続・エヌ氏の私設法学部社会学科

無理、矛盾、不条理、不公平、牽強付会、我田引水、頽廃、犯罪、戦争。
世間とは斯くも住み難き処なりや?

社会保障法、日本国憲法第14条(法の下の平等)

2010-10-09 | 法学講座
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日本国憲法第14条
 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


 社会保障法という名称の法律があるわけではありません。
 年金や健康保険といった、社会保障に関わる法律を総称して、社会保障法といいます。

 年金では、会社勤めの方なら厚生年金、自営業の方は国民年金、公務員の方は共済などに加入しています。
 健康保険も、会社独自の健康保険組合や、社会保険事務所が担当する政府管掌保険、市町村の国民健康保険など、みんなどれかに加入しています。

 ところが、年金にしろ健康保険にしろ、職業によって加入できる社会保険が違い、払うべき保険料(個人負担分)はもとより、受け取れる給付にも大きな差があります。
 大ざっぱに言うと、公務員または公務員に準ずる団体の職員が最も手厚く、大企業がそれに続き、中小企業、自営業の順に、負担が大きくなる構造です。

 たとえば病院にかかったとして、同じ病気なら同じ治療が施されるのに、治療費の自己負担分だけでなく、支払う保険料、高額医療費の還付なども考えると、国民健康保険では負担が大きく、公務員共済や大企業の健康保険組合では安い負担で済みます。さらに、職場が自前で診療所を設置している場合は、もっと安い負担で済みます。

 しかし、憲法第14条では、法の下の平等を謳っており、人種や性別はもちろん、社会的身分や財産によって、何らの差別もされない、とされています。

 それなのにこれは、職業による差別ではないでしょうか。
 しかも、生命や健康に関わる重大な差別です。

 これらの制度は、目的は同じなのに、それぞれがバラバラで、制度の内容も違うため、一本化しようという動きがなされています。
 ところが、今すぐに一本化して、みなが同じ制度のもとに加入することになると、損をする人、得をする人がでてきてしまい、当然のように、反対の動きもあります。

 しかし、最初からひとつの制度にしておけば、それぞれに法律を作り、制度をつくり、またそれを一本化しようといった、馬鹿馬鹿しいほど無駄なエネルギーは必要なかったはずです。
 たぶん、恩給制度(現在は廃止)など、公務員(特に旧軍人)の「特権」が、制度を分けた根底にあるのではないでしょうか。

 なるほど、制度を分けている理由や歴史的背景は、いろいろとあります。
 しかし、国民にとってみれば、同じ日本国内で働き、税金や年金・健康保険料を納めているのに、差があるのはおかしい、と思うのは当然です。

 日本国民は、誰もが等しく日本国を構成し、寄与しています。
 それなのに、このような差があっていいものでしょうか?

 私は現在、どちらかと言うと「安い負担」で済むほうに属しています。
 したがって、社会保険が一本化されれば、私は「損をする」ことになってしまいます。しかしそれでも、一本化して、差別はなくすべきだと思います。
 経済的な負担が増えるのはもちろん痛いですが、今まで平均以上の恩恵を受けていたのが、公平な、本来あるべき姿になるだけのことですから、少なくとも「悪くなる」とは思いません。
 また、いずれ年金生活になったとき、収入が減って、負担が増えるのではたまりません。

 誰しもが、同じ負担(収入に応じて)をし、同じ給付を受ける。
 ただそれだけのことをするのに、何も難しいことはありません。

 余談ですが、高齢化社会の到来のため、社会保険料を上げねばならないという議論はごもっともですが、実は、最初からこうした事態を見込んで、もともと保険料は高く設定されており、その余剰分がかなり溜まっていて、保険料は、上げるどころか下げることも可能なんだそうですよ。
 どう思います?

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