Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

橋下市長と産経新聞が、原発意見聴取会では「多様な意見」=電力会社社員発言、を封殺するな、ですと。

2012年07月18日 | 原発ゼロ社会を目指して

(これが本当の言論封殺)

 

 

 エネルギー戦略の策定に向け実施している意見聴取会で、政府が電力会社関係者の発言を認めない方針を決定したことについて、原発推進の産経新聞が社説に当たる主張で2012年7月18日にエネルギー聴取会 多様な意見を封殺するな」として

 意見聴取会は原発を含めて将来の最適な電源構成を検討する場であるはずだ。電力会社社員が自らの知見を生かし、原発の必要性を訴えることが、なぜ問題視されるのか。

 野田佳彦政権は、エネルギーに関する多様な意見を封殺することがあってはならない。

と主張しました。

 原発安全神話の下、マスメディアは原発があぶないという少数意見を封殺してきたのですが、先頭に立って封殺した側の産経新聞はそのことをどう反省しているのでしょうか。

 さて同じ日に、これを読んだのか、大阪市の橋下徹市長は報道陣に対し

「電力会社の意見も一つの意見。公正な手続きで選ばれたなら、どういう意見だったとしても聞かないといけない」

「幅広く意見を聞く場で(電力会社関係者の)意見を聞かないというのは違和感を覚える。特定の意見だけ排除すると、偏った意見しか聴取できなくなる」

と言いました。

 さんざん、言論封殺してるくせに良くいうなあ、ほんとにもう。その寛容さを大阪市民と職員にも向けてちょうだいな。

 まず、東北電力や中部電力の管内からわずか9名が選ばれるだけなのに、ちゃっかり電力会社の社員が連続して入っている「奇跡」を公正な手続きだと認定する事実認定力が弁護士としてどうかと思いますし。いくら大会社とはいえ、人口の9分の1も電力会社社員はいませんよ。

 そもそも、18年後の2030年の原発依存率について0%、15%、20~25%と3択に設定し、即時原発0%を選択肢に入れていないこと。そして、40年廃炉を前提にするとかえって原発増設しないといけなくなる15%、20~25%を3つ中2つの選択肢にしまったこと。さらに、その3択に3人ずつ意見聴取の人数を分散させたのが公正ではないんですよ。

 少なくとも、意見を言いたいと申し出た人の7割以上が0%を選んでいるのだから、9人なら6~7人は0%の人から意見を聞くのが公正・公平な抽選というものでしょう。

マジで理解不能 電力会社のやらせ意見聴取会と細野原発相と大津市教育長の「不思議な危機管理感覚」

(意見表明希望者中0%を選択した人は70%以上)




 それにしても、橋下さんのこの発言を見たとき、ちょうど、秋原葉月さんのキング・オブ・「おまえがいうな」という記事を読んだばかりだったので笑っちゃいました。

 この人、大阪市が出した関西電力株主総会への株主提案が無視されたとして怒ってしまい、賛成率が17%だったことについて「大変な数字だ。関電は原発推進と言っているが、完全に無視するのか」と疑問を投げかけていました。

 ところが、自分が提案した「市政改革プラン素案」という名の、敬老パスの有料化をはじめ全世代にわたり市民向けの施策に大ナタをふるう市民サービス切り捨てプランに、反対するパブリックコメントが94%(2万8000人!)になったら、

「反対が9割といっても反対の人がコメントを出すことが多いわけですから。世論調査でやるような抽出作業をしていないので統計的には意味がない。市全体の意思を反映していないのだから、政策に反映させたら大変なことになる」

「パブコメは読んでいない」

と言い放ったんですよ。自分が「どんどん出してください」と言っていたパブコメの内容が都合悪かったからといって、これはないんじゃないですか。

 ちなみに、大飯原発の再稼働に反対する脱原発デモや集会を無視して原発再稼働を容認したことについては、

「1万や10万の声があったとしてもやらなきゃならない時にはやるのが政治」

なんだそうな。

 多様な意見を尊重するために、電力会社の社員に意見を言わせろとは、今や、脱原発の旗手転じて電力会社の守護神。ところが、大阪府や大阪市では、思想良心の自由や表現の自由などの基本的人権を蹂躙して、市民や公務員の多様な意見を封殺。

 まさに、意見がコロコロ変わるクルクル王子が、「おまえが言うな王」に登り詰めちゃいました。

橋下市長が野田首相を急に大絶賛 理由は集団的自衛権、TPP、消費税増税が「決める民主主義」だって(呆れ) 

 

 

追伸

あの幸福実現党もBLOGOS転載記事で、橋下氏・産経新聞と同じことを言っていて、のけぞりました。

情緒的「脱原発運動」と「科学の死」

政府の将来のエネルギー政策に関する国民の意見聴取会で、電力会社社員を名乗る男性が、原発を擁護する意見を表明しただけで、会場から「やらせだ」「回し者」といった批判が飛び、原子力擁護の言論は完全に封殺される「空気」が支配しています。

 

 

政治の天才橋下市長のセンサーがとうとう狂いだしたのか。

よろしかったら上下ともクリックして頂けると大変嬉しいです!

