音多歌樂箱 オタカラバコ・音楽療法の待合室

東信濃に生息する看護師×出前音楽療法士ハラサチコの覚書。

手と目と耳と

2005-03-31 23:59:30 | 音:Music Therapy
ナースにとって、自分の目で見た事象や手で触れた感触から得られる情報は、
ときに検査データや画像資料に勝ることもあります。

余談ですが、医師は診断のために様々なデータを集めることから始めます。
それは診断に誤りがあってはいけないから、というのをある医師から
聞いたことがありますが、残念なことに患者さんにほとんど触れずに手短に
診察や回診を終わらせていた医師もいました。
医師として、というより人として如何なものか、と思うことが多かった人でも
ありましたが、かつて両手両足ギプス固定の患者さんをレントゲン室に連れていく
指示が入り、ストレッチャーに移乗しなければならなかったとき、先輩達が
それぞれの部屋で患者さんのケアにあたっていて手が離せない状態でした。
四肢ギプスのうえ身体の大きな患者さんを、一人では移せないよな…
無理な状況下で困っていたら、詰所で談笑するその医師たちの姿が見えました。
迷ったあげく、手を貸していただきたい旨を丁重に伝えました。
(何しろ指示を出した張本人だし)すると、その医師はこう言い放ちました。
「そんなことを医者にやらせるな!看護婦の仕事だろう」
手と目と耳、の本論からはちょっとずれますが、患者さんに触れもせずに
診断をつけ、顔を見なくても「とくに変わりない」という人からの情報だけで
薬が処方できてしまうって、すごい。
けど、感覚的に到底分かりかねます、私には。

昨年の音楽療法学会支部大会で、尊敬する先生の「セラピストの肉体改造」と
いう表題の講演があったのですが、その目の前にいる人の「声以外の声や
雰囲気を感じとり、それを共に味わう感覚を磨く能力」が療法士には
もっと求められるのだと述べておられました。
その「声にならない声」や機微は、その人の目の前に行って、見て、
触れてみることで初めて分かるものなんだ、と思います。

看護の「看」の字は『手』と『目』が組み合わさって出来ています。
すてきだなぁ、と思うナースがもし近くにいたら、ちょっと観察してみて下さい。
まず目の前にいるあなたを見て、触れて、声を聞く(順不同)ことから
始めているはず。


空はのどかに見上げたい・その2

2005-03-29 23:03:49 | 箱:Private
日曜日(27日)夕刻の西方に、夕焼けの空の中を
泳ぐがごとく不自然に蛇行する不気味な雲が。
何となく気になったのでケータイで撮影しました。
この日はこんなようなにょろにょろした雲が何本も
出ていたうえ、夕焼けがやけに赤いよな…なんて
小心者が気にし始めると眠れなくなるので、
あえていろいろに結びつけて考えないでおこう!
…と思ってました。

この雲ときょう未明の大地震を結びつけるしっかりした根拠はありません。
ありませんが、何だか大蛇か龍のように見えたこの雲を見て
「わぁ、キレイ!」とは思えない(むしろ「いやーん」だな)ところに、
大自然からのメッセージが込められているような気がしてなりません。

ここ数ヶ月の気候や大地のご乱心を見ると、もし神様がいるのだとしたら
それは神社や神棚にではなく、天地にましますのだなぁ…と思います。



ロビーコンサート

2005-03-27 23:29:10 | 歌:Mimico-piano
群馬県境に近い「あずまや高原ホテル」にて、久々の弾き語り。
年代を見てから選曲を、と思っていたら、これがまあ結構幅広く、
レパートリーの中から8曲+即興メドレーで、約45分のステージでした。

早く会場に着いたので、音出しと指慣らしを兼ねて、「木蘭の涙」や
「ふたり」のイントロ→エンディング(つまり本編なし)などで遊んで
弾いていました。結局、お客さんの年齢層もろもろを考えたすえ
「木蘭~」はセットリストから外したのですが、コンサートが終わって
撤収を始めたとき、ひとりの男性がと話しかけてきたのです。
「あの…リハで木蘭の涙を弾いてましたよね。やらなかったんですか?」
あぁぁぁ、入れれば良かった(^_^;)
ちなみに、私の中のヒットは「マコとミコの純愛」でした。

いつまであるか分かりませんが、どうやらすでにホテルのHPに
コンサートの模様がアップされているようです(しかも顔入り)。
怖いもの見たさが勝る方は「あずまや高原ホテル」で探してみて下さい。



WELCOME!

