Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

古賀茂明氏 フジのレポーターに「戦わないって決めたら、戦う人を追い詰めるために質問するんですか?」

2015年04月17日 | 社会とマスコミ

よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!

人気ブログランキングへ人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へほんブログ村

 

 

 2015年4月17日午前、NHKの堂元光副会長と、テレビ朝日の福田俊男専務とが、のこのこと自民総本部に行ってしまったそうです。

 自民党は両局の報道番組の内容に問題があったとして、党の情報通信戦略調査会にこのNHKとテレビ朝日の幹部2人を呼び、事情を聴きました。

 今日の情報通信戦略調査会で川崎二郎会長は

「2つの案件とも、真実が曲げられた放送がされた疑いがある」

と述べました。

 聴取の対象は、NHK「クローズアップ現代」でやらせがあったと指摘されている問題と、テレビ朝日「報道ステーション」で3月末、コメンテーターの古賀茂明氏が、番組降板をめぐり、「官邸からバッシングを受けてきた」」などと発言した件です。

 しかし、政権与党が、個別のテレビ番組の放送内容について説明を求めるのは、おそらく戦後の政治史上、テレビ開局以来初めてのことです。これは、それくらい重大なことなのです。

 なぜなら、政権についている与党が、ある特定の報道内容を問題にして、テレビ局の幹部を呼びつけて聴聞するというのは、報道の自由に対する重大な侵害になるからです。

 テレ朝とNHKは断固として出席を断るべきでした。

テレビ朝日とNHKは報道機関である以上、自民党の事情聴取には応じるべきでない。他のマスコミは援護を!

 

 

 自民党のやった行為は、憲法が保障する基本的人権である報道の自由を侵害する憲法違反の行為であり、同時に、放送番組が誰からも干渉・規律されないことを規定する放送法3条の違反に当たります。

放送法

(放送番組編集の自由)

第3条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。
 
 どうですか?
 
 これほどあからさまに法律の明文に反した違法行為はないと思いませんか?

 そもそも、日本では、放送局に対する免許を政府機関である総務省が直接付与する制度を取っています。ですから、放送局が政府や与党に対して弱い立場に置かれているとのです。

 政権与党が、自分たち政府を批判するコメントが流れたと言って番組についてテレビ局幹部を問い詰めることがありうるとしたら、もはやテレビ局はこの恫喝に怯えて、萎縮して、まともな放送を作ることができなくなります。

 また、一回脅されれば、二度と自民党が問題にするような番組は作らなくなるでしょう。

 このように表現する側が過剰に委縮する「表現の自由の萎縮的効果」は大変深刻なもので、報道機関が十分に報道できなくなることで、逆に情報の受け手である国民の受け取る情報は質・量ともに劣化してしまうので、国民の基本的人権である知る権利まで侵害されるのです。

 ですから、テレ朝とNHKは是が非でも自民党の出頭要請を拒絶すべきでしたし、全マスコミはあげてこの政権与党の暴挙に抗議すべきだったのです。

 


 ところが!

 まんまと出頭してしまったテレ朝の福田専務は、この会合後、記者団に

「経緯や事実関係について、誤解が生じていたら困ることもあるので、良い機会として出席した

と述べたのです。

 報道の自由が侵害されるのに、選りによって、良い機会とは!

 このジャーナリズム精神の貧困、枯渇、劣化はどうでしょうか。擁護しようとしたこっちがやる気をなくしそうです。ちゅうか、テレ朝のために論陣張ってるんじゃないから。日本の基本的人権保障のためだから。テレ朝なんてもう知らん。


 さて、問題となった「報道ステーション」で官邸からの圧力を訴えた古賀茂明氏はこの聴聞会の前日の4月16日、日本外国特派員協会で会見し、やはりテレ朝とNHKは出席を拒否すべきだと訴えました。

 古賀氏は、外国人記者からNHKとテレビ朝日が自民党に呼び出しを受けている点について質問されると、

「NHKとテレビ朝日には、自民党の呼び出しを断ってほしいといったが、実際に両局が自民党の求めに応じる構えなのは「怖い」という感覚があるだろう」

「丁寧な言葉による聴取になるだろうが、集団リンチ的な状況が起こりうるのではないか」

と危惧の念を示しました。

 正論ですし、当然の予想です。

この会見の全文書き起こしは、BLOGOS 【詳報】「メディアのトップが権力に擦り寄っている」古賀茂明氏が会見



 この記者会見終了後、席を立って会場をあとにしようとする古賀氏を取り囲み、日本のマスコミ関係者がカメラとマイクを向けて取材を行ないました。

 このなかで、フジテレビの女性レポーターと古賀氏との間でこんなやり取りがあったそうです。

古賀:要するに、こういう状況の中で、(テレビ局幹部)を呼んで・・・何を聞くんですかね? 想像されましたか?

