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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

渡辺謙さん ダボス会議でのスピーチ全文 真の豊かさと絆と脱原発を訴える

2015年06月08日 | 福島原発事故

 

2015年6月8日、アメリカ演劇界で最高の栄誉とされるトニー賞の授賞式が、ニューヨークで行われ、ミュージカル部門の主演男優賞にノミネートされていた俳優の渡辺謙さんは惜しくも受賞を逃しましたが、渡辺さんが主演しているミュージカル「王様と私」は、リバイバル作品賞と主演女優賞、助演女優賞など4つの部門を受賞しました。

それだけの作品を創り上げるのに貢献したということです。ブロードウェイ進出第一作で主演男優賞ノミネートなんて凄い快挙ですよ!

55歳になってもこのブロードウェイ進出など、果敢に挑戦し続ける渡辺謙さんの素晴らしい脱原発スピーチを、トニー賞ノミネート記念と言うことで再録します。

 

今回ご紹介するのは、2012年1月26日付けの記事です。

次回は、アカデミー賞かトニー賞授賞記念でまたアップしますね!

 

 

ラストサムライ、世界のケン・ワタナベが日本人俳優としてはじめてダボス会議に出席。

世界経済フォーラム(せかいけいざいフォーラム、"World Economic Forum")は、ジュネーヴに本部を置く非営利財団である。スイスのダボスで開催される年次総会が特によく知られており、選ばれた知識人やジャーナリスト、トップ経営者や国際的な政治指導者が一堂に会し、健康や環境等を含めた世界が直面する重大な問題について議論する場となっている。

 

 

 

 スイスで25日に開会した世界経済フォーラム年次総会「ダボス会議」で、俳優の渡辺謙さんがスピーチに立ち、各国から寄せられた東日本大震災の被災地支援への深い感謝と立ち上がる決意を語るとともに、原子力から再生エネルギーへの転換を訴えた。

 渡辺さんは、震災発生直後から、インターネットにメッセージなどで被災者を応援するサイト「kizuna311」を立ち上げ、現地を幾度も訪れるなど、支援活動を積極的に続けている。

 スピーチは現地時間25日午前(日本時間同日午後)に行われた。渡辺さんは「私たちの決意として、世界に届いてほしいと思います」と話している。

 スピーチ全文は次の通り。

 

 

 初めまして、俳優をしております渡辺謙と申します。

 まず、昨年の大震災の折に、多くのサポート、メッセージをいただいたこと、本当にありがとうございます。皆さんからの力を私たちの勇気に変えて前に進んで行こうと思っています。

 私はさまざまな作品の「役」を通して、これまでいろんな時代を生きて来ました。日本の1000年前の貴族、500年前の武将、そして数々の侍たち。さらには近代の軍人や一般の町人たちも。その時代にはその時代の価値観があり、人々の生き方も変化してきました。役を作るために日本の歴史を学ぶことで、さまざまなことを知りました。ただ、時にはインカ帝国の最後の皇帝アタワルパと言う役もありましたが…。

 その中で、私がもっとも好きな時代が明治です。19世紀末の日本。そう、映画「ラストサムライ」の時代です。260年という長きにわたって国を閉じ、外国との接触を避けて来た日本が、国を開いたころの話です。そのころの日本は貧しかった。封建主義が人々を支配し、民主主義などというものは皆目存在しませんでした。人々は圧政や貧困に苦しみ生きていた。私は教科書でそう教わりました。

 しかし、当時日本を訪れた外国の宣教師たちが書いた文章にはこう書いてあります。人々はすべからく貧しく、汚れた着物を着、家もみすぼらしい。しかし皆笑顔が絶えず、子供は楽しく走り回り、老人は皆に見守られながら暮らしている。世界中でこんなに幸福に満ちあふれた国は見たことがないと。

 それから日本にはさまざまなことが起こりました。長い戦争の果てに、荒れ果てた焦土から新しい日本を築く時代に移りました。

 私は「戦後はもう終わった」と叫ばれていたころ、1959年に農村で、教師の次男坊として産まれました。まだ蒸気機関車が走り、学校の後は山や川で遊ぶ暮らしでした。冬は雪に閉じ込められ、決して豊かな暮らしではなかった気がします。しかし私が俳優と言う仕事を始めたころから、今までの三十年あまり、社会は激変しました。携帯電話、インターネット、本当に子供のころのSF小説のような暮らしが当たり前のようにできるようになりました。物質的な豊かさは飽和状態になって来ました。文明は僕たちの想像をも超えてしまったのです。そして映画は飛び出すようにもなってしまったのです。

