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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

「イスラム国」事件 最初からやる気のない安倍政権はすでに日本人人質を見捨てている

2015年01月23日 | 海外の話題

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次の記事を先ほど見たとき、私は目を疑いました。

そして、本当にお気の毒ですが、「イスラム国」に捕らえられたお二人の日本人の方々の運命は決まっている、と感じました。


安倍首相、新設された「日本ベンチャー大賞」授賞式に出席

FNNニュース 01/22 23:22

安倍首相は、新設された「日本ベンチャー大賞」の授賞式に出席し、「世界をリードする新産業が作り出されれば、経済の好循環は力強く回転します」と強調し、受賞者を表彰した。

安倍首相は「この賞の創設が起爆剤となり、ベンチャー企業が次々と生まれ、世界をリードする新産業が作り出されれば、経済の好循環は力強く回転します」と述べた。

「日本ベンチャー大賞」は、若者などのロールモデルになるようなインパクトのあるベンチャー企業や経営者を表彰するため新設された賞で、安倍首相は、「既存の企業に改善を迫るだけでは、日本企業の体質や慣行を一変させることはできない」として、「未知なる事業にひた向きに挑戦することの大切さを、国民の皆様1人ひとりに思い起こしてほしい」と強調した。

総理大臣賞には、ミドリムシを使ってバイオ燃料の開発などに取り組んでいる株式会社ユーグレナが受賞した。



首相官邸 「日本ベンチャー大賞表彰式」より



「イスラム国」が切った72時間の期限は本日2015年1月23日午後2時50分に来ると、政府は想定しています。

それなのに、その命の期限の前日に、我が国の内閣総理大臣はイベントに参加しているのです。

しかも、言うことがいいじゃないですか。

「未知なる事業にひた向きに挑戦することの大切さを、国民の皆様1人ひとりに思い起こしてほしい」

自国民が身柄拘束され殺害予告の時刻がひたひたと近づいてきている今、一国のリーダーが国民に訴えることがこれですか?

お前が人質救出に挑戦しろ!

本当に悔しくて情けなくて、涙がこぼれおちそうになりました。


 

経済団体の新年会にも出てた!





今回の人質事件では、安倍政権の信じられないような言動が続きました。

まず仰天したのは、安倍首相が1月20日午前(日本時間夕方)にこの事件について初めて記者会見したのがイスラエル・エルサレムのホテルで、しかもバックにイスラエルの国旗がでかでかと映っていたことです。

イスラエルと中東のイスラム諸国との対立なんて日本の小学生でも知っていることなのに、なにを犯人を刺激するようなことをやっているのか。

わざとでないのなら無知無能に過ぎます。






これも言うことがいいじゃないですか。

「国際社会と連携し、地域の平和と安定に貢献する。この方針を変えることはない」。

いやいやいや。

犯人の「イスラム国」は、日本の中東地域への援助が「イスラム国」に敵対するものだから今回の犯行に及んだとはっきり言っているのに、何をわざわざ刺激するようなことを言う必要があるのか。







さらに、安倍政権のびっくりするような失態は続きます。

翌21日の朝、自民党の高村正彦副総裁があろうことか

「日本政府が人道支援をやめるのは論外だし、身代金を払うこともできない」

と記者団に断言してしまったのです。

早い早い早い!

誘拐事件発生の冒頭からこんなこと言っちゃう人、いないでしょ?

与党首脳がこれでは、最初から人質を助ける気がないか、あってもその能力は皆無か、どちらかなのは確定です。







そもそも、驚くべきことに、人質殺害の予告期限まで数時間の23日お昼前になっても、未だに国家安全保障会議(日本版NSC)が開催されないのです。

この会議の設置は安倍首相の悲願で、第一次内閣では設立前に政権を投げ出したため、やっと2013年12月に反対を押し切って設立したものです。







国家安全保障会議の司令塔となるのは、安倍首相・菅官房長官・岸田外相・中谷防衛相によって構成される「4大臣会議」です。

この会議は平素から開催され、安全保障に関する政策を協議して対外政策の基本的な方向性を決定するのですが、「平素」からやっているはずで、しかも4人いれば開催されるのに、それもやらないんです。

安倍政権が関係閣僚会議は開いても、自分が鳴り物入りで作ったこんな時のためにこそあるNSCを開かないところに、「人命第一」には考えていないことが如実に表れているじゃないですか。