フジテレビ:一つひとつの内容について確認をしたいと・・・。

古賀:どうして、自民党が確認する必要があるんですか?  言ってみてくださいよ。

フジテレビ:先ほど会見の中でもおっしゃられていたように、圧力をかける側は圧力だと思っていない前提で、きっと呼んでいるだと思います。

古賀:いやいや。圧力をかける側は、相手がどう思っているのかを考えながら行動すべきだ、と私は言っているんですよね。あなたたちは一生懸命、政権側に立って、質問されているでしょう。それが僕には、全然理解できない。あなたは(政権と)戦う気はないんですか。

フジテレビ:それは時と場合によると思いますけど。

古賀:時と場合?

フジテレビ:はい。

 

 

 

古賀:じゃあ、戦わないって決めたら、そうやって戦う人を追い詰めるために質問するんですか? これ全部、(他のカメラも)撮ってますよ。あなたもね。

フジテレビ:一つ申し上げると、古賀さんが自分の主張を、テレビ朝日の「報道ステーション」で披露というか・・・番組内で話された。見ている視聴者はいろんな方がいらっしゃるわけで、古賀さんの立場や主張にまったく興味のない方もいると思うんですね。

そういう方たちに対して、誰が見ているかわからないところを使って・・・というのはどう思われますか?

古賀:あなた、自分が言っていることがおかしいとわかりませんか?自分で自分を笑いそうになりませんか?

フジテレビ:いえ、それはそう思います。

古賀:いろんな意見を持っている視聴者がいるから、関心がある人もいれば、いない人もいるんですよ。だけど、私は呼ばれて、「自分の意見を言ってください」ということですから、言っただけです。

 


 特にフジが保守的だから、とか、このレポーターさんの出来が悪い、とかそういう問題じゃないのでしょう。テレ朝の専務だってさっきご紹介したような体たらくですから。

 しかし、古賀さんの立場や主張に興味がない視聴者もいるから発言すべきでない、って聞くフジの質問には私も呆れました。フジの人自身も笑っちゃうらしいですがw

 いや、笑ってる場合じゃなくて、これは無意識のうちに古賀氏の足を引っ張ろうとしているからこんな無茶な議論をふっかけているわけですよね。

 まさに、古賀氏が言う、戦わないと決めたら、戦う人、闘う人を追い詰める姿勢が如実に表れているわけです。

 でも、これ、実社会でもよくありません?会社や学校でありそうなことじゃないですか。

 戦わないと決めたら、戦っている人に対して劣等感を持つじゃないですか。戦わないことの自己正当化が必要になりますよね。だから、戦う人の足を引っ張ったり、重箱の隅をつつくようにスキャンダルを探したりする。

 マスコミの劣化の原因は、寄らば大樹の陰とばかりに強いものになびくこと、そして、戦わないと決めたら戦う人を叩くということなんだなということがよくわかったやり取りでした。

 今回の自民党の報道の自由侵害について、自分で意見を述べて社説を書いたのは末尾にご紹介した北海道新聞と琉球新聞、南北の地方紙だけでした。あとは古賀氏がどう言ったこう言った、という内容のものばかりです。

 一会社とは言え大組織ばかりのマスメディアが、一個人の奮闘によりかかるだけで記事作っていてどうするんですか。

 自分の足で立ち、自分の言葉で戦ってください。マスメディア、ジャーナリストの皆さん。



皆さんもそれぞれの持ち場で。それぞれの闘いを。

よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!