 そんな時代に、私たちは大地震を経験したのです。それまで美しく多くの幸を恵んでくれた海は、多くの命を飲み込み、生活のすべてを流し去ってしまいました。電気は途絶え、携帯電話やインターネットもつながらず、人は行き場を失いました。そこに何が残っていたか。何も持たない人間でした。しかし人が人を救い、支え、寄り添う行為がありました。それはどんな世代や職業や地位の違いも必要なかったのです。それは私たちが持っていた「絆」という文化だったのです。

 「絆」、漢字では半分の糸と書きます。半分の糸がどこかの誰かとつながっているという意味です。困っている人がいれば助ける。おなかがすいている人がいれば分け合う。人として当たり前の行為です。そこにはそれまでの歴史や国境すら存在しませんでした。多くの外国から支援者がやって来てくれました。絆は世界ともつながっていたのです。人と人が運命的で強く、でもさりげなくつながって行く「絆」は、すべてが流されてしまった荒野に残された光だったのです。

 いま日本は、少しずつ震災や津波の傷を癒やし、その「絆」を頼りに前進しようともがいています。

 国は栄えて行くべきだ、経済や文明は発展していくべきだ、人は進化して行くべきだ。私たちはそうして前へ前へ進み、上を見上げて来ました。しかし度を超えた成長は無理を呼びます。日本には「足るを知る」という言葉があります。自分に必要な物を知っていると言う意味です。人間が一人生きて行く為の物質はそんなに多くないはずです。こんなに電気に頼らなくても人間は生きて行けるはずです。

「原子力」という、人間が最後までコントロールできない物質に頼って生きて行く恐怖を味わった今、再生エネルギーに大きく舵を取らなければ、子供たちに未来を手渡すことはかなわないと感じています。

 私たちはもっとシンプルでつつましい、新しい「幸福」というものを創造する力があると信じています。がれきの荒野を見た私たちだからこそ、今までと違う「新しい日本」を作りたいと切に願っているのです。今あるものを捨て、今までやって来たことを変えるのは大きな痛みと勇気が必要です。しかし、今やらなければ未来は見えて来ません。心から笑いながら、支え合いながら生きて行く日本を、皆さまにお見せできるよう努力しようと思っています。そしてこの「絆」を世界の皆さまともつないで行きたいと思っています。

 

 

トニー賞授賞式で舞台を再現するパフォーマンスを披露した渡辺謙さん。

 

くうぅうううう!惜しかった!!

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ミュージカル 王様と私 KING AND I 渡辺謙 ケリー・オハラ Import
渡辺謙 (アーティスト), ケリー・オハラ (アーティスト), 1 その他  形式: CD
UNIVERSAL

映画『ラスト・サムライ』や『硫黄島からの手紙』などで世界的俳優となった渡辺謙。
アメリカでも評価の高い彼が今度はブロードウェイ・ミュージカルにデビューしました。
この録音は、今回のオリジナル・キャストによる新録音。
3月12日からのプレビュー公演に続き、4月15日にはじまったばかりの
本公演の合間を縫って4月に録音されたものを日米でラッシュ・リリースします。


誰?-WHO AM I?    渡辺謙著  ブックマン社

『ラスト サムライ』『バットマン ビギンズ』『SAYURI』等、世界を股にかけて活躍している映画俳優、渡辺謙。彼は今、何を思い、何を表現し、これから何処へ向かおうとしているのか? ——— 本書は、『明日の記憶』という小説に偶然出会ったことで、何かに突き動かされるように映画を作ろうとする一人の<表現者>としての軌跡を、渡辺自らが克明に綴ったノンフィクションである。


ラスト サムライ 特別版 〈2枚組〉 [DVD]
 
ワーナー・ホーム・ビデオ

 演じるオールグレン大尉と同様に、トム・クルーズ自身が日本の武士道に心酔していく姿が伝わってくるアクションロマン超大作。ハリウッドが撮った日本の歴史という点でも、画期的な一作である。明治維新直後の日本で、軍を近代化したい政府の要請を受け、南北戦争の英雄オールグレンが招かれる。ごう慢な態度で軍を教育する彼だったが、反政府の侍たちとの戦いに敗れ、囚われの身となった山里で武士道精神にめざめていく。
   姫路や京都でもロケが行われたが、ニュージーランドやハリウッドのセットで再現された明治の日本が壮観。衣装や小道具は、時代劇を見慣れたファンにも違和感はなく、むしろその細密さに驚かされる。大平原での騎馬アクションは色遣いも鮮やかで、黒澤明の『乱』を彷彿。トム・クルーズと小雪のロマンスには、あえて深く切り込まなかったことで作品全体のトーンも保たれた。侍たちを統率し、政府に反旗を翻す勝元役の渡辺謙は、トム以上の存在感。クライマックスでの彼の壮絶な演技には、身震いしてしまうほど!(斉藤博昭)

