) ,0<x<1500」<--こんな風に書いて入力するとスペクトルグラフが出てきます。

x=282にグラフのピークがあります。
この振動数の2.228倍ですと628になります。
0からその値まで積分します。
「0から628の範囲でx^3/(e^(x/100)-1)を積分」を入力、
答えは5.726*10^8です。
ちなみに2000あたりまでの積分でこのグラフは飽和し、値は6.494*10^8です。
ですので振動数628までですと88.2%ほどは問題なしですが、のこり12%程度は予想したエネルギー放射に届かないという事になります。

このような状況はXが1の方に、あるいは2の方に移動するにつれて改善されていくのは、「1から3の範囲で1.114X^2/sqrt(X^2-1)の極小値」と入力したグラフ形状から読み取る事が出来ます。
そうして付け加えますれば、もしそのグラフの値が1<x<3の範囲でどこでも4以上であったとすれば「ホーキングさんが考えたこと・14」で提示した式が何の修正をする必要もなく使えたという事であります。(注1

円錐の側面にそった場合の評価は以上ですが、円錐の中心線に沿った場合はどうなるのでしょうか?
その場合は、比率1.114X^2/(X-1)の極小値を調べればよい事になります。
WolframによればX=2で4.456がその値です。
つまり中心線近傍であればグラフは1<X<3にて4以上を十分にキープできている事になります。

振動数x=282*4.456=1256で同様に0から積分してみます。
「0から1256の範囲でx^3/(e^(x/100)-1)を積分」
答えは6.485*10^8で飽和値の99.86%をカバーしますので、中心線近傍では実質上の問題はなくなります。


以上、見てきましたようにX=1.41付近で条件が最悪となり、スペクトルグラフの高周波側に相当する仮想粒子群にロスが発生する事が分かりました。
これは結局ホーキング放射の出力を下げる事につながり、ひいてはBHの寿命が前回掲示した式での計算よりも多少延びるであろう事が予想されます。

注1
さて、当方の感覚からしますと、ここでは自然は、宇宙は妙に渋ちんに見えます。
真空が貸し出すエネルギーと時間の積の値が中途半端に見えます。
中途半端に周波数カットをしている様に思えて仕方がないのです。

「ΔE*Δt=h/2程度」では「太っ腹」ではありません。
ですからきっと宇宙はこの場合は「ΔE*Δt=h程度」と対応してくれているに違いないものと、密かに思っております。

注2
元々のプランクの式にはhとKbが入っていますが、それを1にします。
そうしてこの場合はホーキング温度、ではなく仮想温度Tを100に設定しています。
そうすると hν = 2.82 Kb・Tの式からピーク周波数が282となる事が分かります。

この層の10倍の温度を持つ仮想粒子発生層でも同様に考えます。
ピーク周波数は2820となりますが、後の議論は上記本文の繰り返しとなります。
そして各積分の値そのものは変わりますが、%で表された数値は変わる事はありません。
それが「プランクの式は温度に対しては形は変わらない」という事の意味になります。

ちなみに上記式に現れている hνのhは生のプランク定数であって、2*Piでは割られていませんが、幸いな事にこの部分のhが式の変形の所に現れる、という事はないのです。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/XG2ih
http://archive.fo/u5Sd7

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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・14・ホーキング放射のシミュレーション(2)

2019-03-21 21:48:30 | Weblog
「ホーキングさんが考えたこと・13」でより具体的なホーキング放射のモデルを作る事ができましたので、離散的なホーキング放射のシミュレーションが可能になりました。
そうではありますが、BH質量が放射の量子性、離散性をを考量する必要がある前の段階では、従来の様な「古典的な連続放射モデル」がパフォーマンスに優れています。
それで以下、このシミュレーションモデルに従った場合の放射計算について述べていきます。

質量MのBHが単位時間に放射するエネルギーEは従来はこのように書かれていました。
E=σ・T^4*4・Pi・Rs^2
Rsは当該BHのホライズン半径、σがシュテファン=ボルツマン定数でありTは通常は熱力学温度ですが、ここにホーキング温度を代入します。
そして、σ・T^4の部分がStefan-Boltzmann の法則でありそれに放射体の表面積をかける事で全放出エネルギーEが求まる、そのように想定しています。

それに対して、ホライズン上空に多層に重なる仮想粒子放出層を想定するのが今回のやり方になります。
一番下の層は従来通りの記述になります。
そこから微小距離Δrだけ上に上がった放出層を考えます。
この層は上に上がった分だけ重力が弱まり、従ってその分ホーキング温度Tが下がる事になる、と言うのは前回の説明でした。
そうやってこうした放出層を何段にも積み重ねる事で、たとえばホライズン半径の2倍の地点にまで到達する事が可能です。

さてN番目の層までのBH中心からの距離をrとします。
このN番目の層の全放出エネルギーEを考えます。
それはStefan-Boltzmann の法則に従ってEr=σ・Tr^4*4・Pi・r^2と書くことができます。

ここで必要になるのはN番目の層の温度Trの値です。
そこで思い出す必要がある事は、ホーキング温度Tはその場所の重力の強さに比例する、という関係です。
BH中心から距離rの位置の重力の強さArはAr=G*M/r^2となります。
そしてその場所の温度Trは比例定数Bを使って、Tr=B*Arと書けます。

ホライズンでの温度をTsとし、その場所での重力の強さをAsとします。
ここでも当然Ts=B*Asが成立しています。
そしてAs=G*M/Rs^2です。

そうなりますとAr/As=(G*M/r^2)/(G*M/Rs^2)=Rs^2/r^2.
Ar=As*(Rs^2/r^2).
Tr=Ar*B=As*(Rs^2/r^2)*B=Ts*(Rs^2/r^2)である事がわかります。

その結果は
Er=σ・Tr^4*4・Pi・r^2=σ・(Ts*(Rs^2/r^2))^4*4・Pi・r^2になります。
ここで変数XをX=r/Rsとして導入し、上記をXを使って書き直します。
r=X・Rsであることに注意して
Er=σ・Ts^4・(1/X^2)^4*4・Pi・Rs^2*(X^2).
この式の前半が温度に関する部分で後半が仮想粒子放出層の表面積になります。

ところで、一番下の層では発生した仮想粒子の片方は必ずホライズンに飛び込むのでした。
しかしながら実はホライズンの接平面方向に飛んだ場合に限って、この粒子ペアはBHに吸収される事はないのです。
まあそれはそれとして、ホライズンから少しでも上空に離れますと、仮想粒子生成点を頂点として、BHホライズンに接線を引き、それをぐるっと一回しして出来上がる円錐の内部方向に発生した仮想粒子である場合のみ、BHはそれを吸収する事が可能となります。
その円錐を外れますと、仮想粒子はBHに吸収されることなく消える、という事になります。

さてこの円錐の一回しした接線と円錐の中心線のなす角度をΘとしますとこの円錐の立体角ωは以下のようになります。
ω=2π(1−cosθ)<--リンク

N番めの層を考えているので、その層までの距離はrです。
そうして半径Rsのホライズン球に対して距離rから接線を引き、円錐を作る事になります。
そうやってΘが決まりωを決める事が出来ます。

