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PSP『イノセントライフ ~ 新牧場物語』 ファーストインプレッション

2010年07月20日 16時43分50秒 | 【旧】購入・レビュー話


イノセントライフ ~ 新牧場物語
対応ハード : PSP
発売元 : マーベラスエンターテイメント
開発 : アルテピアッツァ
発売日 : 2006/04/27
希望小売価格 : 5,040円(税込)
ジャンル : シミュレーション・ロールプレイングゲーム
プレイ人数 : 1人
CERO : A(全年齢対象)

参考データ--------------------------
購入価格:0円(借り物)
プレイ時間:約14時間半
実績:夏の序盤までプレイ
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※まだ家畜を育てた経験がないので、家畜の内容の紹介・評価は省略しています。


●牧場物語、もう1つの派生作品
今作は、『牧場物語』シリーズの遺伝子を受け継いだ新たなシリーズとして、『ルーンファクトリー~新牧場物語』と同時期に生まれた、もう1つの派生作品です。

『ルーンファクトリー』シリーズは現在までに4作品も発売されており、評判も右肩上がりですが、こちらはPS2版の移植作品が発売される程度にとどまっています。それとなく評判は聞いたことがあるものの、まあせっかくなので…こちらも体験しておきたいということで、今さらながら評価させていただきます。

◆あらすじ
南半球に浮かぶ小さな島。そこに1人の博士が住んでいました。
彼には、彼の持ちうるあらゆる知識や資産によって「創られた」、1人の息子がいます。「イノセントライフ」と呼ばれるその少年は、博士のある願いから生まれました。人を殺さず、憎まず、愛する人間。
博士は、その願いを叶えるために、彼に島の暮らしを体験させることにしました。人間の、人間らしい生活に触れることで、彼に「奇跡」が起こることを願って…。


●ゲームの流れ
主人公は、人間の姿をしていますが実際は「イノセントライフ」と呼ばれるロボットのような存在です。町からちょっと離れた「イースター遺跡」に住んで、この遺跡内で作物や家畜を育てていきます。
また、遺跡のさらに奥にある広大なマップを進んでいくことで「精霊石」というものを入手し、それを遺跡に使用することで、できることや行けることが増えていき、ストーリーが進むという感じです。

この世界の日付は、35日(5週間)で季節が変わり、春夏秋冬なので1年で140日という流れになります。(このゲームでは1年のことを「1リング」と言います)もちろん、季節によって育てられる作物が変わります。
また、ストーリーの設定上、主人公は毎週日曜日に、町のほうにいる博士の家に行って検査を受ける必要があります。


●主人公のパラメータについて
主人公には、「PP」と「ヒューマンレベル」というパラメータがあります。

「PP」は主人公の持つエネルギーを表しており、農具を使用したりすることで消費していきます。
0になっても倒れることはありませんが、PPが必要な行動は行えなくなります。また、主人公はいわゆるロボットなので、食べ物などで回復することはありませんが、博士の家などにあるポッドに入れば、1日に1回だけPPを全回復することができます。(もちろん、就寝して次の日を迎えれば全回復します)

「ヒューマンレベル」とは、主人公の経験によって上がっていく、しいて言うなら経験値のようなものです。以下の6つのパラメータが上がることで、ヒューマンレベルが上がっていきます。
・チャレンジ…新しい場所へ行ったりすると上がっていきます。
・ラブ…人と話したり、作物・動物の世話をすることで上がっていきます。
・インテリジェンヌ…テレビを見たりなどで様々な物事・知識を理解していくことで上がっていきます。
・グルメ…料理を作ったり食べたりすると上がっていきます。
・クリエイティブ…作物を出荷したり、様々なところにあるアートに触れると上がっていきます。
・ユーモア…家畜やペットとふれあっていくことで上がっていきます。


●作物の育て方
基本的には、従来の『牧場物語』と大体同じです。
畑を耕して、種をまいて、そして毎日水をあげる…と。そして実ができたら収穫して「収穫ボックス」に入れます。
雨の日は水をあげなくても良いです。また、畑には「保水力」というものがあり、保水力を上げることで1度水をあげると数日間水をあげなくてもよくなります。

もちろん、台風も来ます。作物によって台風への耐性が異なり、台風に弱い作物ほど、台風の次の日になくなってしまっている可能性が高いです。
また、台風の日も行動はできますが、移動速度が半分になります。


