詩遊空間 <いつかのBGM>

今まで聴いてきた音楽、今日聴いた音楽、これから聴く音楽・・・      

Atelier Of Melody /Paolo Di Sabatino

2009年01月09日 | ジャズ・フュージョン


Paolo Di Sabatino (p)
Marco Siniscalco (b)
Glauco Di Sabatino (ds)

1. You And The Night And The Music
2. The Girl from Ipanema
3. Song
4. Tenderly
5. It's All Right With Me
6. Atelier Of Melody
7. In Love In Vain
8. Giocando
9. Tango Del Maiamore
10. Well You Needn't
11. Del Sasser
12. Love In portofino
13. Sentimi

2008:澤野工房


イタリアのピアニスト、パオロ・ディ・サバティーノが澤野工房よりリリースするピアノ・トリオ作品。

色あざやかなアルバムジャケット同様、内容も実に色彩感覚あふれたものになっております。
楽器という玩具を使って、3人が自由に遊びまわっているような①、
ブラジル人もびっくり!特急列車型「イパネマの娘」②、
リッチー・ブラックモアやイングウェイ・マルムスティーンなどの速弾きロック・ギタリストを思い起こさせるようなハード・チューン⑤、
可愛い⑥、叙情的なメロディーがとても美しいフォーク調⑦・・・などなど・・
バリエーション豊かな楽曲で、僕にいろいろな色を見せてくれました。
標準的ピアノトリオとは、少々離れたところにあるトリオなような気もします。
ジャズあり、ロックあり、フォークあり、ポップスあり・・・
ひとつのジャンルにとらわれない自由さ、というか、「面白いことならなんでもやってやろう!」みたいな、そんな「気楽さ」が良いですね。いかにも「イタリアン!」って気がします。
目を閉じて聴いていると、すごく自然に、「高く青い空」「陽気で気さくな人達」「笑い声で溢れる酒場」「活気に満ちた港町」・・・など、未だ行った事のないイタリアという国の姿が、イメージとしてどんどん脹らんでゆくようです。
それと、底抜けに明るい表情の影でチラッと見せる哀愁みたいなものもあって、尚更good!
やっぱイタリアって・・・「男前」ですね。


Get Riel / Alex Riel

2009年01月07日 | ジャズ・フュージョン

Alex Riel(ds)
Kenny Werner(P)
Pierre Boussaguet(b)

1. Allanjuneally
2. Always
3. Bouss' Loap
4. Mosquito
5. Polovtsian Dance
6. Autumn In 3
7. NHOP
8. If I Should Lose You

2008:cowbell



先日、タワーレコードへ行った際に、いつも拝見させてもらっているgooブログのnaryさんと、これまたいつも拝見させてもらっている「ジャズの専門店ミムラ」さんが、揃って記事にしておられたこのアルバムが新譜コーナーにあったので、とても興味がわいてきて思わず購入してしまいました。

naryさんのブログJazz&Drummer
「ジャズの専門店ミムラ」さんのブログジャズの専門店ミムラ

このアルバムを聴き終えて、最初に思ったことは、「えっ!もう終わったの?」ということでした。
映画にしろ音楽にしろ、良いものにふれた時には、きまってそういう感想が残るのですが、このアルバムはまさにそういう類のものでありました。
「ダレたところ」がないんですよね。
最初から最後まで、疲れない程度のテンションと、程よいスピード感とリラクゼーション感・・・
そういうものがこのアルバムにはあるようで、とても好きになりました。

ドラムのことに関してはほぼ素人なので、ここでアレックス・リールがどんな技を使っているのかとかは、よくわからないのですが、
でも、わからないなりにも「今のフレーズって、ちょっと凝ってるな。」とか、「今のたたき方って、格好いいよな。」とか、ところどころにそういういろんな「良さ」が備わっているというのは僕にも感じられましたね。