その状況全体を値Rsで割る事で球の半径は1となり、距離rはXとなりますが、Θとωの値は変わりません。
この状況でcosθはsqrt(X^2-1)/Xとなる事は絵をかいて確認をお願いします。
最終的にωはω=2π(1−cosθ)=2・Pi・(1-sqrt(X^2-1)/X)となります。

仮想粒子はペアで反対方向に飛び去る事を考慮してBHに飛び込める有効な粒子の割合はこの立体角を2・Piで割った値になります。
これが粒子発生を想定する球の表面積にかかる補正係数となりますから、N番めの層の表面積は最終的に
4・Pi・Rs^2*(X^2)ーー>4・Pi・Rs^2*(X^2)*(1-sqrt(X^2-1)/X)
に変わります。

以上からErは
Er=σ・Ts^4・(1/X^2)^4*4・Pi・Rs^2*(X^2)*(1-sqrt(X^2-1)/X)
↑=σ・Ts^4*4・Pi・Rs^2*(1/X^2)^4*(X^2)*(1-sqrt(X^2-1)/X)
↑=σ・Ts^4*4・Pi・Rs^2*(1/X^6)*(1-sqrt(X^2-1)/X)
↑=Es*(1/X^6)*(1-sqrt(X^2-1)/X)

こうして一番下の層、それは従来は全放出エネルギーを表す、とされていたものですがそれに所定の補正値をかける事でN番めの層の放出エネルギーを表す事が出来ます。
さて、それぞれの層の厚さはΔrとしましたがこれもRsで割る事によりΔxとなり、あとはこの層を足し合わせる、積分すれば補正値が求まる、という事になります。

「ホーキングさんが考えたこと・13」で示しました様に、ホライズン上空に2倍のホライズン半径にあたる距離までの放出層を考えればまずは十分であろうとしました。

ここでWolfram|Alphaさんの出番です。<--リンク
「微積分と解析 」を選んで「定積分」に行きましょう。
クリックすると何やら出てきます。
積分範囲と式(1/X^6)(1-sqrt(X^2-1)/X)を入力(コピペ)しましょう。
少々苦労するやもしれませんが、頑張ってみて下さい。

積分範囲1から2では   0.10124
積分範囲1から3では   0.10179
積分範囲1から無限では  0.10183
積分は発散ぜず、ホライズンからホライズン半径の2倍、X=3まで層を積み重ねれば十分である事が分かります。

従来方法ではEs=σ・Ts^4*4・Pi・Rs^2が単位時間当たりBHが放出する全放出エネルギーである、とされていました。
提案方法では補正係数0.10179を掛けたE=0.10179*Esが妥当であろう、という事になります。

こうして、BHの寿命は従来の約10倍にのびる事になった、とそういうお話であります。

注1
しかしながら、いずれにしましてもホーキング温度Tが熱力学温度Tと同等である、という証明はなされておりません。
そうでありますから、相対比較はこうして可能にはなりましたが、絶対値としての寿命はどうなんだ、という事については、「BHの放射を実測せよ」、あるいは「ほかの方法でホーキング温度Tが熱力学温度Tと同等である事を証明せよ」が答えになるかと思われます。

観測ロボットさんへ
ホライズン上のホーキング放射強さを1.0としたときX=1.1では0.329、X=1.2では0.150、X=1.25では0.105、X=1.5では0.0224となります。
上記の計算結果からわかる様に「ホーキング放射の起きている現場」はホライズンすれすれの所だけではなく、例えばホライズン上空の距離がX=1.25という場所でも放射現象は起きておりそれを観測するのはそれほどに「命がけ」という事でもない、ということであります。

ちなみにBHの発光の様式、空間発光でしかも指向性を持つような発光体と言うものは人類は今までに遭遇した事が無く、非常に特異的な発光パターンが観測できると予測されます。
それはホライズン中心部からはとても強い光のビームが出ている、それはまるでこちらに照準を合わせているかの様にも見えますが、それに対してホライズン周辺部からはあまり光が出てこない、そういう特異的なパターンを示しますので、まず見間違うという事は起こらないと予想できますので、以上の事をご確認の上測定をされますようによろしくお願いします。

注2
Wolframで1から1.0001を積分範囲として指定し、実行して「積分の視覚的表現」を見てみると、それぐらいホライズンに近くて薄い層を指定すれば「補正係数は1と出来る」という事が一目瞭然、とても良く分かります。
そしてそれがホーキングさんが世界で最初に見た状況であると思われます。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク

PS
イチロウが引退したみたいだ。
少しショックだけれど「お疲れさん」のコトバを贈りましょう。


http://archive.fo/HSFGo
http://archive.fo/xxTHm

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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・13・ホーキング放射のシミュレーション

2019-03-19 13:15:09 | Weblog
論文と言うのはちゃんとまじめに読まなくてはいけません。
「Hawking 輻射とブラックホールの蒸発」山内さんに書いてありました。
『Schwarzschild ブラックホールの表面重力は κ = 1/4M であるので,T = 1/ 8πM となる.
今まで1として扱ってきたプランク定数h と光速 c,重力定数 Gを復活させるとT=hc^3/8πkBMGとなる.(kB はボルツマン定数)』

ホライズンの位置での重力の強さを κと書いてκ = 1/4Mとしています。
ホライズン半径Rs=2*G*M/C^2、そうしてその場所でのBHの質量Mによる重力加速度をkとするならばk=G*M/Rs^2となります。
従ってホライズンでのkをksとするとそれは結局ks=C^4/4GMとなります。

つまりホーキングさんがやったのは、本当にホライズン上の無限小上空での微小な厚さΔでの解析結果であります。
そこでの解析結果として「黒体放射スペクトルを得た」と言っているのです。
そうして、そうであるならばBHは黒体と見なせ、その表面温度はT(K)である、従って後は「Stefan-Boltzmann の法則より云々」とそうなったのでした。


しかしながら実際はその上の層も重力を受けて仮想粒子の対生成をしており、またさらにその上もそうなっていて、そうして発生した仮想粒子がその存在時間中にホライズンにまで到達できる位置まで、ホライズン上空にそうやっていくつもの層が重層的に重なっており、本来はそれらの全ての層からの放射を足しこまなくては、積分しなくては全放射エネルギーは求まらないのでした。

そうして、そのように考えますれば、BHから離れて放射を観測する観察者にとっては、それはもはや「黒体放射スペクトルとはとても呼べないようなスペクトル」になる事は明らかな事であります。
何故ならばホーキング温度Tは所定の比例係数とその場所のでの重力の強さkとの積で表され、kはそれぞれの層が存在する位置がBH中心からどれほど離れているか、その距離をrとすれば、rの関数k=G*M/r^2となるからであります。
ちなみにホライズン半径Rsでの重力強さはksでしたがホライズン半径の倍の位置の重力強さは(1/2)^2*ks、距離が3倍ですと(1/3)^2*ksとなります。
(BHの質量Mによらないので、この表現方法は便利です。)