安倍首相が人質を見殺しにする気でいる証拠はまだまだあります。

まず、安倍首相は22日午後7時ごろ、テロリストと交渉せず見殺しにするという方針のキャメロン英国首相に連絡しています。







 その内容について、イギリスの通信社PA通信がすっぱ抜いたところによると、

「安倍総理とキャメロン首相は、テロリストには身代金を払わないというG8サミットの方針を再確認した」

日本側では外務省が電話会談の概要を発表しましたが、もちろんそうした内容は含まれていません。

しかし、このスクープは当事者でないイギリス側から出た情報だからこそ信用できるのです。







さらに、パリを訪問中の薗浦健太郎外務政務官は同じ22日にクリスチャン・マセ仏外務次官と会いました。

フランスは「イスラム国」に身代金を支払って人質を救出したことのある国です。

ところが薗浦政務官は会談後、記者団に説明したのは、

「日仏のテロ担当者の連絡を密にすることを確認した」

というものだったのです。

今更連絡を密にしても間に合わないでしょうが!

そもそも、シャルリー事件でテロとの対決を前面に押し出しているオランド政権が、穏便な解決方法に協力してくれるわけもありません。







さらにさらに、同じ22日に行われた国連総会での日本の代表の演説が人質にとどめを刺します。

日本、国連で殺害予告非難 各国に協力要請

国際 2015/01/23 07:23【共同通信】

 【ニューヨーク共同】日本の岡村善文国連次席大使は22日、国連総会の会合で演説し、過激派「イスラム国」とみられるグループが日本人2人の殺害を予告した事件について「罪のない人々を人質に取って脅迫する行為は許し難く、強い憤りを覚える」と非難した。
 岡村次席大使は「日本はテロや暴力に屈することはない。われわれは引き続き、国際社会と共にテロとの戦いを続ける」と表明。その上で「国連や加盟各国に支持を要請する」と述べ、事件解決への協力を訴えた。







翌日の人質殺害警告を無視して、許せない、強い憤りはいいにしても、わざわざ国連で「テロに屈しない」といい、ましてや「テロと戦い続ける」と宣言する必要がどこにあるのか。

これらの死刑宣告が日本政府から下されたのが、全部殺害予告前日なんです。

これでも

「関係各国や現地の部族長などあらゆるパイプを通して人質救出のために全力を挙げている」

なんていう安倍首相や菅官房長官たちの説明を間に受けますか?







さて、事件の発端に遡ります。

政府関係者によると、2014年11月25日、後藤健二さんのお連れ合いのもとに、「イスラム国」の関係者を名乗る人物から、

「1,500万ユーロが問題を解決する」

との表現で、セキュリティー機能が高いフリーメールが届いたんだそうです。

お連れ合いは、

「小さな子どもがいて、こんなことになって、どうしたらいいかわからない」

といったメッセージのほか、生存を確かめる内容のメールを送るなど、何度かやり取りを行ったそうです。

しかし、相手からは、1月4日を最後に返答が来なくなったということです。

そして、今は政府がこのメールの送信先にメールを送っているんですって!







去年の秋から今まで何してたんだよ!

時間は72時間じゃなくて、はるかにたくさんあったんじゃないか!!

もう一人の人質の湯川さんが行方不明になったのは去年の8月で、後藤さんは彼を助けに行くと公言してたんだから、政府・公安は知っていたでしょう。

それでも動かなかった安倍政権が今は真面目にやっていると本気で思いますか?

我々日本国民は、自分たちの政府が言葉通りに真摯な努力を続けているはずだと思い込んで目と耳を塞ぎたいだけなんじゃないでしょうか。







さて、アメリカのサキ国務省報道官は、1月22日に記者会見して、アメリカ政府はすでに安倍内閣に

「身代金の支払いは米国の政策に反する」

との考えを非公式に伝えたことを明らかにしています。

 同報道官はその上で

「日本政府は、身代金に関する米政府の長年にわたる立場をよく知っているはずだ」

と指摘しました。

それでなくてもアメリカべったりの安倍政権は、「身代金を払うな」ととっくに恫喝されていたわけです。

これでも、安倍首相が日本人の方々の命を救うつもりだと信じられますか。



またこんな悲劇が起こる

 

 

この記事が誤りで人質を助けてくれたなら、いくらでも謝るから頑張ってくれ!

