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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

オバマ大統領 大統領選の渦中に、現職の米大統領として初めて公式に同性婚支持を表明!

2012年05月12日 | ジェンダーフリーと性的マイノリティの人権

 

 2011年7月にアメリカのニューヨーク州で同性婚が合法化されたことを朗報としてお伝えしました。

米ニューヨーク州で同性婚がついに合法化!!空前の結婚ラッシュ到来!

(晴れて結婚できた84歳と76歳の女性カップル。ハレルヤ!)
 


 今度は、バラク・オバマ米大統領は2012年5月9日、米ABCテレビとのインタビューで、米大統領として史上初めて同性婚を支持する姿勢を公に表明しました。

「私は最近結論に達した。私個人にとって、『同性カップルも結婚できるべき』との意見を踏み込んで主張することは重要なことだ」

 クリスチャンとしていかに同性婚支持の立場との折り合いをつけるかについて、オバマ大統領はミシェル・オバマ夫人と話し合ったことも明かしました。

「私たちは2人ともクリスチャンであり、この(同性婚支持の)立場は一部の人たちの見解と相いれないと見なされることもあるだろう。だがこれは同時に、『自分がしてもらいたいと思うような扱いを他人に対してもする』という黄金律に沿ったものだ」

 以前から同性カップルを強く擁護してきたオバマ大統領は、完全な形での同性婚については支持を表明していませんでしたが、同性カップルを親に持つ友達がいるという娘のマリさんとサーシャさんとの話し合いを機に立場が変化し始めたことを明らかにしています。

「娘たちにとって、友達の両親が違う扱いを受けているという事実は理解できないものだ。娘たちは納得ができない。実は、このことで考えが変わり始めた」

 家族と話し合ってこういうリベラルな決断に至ったという説明も素敵です。



 保守的な州も多いアメリカの大統領選挙では、同性婚を認めるというのは大きな賭けです。現にこれまではどの大統領も言えなかったのですから。

 しかし、立憲民主主義の真骨頂は少数者の人権尊重にあります。決して多数派の意見を多数決で全体の意見とすることが民主主義の本質ではありません。それは多数決民主主義と言って、歴史的には何度も独裁と人権蹂躙を招いてきました。

 徹底した討論の過程で少数者の人権をも尊重する慎重な決断をするのが、自由と人権保障を目的とする民主主義のあり方です。決定できる民主主義は気持ちよさげですが、危険なのです。

憲法記念日 自由と人権保障こそが民主主義の目的 橋下大阪市長の「決定できる民主主義」は危険だ


 オバマ大統領の今回の発言は、まさに立憲民主主義の良き伝統を示したと言えるでしょう。

 私はオバマ大統領を普天間基地移設押しつけやアフガン戦争続行やウサマビンラディン容疑者暗殺などで、散々けなしてきました。

 しかし、日本の消費税増税と原発再稼動に命を賭けるKY内閣総理大臣や、人権蹂躙・独裁指向のコロコロ人気政治家などに比べると、やっぱ、人類進歩の希望を感じさせます、オバマ大統領。

 かたや対抗馬のロムニー候補は高校時代に同級生をゲイだとしていじめた疑惑をワシントンポスト紙にすっぱ抜かれ、弁明に追われていることも、かえってアメリカという国の民度を感じさせます。

 セクシズムに抗する教育や女性権利省の創設、女男同数内閣、女男同額給与の推進などを打ち出したというオランド新フランス大統領と言い、近代市民革命の先駆者の両国、さすがだなあと思わざるを得ません。

ああ、羨ましい! フランス大統領選挙で勝利したフランソワ・オランド氏の格調高い歴史的な勝利演説


 実に子どもを持つ親の過半数以上が事実婚であるというフランスが少子化問題を克服したのに対して、夫婦別姓さえ達成できない日本が少子化まっしぐらであるという彼我の差にも愕然とします。

 同性婚を求める人もさることながら、たとえば日本で結婚してもなお別姓を貫きたいという人は「少数」でしょう。しかし、人は誰でも少数者の側面を持っています。人は誰も皆病み、そして老いるのです。