さてそうなりますと、ホーキング放射を出している一番下の層の温度が一番高く、その上の層の温度はそれよりも少し低く、その上はもっと低く・・・そうやっていくつもの層の重なりでのそれぞれの温度を算出し、その温度での放射スペクトルを仮想粒子がホライズンに届くかどうかを確認しながら、その各層のスペクトルを全部足しこんで、ようやく質量Mの時のBHの放射スペクトルが求まる、そういう事の様です。
そして、その放出層の積分に似た和分を取る範囲はホライズンからちょうどホライズン半径分だけ上空まで行えば実用上は問題がなさそうであり、厳密に、というのでもホライズン半径の2倍までの上空で十分の様に思われます。

各層のスペクトルを足しこむ際には、その層が持っている表面積がホライズンの表面積の何倍にあたるか、それを比例乗数としてその層のスペクトルにかける事を忘れてはいけません。
加えて粒子発生層がホライズンから離れるに従って、対生成した仮想粒子の片方が何時もすべてホライズンに向かう、とは限らず、ロスが発生する事も考慮する必要があります。

このような各層ごとのスペクトルの足し合わせ、と言うのは当該のBHには常にホーキング放射で失われたエネルギーが外部から補給される、つまり外部と熱平衡状態にある、という事を前提にしています。
実際にはそのような状況は例の2.7Kの宇宙放射とつり合いにあるBHでしか実現されていませんが、質量MのBHの実際のホーキング放射スペクトルを求める、というのであれば、そのようにするのが妥当であります。

そうして、そのようにして足しあわされたスペクトルはもはや黒体放射スペクトルの形状ではなくなり、そうしてそのスペクトルの持つ意味も本来の分光放射輝度I(v、T)と言う意味ではなく、BHのホーキング温度Tに対応した周波数別の放射の相対確率と見なすべきものへと変わります。<--リンク
そうやってBHの質量Mの数値ごとにスペクトルで表された周波数別の放射確率を決定する事ができます。
それができましたら、あとは仮想粒子の対生成が起こる位置、そして放射の起こる方向、それから周波数(つまり仮想粒子が持つことになるエネルギーの大きさ)それについてはスペクトルとして表された相対確率の大きさを考慮しながら、モンテカルロ法を使ってホーキング放射をシミュレートする、という事が可能になると思われます。

注1
上記でも述べましたが、各層のスペクトルを足し合わせた形状は温度Tの黒体放射スペクトルに対してピーク位置は周波数が低い方にずれ、また周波数の高い方のスペクトルは低い値に抑制された形になります。
つまり、温度Tの黒体放射を想定した場合よりも全放射エネルギーは抑えられる、したがってBHの寿命はその分だけのびる、という事になります。

注2
スペクトルを足し合わせたものが相対確率になる、と書きましたが、これは質量M1の時のスペクトルと質量M2の時のスペクトルを比較すれば相対的にどちらの場合の方が放射が起こりやすいかは決める事ができる、つまり放射効率の比較はできる、という意味になります。
しかしながら、絶対値としてのBHのホーキング放射効率、質量MのBHの時間当たりのホーキング放射での全放射エネルギーについては実測値は存在せず、したがって計算で得られた相対確率に時間をいれて放射効率(W)とする事は今のところは出来ない、という事になります。
それでも量子論で「あからさまにWが明示されたホーキング放射の計算」が出来るのであれば話は変わってくるのでしょうけれど。
それもなかなか難しいものと思われます。

注3
以下、ご参考までに。
「重力崩壊するダスト時空の量子化による 厳密な Hawking 輻射の導出」<--リンク
『・・・先ほどは地平面付近で近似をしたが、厳密な積分は級数展開することによって求められる。
最も優勢な項が (23) 式を与え、その他の項は補正項となる。
|β| 2 に対する最もの単純な補正項を計算すると、 |βωω′ | 2 ( 1 + 4 (3 + 10E) 2 ) (24) などとなる。
これは Graybody factor と言われる Planck 分布に対する補正因子となる。』

ホライズン上空に多層に重なる放射層を考えると、ホーキング放射は黒体放射スペクトルからずれる、というお話の様です。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク


http://archive.fo/qut6D
http://archive.fo/9H1nP

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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・12・マイナス質量のBHについて

2019-03-16 13:00:31 | Weblog
相対論は座標変換の話、EMANの物理ではそういっています。
そうして、やっぱり頭が混乱します。
この状況は量子論の意味を考えると頭が混乱する事に似ています。
(量子論の意味=物理的実在というしろもの)

さて「ホーキングさんが考えたこと・6」で「そうして我々の宇宙は別にマイナス質量のBHの存在を禁止している様には思えないのです。」と書きました。
まあ言いっぱなし、というのも何ですから、それなりにこのBHの事を考えてみるとしましょう。

さて、我々がBHを作ろう、と言う時には通常は「ホライズンの内側に物質を閉じ込めればよい」のでした。
重力頼りでそれを行うには、太陽の3倍程の質量の星を用意して、重力崩壊させる。
それでBHの一丁上がり、という訳です。

もう一つは宇宙の始まりの時に、空間の揺らぎ、物質存在の揺らぎ、この関係で質量密度が一定値を超えるとBHになる、これを原始BHというのでした。
その場合は特にBHのトータル質量には制限はなく、軽いBHも誕生可能という事です。


それでここにマイナス質量の物質があったとしましょう。
その物質はお互い同士反発しあいますから、それをひとまとめにしておくには力が必要です。
そうして、その力を次第に強めていくことでマイナス質量物質の密度を高め、ホライズンの中に押し込めばマイナス質量BHの一丁上がり・・・となるかどうか、調べてみなくてはいけません。

さてそれでここは「シュワルツシルト解のお世話」になるとしましょう。<--リンク
ちなみにこの解を求める時に「質量MはM>0でなくてはならない」などと言う条件はどこにも書いてありません。
従いまして、M<0であってもこの解は有効である、と判断できそうです。
ご参考までに「この解の求め方がEMAN物理」にありますので、参照願います。<--リンク(or http://archive.fo/OkPnW)


まあこの解の結果としてホライズン半径RsがRs=2*G*M/C^2となるのでした。
さて、そうであればまずはここにマイナス質量物質を1kg、用意しましたのでそのホライズン半径を求めてみましょう。
Rs=-1.49*10^-27(m)

大きさの絶対値はプランク長よりだいぶ大きいので、「それなりの力持ちの方」であれば握りつぶせば何とかなりそう、ではあります。
しかしながら問題はそこではなく、Rsにマイナスが付いている事でありましょう。
この事はつまり「握りつぶし法」では「マイナス質量のBHには達成不可能である」という事を示している様です。
マイナス質量物質を「体積ゼロ、質量密度無限大」にまで握りつぶしてもその大きさは「ゼロ」でしかなく 0>-1.49*10^-27(m)でありますから。
別のやり方を探すのが賢明というものです。


そこで登場するのが「ホーキングさんが考えたこと・6」で示した「トンネル・ホーキング放射法」であります。
まずはBHの外形をプラス質量で確保しておく。
そのあとでBHの中心にある特異点の質量をプラスからマイナスへ一気にジャンプさせる、というものです。(注1)
この方法であれば、マイナス質量の物質を集めてきて握りつぶす、という方法を取らずにマイナス質量のBHが完成しそうです。