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追伸

末尾に掲載したように、1月16日には、イスラム法学者の中田宏氏が以下のような提言をしています。

この提言は、同じ2億ドルを「イスラム国」の要求する額を「イスラム国」支配地域で、しかし難民人道支援に限ると監視をつけて支援を行うというものです。

日本政府も「イスラム国」もメンツが立つ1つの落とし所です。

もし、安倍政権が「あらゆる手段を使って人質救出に全力をあげている」というのが本当なら、彼にアクセスして虚心坦懐に話を聞いてみたらどうなのか。

「私の提言と致しましては、イスラム国の要求している金額、これはあくまでも日本政府の難民支援、それと同額のものということですので、それを難民・人道支援に限る、ということで赤新月社を通じ、そしてトルコに仲介役になってもらって、そういう条件を課したうえで、日本はあくまでも難民の支援を行う、あるいはイラク・シリアで犠牲になっている人たち、そういった家族の支援を行う、という条件を課したうえで行う。

これが一番合理的であって、どちらの側にも受け入れられるギリギリの選択じゃないか、と私は考えています。

これで最後になります。日本ではあまり大きく報道されていませんでしたけれども、1月17日にイスラム国はイラクのヤジディー教徒を350人、無償で、人道目的で解放しております。これもひとつのメッセージであると捉えるべきだと、私は考えています。」

 

 

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平成27年1月22日 首相官邸

日本ベンチャー大賞表彰式

 平成27年1月22日、安倍総理は都内で、日本ベンチャー大賞表彰式に出席しました。

 総理は、挨拶の中で、次のように述べました。

 「この度は、第1回「日本ベンチャー大賞」が、多くの魅力あふれるベンチャー企業からの応募によって、盛大に執り行われましたことを、心から嬉しく思います。
 日本企業が、「稼ぐ力」を取り戻し、激しい国際競争に打ち勝っていくためには、成長分野への投資や雇用のシフトが必要です。既存の企業に改善を迫るだけでは、日本企業の体質や慣行を一変させることはできません。産業の変革の担い手となるのが、ベンチャー企業です。
 我が国で起業を根付かせるための最大の課題であり、取り組むべき第一歩は、社会の意識改革です。この「日本ベンチャー大賞」は、新たなフロンティアに果敢に挑戦し、見事に成長を遂げた起業家を表彰することで、未知なる事業にひたむきに挑戦することの大切さを、国民の皆様一人一人に思い起こしてほしい。そういう私の強い願いの下、今般、新たに創設されたものであります。
 米国では、経済を牽引する代表的な企業の3分の1は、1980年以降設立の新しい企業です。こうした新しい企業の市場価値は3・8兆ドルと米国GDPの2割を超える規模になっています。産業の変革の旗手たるベンチャー企業が、技術、アイディア、人材を最大限に活用し、新たなフロンティアに果敢にチャレンジすることで、既存の大企業や地域を巻き込んだイノベーションが花開きます。
 しかし、我が国で新たに事業にチャレンジする開業率は、未だ英米の約半分しかなく、ベンチャー企業が経済のメインプレーヤーとして十分に活躍する状況ではありません。
 安倍政権の最重要課題は、経済の再生です。この賞の創設が起爆剤となり、ベンチャー企業が次々と生まれ、世界をリードする新産業が作り出されれば、経済の好循環は力強く回転します。
 受賞者の皆さんが新しい力となり、日本が「起業大国」として、世界の中心で輝いていく。そういう日本になることを期待しております。」



米「身代金払うべきでない」 日本に伝達とサキ国務省報道官

国際 2015/01/23 06:03【共同通信】

 【ワシントン共同】サキ米国務省報道官は22日の記者会見で、過激派「イスラム国」とみられるグループが日本人2人を人質にして身代金を求めている事件で「身代金の支払いは米国の政策に反する」との考えを非公式に日本政府に伝えたことを明らかにした。
 報道官はその上で「日本政府は、身代金に関する米政府の長年にわたる立場をよく知っているはずだ」と指摘した。ただ、日本政府の今後の判断については、見通しを示さなかった。
 サキ氏は、身代金の支払いは「日本人を含めたほかの市民らを危険にさらすことになる」とあらためて強調した。



