庭先で、アジサイの花によじ登る虫らしい姿があった。
よく見ると、空蝉ならぬ、ヤゴの脱け殻だった。
出張で青森にきてゐた友人が、仕事を終えて帰路の途中、一泊していった。
数年ぶりの邂逅である。
いつもいつも、花もなければ、実もない季節だ、と笑ひながらビールを飲む。
今回の出張の話、彼の会社の話、世の中の動き、不安定な時世、世代のギャップの話、昔の同級生の話、故郷の話、グールドのモーツァルトの話、オーディオの話、パソコンの話、ブログの話、戦闘機や戦艦の話、車の話、…。
尽きることのない話題に、夜はふける。
さしたるもてなしも出来ないまま、翌日、山形新幹線で暑い東京へ向った。
小生が棄郷して、30年以上が過ぎてゐる。