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かくぱいあ~かいぶ

どうなる日本のバイク業界

2009年03月17日 | バイク
 唐突ですが、今、日本のバイク業界は大きな変革を強いられてます。
本当に唐突ですが何となく書きます。
昨今のバイク業界の危機的状況と激動ぶりには目を見張るものがありますので。
きもい社説みたいになってしまったのでお好きな方だけどうぞ。

基本的には
「各メーカーはもっと初心者向けモデルを充実させろ。
 それが長期的な業界の利益につながる」という内容です。



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若者がバイクから離れ、ライダーが高齢化し、市場は先細るばかり。
新たなバイク人口を増やそうとエントリー向けのバイクを開発しようにも、
世界一厳しいといわれる日本の排ガス規制と騒音規制のおかげで
初心者向けの50cc~250ccのバイク開発は難航。

排ガス規制を通すために高価なレアメタルを使って触媒を入れたり、
エンジンからの騒音を少なくするために遮音のためのパーツをてんこ盛りにすることで
新しく発売されるバイクの多くが「値段が20%上がって性能が20%下がる」という
悪循環に陥っています。

高校生が初めて50ccの原付でバイクに目覚めようとしても、
ホンダのAPE50は乗り出し価格で30万円を超えるのです。


対称的に、高齢化する熟練ライダー達は大型二輪免許の教習所取得可能化によって
高級大型バイクに流れ、1,000ccオーバーの高性能マシンばかりが売れるようになります。
メーカー側も利ざやが大きく、海外でも販売しやすい大型モデルを中心に幅広くラインナップを揃え
今ではツーリングで道の駅に行けば高級バイクに乗ったオジサンばかりが散見されるという状況です。

熟年ライダーが高いバイクに乗るということは一切問題ではありません。
真の問題は、新しいライダーが増えないことによって
やがて日本のバイク業界は後退するのみとなり、高齢化が進むと
バイク文化そのものの存続が危ぶまれることです。

これを防ぐには、これから初めてバイクに乗る人たちへの
足がかりとなるモデルをメーカーが用意しなければいけません。

よく似た例だと、日本の農村で後継者不足が進行し高齢化が深刻化すると、
これを解決するには新たな若い後継者が必要なのです。
そのためには、若者が農業に興味を持ち、
大きな負担を強いることなく農業の門をくぐる道筋を用意してあげることが不可欠です。


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 しかし先に述べたように、
マーケットの成長を阻害するかのように課せられた数々の厳しい日本の規制が
そんなエントリーモデルの開発を妨げます。

各メーカーはこれまでのエントリーモデルを仕方なく生産廃止にし
急ごしらえの規制対応モデルを発売しますが
開発費による価格の高騰と性能のダウンにより若者離れを食い止める起爆剤にはなりません。

日本のバイク市場は性能を維持しつつ購買意欲を搔き立てる魅力を持ち
かつ価格を安価に抑えられるモデルを求めたのです。

そんな救世主のようなバイクを出せるメーカー。
その一番手に名乗りを挙げたのはカワサキでした。

カワサキは旧来のZZR250のエンジンをベースに
流行のスポーツバイク「ニンジャ」のスタイルを与えたバイクを開発。
性能は維持したまま、新鮮な外見と初心者でも扱いやすい特性を与えた
「Ninja 250R」を発売したのです。

最新の燃料噴射システムを取り入れたにも関わらず
メーカー希望小売価格は50万円を切るリーズナブルなものとなり、
Ninja250Rは発売前から予約殺到、当初のカワサキの予想を上回る大ヒットセールスを記録。

発売から一年経たないにも関わらず、
街中やツーリングの名所にはNinja250Rが溢れかえることとなりました。


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 カワサキ一人勝ちの中、
国内バイクメーカーのトップを走るホンダも指をくわえて見ているだけではありません。

長年の技術の蓄積により脅威の耐久性と信頼性を持つ「VTR250」を
現代風にフルモデルチェンジし、市場投入をはかりました。

先代のVTR250は同じ250ccクラスのHornet250と比べると地味で、
扱いやすさからバイク便で重宝されるなど玄人志向な雰囲気が強く
とても「若者にアピールするバイク」ではありませんでした。

しかしホンダはカワサキとは異なるアプローチをかけることにしたようです。

これまでバイクといえば暴走族などの問題から企業イメージに直結するとして
大々的なコマーシャル活動は行われていませんでしたが、
なんとホンダはVTR250「だけ」を紹介するテレビCMを全国展開。

爽やかな女性が春先の草原をVTR250で駆け抜け、
見ているこちらが恥ずかしくなるくらい青春チックな楽曲をバックに
エントリーユーザーが思い描く「バイクの気持ちよさ」を全面に押し出す宣伝を開始しました。

テレビだけでなく、駅の広告、雑誌など幅広いメディア上で
「Feel The Real -The V-Twin Quarter- (これこそが本物だ)」をキャッチフレーズに
単一のバイク車種としては異例なメディア露出となっています。

市場の求める声に対してストレートに応えるバイクを出したカワサキに対し、
ホンダは従来のバイクの魅せ方を劇的に変えることでエントリーユーザーへの訴求を開始したのです。
このやり方には賛否両論あるようですが、個人的には歓迎すべきと考えています。

Ninja250Rと新生VTR250の出現は、バイク業界の変遷を実感させる出来事でもありました。


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 エントリーユーザーの獲得に意欲を見せた二社に対し、
表立って明確な方向性を示していないのがヤマハとスズキです。

ヤマハは国内向けモデルとして1,700ccの大型バイク「V-MAX」を発表したばかりですが、
大型二輪免許が必要、価格は230万円、上級者も苦労するほどの巨体で
販売店もヤマハ指定の店舗のみに限るなど、
とてもバイク業界の間口を広げる役割を担うモデルとはいえません。