「身代金不払い原則確認」と英通信社=日本政府高官は否定

 【ロンドン時事】英PA通信は22日、安倍晋三首相が同日にキャメロン英首相と行った電話会談で、テロリストへの身代金支払い拒否を定めた国際原則を守ることを再確認したと報じた。
 安倍首相も出席し、英国・北アイルランドで2013年に開催された主要国首脳会議(サミット)の首脳宣言は「テロリストに対する身代金の支払いを完全に拒否する」ことをうたっている。
 英首相官邸報道官はPA通信に「日本はサミットでテロリストへの身代金不払いの原則に署名しており、その順守を改めて確認した」と述べた。
 日本政府高官は「安倍首相は『テロには屈しない』という話はしたが、身代金の話はしていない」と報道を否定した。(時事通信 2015/01/23-00:50)



人質事件で仏当局と協議=薗浦外務政務官

 【パリ時事】パリを訪問中の薗浦健太郎外務政務官は22日、クリスチャン・マセ仏外務次官と会い、過激組織「イスラム国」とみられるグループに日本人2人が拘束された事件について協議した。薗浦政務官は会談後、記者団に「日仏のテロ担当者の連絡を密にすることを確認した」と説明した。
 この事件では、ファビウス仏外相が既に岸田文雄外相に全面的な協力を約束している。薗浦氏は文化関連施設を視察するため米欧各国に出張中だった。(時事通信社 2015/01/23-00:52)



【イスラム国殺害予告】「身代金は払えない」自民・高村副総裁

2015.1.21 11:01 産経新聞

 自民党の高村正彦副総裁は21日午前、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」とみられる集団による日本人2人の殺害警告について「日本政府が人道支援をやめるのは論外だし、身代金を払うこともできない」と述べ、政府に毅(き)然(ぜん)とした対応を求めた。ただ「政府はできる範囲で救出のため最善を尽くしてほしい」とも語り、党としても努力する考えを示した。党本部で記者団に述べた。

 高村氏は、日本がイスラム国対策として拠出する2億ドルはあくまで人道支援だと指摘し「イスラム国だけでなく、中東や世界中に(事実を)広報する必要がある」と強調した。



邦人拘束、政府がメール接触図る 身代金要求のアドレスに

政治 2015/01/22 23:45【共同通信】

 過激派「イスラム国」とみられるグループが後藤健二さん(47)ら日本人2人を人質に取った事件で、日本政府が、後藤さんの妻に身代金を要求してきたメールのアドレスに返信し、相手側と接触を図っていることが22日、政府関係者への取材で分かった。ただ日本時間の22日夜時点で反応はないという。
 政府関係者によると、後藤さんの妻には昨年11月、初めて後藤さんの拘束を知らせるメールが届いた。その後、今年1月までに約10通が送られてきたという。
 メールの中には、後藤さんや家族しか知り得ない内容もあった。本人の写真や映像はなく、拘束場所にも触れていなかった。




《イスラム国・邦人人質事件》イスラム学者 中田考氏 記者会見[1]

「イスラム国にも人道支援を」 邦人人質事件の仲介案をイスラム学者・中田孝氏が提言【全文】


2015年01月22日

中東の過激派組織「イスラム国」が日本人2人を拘束し、身代金2億ドルを72時間以内に要求している事件に関連して、イスラム法学者の中田孝氏が記者会見。日本政府とイスラム国に対して、独自の仲介案を提示しました。なお中田孝氏は昨年、イスラム国への参加を希望した北大生に渡航支援を行い、公安から聴取された経験ももつ人物です。(2015年1月16日 イスラム国・邦人人質事件 イスラム学者 中田考氏 記者会見 主催:日本外国特派員協会 より)
【スピーカー】イスラム法学者、実業家、元同志社大学客員教授 ハサン中田孝 氏

【動画もぜひご覧ください】
《イスラム国・邦人人質事件》イスラム学者 中田考氏 記者会見
イスラム国からのメッセージ

中田孝氏:今日はお集まりいただきましてありがとうございます。私はもともと、非常に言葉がはっきりしませんで、日本語のテレビでも私が喋ると字幕が出るというくらいはっきりしないんですけれども、今、難聴が非常に悪くなっておりまして、皆さんの質問もよく聞き取れませんので、今回は出来る限り隣にいらっしゃいます秋田先生を通じて話を聞いております。

私は今、(北大生のイスラム国参加計画事件に関与したとして)被疑者の立場におりますので出来る限りマスコミの質問を避けておりましたし、イスラム国とのコンタクトも避けておりました。それは私自身にとっても問題ですし、先方に対しても迷惑がかかるということがあったんですが、今回こういった人命が関わるということでしたので、皆さまの前でお話することに致します。