2005-03-24 00:24:12 | 音:Music Therapy
相棒・ヨリ子は大活躍ですが、運搬するには
ちょっと(いや、かなり)重く、ソフトケースで
振動に弱いので、ちょっと彼女の負担を軽減する
目的で、ハードケース入りのアコーディオンを
思いきって新調しました。
カワイの逆輸入(ドイツ生まれ)、最大90ベース。
そんなには使いこなせないだろな、多分。
敬愛するスタレビ兄さんの「アコースティックセット」
を見習ってみました。なので、ちょっと小ぶり。
(キーボード添ちゃんをフィーチャー)
これからはヨリ子と交替勤務です。ようこそ我が家へ。

アンケート

2005-03-21 23:23:27 | 歌:Mimico-piano
卒業式の歌についてお伺いしたいことが。

みなさんの小学校時代の卒業式歌は、
仰げば尊しや蛍の光以外に何があったでしょう?
①「うららかに 春の光がふってくる」で始まる卒業式組曲
② 巣立ちの歌
③ その他 ヒット曲など

世代にもよるのでしょうが、ちょっと聞きたいな、と思って。
ちなみに私は①でした。
卒業生が非常に大人びて見えたことを思い出します。

そしてこの組曲こそ、長編耳コピ作品第1号だったりして。
でもけっこう「巣立ちの歌」派も多い。学校によるのかしら。
というわけで、小学校の卒業式歌を教えて下さい。

実家の姫

2005-03-20 23:08:57 | 箱:Private
実家のわんこ、柴犬の女の子。なっちゃんです。
彼女には専用の庭(屋根付き)があって、昼間は
その庭を駆け巡り、夜は「寝室(野外ですが)」で
寝ています。甥っ子たちとも仲良しだそうで。

かつて彼女に似た近所の犬を勝手に「なっちゃん」と
命名して呼んでいたら、ある日その飼い主(上司)に
「うちの子にはちゃんと○○○っていう名前があるんだよ」と
かるーく怒られてしまいました。反省。もう呼んでませんから。

水難

2005-03-20 22:51:25 | 箱:Private
洗濯が終わり、さて干そうかしらね…と洗濯槽を
開けて中を見たら、夫の作業着のポケットから
ちらっとイヤホンのようなものが見えました。
これはもしや…と引っ張り出してみたら、
夫のハンズフリーマイクでした。

水に濡れただけなら乾かせば何とかなったかも
知れないのですが、何しろア○ック&レ○アと
40分洗濯槽で共に過ごしちゃったマイクが無事なわけもなく、外出していた夫に写真付きで
報告。ごめんよごめんよごめんよ…

ちなみに、携帯電話を水没させたら「すぐに電源を切って5~6時間かけて自然乾燥させると
通話機能やデータが復旧する場合がある」って、知ってました?

虫の知らせ?体験

2005-03-19 03:03:18 | 箱:Private
8年前の春彼岸のお中日(3月21日)、生まれた時からずっと一緒に暮らした
祖父が他界しました。その前年の暮れ、くも膜下出血で倒れて手術し、
一時は持ちなおしたものの術後の血管攣縮がひどく、さらに喘息を起こして
予断を許さない状態になっていた、ある日の深夜のことでした。

その日は未来の夫が私のアパートに寄っていました。
さて帰る、といって玄関を出た直後、わりとどんな時でも冷静沈着な
人なのに血相を変えて引き返してきたのです。
「見て、すごいことになってる」と、市街地が見渡せるアパートの階段まで
連れていかれたその先にあったのは、真っ赤に染まった夜空と、
おそらくものすごい勢いで召集がかけられているであろう消防のサイレンの
音でした。深夜の大火事…家からは離れているとはいえ、幼い頃から
サイレンや非常ベルが恐怖対象だった私は、妙にどきどきしてしまって
眠れずに過ごし、明けてその朝に飛び込んできたのが「知らせ」でした。
後日このことを家族に話したら、火事ではないけれど姉も部屋の中に
「気配」を感じたというのです。だから、私たちが体験したことは
祖父のしわざ、ということになっています。そうなんでしょ、じいちゃん?

