理科系人間のマクロビオティックメモ

マクロビオティック・健康に関する考察と情報をつれづれなるままに。

40歳からの元気食「何を食べないか」―10分間体内革命

2006-02-12 | 本の感想
・40歳からの元気食「何を食べないか」―10分間体内革命 (幕内秀夫) 講談社プラスアルファ新書

「粗食のすすめ」シリーズで有名な幕内秀夫氏の本です。働く40代をメインターゲットとして、具体的にどういうものをどうやって食べたらいいか、そして何を食べないようにしたらよいかを解説しています。私も40代に突入していますので、興味を持って買って読んでみました。

マクロビオティックという言葉は出てきませんが、主張するところは「米食中心に」「副食は季節の野菜を中心に」「砂糖や油を摂り過ぎない」「動物性食品は肉より魚を」など、かなり共通するところがあります。あまり厳格なことは言わず、かなり現実的な路線で書かれています。

食べ物についての基本的な考え方として
・人間が生きていくのにどんな栄養素がどれだけ必要かは誰にもわかっていない
・したがって、栄養素だけを元にした「栄養のバランス」にこだわっても意味がない
・それよりも、日本人は独自の食事で長い間健康にやってきたという実績があるのであるから、日本の伝統的な食文化をベースにした食生活を心がけるべきである
と主張されているところにもマクロビオティックと通じるものがあるように思います。

印象的だったのは、「添加物の多いコンビニおにぎりと安全なパンはどちらがいいのか」という話。日本のパンには砂糖やバターなどがかなり含まれており、またパン食だとパンに塗るものやおかず・飲み物でどうしてもこってりしたものを摂ることになります。だから総じてパン食は勧められないといことになるわけですが、だからといって外でおにぎりを買おうとすると、コンビニのおにぎりには添加物がいっぱい。私もまわりの人に「コンビニで朝食を買うならパンよりおにぎりにした方がいい」と言うと「でもコンビニのおにぎりには添加物が多いから」とよく言われます。

この問いに対する正解はありませんが、自分の食生活をトータルにみて自分で答を出すべきというのがこの本の主張だと思います。その1回だけを見ればパンの方がおにぎりよりよいということになるかもしれませんが、そこでパンを選択する人は他の場面でもパンやこってりしたものを選び、そういうものが中心の食生活になってしまうかもしれません。そこまで含めて考えた上で選ぼうということです。全体としてごはんを中心とした食生活を確立した上で、かつなるべく添加物を避けるようにできれば理想的ですが。

40代に限らず、忙しくて食事が乱れがちという人には参考になる本だと思います。


11 コメント

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少しだけ一致 (マクロ美風)
2006-02-15 09:36:14
幕内秀夫さんは、マクロビオティックを批判する文章を他で書いており、「危険である」とすら言い切っています。

ですから、食事の捉え方が、内容的にはマクロビオティックに近くても、絶対にマクロビオティックの言葉は使わないと思います。



幕内さんの講演も、昔聞いたことがありますし、本も何冊か読みましたが、学校給食のご飯化に関しては、いいことを話しておられます。



さて、コンビニのおにぎりとパンについてですが、結論からいうと、おにぎりの方が添加物は少ないです。

さらに、おにぎりの中でも、「鮭(紅鮭)のおにぎり」が最も添加物が少ないのですが、メーカーによっては、多いものもあるので、注意が必要です。



パンについては、食パンであっても、菓子パンであっても、おにぎり以上に添加物が多いのですが、どうしても買いたい時は、「あんパン」がいいです。

なぜなら、あんこが保存性を高めるため、ソルビン酸カリウム(保存料)が使われていないからです。



ついでに、コンビニのお弁当は、非常に添加物の種類が多いので、絶対に避けた方がいいです。



安全なパンなら、そちらでもいいのでは?と思いがちですが、そもそも、「安全なパン」はどうやったら入手できるかです。

国産で、農薬などの問題を完全にクリアした小麦粉は、そんなに出回っていません。



すると、輸入小麦粉に頼るわけですが、その輸入小麦粉が大問題です。

詳しくは、長くなってしまうので割愛しますが、保存状態も含めて、かなり酷い状況です。



また、パンは確かにおかずが問題なのです。

食事というのは、トータルでのバランスが大事なので、幕内さんのおっしゃることは、納得できます。



ですから、結論としては、やはり日本で収穫されたお米を使った「おにぎり」の方に軍配をあげます。



とても、生意気な書き方になってしまって、ごめんなさい。

rice-addictさんの記事がお久しぶりだったので、嬉しくて、つい力が入ってしまいました。

ご容赦を。

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> マクロ美風さん (rice-addict)
2006-02-15 22:41:22
ありがとうございます。