人気ブログランキングへ人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へほんブログ村



古賀氏一人が気を吐く現状。しかし、カリスマ性のある一個人をヒーローにして頼っていたら、その人がこけたときどうするのか。

菅官房長官が一番問題な「古賀茂明vs古館伊知郎報道ステーション事件」 しかしあえて「リベラル派」批判

 


古賀茂明氏、フジテレビのレポーターと公開問答「あなたに批判される謂われはない」

テレビ朝日の「報道ステーション」のコメンテイターを降板した元経産省官僚の古賀茂明氏が、最後の出演時に「官邸から圧力があった」と発言したことが、メディアや政界を巻き込んだ大きな問題へと発展している。

自民党は4月17日、テレビ朝日の幹部を呼び出して事情の説明を求めた。報道によると、同党は、古賀氏が番組内で菅義偉官房長官を名指ししたことを問題視して、放送倫理・番組向上機構(BPO)への申し立ても検討しているという。

一方の古賀氏は前日の16日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いて、外国メディアの記者に向けて、「政権から圧力がかかることで、マスメディアの萎縮が起きる」という懸念を示していた。

 

●会見後の古賀氏に日本のマスメディアが取り囲んだ

 

この記者会見には、日本の新聞やテレビの記者も取材にきていた。会見中は特に質問することもなかったマスメディアの記者たち。だが、会見終了後、席を立って会場をあとにしようとする古賀氏を取り囲み、カメラとマイクを向けて取材をおこなった。

このなかで、フジテレビの女性レポーターが、多様な視聴者がいるテレビ番組で、降板の理由として「官邸の圧力」と訴える必要があったのかと問いかけた。これに対して、古賀氏は「私を応援してくれる人に本当のことを伝えるために言った」「あなたに批判される謂われはない」と反論した。

この日の記者会見と囲み取材の様子は、インターネット動画サイト「ニコニコ生放送」でも生中継されていた。古賀氏と女性レポーターはどのような問答をおこなったのか。以下、そのやりとりを書き起こして紹介する。

 

●「戦う人を追い詰めるために質問するんですか?」

フジテレビの女性レポーター(以下、フジテレビ):先ほど、明日(4月17日)の自民党からの聴取について、「集団リンチのような状況になることもある」と非常に強い言葉を使って、説明されていましたが、その真意をもう一度お聞かせください。

古賀:自民党がそもそも、あんなことをすること自体が異常だと思いますよね。世界中に恥をさらすことになると思います。今日これだけ、海外メディアの方が関心をもっている中で。

僕は正式な発表を見ていないので、もしかしたら、やらないんじゃないかなとさっきまでは思っていました。みなさんはやると思っておられるかもしれませんが・・・。僕は確認していないので、あれなんですけども。

要するに、こういう状況の中で、(テレビ局幹部)を呼んで・・・何を聞くんですかね? 想像されましたか?

フジテレビ:一つひとつの内容について確認をしたいと・・・。

古賀:どうして、自民党が確認する必要があるんですか?  言ってみてくださいよ。

フジテレビ:先ほど会見の中でもおっしゃられていたように、圧力をかける側は圧力だと思っていない前提で、きっと呼んでいるだと思います。

古賀:いやいや。圧力をかける側は、相手がどう思っているのかを考えながら行動すべきだ、と私は言っているんですよね。あなたたちは一生懸命、政権側に立って、質問されているでしょう。それが僕には、全然理解できない。あなたは(政権と)戦う気はないんですか。

フジテレビ:それは時と場合によると思いますけど。

古賀:時と場合?

フジテレビ:はい。

古賀:じゃあ、戦わないって決めたら、そうやって戦う人を追い詰めるために質問するんですか? これ全部、(他のカメラも)撮ってますよ。あなたもね。

フジテレビ:一つ申し上げると、古賀さんが自分の主張を、テレビ朝日の「報道ステーション」で披露というか・・・番組内で話された。見ている視聴者はいろんな方がいらっしゃるわけで、古賀さんの立場や主張にまったく興味のない方もいると思うんですね。

そういう方たちに対して、誰が見ているかわからないところを使って・・・というのはどう思われますか?

古賀:あなた、自分が言っていることがおかしいとわかりませんか?自分で自分を笑いそうになりませんか?

