愛知県で開かれた東日本大震災の被災地を応援する花火大会で、放射能への不安から福島で作られた花火の打ち上げを中止しました。
愛知県の日進市役所などによりますと、9月18日夜に行われた花火大会で、「復興」と題して福島県川俣町の業者の花火約80発が打ち上げられる予定でした。
しか し、折り込み広告などで計画を知った市民などから、
「放射能汚染を科学的に確認しないまま打ち上げるのか」
などと抗議のメールや電話が二十数件、相次いだことから、愛知県内の業者の花火に差し替えられました。
市や商工会などで構成する実行委員会は、花火が室内で保管されていたことなどから、予定通り実施する考えでしたが、大会前日に福島県の花火の打ち上げの取りやめを決め、宮城県と岩手県の花火は予定通りに打ち上げられました。
日進市・萩野幸三市長は
「福島県の皆さんをはじめ、多くの福島県を応援して頂く皆さんに、結果として迷惑かけたのかなという思いは今もあります」
と話しておられると言うことです。
福島で作った花火が打ち上がったら、下で見物しているお客さんが被曝しますか?
同じようなことがこれまでも何度もありました。
京都の送り火で岩手の薪の使用が中止になったり、福岡では福島産の加工品を扱う応援ショップが出店中止になったりしています。
町村泰貴北海道大学法科大学院教授は、こういった心の動きを、「穢れ」意識と表現されましたが、言い得て妙だと思います。
平泉大文字送り火:被災家屋の木材使用 京都五山の送り火は陸前高田の薪使用中止
過度の穢れ意識、強迫神経的とも言える潔癖症。
そして、逆にこのことが報道されると、また目をつり上げて日進市に抗議の電話やらメールやらをする人も出てくるのが目に浮かぶようです。
震災からの本当の復興は、心の復興である、と日本列島に住む多くの人が感じてはいると思うのですが、どうも大震災や福島原発事故で大きな被害を受けた被災者の方々よりも、少し離れたところにいる我々の方が、心の健康を害しているのかもしれません。
「復興」しなければいけないのは、我々の心のほうのようです。
すこし心にゆとりがないと、花火の美しさも沁みてこないですよね
東日本大震災から半年 本当の復興とは被災者の幸福追求権を保障すること
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東日本大震災の被災地復興などを願って打ち上げられた花火=日進市役所前で |
恒例の「にっしん夢まつり」(中日新聞社など後援)が18日、日進市役所周辺であり、家族連れなど11万人が詰めかけた。愛好家グループが鳴子踊りなどを披露。花火大会では東日本大震災の被災地復興を願って、東北の花火など計2000発が打ち上げられた。
青年会議所や市職員、市民有志らでつくる花火実行委員会と市商工会の主催。今年は花火のテーマの一つに被災地復興を掲げ、被災地から日進に移ってきた人たちを特別観覧に招待、18人が参加した。地元の花火とともに岩手、宮城県の花火も打ち上げた。
仙台市で自宅が半壊し、6月に家族で日進市に引っ越してきたという男性会社員(34)は「こちらの生活にもやっと慣れてきたところで、招待はありがたい。被災地から来た別の方と知り合うこともでき、楽しかった」と笑顔で語った。
日中は市内外の39グループが、踊りやチアリーディングなどを披露。ご当地アイドルユニット「TKN24」もデビュー出演を果たした。地元特産品や各地のB級グルメなどを出す屋台も並び、終日多くの人でにぎわった。 (坪井千隼)
福島産花火風評被害で打ち上げ中止
日
原発事故の風評被害が、ついに花火にまで広がった。愛知県日進市で18日夜に行われた花火大会で、福島県川俣町で作られた花火の打ち上げを、放射性物質の拡散を心配する市民から苦情を受けた実行委員会が中止していたことが19日、分かった。「にっしん夢まつり・夢花火」というイベントで、川俣町の菅野煙火店製の花火80発を打ち上げ、東日本大震災の復興を支援する意向だった。日進市役所にはこの日、全国から苦情の電話が相次いだ。 日進市の花火大会では、東北被災3県の花火を含め、計2000発の打ち上げを予定していた。このうち菅野煙火店製の80発の花火を愛知県内で製造された花火に差し替えた。岩手、宮城両県の花火は予定通り打ち上げられた。日進市役所ではこの日午後、全国から約40件の電話を受け、約7割が「どうして福島産の花火を打ち上げなかったのか」などの苦情だったという。同市産業振興課の担当者は「今日(19日)は祭りの後片付けをする予定でしたが、午後は苦情の処理をしています」と話した。
16日の新聞紙上で福島県の花火の打ち上げ予定を知った市民から「汚染された花火を持ち込むのか」などと、電子メールや電話が市に寄せられた。市や商工会で構成する実行委員会が打ち上げ中止を決め、17日に萩野幸三市長(69)に伝えた。市は「苦渋の選択だったが、市民が不安を感じる状況で打ち上げは難しい」と判断。萩野市長は「抗議が相次ぎ打ち上げられなかったことは残念。福島の皆さんには深くおわび申し上げたい」と語った。
菅野煙火店がある川俣町の一部は原発事故による計画的避難区域に指定されているが、同店は区域外の低線量地域にある。菅野忠夫社長(77)は「悔しい思いでいっぱい。福島から愛知に避難されている人も多いと聞き、花火を見てもらって元気づけたかった」と無念そう。従業員の1人は「明治時代からやっている店ですけど、打ち上げ中止なんて初めて。今年の夏以降は、いつも通りに全国に出荷しているのに」と信じられない様子だった。花火は食品のように体内に入るものではないため、放射性物質の飛散を恐れて打ち上げをやめるのは、行き過ぎた反応という見方が強い。実行委員会はこの日の会合で、福島の花火80発を買い取ることを決定。今後の検査で放射性物質が検出されなければ来年の大会で打ち上げる意向を固めた。問題が1年も先送りされるところに風評被害の根深さを感じさせた。
[日刊スポーツ 2011年9月20日8時42分 紙面から]