どんなに真っ当に生きていても、事件に巻き込まれる。
地道にこつこつ生きていた人でも不慮の事故で命を奪うことがある。
まして津波、地震という自然災害は人・場所・時を選ばない。それは福島原発事故という人災も一緒です。
秋葉原の事件といい、池田小学校の事件といい、ほんとにあんまりです。。。。。遺された遺族の皆様、命までは奪われなかったけれども心の傷、身体の傷に苦しまれているかも知れない被害者の方々に、日本列島に住むみんなの深い同情と祈りが届きますように。
そして、東日本大震災と福島原発の事故の被害に遭われた方々にも同じく。。。
今日のお話は、補償と賠償の違いです。
賠償は悪い加害者がいて被害者が損害賠償を請求する場合です。
補償は悪いことをした人がいない場合で、損害賠償ではなく、損失補償と言います。
犯罪被害者と天災・人災被害者に対して、国がどういう手当をすることを憲法は想定しているのか。
付属池田小や秋葉原の場合には憲法上の人権として規定されてはいませんが、犯罪被害者被害者給付制度があります。
あれ?犯人という悪い人がいるではないかと思われるかも知れませんが、もちろん犯人に対しては、不法行為に基づく損害賠償請求権が行使できます。
しかし、犯罪の加害者というのはむしろ資力がない場合が多いでしょう?被害者は金銭的には泣き寝入りになることが多いんですね。
この犯罪被害者給付金制度は、犯罪被害者に国がお金を支払う制度です。殺人等の故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた犯罪被害者の遺族又は重傷病又は障害という重大な被害を受けた犯罪被害者の方に対して、社会の連帯共助の精神に基づき、国が犯罪被害者等給付金を支給し、その精神的・経済的打撃の緩和を図り、再び平穏な生活を営むことができるよう支援するものです。
犯罪の被害者になるのは、全くご本人に落ち度がないわけで、国が被害の補填(ほてん)をするわけです。国にも落ち度はない場合でも国がお金を支払わなければなりません。
被害者でも加害者でもない国民からすれば、自分の納めた税金が国庫から支出されることになりますが、これはいつ自分の身に降りかかるかも知れない被害が誰かに生じたときには、広く薄くみんなで負担しようと言うことなんですね。
国家側から見れば国家公務員が故意又は重過失で違法行為をした場合には、国民に国家賠償請求権が憲法上認められる反射的効果として、国家賠償義務が認められるわけですが、賠償と補償は違うわけです。補償は国自体はなにも悪いことをしていない場合でも、被害に遭われた方々にその被害の補償をするわけです。
このような損失補償が憲法上規定されているのが、刑事補償請求権と財産権の損失補償請求権です。
まず、前者は、罪もない人が犯罪者扱いをされ、逮捕されたり刑務所に入れられたりすることをえん罪と言いますが、これはいつ無辜(むこ)の市民の身に降りかかってくるかわかりません。「死刑台からの生還」と言われる死刑囚の再審無罪が多数あるのを考えると、逆に救われず、えん罪で死刑になってしまった人もたくさんおられただろうと思われます。死刑になってしまうとどうしようもなく、それが死刑廃止論の大きな根拠の一つとなっています。
そこで、日本国憲法第40条は、「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる」と規定し、刑事補償請求権を国民の基本的人権の一つとして保障しているのです。
その法律が刑事補償法で、懲役など身柄拘束の場合は、1日1、000円以上1万2、500円以下の割合で、死刑の執行の場合は、3、000万円以内で裁判所の相当と認める金額でとしています。
次に、損失補償請求権とは、国や公共団体等による公権力の適法な行使によって、国民や住民が経済(財産)上の特別の損失(犠牲)をこうむった場合、その損害(損失)の補償(補填)を国や公共団体に求めることができる権利を損失補償請求権(行政上〈公法上〉の損失補償)といい、公権力の不法行為による賠償と区別されます。損失補償請求権は憲法第29条3項が「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と規定することに根拠を有するが、土地収用に対する損失補償や農地の強制買収の対価の支払いがその例です。