祖父は、将棋とタバコとお酒と「正ちゃん帽」が好きでした。
頭は若い頃からつるりんだったので、おしゃれというよりも防寒として
肌着のように身に着けていました。その朝、病院から我が家に戻ってきた祖父を
お化粧して安置した後、姉と相談して愛用の帽子をかぶせてみました。
そしたらまあ、どう見ても帽子をかぶったままお昼寝しているようにしか見えず、
そのまま布をかけておくことに。ご近所の皆さんが次々と会いに来て下さって
布を取るたびに、帽子をかぶった姿を見てはちょっと表情を和ませて
「モキさん(祖父の愛称)、よく似合ってるに。目開くかい」など
皆様にあたたかくも微笑ましいお言葉をかけていただきました。
あれから8年。将棋友達(やはり数年前に他界)と将棋三昧のところでしょうが、
お彼岸にはちょっとだけ会いに行けそうです。

そういえば、去年の今ごろは嫁ぎ先の祖父母も元気でした。
ちゃんとみんな「合流」したかしら。


痛みの正体

2005-03-16 19:00:06 | 箱:Private
ちょっとノドがおかしいな、と思ったのが3日前。でも、声は
普通に出ていたので(出しづらいこともなく)、うがいと手洗い励行で
事無きを得た、と思っておりました。ところが思わぬ展開に…
昨日から首の左側、ちょうど耳の下の顎との境目付近が痛みはじめ、
何だろなと思っているうちに腫れてきてしまいました。
どうにかこうにか夕方のセッションを終わらせ、帰りの車中で
ますます自己主張する痛みに邪魔されながらようよう帰宅し、ダウン。

で、朝になってもおさまる気配がなく、近医に受診したところ、
「咽頭炎に伴なう頚部リンパ腺腫脹」と判明。
痛みの原因は、リンパで一生懸命その異物と闘っている証だそうで。
それなら耐えねばなるまい。
おたふくかぜのような派手な腫れ方ではなく、どちらかというと
「むくんだ・太った」的な中途半端さがイヤです。

ああ本物に巡り会いたい

2005-03-14 23:29:15 | 箱:Private
甥っ子も大好きなこの勇気百倍のヒーロー。
でも、姿かたちは複数のパン屋さんで見るものの
どういうわけか、中身に本当に餡が入っている
このヒーローのパンになかなか出会えません。
商品名はそのものズバリが表記されているのに、
割ってみたらチョコクリームだったりして、
今日見つけたパンも、残念ながら餡ではなく
カスタードクリームでした(いや、味は残念ではなく美味でしたが)。
ちゃんと餡が詰まった、正真正銘の勇気百倍に出会えるのはいつの日か。

この顔をまじまじと見ていたら、だんだん「両さん」に見えてきました。
…きょうは早く寝たほうがよさそうだな、私。

お役に立てるといいのだけれど

2005-03-12 23:50:55 | 音:Music Therapy
本日のセッションでのひとコマ。

その現場では、空間を2つに分けて、利用者さんの
何割かパワーリハビリを行なうため、同じフロアで
セッションとパワリハを同時進行で行なっています。
(人数比は音楽療法6:パワリハ4くらいでしょうか。)
パワリハを実施する方々にとっては通所目的の目玉の
1つでもある大切な時間であることが分かるので、
気持ちよく訓練するための環境の一部になるといいな、と
思っているのですが、訓練の邪魔になるようでは
本末転倒だし…実際のところどうなのかしらと思っていました。
そんな心配に対しての答えになるかもしれない出来事が2つ。

ひとつめは、セッション本編終了間際。
隣りのパワリハ会場にいる利用者さんから職員さん経由でリクエストが
届きました。「『絶唱』聞きたいの。弾いてくれる?」
舟木一夫の名曲ですが、レパートリーとしてはモノにしていなかった歌で
さてどうしよう…でも、その歌を知っている職員さんに歌ってもらい
何とかその場で覚えて即興で歌&演奏。私にとってはレパートリーが
ひとつ増えたので有りがたいことでしたが、勉強不足がたたった…と
反省していたら、そのリクエストしたご本人が「若いから知らないだろうと
思ったけど、聞こえてきて嬉しかった~大好きなの、あの歌」と
感想を寄せてくれました。口ずさみながら訓練していたんだそうです。
耳コピ耳に助けられた、といっていいかも。

