電通で入社一年目の女性社員が過労自殺をしてしまった件をきっかけに、安倍政権が盛んに言い始めた「働き方改革」。
ところが、この働き方改革が厚労省の過労死ラインを超えた「働き方」を認めてしまっていて逆効果なのです。
現在、労基法が定める法定の労働時間は、1日8時間、週40時間ですが、労基法36条に基づいて労使が「36協定」を結び、さらに特別条項をつければ、事実上、24時間働かせてもOKとなっています。
「働き方改革」を看板に掲げる安倍首相は、残業時間に上限を設ける法案を提出する予定ですが、これがありえないことになっています。
安倍政権は「年間で月平均60時間まで」としていますが、繁忙期は残業を「100時間」まで認め、さらに「2カ月連続80時間」もOKとしているのです。
電通で過労死した女性が働いた時間数が月100時間の残業でしたから、安倍政権は過労死や過労自殺を認める基準を公に認めてしまっていることになります。
月80~100時間は厚労省が以前から認めている過労死ラインです。
厚労省は、過労死の労災認定基準となる残業時間について①脳や心臓の疾患が発症する前の1カ月間に100時間②発症前の2~6カ月間で月当たり80時間超――と規定しています。
それなのに、繁忙期は100時間だの、二カ月連続で80時間だのの残業を認め、これが基準となってお墨付きを与えられたら、過労死や過労自殺が激増するのは間違いないでしょう。
なにが働き方改革か。
しかも、「残業時間上限法案」を提出するとしながら、労働時間ではなく成果に応じて賃金を払う「脱時間給制度」、いわゆる「残業代ゼロ法案」も同時に成立させる方針なのですから、話になりません。
要は江戸時代と同じで、生かさぬよう殺さぬように労働者を働かせようというのが安倍内閣の姿勢です。
安倍政権のアメと鞭というか、毒饅頭ですね。アメや饅頭の部分があるのかもわからないくらい。
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残業月100時間容認の政府原案 「過労死ライン」民共批判
2017年2月3日 東京新聞朝刊
政府が取り組む「働き方改革」の焦点となる長時間労働の規制を巡り、最大月百時間まで残業を認める政府原案に対し、二日の衆院予算委員会で民進、共産両党が「過労死ラインと同じだ」と撤回を求め、政府を追及した。
政府原案は残業時間の上限を年間で月平均六十時間とし、企業の繁忙期には、月百時間まで残業を認める内容。
民進党の大西健介氏は厚生労働省が「一カ月で百時間超の残業」または「二~六カ月平均で月八十時間超の残業」を過労死につながる脳・心臓疾患の労災認定基準として定めていると指摘。政府原案について「過労死するまで働かせてもOKだという間違ったメッセージを発することにつながりかねない」と批判した。
共産党の笠井亮政策委員長も政府原案に対し「『過労死ラインぎりぎりならよい』と言ったら、リスクが高まるばかりだ」と指摘した。
これに対し、安倍晋三首相は「最低限(過労死の)労災認定基準をクリアする(超えないようにする)といった健康の確保を図る」と説明。厚労省が定める基準の範囲内に収まれば、規制のレベルとして問題ないとの考えを示した。同時に首相は「誰に対して何時間の上限とするかが非常に重要だ。粗雑な議論はできない」と強調した。
政府は、今月中旬にも開かれる働き方改革実現会議の会合に上限規制の正式案を示し、労使代表などの委員と本格的な議論を進める方針だ。 (中根政人)
父親が育児するなら残業は「EU並み月32時間」に!