●マップの探検について
町・遺跡から離れた場所に行くと、洞窟や森などがあって、野生の作物や鉱石を入手できたりします。鉱石の中には、小さな「精霊石」が出てくることがあり、その場で使用したり、手に入れて作物に装備することで効果を得たり出来ます。

また、宝箱を開けると、様々な色の「ジュエル」という精霊石が手に入ります。
いわゆる特大の精霊石ですが、これを遺跡に持ち帰った後、遺跡の農場にある「くぼみ」にはめ込みます。
「同じ色のジュエルで四角形を作るようにはめ込む」ことで初めてジュエルの力が発揮され、翌日、その枠内に新しく畑が出来上がり、ジュエルに応じて特別な効果を持つ畑が利用できるようになります。また、力を発揮したジュエルの色と同じ色の扉が開くようになり、新たに行ける場所が増えたり、遺跡内で利用できる施設が増えたりします。


●「ヴォルケーノ・タウン」について
遺跡からちょっと離れたところにある「ヴォルケーノ・タウン」という町には、様々な住人が住んでいます。
会話をすることで、ヒューマンレベルを上げたり、交流を深めていきます。ちなみに今作では「愛情度」という概念も「結婚」という概念もありません。

◆ホープ博士の家
主人公を創りあげたホープ博士の家です。毎週日曜日は、必ずここに訪れる必要があります。

◆ショップ
様々な作物の種・便利アイテムが売っています。
購入方法は、いわゆるスーパーマーケットのような方法です。入り口でカゴを取って、欲しい商品をカゴに入れて、レジで清算するという感じです。
購入したものは、自動的に遺跡の道具ボックス・種ボックスに送られます。


●便利なアイテムについて
◆収穫カゴ
このゲームでは、収穫した作物は一度に8つまでしか持てません。
しかし、近くに収穫カゴを置いておけば、その中には最大100個まで作物を入れられます。収穫カゴに入れた作物は、収穫カゴを持って収穫ボックスに入れれば収穫されます。

◆スケールパック
野生の作物を収穫するには、この入れ物が必要です。
スケールパックに入れた収穫物は、収穫ボックスに行って△ボタンを押すと収穫します。

◆カゴレール
畑にレールを引いて、カゴを運ぶためのモーターを設置しておくと、収穫ボックスから遠く離れた場所からでも、収穫カゴをモーターに乗せて収穫物を運ぶことができます。レールの引き方は自由にできます。

◆助手ロボット
ある程度ストーリーが進むと、プレゼントされます。
以下の4つができます。ON/OFFを切り替えることで、自由に作業を決めることが出来ます。
「不要物除去」…枯葉などの不要なものを回収する。
「水まき」…作物の植えている畑に、自動的に水をあげます。1日にできる水まきのマス数には限りがあります。
「資材回収」…石や木を壊すと出てくる石材や木材を、回収してくれます。自動で出荷もしてくれます。
「整地」…作物を育てるために畑を耕してくれたりします。

◆バギー
ある程度ストーリーが進むと、プレゼントされます。
移動スピードがすごく上がりますが、狭い通路を通ることができません。


●操作説明
方向キー…主人公の移動
アナログパット…主人公の高速移動

方向キーで歩き。アナログパットで走ります。「パワーソール」というアイテムを装備していると、方向キーでも走ります。個人的には(作物などで)微妙な移動が必要なので、装備しないのをオススメします。

○ボタン or □ボタン…装備アイテムの変更
△ボタン…装備アイテムを使う・作物の収穫・話すなど
×ボタン…持っているアイテムを持ち物にしまう

何か持っている状態で○ボタン・□ボタンを押すと、「持てるタイプのアイテム」の切り替えができます。

Lボタン…アイテムメニューを開く
持っているアイテムの確認・装備を行います。

Rボタン…コマンドメニューを開く
主人公のステータス・マップ・助手ロボットの操作などができます。



◆partygameの評価◆…36点(100点満点)
なんだか、力のかけ方を間違えている気がする…

まず良いと思ったところについて。
グラフィックの作りこみは良いと思いました。料理とかのグラフィックもちゃんと違いがありますし、いわゆる「あって然るべきグラフィック」がちゃんとあるという感じでした。車があり道路があるなら駐車場もあって当然でしょう、みたいな。
グラフィックの作りこみが良いですし、広大な場所は広く遠くが見渡せるので、新しい場所を見つけた時の達成感はそれなりに感じられました。


