Speak Easy

ひっそりと熊の雑記帳2

もう、二度と逢えない…

2012-04-26 11:03:40 | Weblog
この俺が、紅顔の美少年であった頃より親しんだホットケーキが、ついに食えなくなってしまった。

…美少年であったかどうかのポイントに突っ込みは不要。
何なら、証拠見せてやるわ。

と…こんな話はどうでもいい。

このホットケーキは神田の万惣のものだ。
1階はフルーツショップになっており、“ミスプリだろ?”というような価格の果物が並ぶ。
そして中2階がフルーツパーラー、2階がレストランとなっていたと記憶している。

この、中二階のフルーツパーラーが俺がご幼少の砌に(しつこい?)親しんだ場所だ。

神田の会社で働く父親を、ここでホットケーキを食べながら、母親と待った記憶がある。

ホットケーキそのものは、決して珍しい食べ物ではなかったが、この店の味は別格だった。
また、店の雰囲気が妙に張り詰めたものであり、子供心に、この店ではいい子になっておかないとならないのだ…と考えていたことも思い出す。

余談だが…
この店のホットケーキは、当たり前のように2段重ねで出てくるのだが…
自宅で母親が作るときは必ず1枚ずつ出される。
もちろん、温かいうちに食べ始めなさいという意味なのはわかるのだが…
どうしても、万惣と同じように2枚重ねにしてくれと駄々をこねた。

このあたり、形式を重んじる現在の俺の性格の片鱗が表れていると思っていただきたい。


ともあれ、万惣が閉店してしまった。

あのホットケーキも…

小エビの入ったトマトソースの掛かったオムライスも。
崩すのが惜しいほど綺麗に盛りつけられたドライカレーも。
“至福”としか言い様のないサンドイッチも。

もう、二度と食べられないのだと思う。

今、思い出してみると、皿がきちんと温められた状態で提供される食事(軽食ではあるが)を、小学校に上がるか上がらないかの子供に対して、「このお店はコックさんが手を抜かないからだよ」と、俺に説明した母親もずいぶんだな。
まぁ、いまだに記憶にあるということは、決して無駄ではなかったのだろう。

ともあれ、こうしてまた、俺の店が一軒なくなってしまった。

とてもとても残念だ。

なぁ…だからいつも言うだろう??

今、楽しめること、味わえること。
これは永遠じゃない事も多い。

できるときに、目一杯楽しんでおくべきなんだ。

その日が来た時に後悔してももう遅いぜ?






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認定せねばなるまい

2012-04-23 06:57:43 | Weblog
また…イカした町を見つけてしまった。

ガキの頃から当たり前に通過していた駅なのだが…
なんとなく、恐ろしいイメージがあり、その町で遊ぶことはなかった。
あしたのジョー…の舞台になった町の隣町だといえばお分かりになるだろうか。

今、その町を歩いてみると、一体何が怖かったのかわからないのだが…
今の俺を30年前の俺が見たら怖いのだろうか…
何怖がってんだ、小僧! とぶん殴ってやろう。
あ…だからか。

ともあれ、いい町だ。
狭い通りには、みっちりと小さな店が並ぶ。
すでに出来上がっているオヤジ連中と、魚を炙る香り。
濃い化粧の女から安物の香水がかすかに香る。
高いヒールで走る音。出来上がったオヤジを捕獲に出たか。
夜の街で待ち伏せる肉食獣は怖いぞ…

まるで数十年もここで遊んでいたような気分でそぞろ歩かせてもらった。

ずらりと並ぶ飲み屋の中に、一軒だけ床屋があるあたり…うーん。
この無秩序さがたまらない。

気まぐれで、その床屋で髪を切ってみる。
昔は飲み屋にでもいたのかな…と思うような派手なババァだったが…
うまいじゃないか、このやろう。
この床屋にはまた来よう。
刈られている間、ずっと寝ていたような気もするが…

ともあれ、毎度毎度でありがたみがなくなるが…

ここも俺の町と認定する。


個人的開拓事業を全力で行う所存である!!
来たい奴は床屋で1時間待たされることを覚悟のこと!