人気ブログランキングへ人気ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

 

 

電力社員排除に「違和感を覚える」 橋下市長が政府対応批判

2012.7.18 12:41 westライフ] 産経新聞
報道陣の質問に答える大阪市の橋下徹市長 =7月2日、大阪市役所

報道陣の質問に答える大阪市の橋下徹市長 =7月2日、大阪市役所

 エネルギー戦略の策定に向け実施している意見聴取会で、政府が電力会社関係者の発言を認め ない方針を決定したことについて、大阪市の橋下徹市長は18日、報道陣に対し「電力会社の意見も一つの意見。公正な手続きで選ばれたなら、どういう意見 だったとしても聞かないといけない」と述べ、多様な意見を封じる政府の対応を批判した。

 橋下市長は、聴取会は政府の意思決定の場ではないと強調し、「幅広く意見を聞く場で(電力会社関係者の)意見を聞かないというのは違和感を覚える。特定の意見だけ排除すると、偏った意見しか聴取できなくなる」と指摘。発言者が選ばれた経緯について公表すべきと主張した。

 意見聴取会をめぐっては、15、16両日に仙台市と名古屋市で開かれた会合に電力会社の社員らが発言者として出席。参加者から「やらせではないか」といった批判が起きたことを受け、野田佳彦首相が電力会社関係者からの意見表明を断るよう指示した。

 

 

エネルギー聴取会 多様な意見を封殺するな

2012.7.18 03:20 (1/2ページ)エネルギー]産経新聞

 エネルギーと環境の基本政策について国民の声を聞く政府主催の意見聴取会の運営方法が見直された。電力会社社員らが原発利用に関する考えを述べたことが批判されたためで、今後はこうした発言を認めないことにするという。

 だが、意見聴取会は原発を含めて将来の最適な電源構成を検討する場であるはずだ。電力会社社員が自らの知見を生かし、原発の必要性を訴えることが、なぜ問題視されるのか。

 野田佳彦政権は、エネルギーに関する多様な意見を封殺することがあってはならない。

 政府のエネルギー・環境会議は平成42年の原発比率を「0%」「15%」「20~25%」とする3つの選択肢を示した。8月初旬まで全国11カ所で意見聴取会を開く。グループで議論する「討論型世論調査」を経て、来月末には新たなエネルギー政策を決める。

 15日の仙台市と16日の名古屋市で開かれた聴取会では、電力会社社員が意見を述べた。「原発0%は(経済的に)破綻したシナリオだ」「原発比率は20~25%が望ましい」と主張した。

 これに対し、脱原発派の批判が集まり、聴取会を担当する古川元久国家戦略相は、首相の指示を受けて「電力会社社員の意見表明はご遠慮願う」と新たに制限する方針を示した。次回から意見表明者に対し、事前に「電力会社社員かどうか」を確認するという。

 しかし、意見表明は国民の応募を受けて政府が無作為抽選によって決めたものだ。出席した電力会社社員は自ら所属を名乗った上で意見を述べている。原発の安全性などについては技術的知識も必要だ。問題化した「やらせメール」とは全く次元が異なる。

 政府は、意見聴取や世論調査を「国民的な議論」の一環と位置づけている。それならば、脱原発や反原発だけでなく、原発の維持・推進を求める意見も公平に聞く必要があるのは当然だ。

 原発利用の3つの選択肢そのものにも、産業界の反発は強い。経団連は、「たとえ25%の原発利用が認められても、経済成長に必要な電力は確保できない恐れがある」と批判している。

 電源構成は国の将来を左右する重要な問題だ。野田首相は国民の意見を聞きながら、最終的に安価で安定的な電力供給を確保できる道を選ぶ責任がある。


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 坂本龍一教授の「命に比べり... | トップ | 米国内では住民の抗議で訓練... »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (K-T)
2012-07-19 02:03:17
即時原発0%の選択肢必要です。
使用済み燃料は、六ヶ所村で満杯に近づき、各原発でも数多く留め置かれているのが現状です。
当初15%や20~25%の選択肢では、使用済み燃料は再処理・直接処分併存となってましたが、いつの間にか「再処理・直接処分がありうる」に変わってます。意味するところは"全量再処理がありうる"です。
再処理工場やもんじゅを後押しする選択肢と言えそうです。原子力基本法に「安全保障に資する」という文言を加えたのと同じで。
両方うまくいっておらずコストだけがかかるという非難をかわすために、また直接処分も場所や方法が決まっておらず先送りしたいので、こういう無責任な選択肢なのかと。

高速増殖炉の見込みがないのに核燃サイクルなどあり得ない。プルサーマルで再利用できるのは10%程度で、核廃棄物は逆に増える方向。つまり他の化石燃料に対して優位性がない。
実際 原発からのゴミが増加してるだけで、事故が起こらなくてもすぐに行き詰ります。
2030年時点で原発0%の選択肢のみが全量直接処分です。
返信する
カス過ぎて話にならん (ika)
2012-07-19 11:10:13
電力会社社員はゲンパツ事故を引き起こした犯罪者集団たる原子力ムラの住人であり、そんな犯罪者連中が反省の論を述べるなら兎も角、公聴会の場に於いていけしゃーしゃーと推進論を述べるなんてのは盗っ人猛々しいと言うべきもの。それを「言論の自由」をタテに容認すべきなんてのはそれこそ「悪平等」の見本ですわな
返信する
語句を入れかえてみました (時々拝見)
2012-07-21 13:20:30
だが、意見聴取会は売国を含めて(略)。亡国新聞が自らの知見を生かし、売国の必要性を訴えることが、なぜ問題視されるのか。
原発は亡国への一方通行、オスプレイ配備は売国の一里塚。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

原発ゼロ社会を目指して」カテゴリの最新記事