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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

原子力関連企業から1億円を受け取っていた原子力安全委員会を最高権威と持ち上げる橋下市長は信用できない

2012年05月11日 | 橋下維新の会とハシズム

(最初からやる気ゼロの原子力安全委員会)

 

 

 脱原発依存派のように普通には見られている橋下大阪市長ですが、関西電力大飯原発3・4号機の再稼働について、盛んに以下のようなツイートを流していたので、これは野田民主党政権に助け舟を出しているとすぐにわかりました。

 「原発の安全性については色々議論があるが、原子力安全委員会が安全と言えばとりあえずそれに従うと言うのもありでしょう。また原子力安全委員会が安全について疑問だと言っても、日本の電力不足を考えて政治が再稼働を決定することもありなんでしょう。その政治決定について最後は国民が判断すればいい」

 「そんな中で、今の日本のルールでは原子力安全委員会の原発の安全性についてのコメントが最高権威を持っています。政治家の安全性のコメントではありません。原子力安全委員会のコメントです。だから、原子力安全委が信用できるできないではなく、とにかく安全委のコメントが必要なんです。」

 大阪府市は大飯原発再稼働について厳しい8条件を突き付けたということになっていましたが、これでは、原子力安全委員会がゴーサインを出してしまえば、再稼働やむなしと認めるということになります。

 橋下市長は弁護士出身の政治家らしく、「安全委員会ンのお墨付きを取ってくれば反対しないよ」と、ちゃんと民主党政権に落としどころを示唆して助け舟を出しているのです(再稼働8条件も前提条件ではなくなり、いつの間にか8提言に格下げしてしまいました)。



 でも、原子力安全委員会に「原発の安全性の最高権威」なんてないことは明らかです。

 たとえば、今回の東京電力福島第一原子力発電所の事故で、放射性物質の広がりを予測する文部科学省の「緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)」というコンピューターシステムが「機能」しませんでしたが、その大きな責任は原子力安全委員会にあります。彼らは官邸にこのシステムがあることも知らせず、利用すべきだという進言もしませんでした。

原子力安全委員会と保安院の犯罪 90万人分のヨウ素剤が使われないまま福島の子ども達に甲状腺ガンの危険

 さらに、国の原子力安全委員会の作業部会は、甲状腺の被ばくを避けるヨウ素剤の取り扱いに混乱が生じたとして、今後も迅速な対応につながるか疑わしいとして、ヨウ素剤の服用を指示するかどうかの判断に予測システムは使わないことを決め、空気中の放射線量など別の指標を導入することになりました。

 自分たちが故意または過失で活用しなかったのに、今後は混乱を避けるため利用もしないなんて言語道断です。

 原子力安全委員会が今後原発事故でのヨウ素剤服用判断にSPEEDIを使用しない方針!の言語道断

 そんな原子力安全委員会に、原発の安全性の権威を認めるなんて、橋下市長の脱原発には魂が入っていないのは明らかです。



 さて、2012年5月10日付けのしんぶん赤旗の記事「班目安全委員長ら24委員に 原発マネー1億円 三菱重工業など24企業・団体」で、橋下市長が最高権威と評価する内閣府の原子力安全委員会や原子力委員会、経済産業省原子力安全・保安院の委員や審査委員として、中立的な立場で原子力行政に意見を述べる立場にある大学教授ら24人が、原子力関連の企業・団体から2006年度~10年度の5年間(一部は11年度分も含む)で計1億965万円の寄付を受けていたことが明らかになりました。


 寄付を受けた学者には、安全規制機関トップの原子力安全委員会・班目(まだらめ)春樹委員長をはじめ要職者が多数おり、原発マネーが日本の原子力の審査組織にまん延していることが浮き彫りになりました。

 原子力安全委員会(5人)では、班目委員長が委員就任前の2009年度まで原子炉メーカー三菱重工業から400万円を受領。代谷(しろや)誠治委員も、2団体から計320万円を受けていました。

 さらに同委員会内に設けられた二つの専門審査会では、12委員が寄付を受けていました。

こうした寄付は、企業や団体などから「研究助成」名目で大学を経由して、指定した教授らに届く仕組みです。まさに、原子力安全委員会などの委員も、原子力村の一員であることが明らかです。

 業界から寄付を受けた委員には、委員を兼任したり、会議の座長を務めるなど、要職者が目立ちます。



 橋下市長は、府市統合本部の「原発再稼働に関する8条件」については「(再稼働方針が決まれば)出しても意味がない。国民の皆さんに判断してもらいたい」と述べ、「民主党政権を倒すしかない。次の選挙で民主党政権には代わってもらう」と結局、政局の問題にしてしまいます。

 また、節電できないなら再稼働も仕方ないとか、節電のための増税を受け入れないなら再稼働も仕方ないとか、原発ゼロとか再稼働阻止が本当の目的ではないことが注意してみているとよくわかります。

 橋下維新の会は、単に原発問題をテコに注目を浴びて勢力を伸ばしたいだけなのでしょう。

 確かに、あれだけの事故があったのに脱原発と言えない野田民主党政権も、原発推進姿勢をやめない自民党も、センスが悪すぎます。

 原発ゼロをはっきり言う政治家が本当に少ないので、市民が橋下さんをなんとか信じたい気持ちはわかるのですが、脱原発は国民の生命、自由、幸福追求(憲法13条)のためにするものですから、人権蹂躙・憲法無視の橋下さんに期待しても裏切られるに決まっています。

 脱原発派は、原子力安全委員会同様、コロコロ王子こと橋下大阪市長と大阪維新の会も信じるべきではないと思います。



ほかの政治家がだらしなさすぎるので頼りになる政治家を求める気持ちはわかりますが。。。

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2 コメント

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Unknown (紫力)
2012-05-12 08:42:30
一つ気に入らないことがあるだけでその人を全て否定するのはいかがなものでしょう。

たとえ9の気に入らないことがあったとしても、1の気に入ることがあるならば、その1に対しては前向きの評価をすべきです。
返信する
やっぱり (kei)
2012-05-12 16:29:52
そう思います?

ですよね~。

本当にやり遂げてくれたら、見直すのですけれど。
返信する

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