ただこの場合の損失補償は、特別の犠牲、すなわち特別かつ偶然の損失です。たとえば、自分の土地が国道でつかわれることになり収用されてしまうとか、ダムが作られダム湖に沈んでしまう、などですね。
キーワードは「国民誰に生じてもおかしくない被害」が「ある個人に偶然に生じた」「特別の犠牲」がある、場合には、国民の納めた税金から損失を補償して被害を少なくとも金銭的に補填しようと言うことです。
こう考えると、東日本大震災の被災者や被災企業はもともとローンを負っていたのに、家や土地や船や工場を喪い、再起するためには、さらにローンを組まなければならない、もし、ローンが組めたとしても二重ローンに苦しまなければならないが、ほとんどの人や企業は再起のためのローンも組めないだろう、という被災地過重ローン問題はどうでしょう。
東日本大震災 被災地過重「二重」ローンの激痛 被災者・被災企業の不合理な債務・負債 徳政令の出番か
これも、天災という、被災者ご本人の責任は全くなく、しかも、日本国中誰が被害者になってもおかしくない特別な犠牲・被害なわけですから、国は損失補償の観点で、被災者だけが泣き寝入りするのではなく、国民が広く薄く分担すべきです。
その補償は金銭的には元に戻すと言うことです。自分の家の土地を国道に取られたら土地の時価を補償してもらえるように、津波で被害を受けたら運が悪かったね、ではなくて、少なくとも喪った家と土地などの損失は全額補償されるべきです。
東京電力は故意又は過失により被害者に甚大な損害をもたらしたのですから、これは東京電力が資産を切り売りして損害賠償義務を負うべきであり、我々国民が税金や電気代値上げで助けてやる必要のないことです。
二重ローン問題解決最大の障害は三井住友 東電賠償スキームはメガバンク救済より送電・発電分割で資産売却
しかし、大震災の被災者の方々への被害の補填は、これは損失補償の観点で、我々の税金から救済をすべきなのです。だって、我々の誰が被害に遭ったかも知れないのだし、これからいつ遭うかも知れないからです。
それが日本国憲法の精神に沿った解決です。
そう考えると、政府・民主党の案も紆余曲折がありながら大変前進しましたが、公的機関による債権買い取りを見送るなど、まだまだ足りない面がありませんか?
多くの命が奪われ、夢が潰えた悲しみの土地。
これで、震災前の状態に、財産権だけでもなると言えますか。
よろしかったらクリックお願いいたします
http://blog.with2.net/link.php?1197203
政府・民主党は8日、東日本大震災で被災した個人や中小企業が、震災前の債務に加え、新たな債務を抱える「二重ローン問題」の救済案をまとめた。
個人向けには金融機関が借金を棒引きする私的整理を活用するほか、返済猶予などで住宅ローンの負担軽減に取り組む。中小企業向けには、独立行政法人の中小企業基盤整備機構と金融機関などが設立する企業再生ファンドが、債権の買い取りや出資などで再生を支援することが柱。中堅企業、医療機関の再生で実績のある企業再生支援機構の活用も検討する。
東日本大震災:「二重ローン」政府・民主が対策案
東日本大震災で被災した企業・個人が再建するために新たな借金を抱える「二重ローン問題」で、政府・民主党は8日、対策案をまとめた。企業向けは、新たに設立するファンドによる債権の買い取りや債務の株式化で震災前からの債務の返済負担を軽減することが柱。個人の住宅ローンは、金利引き下げや返済期間延長などを促す仕組みを導入する一方、一時検討された公的機関による借金の買い取りは見送った。【田所柳子】
与野党で来週以降に協議した上で、必要な予算措置を11年度第2次補正予算案に盛り込む方針だ。
中小企業向け支援策は、独立行政法人中小企業基盤整備機構や金融機関などの共同出資で「中小企業再生ファンド」を設置。再生可能と判断した企業に対して、債務の株式化や金融機関から債権を買い取るなどして、企業の返済負担を軽減する。新規出資による資金支援も行う。