フジテレビ:いえ、それはそう思います。

古賀:いろんな意見を持っている視聴者がいるから、関心がある人もいれば、いない人もいるんですよ。だけど、私は呼ばれて、「自分の意見を言ってください」ということですから、言っただけです。

1月の時点で、最後だと決まっていました。私をすごく応援してくれていた人もたくさんいた。最後であれば、そういう人たちに本当のことを伝えたいという気持ちで言ったので、それを、あなたに批判されるような謂われはまったくないと思います。

そんなことを公共の電波を使って、もし放送するとすれば、そっちのほうがはるかに問題ではないですか。こういうのは、ネットでどんどん流れると思いますが、こういうレポーターがいるということは、日本中の方によく見てほしいし、聞いてほしい。

あなた方は顔をさらす立場の人だから、裏でこそこそやっている人より、はるかに責任と緊張感を持って、やっておられると思います。

顔をさらしてやっておられるということは、テレビ局の看板を背負っているということではなくて、マスコミの一員として、ジャーナリストの一員として恥ずかしくないのか、ということを考えながら、会社のためにやるんじゃなくて、「本当に世の中のためにやろう」と、そういうことでぜひ放送してもらいたいと思います。

(弁護士ドットコムニュース)

 

 

毎日新聞 2015年04月17日 11時42分(最終更新 04月17日 14時46分)

NHKの堂元光副会長(左手前)とテレビ朝日の福田俊男専務(同2人目)=東京都千代田区の自民党本部で2015年4月17日午前11時3分、宮間俊樹撮影
NHKの堂元光副会長(左手前)とテレビ朝日の福田俊男専務(同2人目)=東京都千代田区の自民党本部で2015年4月17日午前11時3分、宮間俊樹撮影
 

 自民党の情報通信戦略調査会(会長・川崎二郎元厚生労働相)は17日午前、党本部で会合を開き、NHKとテレビ朝日の報道番組で、「やらせ」や政治的圧力があったとされる問題について、NHKの堂元光副会長、テレビ朝日の福田俊男専務らから聴取した。

 ◇「やらせ」「政治的圧力」問題で

 川崎氏は冒頭、「二つの案件とも真実が曲げられた放送がされた疑いがある」と指摘し、両社から説明を受けた。ただ、調査会では事実関係の確認にとどめ、内容まで踏み込んだ質疑はしなかった。

 テレビ朝日の「報道ステーション」では、コメンテーターだった元経済産業官僚の古賀茂明氏が3月27日の生放送中、自身の降板を巡り官邸から圧力があったと発言。これに関し、テレビ朝日側は古賀氏はゲストであって正式な契約はしておらず、降板ではないと説明。今後、さらに社内で検証するとした。

 NHKの「クローズアップ現代」では昨年5月、多重債務者がブローカーを介して出家の儀式を受け、名前を変えて融資などをだまし取る手口を紹介したが、ブローカーとされた男性が「自分はブローカーではない」と訂正を要求。NHKは今月9日に公表した調査の中間報告に基づき説明した。【笈田直樹】

 

 

 

 自民党の情報通信戦略調査会(会長=川崎二郎・元厚生労働相)は17日、テレビ朝日とNHKの幹部を呼び、両放送局の報道番組の内容について事情聴取した。自民党は特にテレ朝の「報道ステーション」で、コメンテーターが菅義偉官房長官を名指しで取り上げたことを問題視。党幹部は同日、放送倫理・番組向上機構(BPO)への申し立てを検討していることを明らかにした。

 調査会には、テレ朝は福田俊男専務取締役が、NHKは堂元光副会長らが出席。冒頭、川崎氏は「真実が曲げられた放送がされた疑いがある。そのことについて自律性を持って、(テレビ局が)どう対応しているか、話を聞きたい」と述べた。その後、調査会は非公開で両放送局幹部から事情を聴いた。

 調査会が問題視するのは、テレ朝では「報道ステーション」でコメンテーターの元経済産業省官僚の古賀茂明さんが「菅官房長官をはじめ、官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきた」などと発言した点。NHKについては、「クローズアップ現代」で「やらせ」が指摘されている問題。

 ただ、個別の番組について事情聴取することには、自民党幹部の中にも「報道機関に圧力をかけていると受け取られかねない」といった慎重な声がある。このため調査会では、テレビ局側の説明を聞いた上で、事実関係などを確認するような質問にとどまった。

