狸笑庵だより。

ここ狸笑庵(りしょうあん)を訪れる
野鳥たちとのよもやまばなし。

黒澤さんからの便り。

2007-02-02 00:26:14 | Weblog
金沢に住む旧友の所在が分らず、
過去の年賀状を詰め込んだ段ボール箱を
ひっくり返していました。
その中から黄ばんだ一枚の葉書を見つけました。
なんと神様・黒澤明監督からの葉書です。
1979年3月14日の消印なので私が29歳の時に
届いたことになります。

当時の夕刊に[求む!出演者。黒澤 明]との大見出しが躍る
衝撃的な全面広告が目に飛び込んできました。
次回作『影武者』の出演者募集広告でした。
早速、履歴書、与えられた課題「私の映画観」を
800字内で原稿用紙に
一晩で書き上げ、和服姿で撮った写真を添え応募しました。
この無鉄砲な計画は誰にも内緒で実行されました。
待てど暮らせど一向に返事もないまま忘れていた頃、
この葉書が届きました。
書面には「この度は『影武者』の出演者募集にご応募下さり
誠に有り有難うございました。
おかげ様で、全国から予想以上の反響を頂き、
日本映画に対する皆様の熱意に大いに励まされた次第です。
厳選させて頂いた結果、応募者多数の為、残念ながら
貴方は書類による選考に漏れました。………。黒澤 明」
そうです。第一次書類選考の結果報告の葉書でした。
この葉書で「カミさん」にも極秘裏で進めた計画も
バレてしまいました。
NHKのドキュメンタリー特集で黒澤さん自身が
何万通もの応募書類すべてを
読んでくれたことを知り感涙いたしました。
この葉書は「私の宝物」なのです。

写真のプログラムは『七人の侍』が1975年に20年振りに
銀座「テアトル東京」で上映された時、購入した物です。
この映画は一度観たら、また観たくなります。
三度、四度、……十度。
もう何回観たのか憶えておりません。
私の映画史上、第一位の座は永久に変わりません。

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4 コメント

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アッ!またまた、ひろたさんだ。 (狸笑庵)
2007-02-10 03:33:35
2月4日の新宿マローネでの「とどろっくフェスティバル」お疲れ様でした。
芝居に歌にと、ご活躍のご様子ですね。
息子も出させて頂いたようでお世話になりました。
ひろたさんのステージは一度、舞台の隅で
こっそり見たいものですね。
実の息子よりひろたさんとのやりとりが多いので
なんだか私の息子の様です。
ところで私の次点は黒澤さんの「どん底」です。
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はい。私もです。 (轟ひろた)
2007-02-08 23:03:40
「七人の侍」
私もベスト1です。

次点はチャップリンの「独裁者」
返信する
Tsugeさんへ (狸笑庵)
2007-02-03 22:46:37
また訪ねていただきありがとうございます。
昔の話ばかりで恐縮ですが読んでいただき
うれしくなりました。
あの日、目にした「求む!出演者募集。黒澤明」というインパクトのあるキャッチを超えるコピーは
いまだにありません。
Tsugeさんも一人の男の人生を狂わせてしまうような
コピーを書き続けてください。

ビートルズの日本公演については
後日、書いてみたいと思います。
また昔の話になってしまいましたね。
返信する
Unknown (Tsuge)
2007-02-03 09:41:11
ビートルズのチケットと、、
黒澤さんのハガキといい、
狸笑庵さんの宝物はせうてきですね。
そして、それが大切に心の中にしまってあることも
とってもすてきです。
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