スズキは400ccの「GSR400」の出力を大幅に引き上げるモデルチェンジを行いましたが
大柄で高出力なバイクは初めてバイクに乗る初心者にはやや不向きで、
やはり敷居を低く保ちつつもスポーツ性をアピールできる250ccモデルの発表が期待されます。

カワサキとホンダが新モデルを発売しただけでは市場の巻き返しにはなりません。
二社に触発されたヤマハとスズキも新モデルを発売し、
四社で競争を重ねることが最終的なユーザーの利益となるのです。

そういう意味で、ヤマハとスズキには
カワサキとホンダの挑戦に真っ向から応える気概を見せてほしいと思います。

四社が競争し、良い入門用バイクが発売され、
そのバイクに乗ったエントリーユーザーがやがて大型バイクに乗り、
また新たなユーザーが入門用バイクを買う。

日本のバイク業界は、そんな理想的な流れを作れるかどうかの岐路に立たされています。


この不況下、各メーカーは苦境に立たされているものと予測できますが
そんな状況だからこそ攻めの姿勢が必要とされるのではないでしょうか。

初心者向けモデルを充実させ、崩れかかったマーケットの再建に業界全体で取り組む。
それが長期的な業界の利益につながるものと思います。

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (TAK)
2009-03-18 04:05:21
はじめまして。いつも楽しく見させていただいていますTAKと申します。
今回のバイク業界の記事を拝見し、非常に的を得た記事だと感動し書き込ませていただきました。

当方昨年16で母親の原付に乗っていました。
そして、バイクで風を切る楽しさ・行動範囲が広がった事の感動を知り、今年1月に小型免許を取得しベンリィCD125Tに現在乗っています。

この事について家族は容認しているのですが、周りの一部では「バイクは危ない」といった認識が少なからずあるようです。
僕の勝手な考えですが、そんな思想を持った役人様が二輪に対し法的な圧力をかけ、日本のバイクメーカーにしわ寄せが来ちゃっているのだと思います。
よって、魅力的な商品が出せない→消費者の購買意欲の減退の悪循環に陥ってしまっていると思います。
これを打開するには、メーカーが新しい技術を培い、法的な問題を克服した新商品を開発することに尽きると思います。それは、非常に時間のかかることだと思います。

何が言いたいのかといいますと、今は二輪業界は谷間の時期にいるのでしょう。バイクを愛する人がいる限り、また二輪業界は山の時期が来ると思います。気長に待つしかないのでしょうね。


・・・書いている記事と大体被っていますね。すみません。
普段はインターネットであまり発言したりしないのですが、この記事を見て「書かずにはいられない!」という気持ちが湧いてきたので書き込んだのだと思います。多分めちゃくちゃな文になっているんだろうなぁぁ。
こんなのはコメント欄に書くべきではないんだろうな。僕もブログ始めようかな。
返信する
Unknown (毬藻)
2009-03-19 00:05:29
あーVTR250出てたんね・・・知らんかった・・・

そろそろ田舎から変態バイクでも連れてくるか!
返信する
Unknown (かくぱい)
2009-03-19 07:23:09
>TAKさん

恥じめまして。
こんなブログを見て頂いてありがとうございます。
私よりお若いように伺いますが、本当にアダルトな視野をお持ちで感服します。


>毬藻

早く来てね~!
返信する
はじめまして (ハッチ)
2011-02-03 11:30:19
業界の関係者です。
読ませていただいて正にその通りだと思います。
私個人の考えですが、10代に興味をもたない方は、ほぼ乗ることは無いとおもいます。
高校生の3無い運動も大きな問題だと思います。

乗せないのではなく授業で小学校の自転車のように教育して乗れるようにしてあげれば、多くの高校生が乗ると思います。
多感な時期に出会えれば楽しい思い出とともに、また乗りたいと思うし、良さもわかることでしょう。

PTAなどが事故の責任は?といった問題でもめるそうですが、許可制で乗りたい生徒は親や学校が認めれば乗れるようになればいいと思います。
現状は乗りたくても乗れば停学や退学など厳しいようです。

長文になりましたがバイク業界の未来を考えて、メーカーも本気で取り組んでくれることを願います。
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閲覧しました (サトス)
2011-02-03 22:37:25
自分は、26歳ですが1999年型のGSX-R750に乗っています。
やはり、レーサー・マニアック・峠・膝スリ・・・ライダーは、こうでなくてはw
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Unknown (かくぱい)
2011-02-03 23:45:23
>ハッチさん

こんにちは。
業界の方にお立ち寄り頂いて光栄です。
10代で興味を持たなければ…というのは、確かにそうかもしれませんね。
(私も19でギリギリ興味を持ちました)

そうですね、高校ではやはり免許取得が禁じられていたりしますよね。
せめて125ccくらいまで許してあげてもいいんじゃないかと思いますが…。

この記事を書いて1年近く経ち、
エントリークラスのバイクもかなり増えてきました。

次にメーカーがやることは、社会への働きかけかなと思っています。
免許制度を改革したり、都心の駐輪場を増やしたり、
バイクに乗るメリットを社会の仕組みから作っていかなければ
せっかくのエントリーラインナップを用意しても
「次のバイク」を買ってもらえないかもしれませんからね…。


>サトスさん

こんにちは。
膝スリ楽しいですよね!
あの感覚はやってみるとハマるのですが、
私は派手にズザーして痛い目に遭ったので
オヤジバイクを愛でる、マニアック方向に逃げました。笑

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Unknown (Unknown)
2011-02-04 01:27:39
街に駐車できるバイクを売り出せば絶対売れる。
逆に街に駐車出来ないバイクは売れない。
非常に単純。
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