そしてもしこのBHにホライズンがあるとすれば、それは我々の暮らすこの3次元世界ではなく、どうやら別の世界にある、という事になりそうです。
それはつまり「このBHは我々の世界ではホライズンを持たない」という事でもあります。

PS
以下、マイナス質量のBHがホライズンを持たない、という事の別の表現になります。

通常はミンコフスキー空間はシグネチャー(-1、+1、+1、+1)を持つとされている様です。<--リンク
そうして、我々が暮らす空間はこのミンコフスキー空間であって、それゆえに空間軸と時間軸が区別できる様です。

そして通常はこの空間でのシュワルツシルト解の形はEMAN物理にある様にdw(=dt)の前の係数符号がマイナスでありdrのそれはプラスになっています。
しかしホライズンを超えてBHの中に入るとこの符号が逆転します。
それはつまり、BHの中はミンコフスキー空間ではない、ということであって、ホライズンはこの2つの空間を分ける役割をしている様です。

さて、マイナス質量をもつとされるBHの場合はこの関係はどうなるのでしょうか?
係数符号の動きを+∞から中心にある特異点まで、距離rを変えながら調べますとdw(=dt)の前は常にマイナス、drの係数は常にプラスである事がわかります。
それはつまり、「特異点に至るまでミンコフスキー空間が続いている」という事であり、したがって「そこにはホライズンは存在しない」という事になりそうです。

そして「トンネル・ホーキング放射」で特異点の質量がプラスからマイナスにジャンプすると同時にホライズンが消滅し、BH内の空間もまたミンコフスキー空間に切り替わるのであります。
そうして、ホライズンを持つことをBHと呼ぶ条件であるとするならば、このBHはもはやBHとは呼ぶ事は出来ず「マイナス質量をもつ裸の特異点」と呼ばれる事になりそうです。

(注1)
特異点質量のプラスからマイナスへのジャンプについて
我々の感覚からすると「質量がプラスからマイナスへジャンプする」などという事はなかなか受け入れる事が難しいのです。
「どうしてそんな事が出来るのだ」という疑問が先立ちます。
しかしながら、それでいてホーキング放射でBHの質量が順次減っていく事にはあまり疑問を持ちません。
「エネルギーが出て行ったのだから、その分質量が減るのは当然だ」ととらえています。

しかしながらよおく考えますれば、放射の前後で両方ともに質量がプラス領域にある、とはいえホーキング放射によって中心にある特異点の質量がMからM-αにジャンプするメカニズムは実の所、何もわかってはいないのであります。
ただそのような現象が起きている、という様に認めているにすぎません。
そうして、その時でさえ質量はMからM-αにジャンプしているのですから、そのようなジャンプはホーキング放射の結果としては当然起こるものであるとBHは思っている事でしょう。
そうして当該のBHにとっては、BH人生での最後のジャンプがたまたまプラス領域からゼロをまたいでマイナス領域へのジャンプであった、という事にすぎないのであります。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク

http://archive.fo/JciAt
http://archive.fo/g1qn0
http://archive.fo/XdjFY


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米国もボーイング737MAX「即時」運航停止-トランプ大統領

2019-03-14 09:40:59 | Weblog
・米国もボーイング737MAX「即時」運航停止-トランプ大統領<--リンク

さて安倍さん、日本はどうするのでしょうか?

PS
・B737、日本でも乗り入れ停止 米国での運航禁止受け<--リンク

日本国内の航空会社はまだ導入していなかったようです。

そうして、日本政府が通達を出す前にすでに諸外国の航空会社は運行を停止していた様です。

ということは、まあ日本政府は「アリバイつくりをやった」、まあそんな所でしょうか。

・墜落機 センサー誤作動か ボーイング737MAX…米運航停止 過去事故と類似点<--リンク

自動化は一度狂うと回復のしようがありません。

なにせ「人の手を離れる事」を自動化というのですから、、、。

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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・11・ブラックホールの寿命計算について(2)

2019-03-12 16:11:31 | Weblog

以下の議論については「Hawking 輻射とブラックホールの蒸発」山内さんを参照しながらのものになります。
しかしながら、最初におことわりしておかなくてはならない事は、これは上記論文への批判ではない、と言う事であります。
ただ単にこの論文が「ホーキング放射とBHの寿命」についてよく分かる説明をしているから参照しているのであって、他に他意はございません。
その意味では論文著者の山内さんには感謝する次第であります。

さてまずは重力場での粒子生成についての部分です。
所定の重力がある場所では仮想粒子対の生成と消滅が、重力場のない空間よりも頻繁に起こっている、そう解釈できそうです。
但し通常は不確定性原理で許される存在時間しか、仮想とはいえ、存在できない様です。

しかしここにBHに起因するホライズンがあると、対生成した仮想粒子の一方が「必ず」ホライズンに飛び込むので、その相方の粒子は実粒子化しホライズンから離れてゆく、つまりこれがホーキング放射である、そう言っておられます。
そのようにして多くの粒子がホライズン近傍の空間から飛び出してくる、それをエネルギー別に数え上げてみるとなんと黒体放射スペクトルと一致するではないか、これがホーキングさんが見つけた事の様であります。
そうして、その際にプランクの法則と照らし合わせる事でプランク則の温度Tに相当する部分が
T=h*C^3/(8*pi*Kb*M*G)
こんな風に書ける、と言う事でした。

そうして、「それじゃあBHは黒体と見なせ、その温度が計算できたのだから、エネルギー放射も計算できるよね」と言う様にロジックがつながっていくのでした。
しかしながら、T=h*C^3/(8*pi*Kb*M*G)が本当に従来使われていた温度と同じものなのか、そこがどうも怪しい、と言うのが最初の疑問です。

確かにその量を温度としてプランク則を使えばホライズン近傍から出てくる粒子のエネルギー分布は求められるのでしょうが、そのエネルギー分布を得るのにどれくらいの時間が必要だったのか不明の様です。
1秒でそれだけの粒子が飛び出してきたのか、それとも1時間観測しないとエネルギー分布のグラフが「連続したグラフ」にならないのか、いいかえますと単位面積、単位時間当たりにホライズン近傍の空間から外に向かって(あるいは観測者に向かって)飛び出す粒子数が不明である様に見えます。

そこの所が不明のまま、「いやこれは温度と見なせるから云々」というのでは、どうにも納得がいかないのです。

そうして、2番目は「ホライズン近傍」というあいまいな場所の定義です。
一体その層の厚さはどれくらいなのか?
そうして、その層はいわゆる「ホーキング温度T」で厚みがかわるのかどうか、そこが不明です。
粒子が放出される真空層の厚みは、不確定性原理によって制限を受ける事になる仮想粒子の到達距離との関係で重要になる所です。


さて、以上の様に不明なところがあるのですが、まあある程度の前提をおきながらの概算計算を以下に示します。
但しこれは一応のめどであり、「こんな風になるかなあ」程度のものとお考え下さい。

