日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

「新iPad」に“素人”が感じるガッカリ感

2012-03-09 | ビジネス
アップル社のタブレット端末iPadの最新版「New iPad(新iPad)」が発表されました。BLOGOSのエントリーでも昨日来絶賛の声が聞こえているのですが、“素人”にはどうも理解しにくいです。まず、「New iPad」の改良内容を復習します。

①新型「iPad」は、端末の外観こそ大きな変化はないものの、iPhone 4/4Sでも採用されているRetinaディスプレイがiPadにも採用された。9.7インチのディスプレイは、解像度が一気に向上し、2048×1536ピクセル(解像度264ppi)となる。彩度も44%向上する。
②また、この高解像度のディスプレイを処理するプロセッサも変更され、新たにクアッドコアの「A5X」が搭載される。発表会では、「A5X」のグラフィック性能について、NVIDIA製の「Tegra 3」の3倍、iPad 2の「A5」よりも2倍の処理性能と表現していた。
③カメラ機能はオートフォーカス付き、オートホワイトバランス機能付きの500万画素裏面照射型となる。1920×1080ドットの1080P動画撮影にも対応し、手ぶれ補正機能も用意される。
④端末のOSは、iOS 5.1となる。同バージョンは、音声コンシェルジュ機能となる「Siri」に対応し、日本語もサポートされるが、「Siri」はiPhone向けの機能となる。新型「iPad」では、日本語の音声入力機能が用意され、メールなどの入力時に音声で本文入力が行える。これに伴い、ソフトウェアキーボードには、音声入力用のマイクキーが用意される。
⑤通信関連では、3.9Gに位置づけられるLTE方式のサポートも明らかにされた。
(「ケータイWatch」=http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20120308_517345.html より抜粋。①~⑤の表記は筆者が加筆)

私はハッキリ申し上げてアップルはじめIT機器の専門家ではありません。でも一応普通レベルの使い手ではあります。ちなみにiPadも持っていますし、買って寝かせているわけではなくビジネス、プライベート両面において外出先や家で使っています。使い方は主に一時期持ち歩いていたネットブックの代用的存在です。

ノートPCレベルの使い勝手にまで至らないのは、ビジネスマンの基本アプリであるワード、エクセル、パワーポイントが互換ソフトは入れているものの、本ソフトが載っていないという点がネック。資料を持ち歩いたりクラウドに保管して出先で呼び出したりはしても、本機で資料を作り込むまではいかないというのが最大の理由です。同じような使い方、同じような理由でノートPCの完全代用品にはなっていない人は意外に多いと思います。

さてそんな“素人”の使い手からみた今回のNew iPadがどうかと言うと…。順に改良点に触れますと、上記記事の①②はディスプレイの画質向上の問題ですよね。画質の向上は、ブックリーダーとして使う際にメリットが大きいのかもしれませんが、その前にいかにせん重量が重い。

iPadは登場以来2年間における競合タブレット機器との比較で言うなら、ブックリーダーとしての使い勝手はサイズ、重さ等使い勝手の面で今イチと思います。また解像度向上はプレゼンではプラス要因と言えますが、ぜひ欲しい決め手機能とまでは思えません。「新iPad」は確かに実物を見れば感激レベルの解像度なのでしょうが、それ以上の実用的意味合いは感じさせない気がします。

次に③はカメラの向上。そもそも私のような“素人”はiPadのサイズのタブレットにカメラ機能ってそれほど有効性を感じないのです。ほとんどのiPad利用者はiPhoneを持ち歩くでしょうから、そちらの機能アップで十分かなと。というわけでこの部分も“素人”の使い手にはさほど魅力なしと感じました。

さらに④、これはすでにiPhone4Sに搭載されている機能。今回日本語バージョンも利用可だそうですが、確かに面白い機能であるとは思いますが実用面で欲しいかと聞かれれば「それほどでも」のレベルかなと。⑤は通信速度の問題ですか。これもドコモの「Xi」と同じく現状“素人”が普通にビジネスユース+ホームユースで使う分には、さほど魅力を感じません。

と言うわけで、実際に「新iPad」に触れてみれば従来品との違いはもちろん感激なんでしょうが、じゃあ「買い増す?」「買い換えます?」言われれば答えは「NO」なのです。理由は“素人”は従来品で満足だから、と言うよりも積極的に買いたい気持ちにさせる何かが足りないからです。もっと言えば、ジョブズの時代にはあった「夢」を感じさせる何かが足りないんじゃないのかなとも思います。過去のiPodもiPhoneも、登場以来新機種が出されるたびに本当に「夢」に溢れていたじゃないですか。

今やアンドロイド系の新作発表と変わり映えしないというのか、見ようによってはスペック競争に巻き込まれている(というより自ら焚きつけている?)、その部分が何よりアップルらしくないという感じがします。第一、従来よりも機器の厚みが増したり重くなったり、こだわりの完ぺき主義者であるジョブズなら決して許さなかったのではないかと思うのです。

思い起こせばiPhone4S発表の時も同様の印象であったかなと…。「5」を名乗らなかったiPhone、「3」を名乗らなかったiPad、“ジョブズ後”のアップルは「夢」の出し惜しみをしているだけなのか、それとも「5」や「3」を名乗る「夢」あふれるアイデアがジョブズの死と共に尽きてしまったのか。その答えは残念ながら来年以降に持ち越しのようです。

“素人”が見た目には、巧妙に時間稼ぎをしてその間に何か別の目くらましでも考えているんじゃないのかと、どこまでもアーティスティクだったジョブズ氏に比べて至ってビジネスライクなティム・クック氏を見るにどうもアップルの先行きにいいイメージが持てないのですが。“専門家”からご覧になるとそんなことはないのでしょうか。

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