 会合後、テレ朝の福田専務は記者団に「経緯や事実関係について、誤解が生じていたら困ることもあるので、良い機会として出席した」と述べた。自民の川崎氏は「放送法違反に当たる真実でないことが放送された。今後も小委員会を立ち上げ、BPOの意見も聞かせてもらう」と語った。一方、民主党高木義明国会対策委員長は会見で「政権与党がテレビ局幹部を呼ぶのは、一歩間違えば、報道の自由を侵すものだ」と批判した。

 

自民党、テレ朝「報道ステ」をBPOに申し立て審理求める考え

04/17 18:54 FNN
 
17日午前、厳しい表情で自民党本部を訪れたのは、NHKの堂元 光副会長と、テレビ朝日の福田俊男専務。
自民党は、報道番組の内容に問題があったとして、党の情報通信戦略調査会に、NHKとテレビ朝日の幹部を呼び、事情を聴いた。
情報通信戦略調査会で川崎二郎会長は「2つの案件とも、真実が曲げられた放送がされた疑いがある」と述べた。
聴取の対象は、NHK「クローズアップ現代」でやらせがあったと指摘されている問題と、テレビ朝日「報道ステーション」で3月末、コメンテーターの古賀茂明氏が、番組降板をめぐり、「官邸からバッシングを受けてきた」」などと発言した件。
終了後、テレビ朝日の福田専務は「(どのような話を?)当時のいきさつ、コメンテーターの位置づけなどについて、お話させていただいた」と語った。
政権与党が、個別のテレビ番組の放送内容について説明を求めるのは異例のこと。
「報道ステーション」で官邸からの圧力を訴えた古賀氏は16日、日本外国特派員協会で会見し、聴取は放送法違反だと批判した。
この会見で司会をしたアメリカの経済誌「フォーブス」のジェームズ・シムズ記者は「異例という感じがしますね。アメリカではあまり聞いたことがない。政権与党が、いちいち細かいところに、『ああだ、こうだ』っていうのは不思議です」と指摘した。
テレビの政治報道をめぐっては、2014年11月、TBSの「NEWS23」に生出演した安倍首相が、VTRで流れたアベノミクスに関する街の声について、「選んでいると思う」と指摘し、意図的に編集されているとの認識をほのめかした。
その直後、自民党は、衆議院解散の前日に、民放テレビ各局に、選挙報道の公平中立・公正の確保を求める文書を送り、さらに「報道ステーション」に対しては、個別に番組内容を批判したうえで、公平な報道を求める文書を送付した。
メディア論を専門とする上智大学の音 好宏教授は「特定の番組について、事情を聴くこと自体が、1つのプレッシャーになるのは間違いない。(メディアが)萎縮してしまう。批判、または検証を緩めてしまうことになる危険性がある」と語った。
自民党は今後も調査を継続する意向で、党幹部は、テレビ朝日の「報道ステーション」を、BPO(放送倫理・番組向上機構)に申し立てて、審理を求める考えを明らかにした。
BPOは、問題があると指摘された番組・放送を検証する、NHKと民放連によって設置された第3者機関。
しかし一方で、そのBPOについて、今回、調査に携わっている自民党の議員は、「BPOは全然透明性がない」と指摘していて、BPOのあり方を問うことが狙いだというふうにほのめかしている。
 
 

NHKとテレ朝 自民の聴取は筋違いだ

 自民党の情報通信戦略調査会がきょうNHKとテレビ朝日の幹部を呼び、事情を聴く。

 NHKは「クローズアップ現代」のやらせ疑惑、テレビ朝日は「報道ステーション」で元官僚の古賀茂明氏が自身の番組降板をめぐって官邸から圧力があったと発言したことを受けたものだという。

 自民党側は「報道機関に圧力をかけるつもりはない」と言っているが、政権党が報道内容について直接、説明を求めるのは異例だ。

 放送事業の許認可権を持つ政権を構成する与党が乗り出せば、呼びつけられた側が萎縮するのは火を見るよりも明らかだ。こうした姿勢は報道をゆがめかねない。聴取は筋違いだ。

 NHKはやらせ疑惑の調査中である。テレビ朝日は会長会見で、古賀氏の発言内容を否定している。自民党はいったい、何を聴こうというのか。

 番組に問題があれば、編集責任のある放送局が自ら究明するのが本来の姿である。その自浄作用を信用せずに、政党がしゃしゃり出ては、報道への介入ととられても仕方あるまい。