今回、タイミング的に安部総理の中東歴訪に合わせて発表があったわけですけれども、安部総理自身は、中東に行ったことが地域の平和と安定につながると信じていたのだとは思いますけれども、残念ながら、非常にバランスが悪いというふうに思います。

もちろんイスラエルに対して入植地の反対を直言する、といったことでバランスの取れた外交を行っていると信じているのだと思いますけれども、中東においてそもそもイスラエルと国交をもっている国自体がほとんどないという自体を、正確に実感していないのだと思います。

ですので、これは中東、あるいはアラブ・イスラム世界では、非常に偏った外交というふうに見られます。

記者会見のなかで、難民支援・人道支援を行っているということを強調していましたけれども、もし人道・難民支援ということで今回の中東歴訪があったのだとすれば、今シリアからの難民は、正確にはわかりませんけれども300万人とも言われています。

その大半、半数以上は、160万人とも言われていますけれども、トルコにおります。まずトルコを最優先すべきであって、(訪問国から)トルコが外れている時点で、難民支援のために行った、人道支援をすると言っても、これは通用しないというふうに思われます。

訪問国はエジプト・イスラエル・パレスチナ・ヨルダンと、全てイスラエルに関係する国だけであると、そういう選択をしている時点で、アメリカとイスラエルの手先であると、当然認識されます。人道・難民支援のために行っているとは理解されない、というのが中東を知る者としては常識です。

中東の安定に寄与するというのは当然理解できる発言ですけれども、中東の安定が失われているのはイスラム国が出現する前からのことです。そのなかでわざわざというか、イスラム国だけを名指しで取り上げて、イスラム国と戦うため、と言いながら、人道支援だけをやっていると言っても、それは通用しない論理だと思います。

日本人の人質2人がいるということは、外務省も把握していたことであって、わざわざ「イスラム国と戦う」ということを発言するというのは、非常に不用意であると言わざるを得ないと思います。

テロリストの要求を飲む必要はもちろん無いわけですけれども、しかしそのことと、交渉するパイプを持たないということは、全く別のことだと思います。

例え無条件の解放を要求するとしても、実際に人質2人を解放するために安全が確保されるのか、その間空爆を止めることが出来るのか、誰がどこに受け取りに行くのか、そういったことを、正しい相手を正しく話をするパイプがないことには、そもそも話になりません。

今回の件でも、これまでと似たようなケースでも、多くの「仲介者になる」という偽物が現れて、それにアメリカが騙される、というようなケースはたくさん起きております。今回でも、そういう恐れが当然あるわけです。

イスラム国の呼び掛けは、安倍政権だけではなく日本国民に対する呼び掛け、という形をとっておりました。それに対して我々は応えるべきだと思います。もちろん日本は民主主義をとっている国ですので、安倍政権に賛成する人間もいれば反対する人間もいる。そのなかで我々にどういう対応が出来るのか、というのを問われているのだと思います。

中田孝氏が考える仲介案「イスラム国にも人道支援を」

ここからは、私個人の提案、提言になります。それはもちろん、イスラム教徒、イスラム学者としての立場でもありますし、同時に日本国民として、日米ともに受け入れられるギリギリの線だ、ということで提言させていただきます。

安部総理が言ったとおり、日本はイスラム国と戦う、そういう同盟国の側に援助をするわけですけれども、それはあくまでも人道援助に限られる、というこの論理は、イスラム国に対しても同じように適用されるべきだと考えます。

これまでも人道援助、あるいは経済援助の名の下に、アフガニスタン、あるいは直接関係するイラクに関しても、日本や国際社会は多くの援助を行ってきましたけれども、それが適切な人の手に届いていなかったと。特にスンナ派のイスラム主義といわれる人たちに対しては、非常に扱いが悪かった、というそもそもの怨嗟が、今回の事件の根源にございます。

現在のイスラム国の前身は、イラクのスンナ派のイスラム運動です。ですので彼ら自身は、アメリカによってイラクが攻撃されたことを、自らの体験として覚えております。そしてその時に彼らも含めて、サダム・フセイン政権が倒れた時には、ほとんどのイラク人はアメリカを歓迎していました。

それが数ヶ月で反アメリカに変わった。それはやはり、空爆その他でたくさんの人が殺された、特に女子供たちが殺されて、それに対して全く保障がされていない、という自体がございます。現在それが繰り返されており、イスラム国が支配している、行政の責任を持っている地域で、多くの人びとが殺されています。

