□ Solarstone / "Rain Stars Eternal"
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The Last Defeat (Part One)
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Late Summer Fields
Release Date; 05/05/2008
Label; Solaris Recordings
Cat. No.; SLRSCDLP004
Format: 1xCD
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http://www.solaris-recordings.com/
>>
http://www.solarstone.co.uk/
>> tracklisting.
01. Intro
02. Part Of Me (Vocals by Elizabeth Fields)
03. Rain Stars Eternal
04. Late Summer Fields (Vocals by Rich Mowatt)
05. Filoselle Skies (Vocals by Julie Scott)
06. Spectrum
07. Lunar Rings (Vocals by Essence)
08. Breakaway (Vocals by Alex Karweit)
09. 4Ever
10. Slave (Vocals by Julie Scott)
11. The Last Defeat Pt. 1
昨年来日を果たしたことも記憶に新しい、現在はRich Mowattによるワンマン・ユニットとなったSolarstone(旧名:Solar Stone)の、意外にも初となるオリジナル・アーティスト・アルバム。
先にリリースされたシングル・コンピレーション"Anthology One"は、10年余りに渡ってエピック・トランスの現場を牽引し続けてきた彼ら(with Andy Bury)の集大成とも言うべきものでしたが、今作は"Part of Me"、"Late Summer Fields"、及び先行シングル"Rain Stars Eternal"を除いて新曲を揃えた構成。
この十年来、RichはクラブミュージックにおけるDJingやマーケティングの枠組みに自ら大きな影響を及ぼしてきました。その精力的な活動の一方で、スタジオメイドの作り込まれたサウンドには一切の妥協や綻びを窺わせず、まさにDJ's DJ、Artist's Artistとして、同業者へ働きかけた求心力は計り知れないものでしょう。
あのArminをして『バレアリック・ダンスミュージックのスタンダードを定めたのがSolarstoneだ』と言わしめるオリジナル性。1997年のデビュー曲"The Calling"、そして、あのAdiemusの"Tintinnabulum"からコーラスをサンプリングした衝撃のヒット曲"Seven Cities"と、ハウストラックにニューエイジ・サウンドの新風を吹き込んだ合理的な手法は、ChicaneやBTといったトレンドセッターの動向とシンクロしながら、Paul van Dyk、Tiesto、System F、Rank 1、Darren Tate、The Thrillseekers、Vincent de Moor、その他大勢の同胞たちを渦流に巻き込み、2000年以降のクラブシーンを駆け抜けていきました。
それからもElizabeth Fieldsをフィーチャーした"Speak in Sympathy"の成功を皮切りに、Scott BondやLost LanguageのBen Lostとの共作スタイルで楽曲やコンピレーションをリリース、傍ら、数えきれないほどのリミックスワークやツアー、レーベル運営をこなしながら現在に至ります。昨年はRadioheadのリミキサーに起用されるなど、メインストリームでも注目を集め始めました。
Chillout、Ambientの作り手としても、Solarstoneの手腕は高く評価されてきました。Libra / "Anomaly (Calling Your Name)"やConjure One / "Sleep"、Paul Oakenfold / "Southern Sun"を、まるで冷たい宇宙空間に放り出したかのようなヒュージでアトモスフェリックなリミックスは、クラブミュージック・ファンではなくとも引き込んでしまう魅力があります。彼らがコンパイルした"Chilled out EUPHORIA"を聴けば、そのアンビエントシーンに対する造詣の深さとこだわりを目の当たりにすることが出来るでしょう。
そしてこの"Rain Stars Eternal"、『永遠の星雨』の名に背くことなく、瑞々しく潤った音色と、燦然と煌めくメロディが散りばめられた宝石箱みたいなアルバムとなっています。
果てのない蒼穹を駆け、夜天の星を振るうような高揚感と爽快さに満ちたサウンド。それは2000年前後のエピックトランス全盛期を懐古させる、少々古めかしいレトロな響きも加味しながら、この上なくチープで、だけど愛おしいSFテイストの世界観を繰り広げます。しかし節々でProg-Houseの硬質な苦みを効かせる心憎さ。
カナダのDJで、私が今最も好きなコンポーザー、Alucardとのコラボレーションによる"Late Summer Fields"が、善くも悪くも、やはり一番の聴き所となっています。ビートの鋭角的な切り込みがAlucardの特徴。クレジットはありませんが、ここではOriginal Mixではなく、"Solarstone Deeper Sunrise Mix"が採用されています。
前述のアンビエントワークの方法論を振り返った"The Last Defeat Pt. 1"では、中盤で"Afterhours Mix"に顕著だったギターを復活させ、エスニック・コーラスをサンプリング。また、"4Ever"では、"Seven Cities"に似たハープが回帰しています。
Julie Scottの渋い声がアシッド・ジャズ風のサウンドに乗る"Filoselle Skies"や、「これぞエピック!」と唸らせるFemale Vocalメインのピチカート・トランス"Lunar Rings"など、起伏に富んだアルバム・デザインを意図しているものの、全体としてはやや薄味。。というのが正直な印象。
しかし、そのどれもがSolarstoneとしての確かなバックグラウンドを感じさせる出来で、完成度は極めて高いと言えるでしょう。ただ、もともとトランスのリスナーではない方や、逆に最先端の音を求めるコアなクラバーには少し奨めづらいのも本音。2000年前後からのバレアリック風味でゆったりとしたミディアム・テイストのトランスが好きな向きには、シンパシーを得られるのではないでしょうか。
□ Tunes of the Day
□ Solarstone vs. Alucard
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Late Summer Fields (Ocot Remix)
□ Scott Bond and Solarstone
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Red Line Highway (Alucard's Route 44 Mix)
今回はSolarstone繋がりで関連曲を紹介。
昨年リリースされた"Late Summer Fields"から、最もフロアに適したOcot Remix。オリジナルのテイストを活かしながら、もの凄く聴きやすく仕上げてあります。それもそのはず、彼らは日本のクラブシーンで活躍する某DJユニットなんですねー。
そして下、Solarstone関連では私が一番好きな"Red Line Highway"のAlucardリミックス。以前にも紹介したことがありますが、まちがいなく最高傑作の部類に入る、シネマティックで壮大なサウンド。3年経った今でも、これを超えるリミックスワークはなかなか出てこないですね。。Alucardは路線変更してテック方面に向かってるので寂しいです。