 自民党が報道ステーションに公平中立な番組づくりを求める文書を出した際、日本民間放送労働組合連合会が「言論・表現の自由、番組編集の自由への重大な侵害だ」と抗議したのも当然である。

 それでなくても、自民党は昨年の衆院選で在京各局に「公平中立、公正の確保」を求める文書を送りつけている。

 安倍晋三首相は民報番組に出演した際、政府批判が含まれた「街の声」の選び方に注文をつけた。

 そして今度は、聴取という形での圧力だ。

 報道機関の役割は権力の監視であり、誤りがあれば国民に知らせて、ただすことにある。その機能を脅かす特定秘密保護法が施行され、権力側の「不都合な真実」に迫りづらい状況が生まれている。

 民主主義の土台である国民の「知る権利」を狭める―。一連の動きにそんな意図が透けて見える。

 自民党は新聞・放送局への監視を強めて、個々に要望を突きつけているという。それが実現しない時は取材や出演依頼を拒否するケースもあるそうだ。

 自分たちに都合のいい番組は利用し、そうでないものは拒む。それで国民の声を吸い上げることができるのだろうか。

 主張が正しいと信じるなら、批判や反発を覚悟で説得する。それが政治のあるべき振るまいだ。

 

<社説>自民テレビ局聴取 民主国にあるまじき圧力

2015年4月17日 琉球新聞

 自民党の情報通信戦略調査会が17日にNHKとテレビ朝日の関係者を呼び、事情聴取するという。
 自民党は「圧力をかけるつもりはない」というが、呼び付けること自体、圧力以外の何物でもない。これでは表現・言論の自由は画餅に帰す。民主国家にあるまじき姿であり、聴取を中止すべきだ。
 菅義偉官房長官はよく放送法に言及する。3月末の会見でもこう述べた。「放送法という法律があるので、テレビ局がどう対応するか見守りたい」
 テレビ放送は5年に1回、政府から再免許を受けないと事業ができない。電波法は、放送法に違反した放送局に停波を命令できると定める。政府中枢があえて放送法を口にするのは「停波もできるのだぞ」と恫喝(どうかつ)するのに等しい。
 安倍政権の放送への介入は顕著だ。昨年の衆院選直前には安倍晋三首相が街頭インタビューで政権への批判が多いとかみつき、自民党はテレビ局に「選挙報道の公平、中立を求める」文書を送り付けた。
 そして今回の「召還」だ。NHKについては報道番組でのやらせ疑惑、テレビ朝日は「報道ステーション」のコメンテーター・古賀茂明氏の「官邸からのバッシング」発言について事情を聴くという。
 「第三者も加えた検証の必要性などをただす」というが、それは政権党の仕事ではない。各局は番組審議機関を持ち、業界の第三者機関として放送倫理・番組向上機構(BPO)もある。これらがきちんと機能すればいいだけの話だ。
 放送法は第1条(目的)でこう定める。「放送の不偏不党、自律を保障することで放送の表現の自由を確保する」。特定の党が番組に口を出すこと自体、「不偏不党」に矛盾する。「自律」を求める放送法の目的にも反するではないか。
 思想家の内田樹氏が興味深い話を紹介している。ドイツの新聞の日本特派員が安倍政権の歴史修正主義を批判する記事を書いたら、日本の総領事が同紙本社を訪ね、抗議したそうだ。
 これを受け元駐日英国大使がジャパンタイムズでこう論評した。「日本の歴史修正主義者の行為はナチスなどを想起させる」。政府の報道への圧力がいかに国際社会の常識に反するか、全体主義国家的であるかを如実に示している。
 テレビ局も政権党の圧力に屈したと誤解されるのは心外だろう。聴取を受けるのなら、カメラを入れて一部始終を生中継してほしい。

 

放送局幹部呼びつけは放送法違反・古賀茂明氏が外国特派員協会で会見

 ビデオドットコムニュース

<iframe src="http://www.youtube.com/embed/Hdxm0lbT4BA?rel=0&wmode=transparent" frameborder="0" width="640" height="360"></iframe>

