ぽんしゅう座

優柔不断が理想の無主義主義。遊び相手は映画だけ

■ 雲の上 (2003)

2020年09月02日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」
その“土地”と癒着し形骸化してしまった宗教と、かつては神仏への畏れとして崇められた神話の残滓。そんな中上健次的な呪縛にからめとられる者たちの閉塞が映画作家、富田克也の原点だったことを確認する。本能的かつ短絡的に、それに抗う馬鹿を鷹野毅が好演する。いい役者だなあと思う。

本作に続く『国道20号線』(2007年)の地方を浸食する中央の経済論理なか生気を消費する若者たち。そして2011年、地方都市に巣くう東南アジアやブラジル移民たちのなかに空疎ではあるが希望幻想を見出す『サウダージ』。さらに、インドシナの地に赴き、タイの出稼ぎ女性たちの強かなプロ意識のなかで“転がされる”心地よさに浸る食い詰め日本人たちを描いた『バンコクナイツ』。富田克也の必然的な映画制作履歴になるほど合点がいく。

(8月28日/K's cinema)

★★★

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