ロゴス古書

 年年歳歳 花相似たり
 歳歳年年 人同じからず 

定年数学教師の「宮澤賢治論」二冊

2013年04月28日 | 文学

  

  宮沢賢治の里から、大変ユニークな宮澤賢治論二冊が出た。 

                  

 著者鈴木守氏は、四・五年前まで岩手県の高等学校の数学教師をされていた方である。

鈴木氏は「羅須地人協会時代の宮沢賢治の真の姿を知りたい」との熱意から、「思考実験」をかさねられて「新校本宮沢賢治全集」や現在までの入手可能な参考文献を精査しての論である。両冊とも賢治の地元でなければ、なかなか解明しにくい問題点にきりこんでいるのが見事である。賢治フアン以外の諸氏にも一読をお勧めしたい。

     羅須地人協会の真実ー賢治昭和二年の上京ー   (160頁) 定価 1000円

     賢治と一緒に暮らした男ー千葉恭を尋ねてー     (90頁)  定価  500円 

 発行所 友藍書房   

注文は  〒 025-0068

     岩手県花巻市下幅21-11

     鈴木守         ℡0198-24-9813

鈴木氏のブログ こちらもご覧下さい→ http://blog.goo.ne.jp/suzukishuhoku

 


小学館の「宮澤賢治」

2013年04月23日 | 随想・日記

 

                     

 市村の「宮澤賢治の歌」全文を紹介したが、戦時下の賢治観がかいま見えた論であった。「昭和十八年四月二十四日、靖国神社へ御親拜あるかしこき日の書」であると云う。

 さて、「宮澤賢治」のゴーストライターの件であるが、誰であったのか。桜の佐藤自宅に来られた人々のなかの誰かであろう。このなかには以前記したように飛田は不在である。事情に明るい森は、佐藤の「宮澤賢治」が出た翌年十八年一月三十日に小学館から、「装幀 絵 深沢紅子」で、同じ題名で出版されている。この二冊については色々と考えさせられるが、森では有り得ない。両書の違いもさることながら、尤適任者であるのは紅花(ママ)であろう。清六さんも森さんも佐藤の「宮澤賢治」には資料やアドバイスはされたであろうが、ゴーストライターからははずれる。(詳細はここでは触れない)

  『日本新聞年鑑』第一巻(大正10年版)。日本図書センター、1985年12月刊。p123

内容:「日本記者年鑑1921」『新聞及新聞記者』 [大正10年}10号、2巻9号(通巻12号)大正10年10月1刊の複製

佐藤紅歌(本名源一)については次回に記す。


市村宏「宮澤賢治の歌」

2013年04月15日 | 随想・日記

   

 

         

 

『書物展望』昭和十八年六月号に、市村宏の「宮澤賢治の歌」があり、以下のように記識されているところがある。本文は以下の写真をご覧になっていただくとして、冨山房から出版された「宮澤賢治」五版以前には市村の名はないが、「『宮沢賢治』のできた頃」と題して昭和四十五年四月二十五日が、一般の人々にはみられた。

               

 市村は「宮澤賢治の郷里岩手県花巻町を訪ねたのは昨年の冬の最中同地では旧正月を迎えるための暮市の最中であった。」とあるが、昭和十八年一月の二十日から二十五 六日ころ花巻に来たのであろう。佐藤博士の桜の自宅に、清六さんや森荘已池・菊池暁輝・佐藤紅花(歌)等「賢治の会」の幹部の方々が集まってみえたとある。そして賢治という人のいろいろな面が、「これらの方々の口から交々描き出されてそれをお聞きしたくて来たわたしには実になによりもたのしかった。またこの時はじめて佐藤紅花(歌)氏の漏れた故人の少年時代の逸話の数々が、隆房博士の名著、「宮澤賢治」の内容を一層豊富にしたことも特筆してよいことであろう。」とある。

 

 つづく