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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

石破茂自民党政調会長 原発推進は核武装・核抑止力のため 報道ステーションにて

2011年08月18日 | 日本の政治


私はテレビニュースはほとんど見ないので(急に衝撃的な映像が飛び込んできて、ショックを受けてしまうから 笑)、久米宏から替わった古舘伊知郎なんてまるで見ないのですが、8月16日、「報道ステーション」で放送された「原発 私はこう思う」というインタービュー。自民党の石破茂政調会長の回の映像と文字起こしをしたブログ(下に詳細)を発見しました。


石破茂自民党政調会長って、政治家として成長したと思っていたんですが、感覚は石原慎太郎都知事並みです。見誤っていました。

「日本は(核を)作ろうと思えばいつでも作れる。1年以内に作れると。それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。それを本当に(原発を)放棄していいですかということは、それこそもっと突き詰めた議論が必要だと思うし、私は放棄すべきだとは思わない。」

なぜ、日本で一番視聴率の高いニュース番組で、こういう発言をすることが政治生命を失うことにならないのか。

まんべくん発言の10億倍問題視されてもいいはずなのに、むしろ肯定的な評価さえあるのは嘆かわしいことです。

 


いろいろ、突っ込みどころ満載なんですが、根本的には、核武装するための原料を確保するために、原発を維持するという愚かさが問題です。

すでに、広島型原爆10万発分のプルトニウムは日本にあるではないか、ということではなくて、核武装をいつでも出来るのだぞと周囲の国々を脅かすために、原発事故というリスクなど誰が負えるものかと言うことが問題なのです。

この人は、まるで東北をはじめとする日本人の苦しみを直視していないことがよくわかりました。このアンテナの低さは政治家失格です。こんな人が政策の総責任者をやっている自民党にはほとほと呆れかえりました。


同じく重要な問題点は、もちろん、日本が核武装をして「核抑止力」を持つなどという選択肢は現実にはないということです。

国連加盟以来、「唯一の被曝国」であることを売り物に、曲がりなりにも「平和外交」を進めてきた日本が、これまで他国に加入を勧めてきたNPT(核拡散防止条約)から脱退して核武装するなどと言うことが出来るわけがありません。してしまったら、日本という国に対する信頼は根本から崩れます。中国、朝鮮半島、ロシアなどの「仮想敵国」が反対するだけではなく、アメリカや東南アジアが許すはずもないのです。

これだけの国が日本に侵略・植民地支配を受けたのですから、警戒されているのは当然です

 


そして、石破さんがミリタリーオタクのくせに、まるで軍事を知らないと思うのは、「一年以内に核武装できる」ということは、まるで「抑止力」にならないということです。

だって、抑止力理論というのは、今攻めていっても、手痛い反撃を食らうから攻撃するのはやめようと相手に思わせることでしょう?今に見ておれ、1年後には核武装してひどい目に遭わせてやる(爆)っていうのが、攻撃をためらわせる抑止力になりますか?

むしろ、イスラエルがよくやるように、そんな意思表示をして核武装の準備を始めたら、相手が核開発施設を先制攻撃してくるのが関の山です。核武装するぞ、と宣言して開発することは、抑止力になるどころか、「敵国」の攻撃を促すようなものです。

石破さんって、本当はミリタリーを全然知らないでしょう?


広島原爆記念日の前の日にシミュレーションで核実験したらいいと放言した石原都知事といい、政治家の劣化は目を覆わんばかりです。

石破さんは「突き詰めた議論」が必要だというのですが、まず、自分の原発推進論と核武装論をそれぞれ突き詰めて欲しいものです。

祈れば実現するというものではありません

 

 

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(書き起こし)


自民党 石破茂 政調会長(54)
「…安全神話みたいなものを…政治的には作り出さざるを得ない状況だったのではないですかね。政治は結果責任ですから、責任は自民党が相当程度負わねばならないわけです。きちんと検証することなく、電力会社、経産省、そういうことを、あえて言えば鵜呑みにしてきた責任は免れないことだと思います」

「原発のウェートを減らしていきながら、再生可能エネルギーのウェートを高めていくという方向性に異存はありません。ですけども、原発をなくすべきということを目標とするやり方には賛成してはおりません。原子力発電というのがそもそも、原子力潜水艦から始まったものですのでね。日本以外のすべての国は、原子力政策というのは核政策とセットなわけですね。ですけども、日本は核を持つべきだと私は思っておりません。しかし同時に、日本は(核を)作ろうと思えばいつでも作れる。1年以内に作れると。それはひとつの抑止力ではあるのでしょう。それを本当に放棄していいですかということは、それこそもっと突き詰めた議論が必要だと思うし、私は放棄すべきだとは思わない。なぜならば、日本の周りはロシアであり、中国であり、北朝鮮であり、そしてアメリカ合衆国であり、同盟国でるか否かを捨象して言えば、核保有国が日本の周りを取り囲んでおり、そして弾道ミサイルの技術をすべての国が持っていることは決して忘れるべきではありません」

「原発に限らず、この世の中に絶対というものはあり得ないことを、よくみんな認識したんだと思います。日本って絶対神話というのが流行りますよね。戦艦大和は絶対沈まないだとか、日本は神の国なので絶対負けないとかね。だけど、突き詰めた議論なしに絶対神話を作る日本の悪癖、あるいは、議論を突き詰めずに、仕方がないじゃないかとか、やむを得ないじゃないかとか、そういう物事の決め方。それは決して、いい結果をもたらすことはありませんよね。日本人はもっと突き詰めてモノを考えるべきだし、そうでなければ、結果は決して幸せにならないということだと思います」


 

 

石原都知事:「原爆の模擬実験、スパコンで可能」

 東京都の石原慎太郎知事は5日の定例記者会見で、日本の防衛戦略について「米国は新しいニュークリア・ウォーヘッド(核弾頭)のシミュレーションをやった。日本だってそのくらいのことをやったらいい。持とうと思ったらいつでも持てますよ、と。スーパーコンピューター駆使すれば原爆のシミュレーションなんかすぐできる」と述べた。

 続けて石原知事は「日本は強力な軍事国家にならなかったら絶対存在感失う。北朝鮮、中国、ロシアが日本の領土をかすめ取ったりかすめ取ろうとしている。核を持って、歴然と敵意を持っている国に間近に囲まれているのは日本だけだ」と危機感を強調した。

 ただ核武装は主張せず、「米が核弾頭を積まない新しい戦略兵器の開発を言い出した。そういう核に関係ないものを日本が作る努力をしたらいいじゃないか」とした。【柳澤一男】

毎日新聞 2011年8月6日 東京朝刊

 


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