ふたつめは、多くの人が車で帰った後。次の車を待つあるご婦人が
だまってピアノのふたを開けて指1本で音を鳴らし始めました。
後片付けをしていた私がそっと近づくと、そのご婦人がぽつりぽつりと
語り始めました。「小さい頃からオルガンが好きで、でも習わせて
もらえなかったから、独学で練習してたの。今日は好きな歌ばっかり
やっていたよね。それでやりたくなっちゃった」と言いながら、
両手を使って、「自分の弾きたいようにやってるから適当だよ」と
言いながら、さっきセッションで歌った歌を奏でる姿にすっかり
見とれてしまいました。運指や拍子などの決まりごとはどうでもよく、
そのご婦人の物語を共有することが出来たのは幸せなことです。


アジアンの心

2005-03-10 22:51:50 | 箱:Private
ベトナムの布製品に魅せられ、カバンやストール、
小銭入れ、仕事用の札入れなど、日用雑貨品を
多数所有しています。
ベトナムシルクのこの2点(札入れ&小銭入れ)、
角度によって微妙に色合いが変わって見えます。
また、素朴で可憐な刺しゅうが施されていますが
糸の色や花の形が何ともオリエンタル。
ベトナムの工芸では、他にもターイ族という少数民族の
織物(お財布たちの下にちらっと見える柄がそれです)が好きです。
でも、2年ほど前まではどのネットショップでもたくさん揃えられていた
このターイ族商品、最近はずいぶん減ってしまいました。
(ショップ店員さん曰く、「だいぶ出回ってお客さんも飽きてきたから」
らしいのですが。私はぜんぜん飽きないんだけどな…)
20代の頃とくらべて、雑貨の趣味が西洋から東洋に流れてきたように
感じます。で、今はベトナムに(魂だけ)滞在中。
織りも刺しゅうも美しくライン綺麗なアオザイを着こなせるようになるには
ちょっとまだ努力が必要ですが…。

木瓜の花

2005-03-09 23:45:24 | 樂:Luxury
宅老所の床の間には、職人の手による
四季折々の花や鉢植えが飾られています。
桃の節句も終わり、今は芍薬と、写真の木瓜。

施設のような建物の中では、暖房ですぐ開いて
しまうのですが、さすが「家」だけあって
温まり方が緩やかなので、植物にも優しいのかも
知れません。あるご婦人(米寿間近)と私たちとで
その花のことを話していた時のこと。

ご婦人「で、何ていう花だい?」
Aさん「ぼけの花ですよ」
ご婦人「ぼける花?やだ、ぼけちゃ困るに!」
Aさん「ぼけるじゃないよ、ぼけの花!」
…と、いい味出してるご婦人を囲んで、ゆっくり流れる贅沢な
時間を過ごしました。ぼけの花だけに、写真もピンぼけ。
…おあとがよろしいようで。



これが最後だと知っていたなら

2005-03-08 23:56:52 | 箱:Private
「行ってきます」「行ってらっしゃい」という出勤前のひと声、
我が家では先に帰った方が出迎えて言う「おかえり」、そんな日頃の
ごく当たり前のあいさつは、時に当たり前すぎて(または忙しすぎて)
言わずに過ごすこともしばしば。でも、もしも当たり前に家に帰ってくると
思っていたその家族と、夕方にはもう二度と会えなくなると分かっていたと
したら、自分はどうするんだろう。皆さんならどうでしょう?

同僚のご主人が急逝した、という衝撃的なニュースから始まった一日は
すっとそんなことを自問自答して終わりました。
先日母と行った教会のゴスペル礼拝でも、牧師先生のお話の中で
一編の詩を紹介してくれました。その詩は、9・11テロ事件で殉職した
消防士がその数ヶ月前に家族にあててしたためたものだそうで、
全体を通してのキーワードは表題の「これが最後だと知っていたなら」。
自分が大切に思う家族や友人、恋人との1日、1時間、1秒たりとも粗末に
出来るものはないのです。いつかは必ず訪れる訣れも、それを受け入れる
までの猶予があるわけではなく、むしろ突然訪れる、ということも
心のどこかで覚悟していなければならないのかも知れません。
謹んでお悔やみ申し上げます。  合掌