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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

橋下・安倍・石原「三国同盟」結成か。日本の民主主義が「第3の敗戦」を迎えませんように。希望はある!

2012年08月15日 | #安倍晋三が諸悪の根源

2012年6月29日 国会議事堂前の脱原発デモ)

 

 

 終戦記念日の今日、2012年8月15日、橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会が、安倍晋三元首相に第三極勢力への参加を強く要請したという報道がありました。4月24日に橋下市長と松井府知事が安倍氏と会談していますが、すぐにおなかが痛くなっちゃうような人を橋下氏が新党の顔に選ぶとは。小沢氏では後々御しにくいということかな。

 その安倍元首相は9月の自民党総裁選挙に出馬意欲を見せています。総裁選には同じ町村派から町村信孝氏が出馬する予定ですから、いずれにしても安倍氏には勝ち目がないはずなのですが、「俺を総裁にしないと維新の会に合流しちゃうよ」と脅す材料に使う気かもしれません。 

 他にも続々と維新の会への合流を考えている議員の名前が出てきていますので、雪崩を打って国会議員が維新の会に参集するという悪夢のような事態が目の前に来ています。

 必ずこの国に害をなすと見定め、橋下徹という人を警戒して、これでもかというくらい批判してきましたが、彼は閉塞感で一杯のこの時代の寵児なのでしょう。確かに、ある意味での「魅力」と「実力」は抜きんでています。ネット上では橋下維新の会への追い風ばかりではなくなってきましたが、マスメディアは相変わらずの橋下押しですから、今のところ、リアル世界では衆寡敵せずといった感があります。

 ところで、教育基本条例を制定した橋下維新の会と教育基本法を改悪した安倍氏は教育改悪で理念が一致しているそうです。橋下氏と連携することを公言している石原東京都知事の教育勅語的な教育理念はつとに知られています。この3者の枢軸結成により、戦後民主主義教育を根こそぎ叩き潰すことに全力を挙げるでしょう。 

 橋下市長の思想調査アンケートなど人権無視はつとに有名ですが、安倍元首相も、NHKが「従軍慰安婦」問題のドキュメンタリー番組を放映しようとした際に、NHK幹部を呼びつけ圧力をかけ、NHK上層部が現場に圧力をかけて番組を改編してしまうという、表現の自由の事件として最悪の事態も起こしています。

 私は今、戦前の自由主義者が、日本の全体主義の形成過程で慄然としたであろう気持ちを追体験している気分です。

 

 しかし、他方で明るい兆しもあります。

 3・11以降、原子力ムラとは政界・財界・官僚・地方自治体・マスコミ・学者から成り立っており、権力は利権のために原発安全神話のような壮大なデマを作って人々をだますものなのだ、ということが広く国民に知れ渡りました。

 「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」

という箴言が国民に体感されました。最近の脱原発デモや集会を見ていると、やはり戦前の大正デモクラシー、さかのぼれば明治の自由民権運動はかくもあらんやという気持ちがします。

 

 本当にこの国に求められている「維新」があるとしたら、それは、明治政府が大日本帝国憲法を民衆に押し付けたのとそっくりの、維新の会のような上からの改革ではなく、民衆が自分たちの手で民約憲法を作ろうとした自由民権運動のような、下からの改革でなければならないはずです。

 大日本帝国はナチズムのドイツ、ファシズムのイタリアの枢軸国で三国同盟を結成し、中国などを侵略し、朝鮮半島や台湾を植民地化し、アメリカに太平洋戦争を挑み、連合国と争い、第二次大戦に敗れました。

 この原因は、日本の民主主義運動が二度「敗戦」したことにあります。一度目は、明治維新後に自由民権運動が破れて絶対的天皇制を中核とする大日本帝国憲法が制定されたこと。二度目は普通選挙、男女平等などを求めた大正デモクラシーが治安維持法制定でつぶされたこと。

 このように明治から大正、昭和にかけて、日本の民主主義の勃興が叩き潰されたことで、自由と人権は踏みにじられ、言論の自由は圧殺され、大東亜共栄圏構想に抵抗できなくなりました。結果、戦前の日本は自国民・他国民の人権を問わず蹂躙して侵略戦争に突き進み、逆に大空襲や沖縄戦や二度の原爆投下などなどの地獄を味わいました。

 今、また、民主主義と全体主義のせめぎあいが始まっています。橋下・安倍・石原氏に決定的に欠けているのは、個人の尊重、つまり人権感覚です。人が人として生まれながらにして享有できるはずの基本的人権を侵害してなんら痛痒を感じない人権感覚の欠如が、彼らの共通点なのです。新「悪の枢軸」と呼んでいいでしょう。

 偶然ではなく、橋下、安倍、石原氏は、日本の被爆体験を踏みにじる核武装論者という点で一致しています。また、石原氏は原発推進論を公言していますし、安倍元首相は、地下式原発議連の顧問でもあります。橋下氏がいくら原発ゼロを唱えても、彼の脱原発論が人気取りのための方便に過ぎず、必ずかなぐり捨てられてしまうことは、大飯原発再稼働容認からも明らかです。