前提としては、諸式運用は従来のやり方を踏襲する。
但しホライズン上空の粒子が発生する真空層の厚さは不確定性原理による制約をくわえるものとする、という事になります。

発生する平均的な粒子一つ当たりのエネルギー、これは温度Tに比例すると考えてよさそうですが、そのエネルギーが倍になれば存在時間は半分となり、従ってほぼ光速で移動すると考えられる仮想粒子の走行距離は半分となる。
そうなると、粒子が発生する事になる真空層の厚さは半分になると仮定するのが妥当の様に思われます。

計算のスタートとなるBHの質量をミニBHとしてずうっと取り上げてきたM=1.73*10^11Kgとします。
この質量は従来計算ですと「ビッグバン直後に作られ、今頃蒸発するはず」のBH質量になります。

このBHが出来た直後のBH温度TはT=7.09*10^11(K)です。
その時の典型的なニュートリノの走行距離は3.25*10^-15(m)であり、これがホライズンへの到達限界距離となります。
(これは陽子直径の8分の1程度の距離になります。)

このBHの温度がホーキング放射を出す事によって質量がへり、温度上昇してちょうど2倍の値になると、仮想粒子の到達距離は半分になる事になりますが、これを計算式の中に含めなくてはなりません。
その比例係数をRkとしますと、それは従来の温度Tでの全放出エネルギーE(T)を表すもの、それはStefan-Boltzmann の法則そのものでありますが、それに掛け算され、Rk*E(T)が修正された全放出エネルギーを表す事になります。

そしてその比例係数Rkは、今回はRk=(7.09*10^11)/Tという形になります。
つまり、計算スタート時には修正式を使った放出エネルギー計算は修正前のものと同じ値になる、但し温度上昇に従ってその値は徐々に少なくなる、と言う様になります。

この修正をくわえて、以下の諸式運用は前掲の論文に従って行ってください。
以下結果のみを示します。

修正前のBHの寿命式:A
t=(8.41E-17)*M^3(Sec)

修正後のBHの寿命式:B
t=123800000/(7.09*10^11)*M^2(Sec)

M=1.73*10^11Kg(今回のスタート条件)の時の寿命。
A式ーー>t=435445999700000000sec=138億年(宇宙年齢と同じ)
B式ーー>t=5227314502983070000sec=1658億年
修正式BによればBHの寿命は12倍に伸びます。
ちなみに修正式Bによれば138億年で寿命となるBH質量は0.5*10^11Kgとなります。

M=250000Kg(250トン)に到達してから・・・寿命まで。
A式ーー>t=1.314sec
B式ーー>t=10916073sec=126.3日
A式では「爆発的」ですがB式では「それほどでもない」のです。

ちなみにB式で1.32秒経過後に寿命となる質量は87Kgです。
この質量が1秒強でエネルギーに変わるのですから、地球上では「すさまじい爆発」と言う事になりますが、さて宇宙規模で考えますと「線香花火」でしょうか。
とてもガンマー線バーストと呼べるような現象につながる様には思えません。


以上の計算は「まあこんな事も考えられるので、もう少し真面目にBHの寿命計算はしないといけないよね」という例題であり、参考資料と言う事になります。

注1)
上記の修正式Bは基準点にBH質量M=1.73*10^11Kgを使っていますので、この質量以下のBHの寿命推定は出来ますが、この質量をこえるBHについては新たにその質量を基準点として、上記の考え方でキャリブレーションし直す必要があります。
つまり、この修正方法は2つの計算方法のスタートラインを合わせる質量によって、いくらでも異なる修正式が生まれる、と言う事です。

この任意性をなくすためには、重力場がある真空での単位体積あたりに生じている仮想粒子対のエネルギー分布とその個数、つまりは単位体積当たり単位時間で生じる仮想粒子対についての量子論からの計算結果が必要である、と言う事になるのです。

それができていれば、後はホライズンからの距離を考慮してホーキング放射の全エネルギーをStefan-Boltzmann の法則を使う事なく決める事が出来ます。
つまりはBHの寿命を正確に決定できる、と言う事になると思われます。

注2)
そしてBHが消えるかどうかの瀬戸際、ホライズンの半径が100プランク長を切る辺りからは、このホーキング放射プロセスは古典論近似計算からはなれて、離散的、確率的に計算を進める事が必要だと思われます。
そうやって何が起こるのか、本当にBHが消える事が出来るのかどうか、確認する事が必要であります。


以上の内容についてのコメント、ご感想などは
・不確定性原理と仮想粒子の対生成までお願いします。<--リンク


http://archive.fo/bh930
http://archive.fo/GW7V0


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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・10・ブラックホールの寿命計算について/

2019-03-11 00:36:22 | Weblog

現状では皆さん、BHを黒体として扱い、Stefan-Boltzmann の法則より温度T,半径r の物体が単位時間あたりに放つエネルギーE を
E=pi^2*kb^4*T^4*4*pi*4*G^2*M^2/(60*h^3*C^6)
となる事を使って計算されています。
(但し上記式には黒体半径にあたるホライズン半径RGはRG=2*G*M/C^2をすでに代入してあります。)

この式詳細については「Hawking 輻射とブラックホールの蒸発」山内さんを参照ねがいます。

この式を元にしてE=M*C^2を使ってBHの質量の減り方を計算し、元々あったBH質量Moがゼロになるまでの時間を求めて、「それがこのBHがホーキング放射により蒸発するまでの寿命である」と主張されています。

そうして、このやり方がどうやら一般的に認められている方法の様です。
但し、このやり方の前提となっている事については皆さん、あまり考察をされていない様です。


なるほど、BHを遠くから眺めていればホーキングさんが言う様に「黒体輻射スペクトルと似たエネルギー放射」が観測され、そうであればこのBHを黒体として扱う、と言うやり方は一見妥当の様に見えます。

しかしながらホーキング放射は仮想粒子がBHに飛び込む、BHと仮想粒子の衝突とその仮想粒子のBHによる吸収というプロセスの結果、生じてくるものであります。

そうでありますから、この相互作用プロセスでは当然のことながら、エネルギー保存則、そうして運動量保存則が満足されなくてはいけない、という指摘はすでに行ってきたとおりです。


さてそれで、ここではひとまずは運動量保存則の事は置いておきましょう。
そうして以下の話はBHの寿命推定で皆さんがつかっているロジック、それはエネルギー保存則でありますが、その考え方にそって見ていきます。


さてはじめに、この場合の基本の一つ目は「BHは黒体と見なせる。したがってStefan-Boltzmann の法則をそのまま適用できる。」という主張です。

それから二つ目が「BHから放出(されている様に見える)のエネルギーは連続的であって、時間やエネルギー量をいくらでも小さく微調整が出来る」という主張になります。
つまりこれは「BH寿命推定は古典論近似でよい」という主張です。

その事によってプランクスケールにまで至ったBHの質量をちょうどゼロにできる様に、最後にこのBHに飛び込む仮想粒子のエネルギーを調整できる、と、そのように主張している事になります。

しかしながら、最後の最後にこのプランクスケールのBHに飛び込む仮想粒子のエネルギーを「誰が一体そのように微調整する」のでありましょうか?

