ずっと、フランスの政治の行方と世界の人権保障のあり方を報告されている、私がぶれないためのブログの一つ、村野瀬玲奈の秘書課広報室さんが、フランソワ・オランド氏の勝利演説をご紹介くださっています。
ああ、なんて、格調高い。。。。
「みなさん、親愛なるフランス市民のみなさん。私たちのいるのはこの地球上のどうでもいいような国でも国家でもありません。私たちはフランスなのです。
そして、共和国大統領として、常にフランス人民のものであった希求、つまり、平和、自由、尊重、そして、独裁から自らを解放したり正当性に欠けた腐敗というお決まりのことから脱したりする権利を人民に与える能力をかかげるのは私の役割です」
橋下氏、石原氏、小沢氏など、むしろ独裁指向の政治家がもてはやされる我が国。
この日本について、日本の政治について、平和、自由、人間の尊重と独裁からの解放について、こんな風に語る政治家が現れないでしょうか。
富裕層への課税、とりわけ所得税の累進課税をかつての日本と同じく最高75%にすると公約しているオランド氏。サルコジ、プーチン、ベルルスコーニ、ブレア。。。と揃っていた時には、絶望的に思えたヨーロッパでしたが、フランス以外にスペイン、イタリアなどでも富裕税が復活し、ずいぶんリベラルになってきました。
オランド氏の勝利演説全文をご紹介します。リンク先では動画も見られます。
私たちもあきらめてはいけない。私たちが成長すれば、私たちにふさわしい政治家をきっと育てられます。
●ouest-france.fr
Victoire de Hollande. Discours à Tulle du nouveau président de la République
オランド氏の勝利。テュルでの新大統領の当選直後の演説
http://presidentielle2012.ouest-france.fr/actualite/discours-tulle-du-nouveau-president-de-la-republique-06-05-2012-1578
Dimanche 6 mai 2012
親愛なるフランス市民のみなさん。
この5月6日、フランスのみなさんは私に共和国大統領職を託すことで変化を選びました。私は私に与えられた名誉と私を待ち受ける課題の重さを思います。
みなさんの前で、私はこの職が求める献身的態度と模範的な振る舞いによって私の国に奉仕する約束をいたします。私はこの職の要求の重さを知っており、その点において、5年間フランスを治め、その意味から私たちの敬意に値するニコラ・サルコジに共和国のあいさつをおくります。
私は、投票によってこの勝利を可能にしてくれたすべての女性と男性のみなさんに深い感謝の意を表します。
多くの方々がこの瞬間をこんなにも長い年月の間待っていました。一方、もっと若い方々はこの瞬間を今まで一度も経験したことがありません。多大な失望を味わった方々もいます。同じ方々は残酷なまでの思い出を多く持っています。
そんなとき、私は再び希望を与えることができたことを誇りに思います。今晩、私はそんな方々の感情を想像し、その感情を分かち合います。私はその感情を感じ取ります。そして、この感情は誇りの感情、尊厳の感情、責任の感情でもあるはずです。
『私はすべてのフランス人の大統領となります』
私がみなさんに訴える変化は、フランスという高みに相当するものでなければなりません。その変化は今始まります。私に票を投じなかった方々、そのような大勢の方々の信念を私は尊重しており、私はすべてのフランス人の大統領となるということを知っていただきたいと思います。
今晩あるのは対決する二つのフランスではありません。ただ一つのフランスしかありません。ただ一つの国家、同じ運命の中に集結したただ一つの国家です。
フランスの女性、男性の一人一人は、共和国の中で、権利と義務において平等に扱われます。共和国の子どもの誰も、放っておかれたり見捨てられたり追いやられたり差別されたりすることはありません。そして、成功の約束を、一人一人の、その人生の、その個人的運命の達成のために守ります。
あまりにも多くの断絶、あまりにも多くの傷、あまりにも多くの分裂、あまりにも多くの切断が私たちフランス市民を引き裂いてしまいました。しかし、それももう終わりです。共和国大統領の最初の務めは、私たちを待ち受ける挑戦に応じるために、市民一人一人を共通のアクションに連帯させて集結させることです。これから申し上げる通り、挑戦すべきことはたくさんあるだけではなく、重いのですから。
まず、私たちの国が危機から脱するために、私たちの生産を立て直します。負債を抑制するために赤字削減に取り組みます。公的サービスをすべての人が等しく利用できるようにするために私たちの社会保障モデルを守ります。
私たちの領土、特に都市部と農村部のさまざまな地域の間の平等を確保します。教育は優先課題で、共和国の学校は私の約束でもあります。環境問題の要求があり、エコロジーへの移行を達成しなければなりません。雇用と経済成長と未来のためのヨーロッパの政策方針見直しも必要です。
『二つの主要な約束は、正義と若者政策です』
フランス市民のみなさんが私を共和国大統領に選んでくれた今日さっそく、私は二つの主要な約束によって私の仕事を判断していただきたいと申し上げます。それは、正義と若者政策です。私の選択の一つ一つ、私の決定の一つ一つは、これらの基準だけにもとづくのです。「これは正当なことか?」「これは本当に若者のためになるのか?」と。
そして、私の任期が終わる時、私は自分の国のために何を成し遂げたかを私自身でも見るでしょう。私自身も、これらの問いだけを私に投げかけるでしょう。「私は平等の大義を前進させただろうか?」「未来の世代が共和国の中に居場所を作れるようにする政治を私はしただろうか?」と。
私はフランスを信頼しておりますし、フランスをよく知っております。私は、私自身このフランスを訪れ、めぐり、人々に出会いながら、たいへん大勢の市民のみなさんの苦しみや困難な状況の重さを見ました。