 少数者が生きやすい世の中は誰もが生きやすい世の中。それが子どもを作りたくなる世の中です。

 「少数者」とは数が少数であるという場合が多いですが、女性問題のように被差別者という場合もあります。

 人気取りのためにコロコロ発言が変わるクルクル・ポピュリズム王子みたいのじゃなくて、日本でも本格的な少数者の人権擁護の立憲主義政治家を待望します。

 私たちが産み、育てましょう。

 

 

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2012.05.10 Thu posted at: 09:43 JST CNN

(CNN) オバマ米大統領は9日に放映されたABCテレビのインタビューで、同性婚を支持すると表明した。現職の米大統領が同性婚支持を 表明したのは初めて。米国の国論を二分する問題をめぐり、大統領選で共和党の指名が確実になっているミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事と真っ向か ら対立することになる。

オバマ大統領はインタビューの中で、「私は同性婚のカップルも結婚できるようにすべきだと考えている。この考えをあえて表明することは、個人的に重要だとの結論に至った」と語った。

大統領はかつて同性婚に反対しており、伝統や宗教を重んじる立場への配慮から、「同性婚には慎重だった」と説明。しかし結婚の誓いを交わす同性カップルなどを目の当たりにして、考えが変わったとしている。

これに先立ちバイデン副大統領も6日のNBCの番組で同性婚を支持する考えを表明。一方、ロムニー氏はCNN系列局の取材に対して9日、同性婚反対の立場を改めて表明している。

調査機関ギャラップが8日に発表した世論調査では、同性婚を法律で認めるべきだとの回答が50%、認めるべきではないとする回答が48%と賛否が分かれていた。

この問題をめぐっては、8日に行われたノースカロライナ州の住民投票で、同性婚を禁止する内容の州憲法が承認されている。これについてオバマ大統領は、同性愛者に対する差別に当たるとして「失望」を表明したという。

大統領のインタビューは10日朝のABCの番組で放映予定。9日夜の番組では抜粋部分が放送された。 

 

 

 オバマ大統領、同性婚支持-再選にらみ初めて表明

【ワシントン】オバマ米大統領は9日、ABCテレビのインタビューで、これまでの方針を転換して同性婚への支持を表明した。11月の大統領選挙をわずか 半年後に控える中で賛否の分かれる同性婚問題に対する留保姿勢を変えたもので、政治的な意味合いの大きいスタンスを選択した形だ。

The White House

ABCテレビのロバーツ氏とオバマ大統領(9日)

 バイデン副大統領やその他数人の上級顧問が最近、同性婚に支持を表明。この結果、オバマ大統領も明確な立場を示すよう強い圧力を受けていた。オバマ大統 領は「個人的見解」として、同性愛者同士が結婚する権利を持つべきだと考えていると述べた。同大統領は、数年間にわたって友人や家族と話し合ったり、軍の 同性愛者や、同性カップルで子育てをしているスタッフのことを考えたりして、こういう考えに至ったと説明した。 

 オバマ大統領はABCテレビ番組「グッド・モーニング・アメリカ」でキャスターのロビン・ロバーツ氏の質問に対し、「わたしはこの問題で進化してきた。 米国のゲイやレズビアンが公平かつ平等に扱われるべきだとの考えは常に変わらなかった」と述べた。その上で「ある時点で結論に到達した。それは個人的な見 解で、同性愛者が結婚可能であるべきだと考えていると公に認めることが重要だという結論だ」と話した。 

 オバマ大統領は2008年の大統領選挙当時、同性婚には反対だが、シビル・ユニオン(同性間のカップルに適用される婚姻に類似した関係)は支持するとい う立場を取った。2010年の秋には、同性婚に対する自分の考えが「進化しつつある」と述べ、同性婚支持へ傾いていると解釈されていた。その後、立場が変 化したかという質問を幾度となく受けていたが、そのたびに回答を避け、その他の同性愛者の権利擁護の実績を強調していた。 