ホーキングさんによれば「ホーキング放射は完全にランダムである」との事です。

従って、最後の最後にこのプランクスケールBHに飛び込む事になる仮想粒子のエネルギーが、このBHの質量と丁度釣り合う、などと言う事は、量子論の常識からすると、まずあり得ない事になります。
・・・・・
2番目の指摘事項が先行してしまいましたが、御容赦ねがいます。


さて、最初の指摘事項についてですが、「4・不確定性原理と仮想粒子の対生成」と「5・プランクスケールBHの最終形態」で述べたように「対生成した仮想粒子の持っているエネルギーによって、その粒子の存在時間が規定される」と言うのが不確定性原理からの要請でした。

低いエネルギーの粒子は存在時間が長く、つまりホライズンのかなり上の方で発生してもホライズンに到達できますが、エネルギーの高い粒子はそうはいかない、ということです。

それはつまり「よりホライズンに近い所で発生する必要がある」と言う事です。

さてこの事は、BHの質量が減少し、それによりBHの温度が上昇し、発生する仮想粒子一つ当たりのエネルギーが高くなるのですが、それに従って、よりホライズンに近い所で発生した仮想粒子しかホライズンに到達できなくなる、と言う事でもあります。(注1)

それはエネルギーを放出できる真空層の厚さが、BHの温度が上がるに従って薄くなるという事でもあり、ここが従来の黒体放射とは異なる点になります。

そしてこれは一般の黒体輻射では考える必要のない事であります。
一般の黒体はその表面で放射がおこり、その状況は温度によって左右される事はない、というのが前提であります。
そうでありますから、Stefan-Boltzmann の法則はそのような、温度依存でエネルギーを放出する層の厚さが変化する、というような要因を含んでは定式化されていません。


さて次に概算ではありますが、上記効果がどれほどになっているか、見ていきます。
従来、宇宙年齢で今頃蒸発する、とされているBHの質量は質量M(=1.73*10^11)Kgと計算されています。
このBHの単位時間当たり放出するエネルギーEをStefan-Boltzmann則に従って求めますと1.17*10^10(J)となります。
このBHの典型的な放出ニュートリノの一個当たりの全エネルギーは質量換算で5.41*10^-28(Kg)になり、3.25*10^-15(m)がホライズンへの到達限界距離となります。

これがホーキング放射をしながら質量を減らし、プランク質量に至った時の放出エネルギーを同様にして求めますと7.40*10^47(J)となります。
但しその時に放出されるニュートリで一番数がおおいものの一個当たりの質量換算での全エネルギーは4.32*10^-9(Kg)で、0.81*10^-34(m)がホライズンへの到達限界距離となります。


そして7.40*10^47(J)はスタート時のBHの放射エネルギーの6.32*10^37倍であり、ホライズンへの到達限界距離の変化を考慮しない、こうした計算結果に基づいて皆さん「BHの最後は爆発で終わる。」と言われるのでした。

しかしながら、上記で述べましたような「ホライズンへの到達限界距離の変化ーー>エネルギー放出層の厚さの変化」と言うものを考慮にいれますとこの比率は随分と下がり1.57*10^18倍になる事が分かります。

実に19ケタも小さくなるのです。
そうしてプランク質量のBHの単位時間当たりの放出エネルギーは「エネルギー放出層の厚さの変化」と言うものを考慮にいれますと7.40*10^47(J)から1.84*10^28(J)と変わります。

これは、確かにBHの質量が減るにしたがって放出エネルギーは増加しますが、それは爆発的ではなくなる、ということであります。
つまりはBH消滅に伴うガンマー線バーストなどという現象は起こらない可能性が大である、と言う事にもなります。

そしてその結果は、従来言われている寿命よりも随分とBHの寿命は延びる事になる、そう言う事になりそうです。


結論
さてそう言う訳で、以上の様な要因を考慮に入れたBHの寿命計算が必要であります。

特に100gr以下の質量に至ったBHのホーキング放射を求めるには、放射が離散的、確率的に起こる事を計算に反映させる為に数値計算によるシミュレーションが欠かせない様に思われます。


注1
実はこの事はホーキング放射のエネルギースペクトルが黒体輻射スペクトルからずれてくる、と言う事を示している可能性があります。

ある温度をBHが持った時に、それに一致した黒体輻射スペクトルで仮想粒子は対生成するのですが、エネルギーの高い粒子がBHに到達できる可能性が、エネルギーの低い方の粒子がBHに到達できる可能性よりも低くなる事が予想されるからであります。

そうなりますと、高エネネルギー側のスペクトルが低く抑えられる、というような事が起こりそうです。
その様な事もあり、代数的にBHの寿命を推定するというのは難しく、数値計算によるシミュレーションを回すのが妥当の様に思われます。

注2
ホーキング放射で放出されるエネルギーの上限はどうやらプランク質量をE=M*C^2で換算した値になる様です。
これは存在する光子1つが持ちうるエネルギーの最大値でもあります。<--リンク
他方でBHの温度は温度T=0.1227*10^(+24)/Mで計算され、BHの質量の減少につれていくらでも上昇が可能です。
そうして、ホーキングさんによれば「BHはその温度に応じた黒体放射スペクトルで放射を出す」との事ですが、放射される光子の上限振動数がプランク質量により制限を受ける為、それ以上の振動数は取る事ができず、高周波側がカットされる事になります。
つまりBHが小さくなると、あるいは消滅の直前まで行くとホーキング放射はもはや黒体放射スペクトルではなくなる、という事になりそうです。

追記(21/3/2)ホーキング放射計算機  https://archive.fo/oR6u6

寿命式の算出も載っています。そうして、こちらの導出の方が正確の様です。(山内さん紹介の導出手順にはちょっとしたタイプミスがある様です。)


以上の内容についてのコメント、ご感想などは
・不確定性原理と仮想粒子の対生成までお願いします。<--リンク


http://archive.fo/EGLgS
http://archive.fo/ZsG5s
http://archive.fo/X8zgq


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ダークマター・それは形を作らないもの

2019-03-10 00:43:35 | Weblog
海の中に暮らす魚たちはきっとこう思っているでしょう。

「水なんていうものは、どこにもない。
だいたいそんなものは見た事はないのだから。」

そう言いながら水の中で一生を過ごすのでした。


プランクレベルのBHはお互いに衝突し合体する事は可能です。
しかしながら、その足し算は1+1=1であって、我々の物質世界のように1+1=2にはならないのです。

どれほどのプランクレベルのBHを、そうやって足していっても1個のBHにしかなりません。
つまり「ダークマターは形を作らない」と言う事になります。

他方で原子と言う形態は形を作る事が出来ます。
「あたりまえだ、そんなこと。」
まあ我々「形がある世界の住人」は当然そう思います。
しかしながら、これはこれでよく考えますと、非常に不思議な事でもあります。


形のある世界では「物をぶつければ、ぶつけられた対象物は壊れる」。
まあそれが常識と言うものです。
そうやって素粒子の世界にまで踏み込んでいきました。
しかしながら、それはどこまで行っても「形のある世界の話」でありました。