 福島原発事故が起きてさえ、脱原発は人気取りのためのポーズに過ぎない橋下徹大阪市長。そこに、そんなポーズさえも取れない安倍氏と石原氏とが結集する。

 しかし、戦前の反省のもとに制定された日本国憲法の下で、60年余り民主主義の薫陶を受けてきた日本国民は、戦前の日本人とは違います。

 原発安全神話の呪縛を解き放ち、物を言いはじめた日本の市民たちが、脱原発をテコに真の民主主義に目覚め、戦前の二の舞を回避してくれると信じます。

 

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橋下新党、月内に準備 20議員検討、安倍氏へ参加要請

朝日新聞 2012年8月15日7時2分

 大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は今国会中の衆院解散も念頭に、国政進出に向けて新党を立ち上げる意向を固めた。すでに与野党の約20人の国会議員から参加の打診があり、早ければ8月中に設立準備を本格化させる方針で全国に候補者を擁立する構え。維新が政党要件を満たして次期衆院選に臨めば民主、自民の2大政党に対抗する第3極勢力になるとみられ、政界の流動化が加速しそうだ。

 橋下氏は自らの立候補については否定しているが、保守を基軸とする政界再編を目指しており、自民党の安倍晋三元首相らに中核議員として参加を要請している。ただ、安倍氏は9月の党総裁選への擁立論もあり、総選挙前の維新との連携について結論を出していない。

 維新は安倍氏らとは別のルートでも与野党議員と接触し、新党結成の検討作業を続けている。8月11日には民主党の松野頼久元官房副長官、自民党の松浪健太衆院議員らと立ち上げた「道州制型統治機構研究会」の会合を開催。松野氏は14日、朝日新聞の取材に「新党をつくるかどうかは近く決断したい」と語り、離党も視野に入れていることを明らかにした。また、大阪市特別顧問の中田宏前横浜市長に近い民主、自民両党やみんなの党の議員らとも意見交換を続けている。


安倍元首相、維新・松井大阪知事“エール交換” 「教育」で意気投合 保保連立も視野?

2012.2.27 00:19  産経新聞

 自民党の安倍晋三元首相は26日夜、民間教育団体「日本教育再生機構」が大阪市で開いたシンポジウムに出席し、教育改革に取り組む松井一郎大阪府 知事(大阪維新の会幹事長)にエールを送った。支持率が低迷する自民党では中堅・若手を中心に安倍氏の再登板を求める声が強まっており、次期衆院選後の政 界再編を視野に、自民党と維新の会の連携に向け、秋波を送ったとの見方もある。

 「教育基本条例は閉塞(へいそく)状況にある教育現場に風穴を開ける意義がある。松井氏には岩盤のような体制を崩す役割を担ってほしい」

 シンポジウムで安倍氏は、維新の会が制定を目指す大阪府の教育基本条例をこう持ち上げ、最後は「教育再生は道半ばだ。私も同志の皆さんと頑張りたい」と力を込めた。

  松井氏も「教育基本条例を制定するのは、安倍政権で教育基本法を改正したのに教育現場に民意が反映されていないからだ」とエール交換。終了後は両氏一緒に 記者団のぶら下がり取材に応じ「教育の方向性は一緒だ」と口をそろえ、その後近くの居酒屋で教育関係者も交えて会食した。

 安倍氏が教育改革を評価するのも分かるが、称賛はこれにとどまらない。25日の読売テレビの番組では「国民は橋下徹大阪市長なら閉塞感を突破してく れるんではないか」と橋下氏も評価。維新の会が策定中の「維新版・船中八策」も「教育では安倍政権の教育再生と同じことを進めようとしている」と語った。 維新の会の国政進出や、東京都の石原慎太郎都知事の新党構想が現実味を帯びる中、「新党の看板として安倍氏を迎えるべきだ」との声も出ているだけに安倍氏 の言動は波紋を広げる公算が大きい。

 ただ、安倍氏に新党に参画する意思はなく、むしろ自民党再生を志向する。称賛するのは、将来の自民党 と保守系新党との「保保連立」を念頭に置いているからだとみられる。ただ、教育問題を通じて安倍氏と維新の会の連携が強まれば、9月の自民党総裁選、そし て次期衆院選の行方も大きく左右する可能性がある。(佐々木美恵)



安倍元首相、橋下氏が会談 連携へ協議か

2012.4.24 18:36 橋下日記]産経新聞関西

 自民党の安倍晋三元首相は24日、大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長、幹事長の松井一郎大阪府知事と都内のホテルで会談した。安倍氏は維新の会が掲げる教育改革に賛同しており、今後の連携強化に向けて協議したとみられる。



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6 コメント

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むしろ、三人に欠けているのは (時々拝見)
2012-08-15 22:23:28
真に国を思う志だと思います。
自由と民主主義のない国々を反面教師(毛沢東)とし、国民の幸福を考える志が。
内患外憂のこの時に教育改革ですからね~。
経済危機には教育改革
外交問題には教育改革
モデルは文化大革命?四人組批判?