幕内秀夫氏がマクロビオティックを批判されているとは知りませんでした。主張するところはかなり似てると思うんですが。

おにぎりとパンの件、この本での比較は「コンビニのおにぎり vs. (コンビニでない)安全なパン」だったのですが、その前に「コンビニのおにぎり vs. コンビニのパン」だとおにぎりの方が添加物が少ない(+ 他の観点から考えてもおにぎりがいい)ということですね。私のまわりの人にはそれを主張することにします。元の比較についても、安全なパンを求めるのは確かに難しく、多分安全な米を求める方が容易でしょうから、たいていの場面ではおにぎりの方に軍配が上がりそうな気がしてきました。
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久し振りの記事、楽しく拝読しました (zaiz)
2006-02-15 23:41:15
 大括りに捉えれば元禄期以前の江戸庶民食生活をモデル

とし指向した点で、幕内氏の提案する「粗食」は、マクロ

ビオティックと通底する所はあると思います。けれど、

マクロ美風さんが仰有ったように、彼はマクロビを含めた

玄米菜食に対して、選択の自由を認めつつ事実上否定して

います。

 他の方、例えば高橋久仁子群馬大学教授(食生活教育)

は、イミダス2006のカテゴリー「食生活(572ページ)」

を担当されていますが、「食生活の新傾向」という欄に

あるマクロビ説明記事で「 …この食事法は最低段階では

動物性食品可であるが、ステージが上がると穀物の割合が

増え、最高段階では穀物以外のものは食べてはいけないと

される。60年代半ばには熱狂的な信奉者に壊血病や栄養失

調、脱水症が起こり死亡者も出た。…未搗精の穀類を土台

とし、たくさんの野菜や豆類を食べるという主張は妥当で

あるが、動物性食品と砂糖を排除し、野菜の中でも食べて

はいけないものを設定している点は問題 …」と書いてい

ます。問題は、

 栄養学の専門家に何故マクロビが批判されるか、です。

マクロビ理論が(少なくとも現代栄養学以上に)正しいと

しても、正しく理解してきちんと実践する方ばかりでなく

寧ろ「本を読んで感動し、自己流でやってみた」的な一知

半解の徒が少なくなく、彼らが体調を崩して栄養指導者に

診てもらった結果、指導者側は「玄米菜食は危険」という

判断をしたのではないかと想像しますが、この辺り、如何

お考えでしょうか。

 実際、講習会などを受講してマクロビを学ぶ人は少数で、

せいぜいオレンジページMOOKとか、レシピ集を斜め読み

する程度で玄米菜食を始める方も少なくないようです。

また、陰陽五行理論や陰陽表こそ書いていっても、現実の

調理に生かすノウハウは一般向けに開陳されていません。

例えば今、「旬の食材」3種類以上を組み合わせた料理を

作るとしたとき、陰陽を中庸化する「定量的計算法」など

ご存じでしょうか。
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> zaizさん (rice-addict)
2006-02-16 23:47:28
批判される理由については賛成です。「最高段階では穀物以外のものは食べてはいけないとされる」というのは7号食のことですよね。この7号食が本当に目指すべき最高段階なのか、それで健康な食生活が送れるのかどうかは別にして(私は実践的にはかなり無理な話だと思うのですが)、マクロビオティックが危険だとされる大きな要因になっているように思います。

7号食は極端だとしたとしても、マクロビティックは正しく実践することが簡単でないものであることは言えると思います。それがゆえに、おっしゃるような「一知半解の徒」が出て、それを指して危険だと言われるようになったのだと理解しています。例えば「動物性食品は一切食べてはいけない。ナスもトマトも南国産の果物もダメ」などと単純に主張していると考えられているのもその一因でしょう。マクロビオティックとはもっと柔軟に、自分の頭で考えるものだということをもっと広める必要がありそうです。

「定量的計算法」というのは知りませんでした。一度zaizさんのブログで解説していただけるとうれしいです。
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Unknown (zaiz)
2006-02-17 01:18:12
 私は7号食は飽くまで治療食と思っており、「最高段階」とは認識して