国際赤十字、中東地域では赤新月社と言われておりますけれども、ここはイスラム国の支配下のところでも人道活動を続けていると聞いております。

ですので、私の提言と致しましては、イスラム国の要求している金額、これはあくまでも日本政府の難民支援、それと同額のものということですので、それを難民・人道支援に限る、ということで赤新月社を通じ、そしてトルコに仲介役になってもらって、そういう条件を課したうえで、日本はあくまでも難民の支援を行う、あるいはイラク・シリアで犠牲になっている人たち、そういった家族の支援を行う、という条件を課したうえで行う。

これが一番合理的であって、どちらの側にも受け入れられるギリギリの選択じゃないか、と私は考えています。

これで最後になります。日本ではあまり大きく報道されていませんでしたけれども、1月17日にイスラム国はイラクのヤジディー教徒を350人、無償で、人道目的で解放しております。これもひとつのメッセージであると捉えるべきだと、私は考えています。

イスラム国の定めた期限「72時間」は短すぎる

これから、イスラム国にいる私の古い友人たちに対して、私のメッセージを伝えたいと思います。まず日本語で。

日本政府に対して、イスラム国が考えていることを説明し、こちらから新たな提案を行いたいと思います。しかし72時間というのは、それをするには短すぎる時間です。もう少し待っていただきたい。もし交渉が出来るようであれば、私自身、イスラム国に行く用意もございます。

1月17日にヤジディー(族)の350人の人質が人道目的で解放されたことは、私も存じております。そのことは高く評価するべきだというふうに思っております。それで印象も良くなっていると思います。

日本人を釈放することが、イスラム、及びイスラム国のイメージを良くするし、私もそれを望んでいます。また、日本にいる全てのムスリムもそのことを望んでいます。72時間という時間は、我々にとってあまりにも短すぎます。時間をもう少しいただきたいというふうに思っています。これを聞いていただければ幸いです。ありがとうございます。

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22 コメント

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戦後最低の総理大臣 (未来)
2015-01-23 13:48:17
最悪最低。ほんとに人間性を疑います。
一体この人は何をしてるんですか?
何故こんな人が国の代表なんでしょう。

犠牲者を簡単に見殺しにするんですね、それできっとこの事を理由に、軍事力が必要だと無理矢理こじつけて、憲法改正に力を入れるんでしょうね。
正義ぶって、国民のためだと言う。
実際は国民の事なんて、全くかんがえていない。むしろ、国民を戦争へと導こうとしている、戦後最低の総理大臣です。

信じられないし、許せない。。。



管理人さんにコメントいただいて、名前入りで投稿しました。
これからも拝見させていただきます。
返信する
Unknown (金城)
2015-01-23 15:56:30
怒りと悲しみでいっぱいです。
こんなことが起きてしまったのは日本政府、その政府をとめることが出来ない私たち日本国民の責任。
罪悪感でずっと苦しいです。
本当に日本のリーダーは何であんなにも酷いことが出来るのか。
メディアも狂っている。
自分の家族におきかえても同じ事をするのでしょうか。
軍事に金はそそぐのに命に金は払わない。
日本は最低最悪あんぽんたんですが、どうか助かってほしいと祈るばかりです。
返信する
思い出してほしい (時々拝見)
2015-01-23 19:27:47
預言者が弱者に示した愛を
後藤氏が行動で示したものを
返信する
ダッカ事件に際しては (H.KAWAI)
2015-01-24 09:19:36
○福田首相が「人の命は地球より重い」と言って日本赤軍の要求を丸呑みにして、人質は解放されたんでしたよね。

○でも福田首相が本当に「人の命は地球より重い」と思っていたかどうかは大いに疑問ですよ。

○だってこの時の人質は151名、然もその人質にされた151名の人達には何の落ち度もありませんよね。

○その151名の人質を見殺しにしたら、ごうごうたる非難が沸き起こって福田政権は持ち堪えられなかったでしょうし、自民党支配までが崩壊しかねなかったと思うんですよ。

○ですからこの時の福田首相の決断は、人命第一との考えからなされたものではなくて、政権の維持が第一との考えからなされたものと考えるのが妥当だと思うんですよね。

○でも今度のイスラム国による人質事件では人質は高々2人ですよね。いえね、同じ2人であってもこれが皇族とか、政府関係者とか、大企業のCEOとかだったら話は違ってくると思いますけどね。

