狸笑庵だより。

ここ狸笑庵(りしょうあん)を訪れる
野鳥たちとのよもやまばなし。

トンコリ。

2016-03-19 05:29:41 | Weblog

日本の民族楽器を作ってみました。



千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で目にした展示物が気になり続ける。
かつてサハリン(樺太)の日本の先住民族であるアイヌ民族が
儀式の際に、歌や踊りの伴奏に使っていた「トンコリ」という五弦楽器でした。
作ってみようと思い立ちましたが、この展示物は撮影が禁止でした。

どこかに「トンコリ」関係の資料はないものかとネットで探してみると
筑波大学の図書館にありました。
「西平ウメとトンコリ(五絃琴)」という書物でした。
西平ウメ(1901~1977)さんは、樺太出身の「トンコリ」の奏者でもあり
アイヌ文化の伝承者で、絶滅危惧種楽器のような「トンコリ」を
後世に伝え残した方のようです。

この本を参考に「トンコリ」を作ってみよう!

この楽器は人体を表しているそうで、頭や耳や肩や胴体があります。
胴体の下にはオヘソまであります。
おさなごを亡くした妻を不憫に思い、
夫が妻のために作ったのがはじまりとも言われています。





まずは胴となるヒノキの角材をくり抜く。
次に3ミリ厚の響板を木釘で止める。
(注)止める前に心臓となるガラス玉を入れ忘れないように。



5本の絃にはクジラの腱やイラクサの繊維をよって用いたそうだが、
大正時代頃からは、三味線用の絹糸を用いたそうです。
弦を止める根緒には、アザラシの毛皮を使ったそうだがこれは入手困難。
代わりに山羊の毛皮を使う。



彫刻刀でアイヌ伝承文様を彫り込みました。
長さは1メートル20センチ。厚みは4.5センチです。

演奏する時は、座って楽器を左肩に立てかけ抱きかかえるように
両手で5本の絃を弾くようです。

毎度のことですが、弾き方はこれから覚えます。