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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

“神の軽さ”が見え難くする:Fermilab experiments constrain Higgs mass.

2009-03-18 15:56:59 | Science
News2009164_2
(Fermi National Accelerator Laboratory in Batavia, Illinois.)


□ A lighter Higgs makes particle hunt harder. (13/03/2009)
『神の粒子』の質量予想範囲が更に制限される。

>> http://www.nature.com/news/2009/090313/full/news.2009.164.html

The Higgs boson particle may be lighter ? and the race to find it tougher ? than particle physicists had hoped, according to the latest results from the Tevatron particle accelerator at the Fermi National Accelerator Laboratory in Batavia, Illinois.

On 13 March, scientists there announced that they had ruled out a crucial part of the hunting ground for the 'God particle', thought to confer mass on all other matter.

Eric Hand



アメリカのフェルミ国立加速器研究所のTevatronを用いた実験により、素粒子物理学における『標準模型』のラストピース、宇宙にある万物の質量要因であり『神の粒子』とも呼ばれるヒッグス・ボソンの質量について、従来の理論予想範囲を更に狭める数値が算出されました。


Higgsparticle


Fermilabの研究チームであるCDFとDZeroの共同実験によると、テバトロン内部に拡散したヒッグス粒子の痕跡を観測した結果、ヒッグス粒子が持つ質量が、従来のグラフのより低い領域にあることを特定。具体的には、発見確率の高さから期待されていた、160Gev/c^2-180Gev/c^2の範囲に定位する可能性を高確率で除外したもの。(CDFのスポークスマンは『我々はそのことを発見したのであって、除外したのではない』と語っています。)

CERNのLHC(スイス、ジュネーヴ)の最上命題とも言えるヒッグス粒子の実験観測は、早くて今年度末にも行われる予定ですが、今件によって実験そのものに暗雲が立ちこめる結果となってしまいました。


というのは、テバトロンの5倍の出力を備えるLHCは、とりわけ高質量の場合のヒッグス粒子の観測に特化しており、低エネルギーの粒子はトレースできない可能性が高いのです。素粒子のエネルギーは当然その質量に比例するので、仮にヒッグス粒子のエネルギーが185 GeV(ギガ電子ボルト)以下であった場合(当実験からの予想では160Gev未満とされる)、ヒッグス粒子が存在したとしても見逃してしまうか、或は存在しなかったことにすらなってしまうかもしれないとか。

(※ 崩壊シミュレーションのモデルによっては、低エネルギーでも高確率で検出可能なチャンネルは存在する。)


対して、LHCのプロジェクト・リーダーを務めるLyn Evansは、「誰であれ(Fermilabであろうと)、その質量領域からヒッグス粒子を見つけ出すのは容易ではない。」とのこと。フェルミ研究所は2011年以降の国からの出資計画が滞っており、今後ヒッグス粒子の明らかな痕跡を発見出来る可能性は30%に留まると公表しています。



科学史にとって決定的な功績と進歩を齎すであろうヒッグス粒子の実験観測は、重畳宇宙やタイムトラベルの可能性等、人類にとってあらゆる光明とリスクを同時に与える「未来の狩り場」と同義と言って良いでしょう。その狩り場が私たちの可能性とともに狭められた、ということは、単にヒッグス粒子の質量領域が制限されたということ以上に重要な意味を示唆しているのです。