2017年2月3日 毎日新聞 藤田結子 / 明治大商学部教授
働き方改革を巡り、残業時間の上限を年間で月平均60時間(年間12カ月で計720時間)にして、繁忙期は最大で月100時間まで認める方向で政府が最終調整に入ったという報道がありました。長時間労働の見直しは働き方改革の目玉の一つとされています。
残業時間の上限については、経済成長や企業の利益、労働者の健康に関わる数字を検討しながら議論されています。しかし、育児や介護との関係については、「両立できることが重要」と言及される程度です。
しかし、母親たちから見ると、残業時間は父親の育児時間を奪う「敵」です。「育児に必要な生活時間」という観点をもっと取り入れてほしいものです。
そこで、残業が月100時間▽月60時間▽欧州連合(EU)並みの月32時間--の三つのケースで、父親がどれだけ幼児の育児に関われるのかを検証します。共働き家庭の実例をもとに、夕方6時以降の状況がどうなるかを見てみましょう。
月100時間残業--育児はおろか家事も無理な過労死レベル
まず月100時間の残業の場合。月20日間働くとして、8時間勤務プラス5時間の残業で、朝8時始業なら休憩1時間を入れて、仕事は夜10時ごろ終わります。通勤時間を1時間とすると、子供が寝た後の夜11時ごろ家に帰り着きます。
神奈川県に住む田中哲也さん(40代仮名)のケースは、これにあてはまります。哲也さんはマスコミの仕事をしています。帰宅は毎日午前0時近くで、2歳の娘の寝顔を見るだけです。
会社員として接客の仕事をしている妻の優子さん(30代仮名)は、「たまには早く帰ってきて育児をして」と何度も頼みました。しかし哲也さんは「責任のある仕事をしているから早くは帰れない。俺は仕事をがんばるから育児は頼む」と言って、早く帰ろうとしません。
しかし、働いているのは哲也さんだけではありません。優子さんも時短勤務ながら仕事をがんばり、しかも育児家事を一人でやっているのです。朝早くから夜遅くまで休む暇はありません。夫婦で何度か話し合いましたが、哲也さんは「昇進をあきらめることはできない」の一点張りで、けんかが絶えませんでした。
仕事第一で、優子さんのつらさを理解しようとしない哲也さんを、優子さんは信頼できなくなりました。結局2人は別居し、哲也さんが養育費を振り込んでいます。優子さんは今、一人で働きづめです。哲也さんが早く帰宅できていたなら、言い争いも別居もなく、家族そろって暮らせていたでしょう。
月60時間残業--寝かしつけ時に帰宅して超じゃま
次に月60時間の残業です。1日あたり3時間の残業で、朝8時始業なら休憩1時間を入れて、夜8時ごろ仕事が終わります。夜9時ごろに家に帰り着いた時、何が行われているでしょうか。
そうです、子供の寝る準備です。1歳~6歳の幼児の就寝時刻は「夜9時が5割」という調査結果があります(厚生労働省の2010年度幼児健康度調査報告)。
東京都に住む会社員の渡辺誠さん(30代仮名)は、だいたいこの時間帯に家に帰ってきます。介護関連の仕事をしている妻の美紀さん(30代仮名)は、夕方6時ごろ保育園に子供を迎えに行き、帰ってからは休む間もなく食事とお風呂の世話をします。
そして夜9時。寝ようとしない子供たちを布団に入れ、絵本を読み聞かせ、やっとウトウトしかけたとき、誠さんが玄関を開ける音が。子供たちは、「パパ!」と目を覚まします。美紀さんの努力は水の泡。また一から寝かしつけをしなければならず、キレそうになります。
誠さんが着替えている間に、美紀さんは作り置きの食事を温めます。誠さんが食事をした後、2人で分担して皿洗いや洗濯ものにとりかかります。
平日の子供の世話はすべて美紀さんが担当しています。外で介護の仕事、家で子供の世話と、1日中休むことなく誰かのケアをして、疲れ切っています。
政府が検討している月60時間の上限まで残業する父親は、平日子供の世話をすることはほぼできません。保育園のお迎えは夕方5時から7時ごろまでですし、その後、食事や入浴の世話が続きます。寝かしつけをする夜9時ごろまでに父親がどれだけ早く帰ってこられるか、という新たな視点が必要なのです。
EUと同様の月32時間残業--子供と一緒に余裕で夕食
ヨーロッパの場合はどうでしょうか。EUが定める「労働時間指令」は、時間外労働の上限を1週間8時間としています。月4週として計算するとおよそ32~35時間です。この基準だと、1日の残業は1~2時間程度なので、朝8時始業なら夜6時か7時には会社を出ることができます。子供と一緒に夕食を食べられます。