 

 

王様と私 (製作50周年記念版) [DVD]  主演ユル・ブリンナー、デボラ・カー  20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

●1956年度アカデミー賞(R)5部門に輝く名作ミュージカル! 
(主演男優賞、録音賞、美術監督・装置賞、衣装デザイン賞、ミュージカル映画音楽賞)
●『サウンド・オブ・ミュージック』と並ぶロジャース&ハマースタイン・ミュージカルの代表作。
●アカデミー(R)主演男優賞に輝いたユル・ブリンナーの当たり役としてあまりに有名。
●共演は『めぐり逢い』『ここより永遠に』のデボラ・カー。芯が強く、心優しい、美しい家庭教師役を演じ、美しい歌声も披露する。

 

アンナと王様 (特別編) [DVD]
 
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

ジョディ・フォスター主演。王様はチョウ・ユンファ。

 

 

渡辺謙さん トニー賞主演男優賞逃す

6月8日 12時19分 NHK

渡辺謙さん トニー賞主演男優賞逃す
 
アメリカ演劇界で最高の栄誉とされるトニー賞の授賞式が、ニューヨークで行われ、ミュージカル部門の主演男優賞にノミネートされていた俳優の渡辺謙さんは惜しくも受賞を逃しましたが、渡辺さんが主演しているミュージカル「王様と私」は、リバイバル作品賞と主演女優賞、助演女優賞など4つの部門を受賞しました。
ことしで69回目となるトニー賞は、ニューヨークのブロードウェイで公開された演劇やミュージカルを対象にした賞で、アメリカ演劇界の最高の栄誉とされ、7日、ニューヨークで、各部門の発表が行われました。
このうち、ミュージカル部門の主演男優賞では、「王様と私」に出演している渡辺謙さんがノミネートされていましたが、日本人の俳優として、初めての受賞はなりませんでした。
一方、ミュージカル「王様と私」は、リバイバル作品賞と主演女優賞、助演女優賞など4つの部門を受賞しました。
「王様と私」は19世紀のタイを舞台に、タイの王と、王子たちの教育係として雇われたイギリス人女性が文化の違いに戸惑いながらも交流を深めていく様子を描いた作品で、渡辺さんはタイの王を演じています。
ブロードウェイでは、昨シーズン、合わせて37の演劇やミュージカルが公開され、観客動員数が1300万人を超えて過去最高を記録するなど、興行が好調で、こうしたなか、ことしのトニー賞には大きな注目が集まっていました。

渡辺謙さんの経歴

リバイバル作品賞を受賞した「王様と私」で主役を演じた渡辺謙さんは、新潟県出身で55歳。
高校を卒業後の昭和54年、劇団の研究所に入所し、2年後に舞台デビューしました。
その後、映画やテレビドラマにも活躍の場を広げ、昭和62年のNHKの大河ドラマ「独眼竜政宗」で主役の政宗役を演じて人気を決定づけました。
そして、平成元年と平成6年に、白血病のため入院しましたが、仕事に復帰し、平成15年には、映画「ラストサムライ」の準主役でキャスティングされ、初めてハリウッドへの進出を果たしました。
この作品で、渡辺さんは武士道を貫く侍を熱演し、アメリカのアカデミー賞やゴールデングローブ賞の助演男優賞にノミネートされるなど国内外から高い評価を受けました。
その後も、クリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」で主演を務めたほか、平成22年には「沈まぬ太陽」では日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞するなど、名実ともに日本を代表する俳優として知られています。

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4 コメント

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Unknown (モリッシー)
2012-01-27 13:17:39
謙さんのスピーチ、なんだかホッとしました。
まだまだ世の中捨てたもんじゃないですね。

ショウ マスト ゴー オン・・・
返信する
拍手 (kei)
2012-01-28 00:33:05
さすがに謙さんを切れるプロデューサーは居ないでしょうね。

これに続いて、多くの芸能人が勇気を出して思ったことを言える状態にしていって欲しいと思います。
返信する
すばらしい (汐里)
2012-01-31 23:56:00
 すばらしいスピーチですね。

 どうして
 こんなにも素晴らしいスピーチが
 報道されないのでしょう?

 残念でなりません。
返信する
ネットでなければ (リベラ・メ)
2015-06-08 16:55:47
渡辺さんのスピーチ、このブログを読まなければ決して知ることはありませんでした。当たり障りの無い言葉や、“政府与党に感謝する内容”でなければ、無視されるかネットバッシングのどちらかです。道理で報道の自由度ランキングが、61位の筈です。
返信する

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