 オバマ大統領は「これまで同性婚の支持をためらっていたのは、シビル・ユニオンで十分だろうと考えていたことも一因だった」と述べ、「わたしはまた、 『結婚』という言葉が多くの人々にとって極めて強い伝統や宗教的信念などを想起させることに神経質になっていた」と語った。 

 同大統領がこのような政治的に慎重な立場を持続できなくなったのは、ここ数日間のことだ。それは、バイデン副大統領やその他のオバマ政権幹部が同性婚支持の立場を示したことが少なからず影響した。 

 同政権高官によると、オバマ大統領は今年に入り、9月の民主党全国大会より前に同性婚の支持を表明したいと意を決していたが、バイデン副大統領の発言や その反響を受けて表明の時期が早まった。ホワイトハウスは、オバマ大統領がテレビのインタビューで同性婚支持を表明することを8日午前に決めたという。 

 大統領の同性婚支持表明に先立ち、秋の民主党全国大会の主催州であるノースカロライナ州の有権者は8日の州民投票で、結婚は男女間に限るとした同州憲法改正を圧倒的多数で承認したばかり。 

 世論調査では、同性婚に対する見方は他のどんな社会問題よりも急速にシフトしているものの、同性婚の禁止を採用している州は約30州ある。 

 このためオバマ大統領の同性婚支持表明は、今年の大統領選挙に潜在的なリスクになり得ると同時に、恩恵をもたらす可能性もある。 

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニューズが3月に実施した世論調査によると、同性婚を支持する米国人の比率は49%と、09年の41%から上昇した。反対と回答した比率は40%程度だった。 

 アフリカ系米国人(黒人)の同性婚支持率はこれまで比較的低かったが、変わりつつある。WSJの3月の世論調査によると、黒人の同性婚支持率は09年の32%から50%にまで上昇した。オバマ大統領の再選に向けた選挙活動でカギを握るのは黒人だ。 

 また同大統領の同性婚支持表明は若い有権者を活気づける可能性がある。若い有権者は大差で同性婚を支持しており、WSJの調査によれば、18~34歳の 同性婚支持率は57%に達する。ABCテレビのロバーツ氏はインタビュー後のリポートで、同大統領が同性婚支持表明にあたり、娘のマリアさんとサーシャさ んから影響を受けたと話していたことを明らかにした。 

 しかしオバマ大統領の立場は、共和党の大統領候補指名を確実にしているミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の立場と真っ向から対立する。ロムニー 氏は結婚は男女間に限るべきだと述べており、今週改めてその立場を強調した。シビル・ユニオンにも反対の立場で、結婚を男女間に限ると限定するよう憲法を 修正することを支持している。 


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1 コメント

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オバマ大統領の説明が良いですね (村野瀬玲奈)
2012-05-13 23:07:14
この話を見て思い出したのは、フランスで死刑が廃止された時の話です。1981年、フランスの死刑についての世論は死刑存置派が60%を超えていましたが、当時のミッテラン大統領は大統領選で死刑廃止を公約の一つに入れて選挙に勝ち、大統領になってから文句のつけどころのない手続きを経て死刑を廃止しました。

世論が必ずしも好意的ではなくても、平等、人権、自由といった民主的価値に沿った政策は政治的意思によって進められるべきだというのが民主主義であり、歴史の進歩だと考えます。

この場合について言えば、同性婚が異性婚の人々の社会的立場や生活を侵害するわけでもなく、「多数派」である異性婚の人々の意思で「少数派」である同性婚賛成者の人々の幸福追求権を妨げてよいとは思えないのです。

私はオバマ大統領のこの意思表明を強く支持します。「『自分がしてもらいたいと思うような扱いを他人に対してもする』という黄金律に沿ったものだ」、「娘たちにとって、友達の両親が違う扱いを受けているという事実は理解できないものだ。娘たちは納得ができない。実は、このことで考えが変わり始めた」という説明もとても説得的だと思います。

この記事、BLOGOSに転載されていますが、コメント欄に残念なコメントが多いのが残念です。

それから、私のフランソワ・オランド氏の女性政策についての記事のURLとしては、トップページではなく、
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-3426.html
の方がよいと思います。
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