○で、勿論、安倍首相は「人の命は地球より重い」なんて思っていないだろうし、人質の2人は安倍首相から見れば野良犬同然のフリーのジャーナリストと怪しげな民間軍事会社の代表ってんでしょう。然も自分達からシリアに入国してますよね。

○そりゃ安倍首相が積極的に救出に動く筈がないし、その2人を見殺しにしたところで、自己責任論が横溢する昨今の我が国ではそれくらいの事で政権が揺らぐなんて事はあり得ませんよね。

○いえね、私だって人命第一って言いたいんですよ。でも考えちゃうんですよね。2億ドルでしょう。一人頭120億円近いじゃありませんか。世の中には、120億円どころか120万円が無くて首くくるような人がいっぱいいる訳でしょう。

○シャルリーエブドが襲撃された時には「私はシャルリー」がパリの町を埋め尽くしたけれど、アルジャジーラが米軍の爆撃に遭った時には同様の現象は起きなかったって先生仰ってましたよね。何だかそれが思い起こされるんですよね。
返信する
悲劇は繰り返される (非同調者)
2015-01-25 05:53:05
 ミンボーの女という映画をご存じだろうか?

 相手の要求に応じる限り何度でも相手は要求を繰り返す。
 日本国内にイスラム国の要求に応じようとする同調者勢力がいる限り、湯川さんの悲劇は何度でも繰り返される。
 誘拐対象は幾らでも選び放題である。
返信する
一度俯瞰して見てはいかがですか? (モノ申す)
2015-01-25 19:59:37
つまりテロリストに屈しろってことですかね?安倍政権の是非はともかく交渉に応じ無いのは国際社会の一員として当然の事ですよ。ヨーロッパも米国もテロリストとの交渉に応じないと言うのが基本スタンスです。日本が2億ドル与えたところで、ISISはそれを新たな武器購入や兵員調達に充てるだけです。2億ドルの支援を取り下げ、中東を切り捨ててもテロリストには好都合。つまりより大勢が死にます。安倍憎しではなく少し冷静な発言をなさった方がいいと思います。
返信する
Unknown (アシタカ)
2015-01-26 01:51:23
2億ドル支援取り下げは、一考の価値有りの選択肢じゃない?2億ドル支援したところで多くの人命が奪われるのは同じだ。イスラム国側に支払うよりはマシ!
返信する
疑問… (Unknown)
2015-01-26 08:55:24
くだらないトピックですね。
腹が立って気分が悪くて仕方ない。

この迷惑な2人のために2億ドル支払えと?
安倍政権は何してると?

何を言っているんですか、こんな2人のために大金払うわけないでしょ!
こんなの11月からとっくに方針決まってますよ。
屈するわけないでしょ!
政府は何もしてないわけじゃない、当たり前の事です。
世界中から見ても当たり前。

僕も別にこの政府は好きじゃないけど、
今回のトピックには腹が立ちます。
世の中にはいろいろな考え方の人がいますが、歪んだ思想の人って多いんですね…。
返信する
Unknown (船橋のななっしー)
2015-01-26 18:12:02
テロリストが一番悪いにせよ、安倍の軽率さが悲劇を生んだのは紛れもない事実。誰が一番悪いかの問題ではない。安倍が死人の出るキッカケを作ったことが問題。
社会的な合理を優先し、人の命を疎かにするのが正しい判断ってなら、それはその人の頭が社会に乗っとられ腐った大人になっただけだと強く言いたい。
目を覚ませ。そこに助けられる命があるなら助ける方がいいに決まってる。
自分の恋人や家族だったら見捨てるか?
国の金は元々俺等の金だ。
それを軍事やつまらんダム建設や道路工事などに使われるくらいなら俺は人の命を救いたいね。
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rayこと宮武嶺です (raymiyatake)
2015-01-26 18:44:41
rayでは執筆者とわかりにくいので、7年目にしてコメント欄のハンドルネームを初めて変えることにしました。

よろしくお願いいたします。

ななっしーさんの熱いコメントに感動しました。
ray時代からのKAWAIさんや時々拝見さんの落ち着いたコメントと、新しく来てくださった未来さんや金城さんやななっしーさんのなんとも言えないほとばしるようなお言葉、アシタカさんの斬新な発想、ブロガー冥利につきます。

皆様、今後ともよろしくお願いいたします!
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