チニタの冒険「ライクンナイ」９ページ

サケは、北の海を回遊しながら、動物プランクトンを
主食として幼魚として成長しつづけます。
イカや小魚などを食べる事もあります。
トドやアザラシに襲われ食べられてしまう事もあります。
海を回遊しながら１～５年すごしたサケは生まれた川を
目ざします。


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チニタの冒険「ライクンナイ」８ページ

海に出た稚魚たちは約１ヶ月ほど河口付近で
動物プランクトンなどを食べて、さらに大きくなり
海に出るため、力をつけます。
６月頃には動物プランクトンの量が減ってくるので
それまでには、ほとんどの稚魚は沖に出て海流に乗り
オホーツク海、ベーリング海、太平洋寒流域などに
行きます。


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チニタの冒険「ライクンナイ」７ページ

「卵黄のう」がなくなると、砂利の中から稚魚がエサを
取りにでてきます。エサは小さな水生昆虫などです。
春になると、鮭の稚魚は少しづつ成長しながら
海を目指し、川をくだります。


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チニタの冒険「ライクンナイ」６ページ

サケの卵は泉の底の砂利の中に産みつけられます。
産み付けられてから２ヶ月ほどで孵化します。
孵化した稚魚は「卵黄のう」という栄養の入った袋を
つけたまま、砂利の中でさらに２ヶ月ほどすごします。


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チニタの冒険「ライクンナイ」５ページ

「このサケがこの川を旅立った時は、とても小さい魚
だったのだよ。それが、このように大きく育だち、
ここで死んだ事には、大きな意味があるのだよ」と
マタギはいいました。


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チニタの冒険「ライクンナイ」４ページ

自分の生まれた泉にたどり着くサケは、ほんの少し
なのです。　「ここまで頑張って泳いできたのに
努力が無駄になって可愛そうだな。」チニタがつぶやくと
マタギが、ニコニコしながら言いました。
「可愛そうではないよ。サケにとって素晴らしい
一生だったと思うよ。無駄に思える努力は、目に見え
ない形で大きな役割をはたしている事もあるんだよ。」


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チニタの冒険「ライクンナイ」３ページ

サケは卵を産むために故郷の川を上り、自分が
生まれた泉に卵をうむのです。みんな泉を目指して
頑張ります。でも、ほとんどのサケは、このように
滝登りに失敗したり途中で力尽きて死んだり、時には
人間やクマやキツネに食べられたりするのです。


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チニタの冒険「ライクンナイ」２ページ

川を見ると滝があり、サケがピョンピョン飛んで滝を
登ろうと頑張っています。きっと、この死んだサケも
頑張り過ぎて川淵に跳ねてしまったのでしょう。


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チニタの冒険「ライクンナイ」１ページ

雲の精は知らないうちに、どこかへ行ってしまいました。
いくら待っても雲の精が戻ってこないので
チニタとマタギは旅の支度をすると、川に沿って
山を登りました。

チニタは川淵で魚の死骸をみつけました。
サケです。


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チニタの冒険「ライクンナイ」表紙

本日よりチニタの冒険「ライクンナイ」はじまります。
１５ページの短編です。設定が「チニタの冒険」とは
違う箇所もあるので、番外編としてごらんください。

ライクンナイとはアイヌ語です。
直訳しますと「死者の沢」となります。
古代アイヌ民族が使っていた「ライクンナイ」と言う
言葉、本来の意味をお話にしたものです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。


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