以下、個人的に残念だった点について。
最初のうちは基本的なことさえやっていれば良いのでそれなりに楽しめましたが、新しいことができるようになっていくにつれて、どんどんと配慮の悪さが際立っていきました。

まず、そもそも操作性があまり良くないと感じました。行動が○ボタンではなく△ボタン。メニューを開くのがSTARTボタンではなくL・Rボタン。
STARTボタン・SELECTボタンに手を持っていかずにプレイできるスタイルを目指したという意気込みは感じましたが、結果的には、慣れるのに時間がかかりますし、慣れてきても使い心地がいいとは言いがたかったです。もう少し見た目でサポートしたら良かったかもしれません。(操作ボタンを常に表示とか)

そして、全体の中で自分が気になったことを、下記に箇条書きで書いていってみます。
・そもそも、町から離れた遺跡を中心に行動するのが面倒くさいですし、特に意図を感じません。これまでこのシリーズは、町の中に自分の家や畑があるのが当たり前でしたし、ましてや「愛情度」などの概念もないので住民と話す気にもなりません。
・ヒューマンレベルを上げるメリットが明確に感じられないため、上げようという意欲が湧きにくいです。
・作物は、枯れないと刈ることができません。台風の影響だったりカゴレールの設置のために作物を刈りたくでも、刈ることができません。その他「○○の状態で○○が使えない」という微妙に不便な仕様が色々積み重なっており、結果的にとても配慮が悪いと感じました。
・作物や石材・木材は収穫して出荷する意外の使い道はありません。人にプレゼントすることもできないですし、料理に使うこともありません。
・料理は、料理名を選択するだけで作れてしまいます。材料は必要ないですし、(主人公はロボットなので)料理によって体力が回復することもないです。満腹度みたいなものもないので、何回作ってもいいです。悪い意味で簡略化されています。
・一度に持てるアイテムの種類には限りがありますが、手持ちのアイテムはダイヤル式で選択するようになっているので、全体が把握しづらいうえに並び替えをすることもできません。(アイテムボックスに出し入れすることで無理やり並び替えることはできます)
・一部のイベントで、省略してもいいと感じる移動をわざわざ見せるため、待つのがとても面倒でした。まだムービーゲームのほうがマシです。
・ショップの利用が、とても不便だと感じました。1種類のアイテムを一度にカゴに入れられるのが9個までで、10個以上欲しい場合は続けて選択してカゴに入れないといけません。また、カゴに入れたアイテムの種類や価格を確認することができず、頭の中でしっかり計算しながら購入しないといけません。ある種、本当の買い物のようにリアリティですが、不便なことこのうえないです。

…など、言い出すとキリがないです。簡単にまとめるなら2つ。
「一時代前の『牧場物語』をプレイしている感じがする」ということ。
そして「設定と世界観を最重視して、ゲーム内容は二の次になっている」ということです。

本来の『牧場物語』シリーズの要素は全体的にかなり簡略化されており、やりがいが少ないです。『牧場物語』のキモである「いい意味での面倒くささ」がほとんどなくなっており、そのくせ(遺跡から町への移動・操作性など)面倒でなくても良いところが面倒になっています。そのため、なんか昔のゲームをプレイしている感じがしました。
また、ゲームとしての面白さより世界観とか物語の設定を重視しているという感じがしました。先ほども言ったようにグラフィックの細かさはなかなかだと思いましたが、反面で、そもそも主人公がロボットであるという設定自体が牧場物語のシステムに合っていない気がしますし、メッセージや人物のグラフィック・ショップで一度に9個しか買えない仕様などから『ドラゴンクエストVII』の内容をある程度使いまわしているだろうと思います。まあ…システムは使いまわして、世界観にはこだわりましたってところですかね?結果的に、近未来的なのに不便だし、牧場ライフという人間らしい生活が醍醐味の作品なのに主人公はロボットという設定だったり…ゲームとして色々と「矛盾している」感じがしました。


「新牧場物語」というわりには新しかったり画期的だと感じる要素はなく、一方で牧場物語としてのゲームの面白さはほとんどなくなっており、なんとなくですが開発者の余裕のなさを感じた作品でした。
あんまりダメ出しするつもりはありませんでしたが、これは…正直、キツかったです。良いと感じたのは、作物の育て方がいつも通りだったことと、新しい場所に行ったときの見た目が楽しめるという点でしょうか?

一応シナリオクリアはしていないので「ファーストインプレッション」としていますが…正直、クリアする自信はありません。が、クリアできたらセカンドインプレッションを書きます。


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