ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

HoME7 XI : A Story Foreseen From Moria (1)

2005-11-16 00:12:39 | Tolkien・HoME
話の基礎がしっかりできて,元へ戻る事はもうなくなりましたが,クリストファーさんはここで,古いプロットから,これからの新しい話の展開を予想する事を試みております。前の章は,既に1940年まで来ておりますが,ここでは1939年に書かれたプロット(スケッチ)を覗いてみる事にします。

12/15 ロスロリアン到着。木の上に避難(その時オークとゴラムも通る)。エルフ達と友達に。アンドゥインとBlackrootの間のAngleという所へ移動し,長く滞在。

Angleで,何をなすべきか議論。フロドはFire Mountainに直接行くべきと主張。しかしアラゴルンとボロミアはミナス・ティリスに行って軍勢を整えるべきと思う。フロドはそれは役に立たないと言う。何故なら,ミナス・ティリスからFire Mountainまではまだ遠く,サウロンに知られてしまうだけだ,と。(ボロミアは,ガンダルフがいなくなって以来,密かに指輪を使おうと思っている)


‥さすが下書き。ズバズバ遠慮なく書いてあります。(笑) このダイレクトな案を,いかに自然に読者に読み取らせるかが,小説家の腕の見せ所なんですね。(^^) それにしても,最初の計画では,アラゴルンもミナス・ティリス行きを指示していたんですね。

次の展開はなかなか興味深いです。

ボロミアはフロドを1人で呼び出し,もう1度指輪を見たいと頼む。邪心が彼の心に入り,フロドを脅して力で奪おうとする。フロドは指輪をはめて逃げる事を余儀なくされる。彼は仲間を危険にさらしたくないと思って,その場を離れる。ボロミアが,彼は木に登ったとか嘘をついたために,彼は仲間達に見つけられなかった。

サムがフロドを追う。ゴラムがやってくる。サムはゴラム(がフロドの居場所を知ってると思って)の後をつける。フロドは足音を聞いて逃げるが,やがてゴラムと追ってきたサムに見つかる。ゴラムはフロドの"Ring Bearer"としてのパワーに圧倒される。

ゴラムは許しを請いフロド達を導く。死者の沼地(Green Facesに会う)Lithlad Plain of Ash,そしてバラド=ドゥア。


ボロミアが死んでない,そしてサムは何と,ゴラムの導きでフロドに再会するという予定だったのですね‥‥

ここで,他の仲間はどうしていたかという話を入れる。(そんな事まで下書きに書いている(笑)でも,ここはこのまま続けます)

Gorgotothの平原にて。ここはFire Mountainから遠くない。オークに守られた塔がある。彼らは黒の乗り手に導かれる軍隊を見る。(ミナス・モルグルの事でしょうか?)ゴラムはフロドを裏切る。彼はボコボコにされるが,叫びながら逃げ,黒の乗り手の所へ逃げる。黒の乗り手達は,悪魔のような鷲のような姿かあるいは,禿鷲のような乗り物に乗っている。

モルドールの軍勢は留守。それは戦争が始まっているから。フロド達は既にその噂を知っている。フロドは「山」に登りながら,戦を見る。角笛のかすかな音や,馬に乗った兵士が走る土埃を見る。稲妻と黒い嵐がバラド=ドゥアに起きるのを見る。しかし彼自身が助かるという希望はない。


この下書きを見る限り,フロド達の冒険を先に組み立てているのがわかります。ローハンやミナス・ティリスの話が間に入ってないと,実はこんな厳しい話だったのかって実感しますね。2~3日前に「フロドがちゃんと描かれてない」と心配したのですが,モリア以降,しっかり主人公として存在感がグーンとアップしているのもわかります。

Orodruinは北,西,南にそれぞれ大きな3つの割れ目を持っている。それらは計り知れない深さを持ち,中に炎が見える。フロドは割れ目の1つに辿り着く。彼は指輪を捨てる事ができない。禿鷲がやってくる。(このフレーズ繰り返し出てきます)全てが暗闇に転じた時ゴラムが来る。彼は取っ組み合いの末指輪を奪う。フロドは‥

実はここには"Frodo falls flat."と書いてあるのですが,これだけだと「失敗した」「倒れた」2通りの意味に取れるんですよね。しかしこの超重要シーン(の下書き),実は次を読むと「え~~!」な展開が‥(PJもここまではやらなかったぞ(笑))

多分(←下書きですから(^^;))サムが来る。禿鷲を追い払い,ゴラムに飛びかかり,ゴラムは深い穴へ? サムどうしようか? 死なせるか?(汗;) 彼はどっかで「死ぬ前に何かをしなくては」と言ってたぞ

斜体部は,トールキンさんの書いた部分ですからね(笑)この後,サムを一体どうするのか,悩めるトールキンさんの下書きは続きますが,時間切れなので,また明日。。。

指輪の特筆すべき特徴として,複雑な話の構成,というのがありますが,こうして下書きを読んでいると,ある事に気が付いてきました。最初,○○だから××になった,というストーリーだったものが,推敲の過程で○○が抜けてしまって××だけ残ったというのが結構あるんですね。最近の例では,レゴラスがモリアで怪我をして弓を落とした事件,です。だから彼はロスロリアンで弓をもらう必要があったんですよね。

この章に来て,元々ボロミアは殺す予定でなかった事,逆にサムは危く滅びの山の露と消えるかもしれなかった事,が判明しました。執政家の複雑さや,本来フロドが享受すべき幸せがサムに渡った意味というのは,指輪物語の謎なのですが,実はこの最初の下書きが礎となっていろいろ発展したのですね。いや~,久しぶりに,「ホビットのトロッター」に出会って以来のインパクトのある下書きでした!

最新の画像もっと見る

コメントを投稿