元経済産業官僚の古賀茂明氏がテレビ朝日「報道ステーション」の生放送中に政権批判をしたことが波紋を拡げ、自民党が放送局の幹部を呼びつける事態に発展している問題で、渦中の古賀氏が4月16日、外国特派員協会で会見し、自民党の放送への介入は放送の自立を定めた放送法の違反に当たるとの見方を示した。

 古賀氏は3月27日、テレビ朝日の報道番組「報道ステーション」で、政権批判を続けたことで政府から圧力がかかり、当社の会長らの意向で自身が降板させられることになったと発言し、司会の古舘伊知郎氏と生放送中に口論になっていた。

 これを受けて菅官房長官が3月30日、この放送が「公共の電波を使った報道として極めて不適切」と指摘し不快感を露わにしたほか、自民党の情報通信戦略調査会がテレビ朝日の幹部を17日に呼び出す方針を発表していた。この行為について古賀氏は、放送番組が誰からも干渉・規律されないことを規定する放送法3条の違反に当たると批判した。

 また、日本は放送局に対する免許を政府機関である総務省が直接付与する制度のために、放送局が政府や与党に対して弱い立場に置かれていると指摘し、テレビ朝日は自民党からの呼び出しには応じるべきではないとの考えを示した。

 自民党の情報通信戦略調査会はNHKの報道情報番組「クローズアップ現代」に「やらせ」があったとことが指摘されていることを受けて、テレビ朝日の幹部と並びNHKの幹部も呼びつけている。

 

よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!

人気ブログランキングへ人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へほんブログ村


コメント (10)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 橋下市長が、まだ決まってい... | トップ | アニメ版マララ 女性の権利... »
最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (黒腹)
2015-04-17 21:30:56
頭ワルいね~このレポーターは。変な質問。そもそも視聴者全員が関心あるコメントって何?意味わからん。世の中存在すんのか?


日本に巣くうガンだよね、日本のマスゴミって。

先生は古賀氏が報道ステーションを追い詰めることになった点について仰られていましたが、

ご覧のとおり、報ステ始めテレ朝も含めて日本のマスゴミは死に体なんですよ。

少し報ステを生きながらえさせたところで時間の問題だったんですよ。これを機に日本のマスゴミの醜さを世界に晒すことができたメリットのほうが遥かに大きいと思います。
返信する
対お上反発習慣的慢性幼児病 (やぶ医者)
2015-04-17 23:45:30


3条だけ出すのはおかしい。
言論に弾圧をかけている具体的な事実はあるのか、示してください。弾圧と圧力は違う。法律や責任をはずした恐れがあることに関して、事情調査することは正当な圧力の一つである。どんな業界にもこの種の圧力はあって当たり前、何でマスゴミだけ言論の自由で全てが治外法権とするわけにはいかない。
放送法第4条
「放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」

放送には公共性がある。
NHKのやらせ疑惑は放送法を守らなかった可能性がある、そのことへの確認は圧力ではない。コメンテーターの件は公共放送の場面で番組の議題と無関係なしかも被害妄想としか見えない不快な場面を放送することになったのか、放送局としての意図があったのかどうか確認する、当たり前のことでしょ。言論弾圧とかに持っていく人達、難癖つけるクレーマーみたいでどこか気味が悪くみえてしまうのは私だけではないと思う。
返信する
Unknown (七氏)
2015-04-18 01:14:25
これが圧力になることが理解できん層ってどれくらいおるんやろか。

