私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「ソーシャル・ネットワーク」

2011-01-18 20:02:12 | 映画(さ行)

2010年度作品。アメリカ映画。
マーク・ザッカーバーグは、友人のエドゥアルドにサーバ費用などを提供してもらい、ハーバードの学生だけが使える“ザ・フェイスブック”を作る。ザ・フェイスブックはすぐに多くの会員を獲得し、ハーバード大生以外にも人気を広げていた。しかしマークは、「アイデアを盗用された」と訴えられる。そして、サイトが大きくなり、マークが“ナップスター”の創始者に心酔するようになると、親友のエドゥアルドもマークから離れて行く…。(ソーシャル・ネットワーク - goo 映画より)
監督は「セブン」のデヴィッド・フィンチャー。
出演はジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド。




天才というものに対して、他人がどういうイメージを持っているかは知らないが、僕は次のようなイメージを持っている。

他人には思いつかないような鋭い発想と能力を持ち、移り気な傾向はあるものの、偏執的な側面ももっているため、自分のアイデアを実現するためパワフルに動く。しかしそのために視野狭窄的になり、持ち前の対人能力の不足もあり、ときに周りを混乱に陥れる。
それが僕の中の典型的な天才像だ。
一言で片づけるなら、才能がなかったら、ただの変人である。


映画の主人公マーク・ザッカーバーグはその典型的天才像とぴったり合致する。

冒頭シーンの、早口でころころと話題が変わり、人の思いを読めないところはいかにも変人的で、そこからフェイスマッシュというサイトを立ち上げる流れは、いささか偏執的。
しかし鋭い発想を持っているため、その能力により成功者へとなっていく。

彼の行動は他人からすれば、はた迷惑だけど、能力があることは見ていてもよくわかる。
好き嫌いはあるだろうが、まちがいなく彼は天才なのだろう。

そして天才特有の自恃の念ゆえに、社会で生きる上では、とてつもなく危うい。


後にマークは、諸事情も重なり、訴訟を起こされることになる。
それは結局のところ、彼の対人能力の不足によるものだ。

それを責めるつもりなど僕にはない。人間にはできることとできないことがある。
そのトラブルを回避する上で重要な、調整役とマネジメント役の役割を、マークがこなせないのはわかりきったことだ。

だからこそ、彼には女房役とも言うべきナンバー2が絶対的に必要だったのだろう。
しかし結果的に、決定的な考え方の違いと、その対人能力の不足ともあり、自分を支えてくれるはずのナンバー2と袂を分かつことになってしまう。

それは皮肉な話だなと見ていて思う。
先にも触れたが、人間にはできることとできないことがある。
そしてそのできないことゆえに、マークは一人の人間としては、ちょっと悲しい立場に追い込まれてしまったらしい。


そんな不完全な人間たちのドラマが普通におもしろいと思えた。
「ソーシャル・ネットワーク」は言ってみれば、若くして億万長者になった男の成功物語なのだろう。
だが別の側面においては、苦い挫折の物語とも言えるのかもしれない。

評価:★★★★(満点は★★★★★)



製作者・出演者の関連作品感想
・デヴィッド・フィンチャー監督作
 「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
・アンドリュー・ガーフィールド出演作
 「大いなる陰謀」
 「BOY A」

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