日本では依然として、「長時間労働を規制すると経済成長を妨げる」という意見があります。しかし、時間当たりの労働生産性(単位USドル)を国際的に比べると、2015年でフランス66、ドイツ66、英国52--なのに対し、日本は42です(公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2016年版」)。時間当たりの生産性を高め、労働時間を減らす時期が来ているのは明らかです。
「残業を規制するとサービス残業が増える」という心配もあるので、問題を一つずつ解消しながら、最終的には「月60時間」より大幅に下げるべきでしょう。せめて「残業月45時間」まで下げられれば、父親も平日に育児を分担しやすくなるはずです。女性は子供を産みやすくなるし、働きやすくなります。なにより、子どもにとっては父親と一緒に過ごす時間が増えます。
立法の現場にいる国会議員や官僚は、気安く100時間、60時間という数字を出してきますが、育児の実情は気にとめていないのでしょうか。企業や経営者の利益、都合ばかり優先せずに、育児や介護に必要な生活時間を考慮して、残業時間の上限を決めてほしいと強く願います。
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を持っているように見えるのに対して、日本の経営者は、会社のためであれば労働者の権利を蔑ろにしても
止む無しとしていて、労働者に対する敬意など持っているようには見え無い。更には、労働者とは契約による雇
用関係でしかないのに、労働者を経営者側の言いなりなる手下ぐらいの感覚でしか考えていない人間が多す
ぎる。
労働者を如何に安い賃金で多くの成果を上げさせようとするのが経営側の命題。とは言え、主人に忠誠を尽くす事、
滅私奉公を美徳とする古い考えが日本人のメンタリティとしてこびりついている限りは、本当の意味での働き方
改革など出来やしない。自民党に本当の意味で労働者を保護出来る労働改革など永遠に出来ないし、経営側
との馴れ合い組織でしかない連合のポチである民進党でさえ、そんな政策を推進するかどうかさえ実に怪しい。
外国からの圧力が無い限りは、労働者本位の働き方改革など出来ないだろう。
国民は早く自民党が最悪の政党であることに気づいて欲しいですね
どうせ経営サイドの遣い人でしかない神津ですが(組合によって差異はあるのでしょうが)、今回提出の案が通ってしまえばもう労組なんて不要ですな。
雇用口も給料も労働条件も全てにおいて、日本の労働者には過酷な未来が待っているでしょう。現代の奴隷制。
派遣法が成立し、次々と派遣の対象が増えていったとき、TVでは「いろんな働き方があるよねー」とやっていた。実態は「いろんな働かせ方があるよねー」だった。
派遣労働者が増え、貧困が蔓延し、貧富の差が拡大していった。「格差」なんてわかりにくい言葉でごまかさず、「貧富の差」とはっきり言え。
労基法をはじめ、労働三法がしっかりと守られていれば、過労死も、少子化もないはずなのに。
学校で、法律を教えるだけでなく、実態との乖離とその解決策までしっかりと議論させなくちゃだめだ。
でも、レンゴーにどっぷりつかっている教組ではだめか。組合に入らない教師が、信念を持って入らないならいいが、「組合?くさっ。」といった感じで入っていないから余計にたちが悪い。
こう書いていると、絶望感がいっぱいに。
真実をどう伝え、反安倍政権の波をどう広げていくか。
このブログへのコメントも、一つの力になっていると信じています。
増え続ける外資系企業と外国人投資家の為に、限界まで働かせるつもり。
ウヨちん、解ってる?本当の「敵」は日本国民が盗まれた仏像に目を奪われているいる間に日本からもっと価値の有る大事な色んなものを奪って行ってるのですよ。
経団連会長、脱時間給制度「働き方改革の柱」
(2017/1/1 0:00日本経済新聞 電子版)
経団連の榊原定征会長は日本経済新聞などとの新春インタビューで、労働時間ではなく成果に応じて給与を決める「脱時間給制度」の導入が「働き方改革の重要な柱だ」と述べた。経済・外交面では米国を重視し、自由貿易の重要性を訴える考えを強調した。
――2017年の日本経済の見通しは。
「16年後半から回復の兆しが出てきた。トランプ次期米大統領は産業促進的な政策で米国経済を強化する。ポジティブな要因に期待」(引用終わり)
ツイッターで話題に:経団連「正社員を解雇して派遣会社に登録させて派遣社員で再雇用したい」
日雇い派遣禁止、見直しを 経団連が規制改革要望案
(朝日新聞デジタル版 2016年10月8日05時02分)
経団連がまとめた今年度の雇用分野の規制改革要望案で、「日雇い派遣」の禁止の見直しや、グループ企業内の派遣規制の廃止などを求めていることが分かった。いずれも民主党政権時代に、不安定な派遣社員の立場を改善するため規制を強化した項目だ。(引用終わり)