他方でプランクレベルのBHの世界では「お互いがぶつかればお互いがお互いを吸収する。」その結果は「BHは一つになる」のでした。

そうして「物質粒子はもはや大きすぎてプランクレベルのBHは吸収できない」、つまり「物質粒子とは衝突しない」、「単にその横を通り過ぎるだけ」なのです。

そうでありますから、従来常識の「未知の粒子は物質粒子との衝突で検出できる」というやり方はもはや通用しない、そう言う事になります。


ダークエネルギーの実体がマイナス質量のプランクレベルBHであるとすると、それが宇宙で一番多く存在する「質量を持つもの」になります。
そうして二番目がプラスの質量を持つプランクレベルのBH、別名を「ダークマター」といいますが、それになります。

それらの存在は質量をもちますが、ほとんど大きさをもちません。
そのことのおかげて宇宙の大半の空間は「空っぽのまま」であります。

さてそれで老子の出番になります。
「空間は空っぽであるから有用なのだ。」
老子はそのように看破しております。

まったくその通りでありましょう。
そのおかげで、バリオンからなる我々はまるで「この宇宙は我々形あるものが主人公」みたいな顔ができるという事になっている訳であります。


さて、今まで見てきた様に「ダークマターはプランクスケールのBHだ」が当たっているとしますと、我々はBHの海の中に住んでいる事になります。

そうしてこう言うのです。
「プランクスケールのBHなど見たこともない。
そんなものはどこにもないのだから。」

さあこれでは「我々は海の中で暮らす魚たちと大差はない」と言う事になってしまいます。

以下ご参考までに
宇宙を形成する謎の超物質「暗黒物質(ダークマター)」とは?<--リンク

PS
ニュートリノと言うものも物質とはあまり反応しません。
地球なんか平気で素通りします。
(この辺りの性質はダークマターと一脈通じるものがあります。)

しかしながらこいつがあるおかげで超新星爆発が出来るのです。
その結果は中質量のBHの誕生、そうして中性子星が出来、2つの中性子星が衝突、合体すると多くの重金属類の生成がそこで行われます。

そうして、そういう星の衝突の結果生まれた生成物が集まって地球が出来、我々が今こうしてここにいるのですから、ニュートリノにもそれなりに感謝してもいいと、これはたしかカミオカンデの研究でノーベル賞をもらった偉い学者さんがそのように言っていたと記憶しています。

PS
原始ブラックホール程の働き者はめったにいない。

まずはダークマターとなって銀河を作るお手伝い。

それが済んだら今度はダークエネルギーとなって、宇宙がしぼむのを防ぐ仕事を受け持つ。

そして形ある者どもが住める宇宙をそうやって作りあげて維持していく。

しかも人知れず、あたりまえのように、誰にも感謝されることも無く成し遂げていく。

本当に宇宙のしくみというのは「匠の技」としか言いようがないものでありますなあ。

PS
ボイドとフィラメント

まあとにかくこれを見てほしい。

宇宙のボイド(Void)空っぽの所、ぐらいの意味か<--リンク

光っている所が銀河のつながり、フィラメントとか呼んでいる。
そうして、何もない所(の様に見える所)がボイド。
宇宙と言うのはこうやって見るとまるでスポンジである。

そうして、実際にスポンジを作るにはそこにガスをいれて泡を作らなくてはいけない。
それで何のことは無い、宇宙だって同じことをやっているだけ。
そこにマイナス質量のプランクレベルのBHを集めているだけの事。
しかしながら、光に反応しないので「何もない、空っぽの所」と人類は言っているだけのお話です。

PS
暗黒物質は幻か?
http://www.nikkei-science.com/201905_042.html

今月号の日経サイエンスの記事です。

1930年代にスイスの天文学者が言いだし、1970年代にはアメリカの女性の天文学者ルービンが「銀河系内にも暗黒物質がある」と言いだしました。
さて、天体の運行や重力レンズなどで、あるいは宇宙構造の大規模シミュレーションなどで「宇宙の出来事」としての暗黒物質の存在には相当な信憑性があります。
しかしながら、地上での暗黒物質ーー>新粒子の観測はいまのところどこの国も成功していません。
さてそうでありますから題名の様に「暗黒物質は幻か?」というような事を言い出す方が出てくるのです。

暗黒物質を探している。
しかしながら、なかなかそれが見つからない。

原因は2つ考えられます。
1つ目はサイエンスの題名のように「暗黒物質は幻である」というものです。
それはまるでかつての光を伝える媒質としての「エーテル」を探しているようなものである、という立場です。

もうひとつは「探し方が悪い」というものです。
ものを落としたら、落とした場所で探すのが鉄則です。
そこは暗いから、落とした(であろうと思われる)場所ではなく、この明るい街灯の下で探しているのだよ、と言うのでは永遠に見つかるはずがありません。

そうして皆さん、1番目の理由には思いあたる所があり、従って「暗黒物質を使わない理論」-->修正重力理論を注目しましょう、という記事がこうしてサイエンスにも載る訳です。
しかしながら、決して2番目の所には思いあたる所がない様です。

2番目の所は「暗黒物質がある、としたらそれはいまだ発見されていない新粒子に相違ない」という思い込みです。
そうして「どのような新粒子であろうと、物質粒子であるからは、既存の物質粒子との衝突という形での相互作用は必ずある」という先入観念になります。

地上で行われている暗黒物質の探索は主に「キセノン原子と暗黒物質粒子との衝突がある」という前提のもとに進められてきました。
そうして、それらは全て、今の所は「空振り」であります。

しかしながら、「キセノンの発光が見当たらないから暗黒物質などというものはない」というのでは「水などというものはない」と主張する水中のお魚さんと同一レベルであります。

そうでありますから、人としては真実を求め続けなくてはなりません。
こうして地上での暗黒物質の直接観測は今後とも継続して続けられるものとは思いますが、「本当はどうなんだ」という議論は今後ともますます盛んになるものと思われます。

追伸
我々の宇宙の一番の基本は質量というパラメータと時空構造にある様です。
そうして、時空構造は質量とは切っても切り離されない関係を持っている、そのように見えます。

それに対してそれ以外の3つの力(電磁気、強い力、弱い力)は形を作る粒子に対して作用し、この世の中に形を、銀河を星を惑星を、そうして生命を生み出している事に関係している様です。

そうであれば、より基本的な力は質量と関係をもつ力、それは重力(引力)として現れたり、斥力として現れるのですが、その力がまずは最初にある力である、という事になりそうです。

その上に、それを前提として、形を作る粒子とそれらと関係を持つ3つの力が働き、この宇宙を作り上げてきた、そういうシナリオが見えている様であります。

さてそう言う訳で、「形を持たないが質量を持つ存在」、別名を「ダークマター(暗黒物質)」といいますが、そのような存在に対しては「形がある事を前提とした衝突現象の観測による存在の確認行為」というのは「原理的に不可能である」と言う事になります。

http://archive.fo/vJXsi

PS
ちょっとした事
ダークマターの記事、あるいはマイクロBHの記事を書く為に、検討し計算するためにいろいろな方の資料を参考にします。
そう言う中で、ある理論体系の方々が「あれは有効理論にすぎない」などと一般相対論について言っていたりします。