いませんが…。桜沢先生が創始したマクロビオティックは彼亡き後、後継

を任ずる団体が林立した感があり、何をもってマクロビアンと看倣すのか

分からなくなりつつあります。

 興味深いのは、紹介されたご本のなかで大森一慧女史が食事全体の1割

程度なら肉も食べて構わない、寧ろ特別の日の「ご馳走」のつもりで食べ

ましょうと仰有ってい、松岡四郎先生も、食箋実行中についてはかなりの

制限を設けていますが、正食基礎食品のなかで食べて良い食品として魚類

(鯛、鰈、平目、きす、細魚、鱧、鰻、牡蠣、蜆、帆立貝、鰒、鯉、鮎)

を挙げていることです。指導者側は食箋と、健康を維持する食生活を切り

分けている所を(一知半解を含めた)信奉者の少なからずが食箋的な日常

食に近づくほど模範的、理想だと解釈しているように見受けられます。

 定量的計算法とは、個々に陰陽レベルを持った食材及びその分量、調理

法を組み合わせて中庸化するとき、所謂「秘伝」の類でない客観的、数理

的な判断方法があるか否か。もしご存じなら教えていただきたいと思った

次第です。
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> zaizさん (rice-addict)
2006-02-19 08:10:23
7号食については「普段の食事としての最高峰」というようなニュアンスで書かれていることもあるようです。だからこそ「穀物だけしか食べないのでは栄養が偏って危険」という批判が出てくるのだと思います。

動物性食品については、古くからの日本人の「ハレの日」「ケの日」の考え方でたまに食べる、という感じがいいのではないかと思います。今の日本人は毎日がハレの日になってしまってますから... そういう意味では大森一慧さんの本はわかりやすくていい本だと思いました。

定量的計算法については勘違いしていて失礼しました。マクロビオティックの考え方を定量化するちゃんとした方法はないのが現状なのではないでしょうか。陰陽をナトリウムとカリウムの比で表す方法にしてもかなり適当なものです。このへんがきちんと整理されると万人にわかりやすいものになりそうなのですが。
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動物性食品についてのお考え、同感です。 (zaiz)
2006-02-19 16:13:50
 たまのハレの食事はハレらしい楽しさ、日常の菜食的食卓ではケの美味しさを味わいつつ、両者の使い分けをはっきりさせて暮らしたら、健康を維持でき、同時に美食も楽しめ、何の憂いもないと思います。

 精進料理は緩やかな形ではあるものの「中国で民間伝承されてきた」陰陽五行に基づき、経験を通して献立作りのバランスを体得してきました。マクロビは何処か科学的論拠を持たせようと無理して、一見科学的に見える理論武装へ踏み込み、例えば極陰~極陽間を紫外線~赤外線の色(波長)で分類したりするせいか、却ってトンデモ科学、新興宗教的に受け止められている感を禁じ得ません。私自身は所謂マクロビアンと言えない「玄米食者」ですが、これからのマクロビの普及浸透を考えたとき、ひとつの転換期を迎えていると考えています。
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> zaizさん (rice-addict)
2006-02-20 01:11:56
特にケの日の方の食事の楽しさ(ごはんのおいしさ、野菜の甘味など)をちゃんと認識することが必要ですね。それが今の日本人には欠けているような気がします。

マクロビと科学の関係は難しいのですが、確かに科学的論拠を持たせようとしすぎのように思います。ナトリウムとカリウムの比の話などもその1つです。いっそのこと経験則だと割り切って説明してしまうのも手かもしれません。
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科学的論拠 (野菜好き)
2006-03-26 01:35:01
>いっそのこと経験則だと割り切って説明し

>てしまうのも手かもしれません。



経験則といってもどこまで、指導者一代の

経験であればあまりに短すぎるし、経験則

といっても、信頼に足る経験則を生み出す

(というか発見)のは難しいように思います。



しかし、それ以前に謎なのが、食べ物の

陰陽をいったいどういう経験則から導き出したのか?関係者でかんかんがくがく議論したようでもないし、それとも、マクロビ指導者の方が、

直感でエイヤで決めたのか?陰陽表を皆さん

平気で信じているけど、経験則を生み出す過程があまりに見えてこないような。



参考までに幕内氏の玄米菜食批判試論

http://homepage3.nifty.com/anma/genmai/genmai1.htm
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訂正 (野菜好き)
2006-03-26 01:36:37
訂正が多くてすみません。



経験則といってもどこまで、→削除
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