理科系人間のマクロビオティックメモ

マクロビオティック・健康に関する考察と情報をつれづれなるままに。

米の使い分け

2005-11-28 | 食材・料理
先日会社の人と飲みに行った時、私のことを「意志が強い」と言う人がいました。なぜかと聞いてみると、「まずい玄米を食べ続けているから」。またかと思いながら「玄米はおいしいですよ」と力説したのですが、理解してもらうのは大変です。

ただ、必ずしも米は玄米だけでいいとは言い切れないところがあります。cocomeloさんのブログで、「玄米をどれくらいの割合で食べるか」という話がありました。以前にマクロビ・パパさんのブログでも同様のことを書かれていました。

米には精米のしかたによっていろんな種類があります。これまでわかったことをまとめてみます。米の部位(ぬか・胚芽・胚乳)については例えば「玄米を食べてみませんか」というページに図があります。

玄米: 収穫した米を脱穀してもみがらだけを取ったもの。胚乳(白米の部分)だけでなくぬかや胚芽も含む
マクロビオティックで重要な役割を担っている玄米。栄養の点からはこれが一番です。しかし夏場などにあまり玄米だけ食べていると陽性過多になってつらい(水気を多くして炊くとある程度楽ですが)。また、ぬかと胚芽があるのでよく噛む必要があります。
特に後者は小さい子供がいる場合は要注意です。うちの次女(4歳になったばかり)に玄米を食べさせると、消化せずにそのまま便に出てくることがあります。よく噛めと言っても無理なので、玄米を常食させるのはまだ早いなと思っています。
ただし消化しやすく調理することは可能で、hallick先生ミネラルスープはおいしくて栄養も非常にあるので、時々作っています。玄米1合で家族4人に十分な量になります。

分づき米: 玄米を白米に精米する途中の段階で止めたもの
ぬかが部分的に、胚芽はほぼ残っています。精米の程度によって三分づき、五分づき、七分づきなどがあります。数字が大きいほど白米に近くなります。いわば玄米はゼロ分づき、白米は十分づきです。
子供の消化の点ではこれがよいと思って五分づき米を試してみたのですが、炊飯器でうまく炊けないのが難点です。これは多分、単に分づき米用の炊飯コースがないからで、白米コースだとパサパサになり、玄米コースで炊くと粘り気が出すぎます。土鍋や圧力鍋で分づき米用の炊き方をすればかなり有望かも。
[11/29追記]
マクロ美風さんからコメントをいただきました。分づき米コースのある炊飯器もあるそうです。それならおいしく炊けそうですね。

胚芽米: ぬかを取り去って胚芽と胚乳だけにしたもの
白米に胚芽がくっついた形をしています。ぬかの分の栄養はなくなりますが、それでも白米よりはかなり栄養があり、味の方は白米とほとんど変わりません。玄米の苦手な人にはおすすめです。これに米以外の雑穀を混ぜて食べればかなりいいのではないでしょうか。

白米: ぬかも胚芽も取り去ってしまって胚乳だけにしたもの
マクロビオティックを知るまで長年食べてきた白米なんですが、安いということと銘柄が多くて選択肢が広いということ以外には特にメリットなし。

結局、うちでは玄米と胚芽米+雑穀の2通りを場合に応じて使い分けることにして、白米は全廃しました。胚芽米に入れる雑穀は

・丸麦、はと麦などの麦御飯系
・もちきび・もちあわ・アマランサスなどの小粒系
・黒米(もっちりしておいしい)
・市販の雑穀パック(何種類かの雑穀を混合したもの)

のいずれかを気分で選んでいます。これで結構快適です。

P.S. このブログも開設1年を迎えました。最初の記事では結構大上段にふりかぶったことを書きましたが、何を書くべきかについてはあまり重く考えず、気楽に続けていこうと思います。今後ともよろしくお願いします。

牛乳の害(2) 代替乳

2005-11-22 | マクロビを学ぶ
牛乳の害の話からはちょっとはずれるのですが、今回は代替乳、つまり乳糖不耐性やアレルギーの対策として牛乳の代わりに使用する飲み物の話です。牛乳を飲まないからといって別に代替乳を飲む必要はなく、他の食品でも同等の栄養は摂れるのですが、料理に使う用途も含めると需要は大きいようです。

日本で牛乳の代わりになるものといえば、代表的なものは豆乳です。一般に「豆乳」と名がついて販売されているものには以下の3種類があります。

・豆乳: 大豆をしぼって水だけで作った無調整のもの
・調整豆乳: 豆乳に砂糖などを加えて飲みやすくしたもの
・豆乳飲料: 果汁を入れたり他の成分を入れたもの

無調整の豆乳を飲むのが一番いいと思いますが、いかんせん味がユニークなので、苦手な人が多いですね。だから他の2つが普及するんだと思います。

himazu blog - 乳糖不耐性と燕麦乳」で、オーツ麦(燕麦[エンバク])から作ったオートミルク(燕麦乳)の話が紹介されていました。スウェーデンのルンド大学の先生に対するインタビューです。以下のページでMP3ファイルをダウンロードすることができます。