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フェルメールのため息

2012-04-20 14:08:41 | Weblog
仕事の合間を縫って、銀座を訪れた。

俺としては珍しく、たいめいけんが目的だったわけではなく。
築地に行く途中に銀座を通過したという話でもない。

だいぶ酷使している愛機D7000とレンズの点検を頼むべくニコンプラザに行ってきたわけだ。
カメラを預けたはいいが、終了するまでの1時間、何もすることがない。
1階にあるカメラを見ているだけでも楽しいが、気になっているD800あたりは触るのが怖い。
そのままお買い上げになってしまっても、なんの不思議もないからな。

そういえば…フェルメール展…らしきものがこの近くで開催されていることを思い出した。
もちろん、あのフェルメールがズラリと揃うなど、大きな美術館でもめったにあるものではないし、おそらく複製画の類なのは当然のことなのだが…
そのなかに、フェルメールのアトリエの再現…などと書いてあった気もする。
絵画に関しては、まったく無知である俺だが、フェルメールとレンブラントだけは気になる。
あいつらがまだ生きてたら、俺のニコン貸してやるのに…と思う両名なのだ。

ともあれ、これはぜひ見ておく価値はあるだろうと、場所を探してみたら…なんのことはない、歩いて数分のビルの中にそのイベント会場はあった。
サブカメラのP7000をぶら下げてそのビルのエレベーターに乗り込んだ。

そのフェルメールは…キャンバスの上にフェルメールの絵を撮影したものをプリントしたものだった…いろいろな意味でのため息が出たが…まぁ、いい機会だ。
ライティングは勉強させてもらおう。

2つのフロアにわたって開催されているイベントだったが、上のフロアから下に降りると…
ちょっと嬉しいものがそこにあった。

フェルメールのアトリエを再現したものらしいのだが…
なんと撮影OK。フェルメールのアトリエそのまま、という訳にはいかないが、
それでも、自分がその中に座ることができる。
これは嬉しい誤算だった。
もちろん、俺などが座るより、真っ直ぐな目をした青いターバンの少女を座らせてみたいところだが…
生憎と、手持ちがない。汚いオヤジで我慢しよう。

その結果、撮影されたものがこれだ。

罵詈雑言は覚悟の上。
でも、座ってみたかったんだよ。

でも、文句を言った奴には、青いターバンを持って銀座に来るという義務が生じるからな!!
そっちも覚悟して文句言ってこいよ!!




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風が吹く

2012-04-14 17:12:49 | Weblog
今、願いが叶うものならば。

翼より、君が欲しい。


という歌を昨日聴いた。

激しく同意する。



歌ってた人間に問題があるかもしれないが…
誰かは教えてやらん。自分で探せ。
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夢の忘れ物

2012-04-12 18:59:05 | Weblog
ひどい深酒の翌日、差し込む朝日に無理やり起こされた。
カーテンを閉めずに寝たのは自分だったか…

しかし、それでも、シモンズのベッドの快適さゆえか、
さほど寝不足は感じなかったが…
覚醒と共に、次第に頭痛が気になってくる。

まぁ、あれだけ飲めば当たり前だろう。

ふと、気づく。

やけにベッドが広い。

昨夜はここに、いい匂いのする柔かいものの存在を感じていたような記憶があるのだが。
まぁ、夢でも見ていたのかもしれん。

いや、待てよ。
カーテンを開けていた理由がそれだ。
カメラを構え、夜景を、シルエットで抜いてみようなどと、くだらない思いつきをしたような記憶も…

良く思い出せん。
考えるほど、頭痛が酷くなってくる。
まぁ、どうせ、酔った頭の作り出した妄想の類だろう。
諸悪の根源は、あの店だ。
ウイスキーの品揃えが良すぎたな。

かぐわしいコーヒーよりも、
香ばしいクロワッサンよりも、
今の俺には一杯の水が必要だ。

ヴィッテルのボトルを持ち。
生後12ヶ月の赤ん坊のような、おぼつかない足取りでバスルームに行く。
洗面所でひとしきり顔を洗い、ボトルから価千金の液体を喉に流し込むと、やっとなんとか脳が働き出してきたようだ。
と言っても…働きのレベルで言えば、時給800円で雇われているコンビニの店員よりは、少しは真面目に…というレベルだったが。

タオルで濡れた顔と頭を拭いていた時、洗面所の鏡の前に、光る二つのものがあることに気づいた。

貝殻??

いや、違う。

素材はアコヤ貝だろうか。
涙の形にゴールドで縁った二つのピアスだった。

やけにリアルな夢だということだな。

夢の忘れ物…って、ことか。

その二つの涙をカメラバッグの隅に放り込んだ。

火をつけたタバコを咥えて大きな窓の前に立つ。
昨日の雨が嘘のようだ。


今日はいい天気になりそうだな。

さぁ、現実に戻るとするか。




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