「おべんとうはもう書かないの?」というリクエストも頂いているのですが、よく考えると人様にお見せするほどのものでは・・・と赤面の至りで、最近は写真も撮ってないのです。ちなみに先週からは毎日アメリカンチェリーがデザートに付いてきており、レギュラーのプチトマト、さらにいっぱい作ったラタトゥイユなんかが入っていた日には、おべんとう箱開けると、すごい赤々しさでちょっとびっくりします。自分で作ったものなのにね。
このあいだから妙に身体が欲していて、食べているもの。豆さん。近所のごひいきのパン屋さんのひよこ豆とパテ・ド・カンパーニュのサンドウィッチに続き、ここのフムス(ひよこ豆のペースト)のサンドイッチがとても美味しかったのに触発されたのか、無性に「ひよこ豆が食べたい」スイッチが入ってしまい、早速マーケットへ走りました。ついでにキドニービーンズの缶詰も一緒に買ってきて、それぞれトマト缶を使って煮込んでみましたら、簡単なのにすごく美味しかったので、2バージョンご紹介します。
【たこと豆さん】
<材料>
・ひよこ豆(水煮缶):2分の1
・キドニービーンズ(缶):2分の1
・トマト缶(カット):まるまる1
・蛸:足を2本くらい
・ソーセージ:4~5本
・ローリエ:1枚
・バジル:適量
・オレガノ:適量
・白ワイン:少々
*ひよこ豆とキドニービーンズの缶詰は、私が求めたイタリアからの輸入ものはトマト缶と同じ大きさで結構な分量だったので半分ずつ使いましたが、ちいちゃめの缶であれば1缶使い切りでいいと思います。お好みでご調整ください。
<つくりかた>
豆さんたちはそれぞれ缶を開けて水切り。蛸とソーセージはぶつ切りにする。お鍋に豆さんたち、トマト缶を開けてローリエを入れてひと煮立ちさせる。ぐつぐつしてきたら、蛸とソーセージを投入し、白ワインをちょこっと入れて、バジルとオレガノを自分が納得のいく分量を入れる(ここは人それぞれで)。しばらくコトコト煮込んで、「もういいかな」と思ったら火を止める。
【チリビーンズ】
<材料>
・ひよこ豆(水煮缶):2分の1
・キドニービーンズ(缶):2分の1
・トマト缶(カット):まるまる1
・ひき肉(合挽き、あるいは豚赤身):100~150g
・玉ねぎ:4分の1くらい
・ローリエ:1枚
・チリペッパー:適量
・パプリカ:適量
・ガラムマサラ:適量
<つくりかた>
たこと豆さんと同様、豆さんたちはそれぞれ缶を開けて水切り、お鍋へ。玉ねぎは薄切りに。ひき肉は塩こしょう、ナツメグをふっておき、油をひかずにフライパンへ。玉ねぎを入れて塩こしょうを追加して炒める。火が通ったらお鍋で待っている豆さんたちと合流させ、トマト缶を流し込んでローリエを入れて煮込み開始。ふつふつしてきたら、チリペッパーを加え、パプリカとガラムマサラをお好みで入れ、辛さを調整しながら弱火でクツクツ煮込んで、「このへんかな」と思ったら(いい具合に水分が飛ばせた頃合いを見計らって)火からおろしてできあがり。
両方ともほとんど「お料理しました」と言えないくらい簡単なのに、こんなに美味しくていいのかなと思うほど。パンにもごはんにも合います。「たこと豆さん」は温かいごはんの上にのせても、リゾットにしても乙。そもそもこれは、ポルトガル料理を食べに行ったときに、たしか「蛸と赤豆のトマトリゾット」(うろ覚えですが)が美味しかったので、真似して作ったものです。タコさんと一緒にウインナーを入れたのは、ちょうど余っていたのを使い切りたいという思惑と、ウインナーが「おだし」になるかなと思ったので。ウインナーはなんでもいいですが、ハーブ入りのウインナーを使ってみたところ、かなりベストマッチな感じでしたのでおすすめです。チリビーンズの辛さは、私が作るともちろんマイルドというか、控えめに言っても「非常にマイルド」ですが、最初の試作ではチリペッパーの投入具合があまりにも遠慮がちだったため、テキサスあたりではチリビーンズと認定されないんじゃないかというような、率直に言ってパンチ不足な味になってしまったのですが、ガラムマサラをちょっと足してみたり、「こんなに入れて大丈夫かな」とややドキドキしながらチリペッパーを多めに入れてみたところ、私にはですが素晴らしい味わいに仕上がりました。あ、どちらのバージョンでも、チーズをお忘れなく。パルメジャンチーズをふりかけてもよいですが、溶けるチーズを思いきってたくさん入れる方が、よりチーズィ(cheesy)で美味しいと思います。
フムスが中東の食べ物であるからか、わが国では「エジプト豆」とも呼び習わしていた「ひよこ豆」。ひよこみたいな豆という、かわいらしい名前を付けてもらえてよかったねというこの豆さん、イタリア語では“ceci(チェーチ)”と歌うような呼びかたをするのに、スペイン語は“garbanzo(ガルバンソ)”となんだかいかめしい響き。英語の“chickpea”に至っては、なんか“女子供が好きそうな豆”という誤解を生みそうな?語感というか。キドニービーンズは赤いんげん豆。文字通り、キドニー(腎臓)に似てるからって、いつからそんなこと知っててそう呼び始めたん??と驚きのネーミング。
「チリビーンズ」は、「チリコンカン」とか「チリコンカーン」て呼ぶべきなのかな。「チリコンカーン」って変な名前、と思って調べてみたら、これはテックス・メックス料理、エスパニョ~ルで“chili con carne”(チリ・コン・カルネ=chili with meat)のことなのだそう。メキシコ料理というよりはテキサスあたりが浮かんでいた私の直感は当たっていたものの、あの“チリ感”がほんのりしすぎた試作では、間違いなくアメリカでは認められへんはず。そして何事につけても大きくあれというテキサス魂に敬意を表して?盛大にチーズかけるべし!!なのでしょう