IT Conversations: Richard Oste - BioTech Nation

最近iPod nanoを買ったので、ダウンロードして聴いてみました。himazuさんのまとめと重複しますが、要点をまとめます。

・人間は、ある程度の年齢になると乳糖を分解する能力を失う方が一般的。一部の地方(スウェーデンのような北の国、ラクダの乳を飲む北アフリカのハム語族の一部やマサイ族など)では例外的に乳糖を分解できる人の方が多い
・アメリカはかなり人種が混合しているが、50~60%が乳糖不耐性なのではないか
・スウェーデンにも少数いる乳糖不耐性の人のための飲み物として、1989年ごろからオートミルクの研究を始め、1995年ごろに製品化した。スウェーデンでは豆乳よりずっと普及している
・オートミルクは豆乳より味がよく、クリームにすることもできる。牛乳アレルギーの子供の30%は豆乳でもアレルギーになるが、オートミルクはそのようなことはない。また、牛乳になく豆乳にも少ない食物繊維が多く含まれている
・他の国でも普及させようとしており、食物繊維やカルシウムの摂取の少ない中国に展開しようとしている。中国で牛乳の生産量を増やすには多額の投資が必要だが、オートミルクなら簡単

聴いた限りではいいことずくめですが、どんな味がするんでしょう。はたして日本人の味覚に合うかどうか。日本には「オートドリーム」という商品として入ってきているようなので、飲んでみようと思って注文したのですが、残念ながら欠品状態のようです。手に入ったら飲んで感想を書きます。

牛乳の害(1) 乳糖不耐性

2005-11-07 | マクロビを学ぶ
マクロビオティックを知ってからいろいろなことを調べてみて驚いたことの1つが「牛乳は体に悪い」ということでした。小さいころから「牛乳をどんどん飲みなさい」と言われて育ってきましたから。

ただし、

・牛乳を飲むと腹を壊しやすい
・無調整の牛乳は脂肪分が多いのでなるべく低脂肪乳を飲むべき
・牛乳でアレルギー症状が出る人は多い

ということは知っていました。今考えるとこれら3つはいずれも「牛乳は実は体に悪い」ことの理由と関係があります。

調べてみると牛乳の害は、大きく

(1) 牛乳というもの本来の害
(2) 日本で出まわっている牛乳の品質に由来する害

の2つに分けられます。まずは(1)の種々の因子について順に書いてみます。

上で書いた通り、牛乳を飲むと水やお茶よりもよく腹を壊します。私は今は全く牛乳を飲んでいませんが、以前は毎朝飲んでいました。冷たいのだと時々腹の調子が悪くなるのでいつも温めて。でも腹を壊すのは冷たいことが主原因ではなく、牛乳をきちんと消化する能力が私の体に備わっていないからで、冷たいと腸が冷えてさらに調子が悪くなりやすいということだと思います。

牛乳を消化できないのは乳糖不耐性と言われます。牛乳に5%ほど含まれる糖質は全て乳糖(ラクトース)ですが、その乳糖を分解するラクターゼという酵素がうまく働かないのです。汚い話ですが、私が毎朝牛乳を飲んでいたころは便からかなりの牛乳臭がしていて、「ちゃんと消化してないな」と思っていました。今考えるとこれは乳糖不耐性のせいです。日本人の大部分は乳糖を分解できないそうです。赤ん坊の時は母乳を消化するためにラクターゼが働きますが、次第に働かなくなるのが普通です。

乳糖不耐性の人の割合については文献によりかなりばらつきがありますが、例えば以下のサイトにまとめられています。

ラクトース耐性のない(乳糖不耐性者)の割合 (はじめのいっぽ)

これによると日本人のだいたい80~95%は乳糖不耐性。世界的にみると、地域によって差が大きいのですが乳糖不耐性の方が多数派で、分解できる人の方が多いのは北欧やアフリカの一部の地域だけです。これらの民族は古くから動物の乳を飲んでいたせいで体質が変化し、大人になっても乳糖を分解できる人が増えたのだと考えられます。人間の体の機能の中で人種によって大きく異なるものの1つです。

ラクターゼによる乳糖の分解が働かないと、腸内で以下のことが起こります。

・腸内細菌に乳糖が分解され、乳酸と二酸化炭素が発生 → 腹がふくれる
・乳糖が引き起こす浸透圧によって腸内に水分がたまる → 便がゆるくなる

これらによって腹部が張った感じになったり下痢をしたり、ひどい場合はけいれんを起こすといった症状が起こります。また、その際に乳糖以外の栄養分も一緒に体外へ排出されてしまうという報告もあるようです。

こうやって腸の調子を悪くしてまで飲むのは不自然なことで、もともと我々の大多数は、離乳したあとはいかなる動物の乳も飲まないことを想定した体になっているのです。