たしか、パキスタンの軍人が核武装は得より損が大きいと言ってました。日本には核を配備する適所も運搬手段もないし、持つ事もできません。
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絶対的天皇制て何ですか? (石田)
2012-08-17 17:15:28
日本は戦前から立憲君主制・責任内閣制であり、天皇に絶対的な権力などなかったと思うんですけど・・・。
もしそんなものがあったなら憲法なんて制定されないと思いますし、昭和天皇は対米開戦に反対だったので大東亜戦争も起きなかたったはずでは?
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大日本帝国憲法 (ray)
2012-08-17 18:35:28
第1条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス
第3条 天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス
第4条 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
第5条 天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ
第8条 天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス
第11条 天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス
第13条 天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ条約ヲ締結ス
第55条 国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス
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石田殿 (浪速姫)
2012-08-18 22:16:30
 絶対的天皇制というのは制度の問題です。天皇の個人的意思が絶対的なものとして貫徹されるということではありません。古来、個人的意思で動く「政治」などは存在しません。
 政治権力というものは、歴史・社会の必然性から生まれるものです。
 世界が市場経済に突入する前夜の17~18世紀のヨーロッパで成立した「領域主権国家」は君主をその統合の要(かなめ)として、一定領域内の富・人民を「国家利益―national
interest」のために効率的に動員し得る明確な国家機関(国税徴収・官僚組織・常備軍)を形成しました。いわゆる「絶対王政」です。そのもとで商業―産業資本を蓄積した「市民」は「市民革命」によって利益追求のための国家機関を自己の掌中に収め、「産業革命」を起こし、19世紀、英仏米といった「産業革命先進国」が他地域をその生産物の原料供給地―商品の市場として支配する「帝国主義」の時代に入る。その動きのなかで、自国の権益を守り、かつ自身も「国家利益」を追求するためにはそうした先進国と同様の体制を「上からの改革」としてとることが必然の理となってくる。19世紀半ばのイタリア・ドイツの国家統一、ロシアの「近代化」の動き、日本の「明治維新」がほぼ同時期であるのは決して偶然ではありません。こうした流れは高校の「世界史」で学ばれたはずです。

 何よりray先生が挙げておられる「大日本帝国憲法」は「欽定憲法」です。
 中学校の公民で習われたはずですが、「自由民権運動」(大阪キタの太融寺の境内に「自由民権発祥之地」の碑があります)の高まりの中、時の政府は1881年(明治14年)10月12日に、明治天皇の詔勅として国会開設の詔」を出し、1890年(明治23年)を期して、国会の開設、欽定憲法を定めることなどを表明しました。

 すなわち「欽定憲法」は「民定憲法」とことなり、「国家利益」追求のための、天皇を含め国家体制を明文化し国民に承認させるためのもの、国民の「総動員」体制を効率的に動かすための規定、「自由民権運動」が求めた「国会」をその体制に組み込む方策だったのです。

 石田殿、貴下は羨ましいほど純情な方ですね。「憲法」というものはすべて「国民の人権擁護」・「権力の濫用抑制」のためのものと思っていらっしゃるとは。
 たとえば、いわゆる「スターリン憲法」にはソビエト連邦の組織におけるすべての他政党禁止の正当化に使用される条項がありますよ。
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絶対天皇制などという大虚構 (時々拝見)
2012-08-22 17:55:33
かつて産経新聞夕刊に載った言葉です。
絶対天皇制などなかった、というのではなく、絶対天皇制を強制した大日本帝国陸軍を批判する文脈で登場し、何百万もの国民を死に追いやった、とつづきます。多少の記憶違いはあると思います。
The Planet of the Abes.
宇宙飛行士がある惑星に降り立ってみると、地下原発の残骸が残る死の星だった…お粗末。
アベシ、人種の枠を超えて自称アーリア人の方と似てますな。
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草の根の有権者が動くこと (Unknown)
2012-08-25 17:57:47
橋下・安倍・石原という品の無い3人組の動きを見てると、政治というものが、いかに権力者たちの野合で成り立っているということを痛感します。
国を思う国民の真の思いや心を、このように政治トップの人たちがいいように利用していくのは、本当に恐ろしい。

しかし有権者は、政治家を選挙で選んだからと言って、白紙委任を出したわけでは絶対にありません。
反原発運動がこれだけの草の根の支持と広がりを見せているのは、民主主義が成熟する大きな動きです。
本当は、マスメディアがもっともっと大きく取り上げて行くべきものなのに、テレビや新聞は、橋下特番テレビ、橋下報知新聞やみたいになってしまった。
庶民の目線に立って、権力を批判するという、社会の公器としての役割を失ってしまったら、もはやメディアの死です。
成熟した民主主義のために、もっと有権者が草の根の動きを展開していく。これが権力の横暴から身を守るために、私たちが取れる現状での最善の自己防衛策なのかもしれません。
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