路地猫~rojineko~

路地で出会った猫と人。気付かなければ出会う事のない風景がある。カメラで紡いだ、小さな小さな物語。

猫の怪談

2013-05-15 | 『灰縞さん・白石さん・栗坊・きつね』



猫の怪談といえば、猫又という怪談話をご存知の方も多いと思う。


「山に猫又という化物が出没するという噂を聞いた僧侶が
 夜遅く迄続いた連歌を終えた帰り道で一人、何かに襲われた。
 これが噂に聞く猫又かと肝を潰して小川に逃げ込み悲鳴を上げた。
 その声を聞いた近隣の住民が松明を持ち現れると、
 そこにはびしょ濡れの僧侶が怯えていた。

 しかし、実は僧侶の飼い犬が
 暗いけれど飼い主とわかって飛びついただけだった…おしまい」


「化け猫」は良く懐いた飼い犬だったという、

フタを明ければなんとも落語のような滑稽なお話。

しかし、僧侶に噂を流した者が夜道を一人で帰る僧侶の後をつけ、

その先回りをして凶暴な犬を放ったのだとしたら、どうだろう。




お話の内容があっという間に、悪意とバイオレンスを孕んでくる。

その流言や噂が真実ならばまだしも、

世間話の多くは「でっち上げ」だったりして始末が悪い。

「伝言ゲーム」がいい例で、誰もが正確に伝えたつもりでも

情報は歪んで伝わるもの、そう自覚して噂話を聞く方がいい。

人の会話というのはそもそも万事に近い程、

「人の噂」と「人の批評」と「お節介な忠告」というデータもある。

建設的な方向へ向かない話は所詮、ムダ話なのかも知れない。

もしその中に「悪意」のある嘘が混じっていたら…

僧侶は小川でびしょ濡れになるだけでは済まない。




事態をややこしくする為に、もう一人登場人物を増やすとしよう。

僧侶に嘘の噂を伝えて狂犬を放った人物の行動の一部始終を

僧侶本人に伝えに来た第三者がいたとすればどうだろう。

何だか、物語がチープなミステリー小説みたいになってきたが

倫理の熟さない世の中や物語の中には、この手の人物が普通に存在する。

味方に思えた第三者が実は主犯で、猫又の噂と狂犬のくだりを仕込んだのは

その第三者だった…となると、な~んて無粋な話だろう。

もうここまで発展させると、僧侶の職業意識の低さや

そこまで嫌われる僧侶の人格や行動にも

焦点を当ててみたくもなるが、話がブレまくって収集がつかない。




話を猫に戻すが、出会ってから結構な時間を経ているにも関わらず

生粋の野良猫『白石さん』は一向に懐いてくれない。

きっと子猫の頃から「人間には気を付けろ」と

しっかりと母猫に教え込まれたからだろう。

我々人間は、嘘を見破れない夜道で冷静な判断力を要求される。

忍び寄る悪意の「猫又」と、自身の心に住まう「猫又」の

両者の正体をしっかりと見極めず、

この世の中を歩くのは実は怪談よりも怖い事かも知れない。












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