ってか、これだけ多くの識者が問題点指摘してんのに、なぜか自民党の言ってることそのまま貼り付けてるって……考えること止めちゃったのかね。

こういう人って安倍にさえバカにされてんだろね。ういやつって鼻で笑われてんちゃうか。
返信する
フジのリポーターのインタビューが欲しい (つるたまさひで)
2015-04-18 04:01:44
正直に「それはそう思います」と言ってしまったフジテレビのリポーターのインタビューを誰かにとってほしいなぁ。誰かやってくれたら、面白いと思うのですが。突撃取材でカメラとマイクを向けてあげたい。
返信する
やぶ医者さんへ (つるたまさひで)
2015-04-18 04:05:04
どうして、自民党が意見聴取するのか、という点で、北海道新聞や琉球新報の社説への反論になりえていないと思うのですが、いかがでしょう?
返信する
高知新聞の社説でも書かれています。 (unobuko)
2015-04-18 21:55:26
詳しくまとめてくださり、大変参考になりました。ありがとうございます。ちなみに、「今回の自民党の報道の自由侵害について、自分で意見を述べて社説を書いたのは末尾にご紹介した北海道新聞と琉球新聞、南北の地方紙だけでした。あとは古賀氏がどう言ったこう言った、という内容のものばかりです。」とブログ内で書かれていますが、確認したところ、高知新聞も4月16日の社説で以下のように書いています。念のため。
高知新聞4月16日社説
【テレビ局聴取】政治の出る幕ではない
2015年04月16日08時03分
 自民党が17日に開く情報通信戦略調査会に、報道番組で「やらせ」などが指摘されたNHKと、出演者が官邸批判をしたテレビ朝日の関係者を呼び、事情を聞くことが分かった。
 憲法は報道の自由などを幅広く保障している。個々の番組の内容について与野党を問わず政治の側が、報道関係者を呼んで聴取すること自体、報道機関への圧力や介入と受け止められかねない。
 自民党は昨年の衆院選をめぐり、在京各局に「公平中立、公正の確保」を求める文書も送っている。こうした動きが強まることは民主主義の根幹に関わる。強く自制を求めたい。
 NHKの問題は「クローズアップ現代」の番組内で紹介された男性が、「架空の人物を演じた」などとする証言を週刊誌が掲載した。NHKは調査委員会を設置し、先の中間報告では一部について「裏付けが不十分だった」とする一方、取材に当たった記者と取材対象者の証言に食い違いも多く、引き続き調査を進めている。
 一方、テレビ朝日は「報道ステーション」でコメンテーターが、自身の番組降板に関し菅官房長官や首相官邸を批判し、議論を呼んでいる。
 放送法はその第1条で、放送の不偏不党、真実および自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する――とうたう。
 このため番組内容に疑義が生じた場合は通常、各社が第三者を加えた調査委員会を立ち上げて検証する。さらにNHKと民放各社でつくる放送倫理・番組向上機構(BPO)が、独立して審査することもできる。
 あくまで放送事業者が自主的に問題解決に当たることで、報道の自由を守る仕組みだ。つまり現状は政治の出る幕ではない。
 番組内容をめぐり、与党がテレビ局に直接説明を求めるのは異例のことだ。自民党幹部は「圧力をかけるつもりはない」と言うが、政権与党が特定の番組に口出しする行為自体、無視できない危うさをはらんでいる。
 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が2月に発表した、世界の報道の自由度で、日本は主要先進国で最も低い61位にランクされた。特派員らも「圧力」を感じているという。
 政治は報道を萎縮させるような言動をやめ、日本の民主主義の評価を上げることに力を注ぐべきだ。
返信する
Unknown (Unknown)
2015-04-19 08:43:04
放送法第3条を持ち出すなら第4条もご存知ですよね?
返信する
Unknown (kei)
2015-04-19 14:27:00
自民党の情報通信戦略調査会川崎二郎会長は自民党の中では数少ない安倍批判の大物議員らしいですね。

こんな見え透いた圧力行為は、安倍政権の支持率を下げることになるに違いないと踏んでの表面的なおためごかしにするのか、それとも政権がニューステに圧力を掛けたことを本気で曝け出すのか。

古賀さんが思いきりバラしてしまった今では、どちらにしても、政権の足を引っ張ることに繋がるのですよね。

返信する
Unknown (いわん)
2015-04-19 16:33:50
おぉ、川崎氏は超絶妙なトスを上げたってことか。

でも、今それを弾けるメディアってありますかねぇ。。

振り返ったら、コートの外で相手チームの安倍監督の肩とふくらはぎをもみもみマッサージ中じゃないですかね
返信する
ナイーブな人たち (洲蛇亜林)
2015-04-19 23:35:12
このレポーター、ほんとに報道や言論に対する圧力と感じてないのでしょうかね?

業務として上からの指示でこういう馬鹿げた質問をしている可能性もないではないでしょうけどね。
けど、本心からこういう質問をしているとしたら政治に対してあまりにもナイーブとしか言いようはありません。
政治的なことに関わる人がそこまでナイーブであっていいの?と思います。

このレポーターさんに限らず、安倍支持の人たちに政治へのナイーブな感覚をお持ちの方は多いようです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

社会とマスコミ」カテゴリの最新記事