それと同時に、私は私たちの国フランスのあらゆる切り札、あらゆる力、あらゆる幸運も見つけることができました。私たちフランス人民は試練を乗り越え、自分たちを立て直すことができるということを私は知っております。歴史の中で私たちは常にそうしてきましたし、試練を乗り越え、来たる五年間で成功できると思います。
共和国の価値とは、自由、平等、友愛、人間の尊厳、男女平等、政教分離(非宗教性)です。これらすべてが、私の使命を達成させてくれるこれほどたくさんのテコとなります。私はここ数か月、フランスの夢を語ってきました。それは私たちの歴史であり、私たちの未来であり、それはシンプルに「進歩」と呼ばれます。各世代で私たちの暮らしがだんだん良くなっていくための長い歩みなのです。
『ヨーロッパが私たちを見ています』
このフランスの夢は、私たちの子どもたちに私たち自身よりも良い生活を与えるという、私たちがみな共有している夢です。このフランスの夢を、私に与えられたばかりの大統領任期で達成する努力をするつもりです。
しかし、まさに今日、私たちの国の未来の責任を持つ者として、私はヨーロッパが私たちを見ていることにも思いをはせます。大統領選の結果が発表されたこの瞬間、ヨーロッパのたいへん多くの国では、この選挙結果が安堵や希望となったことも確信しています。
緊縮財政政策をもう運命とはいえないようにできたという考えは、成長と雇用と繁栄、要するに未来の広がりをヨーロッパの構築のために与えるという職務となってこれから私に与えられます。そして、私はそのことをできるだけ早くにヨーロッパのパートナー諸国に伝えたいと思います。まずはドイツに対して、独仏を結びつける友情と独仏に共通する責任の名においてそのことを伝えます。
みなさん、親愛なるフランス市民のみなさん。私たちのいるのはこの地球上のどうでもいいような国でも国家でもありません。私たちはフランスなのです。そして、共和国大統領として、常にフランス人民のものであった希求、つまり、平和、自由、尊重、そして、独裁から自らを解放したり正当性に欠けた腐敗というお決まりのことから脱したりする権利を人民に与える能力をかかげるのは私の役割です。
そうです。私が行なうすべてのことは、世界のあらゆる場所で、共和国の価値の名においても行われるのです。5月6日は私たちの国にとって大きな日になるはずです。ヨーロッパにとっての新たな出発、世界のための新たな希望なのです。
『すべての共和制支持者の集結』
これがみなさんが私に与えた任務です。この任務は重く、大きく、美しさを持っています。私は自分の国を愛しています。私はフランスの市民を愛しています。私たちの間でこの相互関係があるというのが私の望みです。この相互関係こそがあらゆることを実現可能にします。それは信頼と呼ばれるものなのです。
最後に、みなさんから私は去る前に、...とは言ってもまた戻ってまいりますが...私は私を今の私にしてくれたすべての人々に挨拶をおくりたいと思います。私の家族、私のパートナー、私の近親者、つまり、大きな責任を志願する瞬間、つまりこの場合は私がその責任を実行する瞬間に、一人の男性あるいは一人の女性に魂の力をもたらしてくれる人たちに挨拶をおくります。
私はまた、私が率いた政治勢力、政治運動のみなさんにも挨拶をおくります。私は社会主義者で、私はいつも左派の結集を望んできましたが、もっと広く、共和制支持者たちのみなさん全員の結集も望んできました。今晩、私たちの勝利を可能にしてくれた人道主義者のみなさんにも挨拶をおくります。
最後に、私は私の地元コレーズ県にも挨拶をおくります。コレーズ県のみなさん、私はみなさんからすべてを与えていただきました。みなさんは私にいつも投票してくれました。この大統領選ではなおさらです。
私はこのコレーズ県が私に最も多くのものを与えてくれた県だろうと思います。これは、数だけではなく、人口に比べての規模について申し上げているのです。私は私の地元テュル、私が治めた町、今私たちが集まっているこの町にも挨拶をおくります。みなさんの投票の正当性によって、今日すべてのフランス市民を説得することが私にできたのです。
しかし、今から、私はフランスに奉仕する身で、変革を成功させるために今からすぐに動かなければなりません。これが私の使命です。奉仕すること、共和国に奉仕すること、フランスに奉仕すること、私たち自身を超えて、この選挙で私がかかげ、ここフランスにだけでなくヨーロッパの隅々にも世界にも伝えなければならない大義や価値に奉仕すること、それが私の務めです。
共和国万歳!そして、フランス万歳!
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徳岡先生の記事をよく転載させていただく私としては、徳岡先生に転載していただける記事を提供できて、やっと恩返しできた気持ちです。
このテュルでの演説
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-3417.html
に加えて、それから三時間後にパリのバスティーユ広場に来て、日が変わった5月7日の0時30分ごろ、バスティーユ広場を埋め尽くした市民を前に感謝の即興演説もしています。その記事のトラックバックをさせていただきます。
内容は多少重複していますが、政治は意志の力で変えられるという勇気を与えてくれることに変わりはありません。
瀬玲奈さんだとばかり思っていたんですが。。。
どっかで村野さんってお呼びしたような気がします。
すみませんでした!
ただ、世の中、いろんな方がいますので、事務所の安全にはご注意をお願いします。
こんなことを言う演説に感動するリベラルとはなんなのか。
現代的リベラルとは自由と平等を重んじる思想である。
どこに「この地球上のどうでもいいような国、国家」があるのか。どこに平等の思想があるのか。
思い上がり以外の何者でもない。