そのくせ、自分達がそれでは十分に対抗できる重力理論を作り上げたのか、といえばそうではありません。
そのような理論が作れるであろう、という見込みだけであります。

自然と言うものは、宇宙と言うものは、たぶん、「傲慢な方には聞こえない様な小さな声でしか自分を語らない」というのは、まあ当方の印象です。
そうして「どのように自分たちが作り上げてきた理論が壮大である様に見えたとしても、自然がそのようでなければほとんど意味がないものになってしまっている」というのは今までの歴史が示している事であります。

研究者の数が多いとか、これがこの分野の主流の考え方である、とかいうような事は、自然にとっては何のかかわり合いもない事なのでありますから。
ゆめゆめ、その事は忘れてはならない事であります。


・ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧<--リンク

目次一覧です。


http://archive.fo/RMSZL
http://archive.fo/kOQ5R


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ダークマター・ホーキングさんが考えたこと・9・ダークエネルギー優位に至るまでの宇宙展開の歴史

2019-03-06 04:19:50 | Weblog
「3・熱暴走するBH」で議論した様に星が重力崩壊したBHは蒸発するどころか、重量が増えるばかりです。<--リンク
そうでありますから、恒星を起源とするBHはダークマターとなるプランクレベルのBHには決してなる事はできません。

そうしますと、このプランクスケールのBHはいつ誕生したことになるのでしょうか?
それはビッグバンの直後ということになるでしょう。
原始BH(PBH:Primordial_black_hole)と呼ばれているものがそれになります。

小さな質量のBHが相当量(宇宙のエネルギーの9割ほど)つくられたものと思われます。
それらのBHがホーキング放射によって急速にプランクスケールのBHになっていきました。
その結果として、大量のダークマターが出来上がりました。

あとはダークマターと通常の物質粒子の相互作用によって銀河が生まれた、という現在のよく知られたシナリオが展開していきます。
しかしながら、このような時間が経過する中で、ダークマターからダークエネルギーと称される反発力を生み出すものが誕生し始めます。

それは「6・その後のBHの運命」で論じた様に、一応の安定状態にあるプランクスケールのBHに仮想粒子がトンネルするによってBHの中に飛び込むことによるホーキング放射の発生によりおこります。
そのホーキング放射プロセスの結果、プラスの質量を持つBHからマイナスの質量を持つBHへとBHの状態の変化、あるいはBHの相転移が起こります。

このマイナス質量をもつプランクスケールのBHはマイナス質量をもつ点粒子と見なす事ができ、宇宙で銀河とダークマターが存在していない場所を埋めていきます。
このマイナス粒子の集団はお互いに反発力を及ぼし合い、さらには銀河とダークマターにも反発力を及ぼします。

こうして、この粒子の総数が一定数を超えた所で宇宙の再膨張、再加速という現象が始まったという次第であります。


さてここでちょっとした計算をしましょう。
以下Wiki/ダークエネルギーのページからの引用です。<--リンク
『宇宙は減速膨張から加速膨張へ 66.2億年前に移行し、現在では宇宙のエネルギーの72.9%(観測誤差1.4%)を暗黒エネルギーが占めていることが測定されている。
・・・
その後、宇宙の加速膨張が発見され、さらにインフレーション理論の説明のためダークエネルギーの概念が導入された。
ある計算では、ダークマターを含めた物質を約30%、ダークエネルギーを約70%にした場合にうまくいくことが確認されている[8]。

2003年から、宇宙背景放射を観測するWMAP衛星の観測に基づいて、宇宙全体の物質エネルギーのうち、74%が暗黒エネルギー、22%が暗黒物質で、人類が見知ることが出来る物質の大半を占めていると思われる水素やヘリウムは4%ぐらいでしかない、と説明されるようになってきている。』

宇宙の構成や加速膨張に転じた時期など不確定ではありますが、一応上記の値を使います。
今現在、74%が暗黒エネルギー(DE)、22%が暗黒物質(DM)で通常物質が4%。
66億年前に減速膨張から加速膨張に変化。

プランクレベルBHがダークマターであり、それが最終的に質量の絶対値は同じですが符号がマイナスになったプランクレベルのBHに変化しそれがダークエネルギーの実体である、とします。
そうして、宇宙のスタート時にはダークマターが96%でダークエネルギーはゼロ%とします。

それで137億年後の現在、DMが22%、DEが74%になったという訳です。
この場合1億年につき 1-0.9893=0.0107(1.07%)がダークマターからダークエネルギーにトンネル・ホーキング放射プロセスによって変化した、とすると137億年後には96%あったDMが22%にまで減り、そのかわりDEが74%となります。

この比率で変化してきたとすると、さて宇宙スタートから137-66=71億年ではDMとDEはどうなっていたのでしょうか?
DM=44.7%ーー>通常物質の4%と合算で48.7%
DE=51.3%
まあそれなりに減速膨張から加速膨張に移っても良さそうな気配であります。
ちなみにこの変化比率ですとDMのちょうど半分がDMからDEに移るのに必要な時間は64.3億年となります。

以上、大変におおざっぱな計算ではありますが、それなりに話は合いそうであります。

PS
ダークエネルギーはどうなのか?
・宇宙、あと1400億年は「安泰」 すばる望遠鏡で調査(2018年9月27日 asahi)<--リンク(or http://archive.fo/IZkTa)

『・・・その結果、宇宙を広げる暗黒エネルギーはそれほど増えておらず、宇宙は年齢の10倍ほどの時間(約1400億年)は存在できることが分かった。・・・』

ええ、せいぜい増えても1億年で1%程度ですからねえ。
それでも420億年(今から283億年後)にはダークマターの量は1%程度になり残り95%はダークエネルギー、当方の読みではマイナス質量を持つプランクレベルのBHと言う事になります。

さて、ビッグバンから1400億年後のダークマターの量はどれくらいになっているでしょうか?
上記の数値から計算しますと0.00003%、残りの95.99997%はダークエネルギー、になります。

しかしながら420億年辺りでダークエネルギーの増加もお終いになりますので、記事にあります様な『膨張が速くなり過ぎて宇宙が引き裂かれる「ビッグリップ」』というような現象は起こらないと言えそうです。

PS
皆さんは風船を膨らませた後はどうされますか?

せっかく膨らませた風船から空気が逃げない様に吹き込み口を縛りますね。

我々の宇宙のダークエネルギーもそれと同じ働きを受け持っているかのごとくです。

そしてそれがダークマターが姿を変えたマイナス質量をもつBHである、としたら、これはいったい誰がそんなうまい手を考えたのか、本当に驚いてしまいます。


以下ご参考までに。
「加速膨張する宇宙」2011年ノーベル物理学賞の意義 前編<--リンク
「加速膨張する宇宙」2011年ノーベル物理学賞の意義 後編<--リンク

KWD ダークマター ダークエネルギー ブラックホール 

http://archive.fo/mBMls
http://archive.fo/gFGWv
http://archive.fo/KTYH1



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