再建の可能性を見極めるまで時間がかかる場合は1年程度、既存の借金の利子分を補給する仕組みを検討。利子補給の財源として、国などによる復興交付金(仮称)の創設を検討する。廃業に追い込まれる場合でも、個人事業者向けに、債務者と債権者が自主的に協議して負債を整理する「私的整理ガイドライン」の策定を検討。債務返済後に手元に残せる資金額を現行制度から引き上げるなど再建を促す措置を講じる。
比較的規模が大きい企業に対しては、日本航空の再建などを手掛ける企業再生支援機構を活用。支援機構の設置期間は14年秋までの5年間だが、延長を検討する。
個人向けでは、被災者の住宅ローンの金利引き下げや返済期間延長などの仕組みを新設。返済が困難な場合でも、債務免除に応じた金融機関の法人税を減額するなどして、私的整理による返済負担の軽減を促す。震災後、新たに住宅を取得する場合は、住宅金融支援機構による長期・低利融資で支援する。
金融庁などによると、金融機関の企業向け債権残高は、岩手、宮城、福島の被災3県沿岸部(39市町村)で、中小企業向けが1兆4300億円、大企業向けが1800億円、住宅ローン債権の残高は7560億円。当初は公的機関が個人や企業向けの債権を買い取る全面的な再建支援を求める声もあった。
しかし、公的ファンドによる債権買い取りなどを広く認めると、公的資金の損失や、金融機関の不良債権増加につながりかねない。阪神大震災など過去の支援策との整合性や、借金を抱えていない被災者との公平性にも配慮し、ファンドの支援対象は再生可能性のある企業に限り、それ以外は私的整理の枠組みを活用することになった。企業向けは、再建可能かどうかで支援策が異なるが、その判断は難しく、金融機関頼みの対策も多い。対策が不十分だと、被災地の経済停滞が長期化する懸念もある。
毎日新聞 2011年6月8日 22時27分(最終更新 6月8日 23時06分)
今も心に傷…秋葉原無差別殺傷事件から3年
花束などが供えられた東京・秋葉原の無差別殺傷事件の現場=8日午後 |
秋葉原無差別殺傷事件から3年がたち、現場付近で手を合わせる人の姿も2011年6月8日 13時42分
17人が死傷した東京・秋葉原の無差別殺傷事件から3年になる8日、現場の交差点近くでは住民や通行人らが花や千羽鶴などをささげ、手を合わせた。
昨年は、地元の千代田区が献花台を設けていたが、遺族側の「あまり目立つことはしてほしくない」との意向から、今年は設置しなかった。
それでもこの日、事件現場を訪れる人は朝から後を絶たず、事件当日、現場に居合わせたという茨城県古河市の会社員弓場義朗(よしあき)さん(32)は「隣にいた男性が刺されたが、携帯電話で救急車を呼ぶことしかできなかった。当時の光景は今でも夢に見る。こんな事件が二度と起きないように願っています」と話し、花束を供えた。
事件直後に中止された歩行者天国は、地元の安全対策が整ったとして今年1月、2年7か月ぶりに再開した。
卒業生「人を助ける仕事に」 旧正門前、今も花束
8人が犠牲になった児童殺傷事件から8日で10年を迎えた大阪府池田市の大阪教育大付属池田小学校。「あっという間だった」「学校が安全であり続けてほしい」。同校には遺族や当時を知る人たちがそれぞれの思いを胸に集まった。
午前9時から始まった「祈りと誓いの集い」。佐々木靖校長や6年生児童、当時6年生の担任で今春再び同校に着任した真田巧副校長があいさつした。
旧正門前の献花台には、今年も花束を手向ける人の姿があった。
事件翌年に同校に入学したという付属高校池田校舎1年の男子生徒(15)も毎年この場所を訪れる。「10年がたち、幼かったころに比べて命の重みを自分のなかでも実感できるようになってきた」。
3歳の男児を連れ、式典が続く学校に黙礼をしてバスに乗り込んだ池田市の主婦(42)は「あの悲しい事件があったからこそ、学校の警備などにもかなり力が入れられるようになったと思う。これからも学校が安全であり続けてほしい」と話した。
遺族の1人は「事件当時の先生たちも数名参加され、遺族への学校側の配慮を感じた式典だった」と話したうえで「当時の通報記録が明らかにされないまま廃棄されるなど、いまだに事件の全容を把握できていないという点については今でも悔いがある」と語った。
当時5年生で、亡くなった2年生の女児の1人と仲良しだったという大学3年の女子大生(21)は、学校近くの女児の墓前で手を合わせてこう誓ったという。「何年たっても気持ちは同じ。忘れないからね」