①でも、「ここぞ!」というところで実にタイミングよく入ってくるスネアの音にしびれました。
②は、これはもう、僕的には大好物のバラードで、こういう少しノスタルジック感が入っているバラードって文句なしに好きですね。
③は、それとは打って変わって、グルーヴィーなノリのちょっと変わった曲。
なんとなくジャコ・パスのベースラインなんかを思い出したりして・・・
④は、前衛風なドラムソロ作で、こればっかりはちょっとパス(笑)。
クラシカルテイストな⑤、メランコリックな⑥での甘く清らかなピアノ。こういうのって、特に日本人は好きなのではないでしょうか?心の奥のどこかへすっとひっかかりそうな・・・
それとも、心の奥のどこかで、いつも鳴っていたような・・・
懐かしくもあり、新しくもある・・・
そんな単純な言葉では言い表されないような、とても深みのある情感が良いですね。
アルバム中最長の曲⑦は、僕はこのアルバムのベスト曲としました。
とても美しくドラマチックな展開で、⑤⑥同様、ケニー・ワーナーが美旋律をいくつも聴かせてくれているのですが、それに絡むベースのナイーブさと力強さがミックスしたような感動的なプレイは聴きものです。
ラストの⑧は、もうこれは、「うまいなぁ~」というしかないようなほどの3人のプレイに圧倒されっぱなし。

そんな感じで、「あっという間」にアルバムを聴き終えてしまうのです。
・・・で、また最初から聴き始めるのですが、いまのところいっこうに飽きないですね。
おそらくこの冬のヘヴィーローテーションになりそうな感じです。


リターンズ~リユニオン・ライヴ / RTF

2009年01月05日 | ジャズ・フュージョン

チック・コリア(key)
アル・ディメオラ(g)
スタンリー・クラーク(b)
レニー・ホワイト(ds)


ディスク:1
1. オープニング・プレイヤー
2. 第7銀河の賛歌
3. ヴァルカン・ワールズ
4. 女魔術師
5. ソング・トゥ・ザ・ファロア・キング
6. アル・ディメオラ・ソロ
パッション・グレース&ファイア
メディテラニアン・サンダンス
カフェ1930
スペイン

ディスク:2
1. フレンドシップ
2. 浪漫の騎士
3. エル・バヨ・ディ・ネグロ
4. リナージュ
5. 浪漫の騎士
6. 道化と暴君の決闘
7. 500マイルス・ハイ
8. 浪漫の騎士 /英BBC放送“ライフ・タイム・アーカイヴ・アワード受賞式


2008:VIDEOARTS MUSIC



正直なところ、かつての名ミュージシャンの復活劇や、かつてのスーパーグループの再結成などはあまり好きではありませんでした。というか、嫌いでした。
理由は簡単で、「そのミュージシャン(バンド)がピークだった頃の眩い輝きと同じ光りは、決して元には戻らない事を知ってるから」と、「余計な遊びや、余暇ムードが目に付く事が多いから」・・・です。
そういうわけで、今回のRTF再結成を素直には喜べない自分というのもありました。
衰えとか、そういう心配よりも、メンバー達が余裕をかましすぎて、ただのおざなり懐古趣味的音楽に終わっていたら嫌だなぁ~なんて思っていたのです。
だから、このアルバムを買うのにも少々躊躇しましたが・・・

・・・そんな思いもすぐに吹っ飛んでましたね。
いやぁ~ 買って大正解! 

まず、音楽のクォリティーの高さに驚き、さらに各メンバーの技術がいっこうに衰えていない事に感心し、もっと嬉しかったのは「ただの懐古的でもなく、それでいて流行に全く左右されていない音楽」だった事です。
やはり、そこらへんは、そんじょそこらのミュージシャンではなく、強烈なオリジナリティーとバイタリティーを持っているメンバーだからこそ出来たことだとは素直に感心しましたね。
たしかにコリアなんかムーグやプロフェット5なんていう懐かしい機材も使用しているのですが、それがなんとも言えなく良い味を出していて「古くも新しくも無い、なにか異次元の音楽」みたいなふうに聴こえてきました。
百戦錬磨の戦士達が、ちょっと本気を出せば、これほどまでにレベルの高い音楽が出来上がるのかという素晴らしい見本のようなものでした。
僕の大好きな「浪漫の騎士」も、へんに遊ぶでもなく、余裕をかますでもなく、特にあの印象的なイントロ部分なんてオリジナルをかなり忠実に再演していて、スタンリー・クラークのアルコなんて聴いていると、とても感慨深いものがあります。

それと、今回のツアーやアルバムに力が入っていたのも、もしかしたら前回(83年)の再結成時があまり良い評判を得られなかった事が各メンバーの頭、とくにコリアの頭には残っていたのではないでしょうか?
だからこそ、今回ばかりはなんとしても成功させるぞ、みたいなベテランの意地と誇りが表れたのではないでしょうか。まあそこらへんは推測に過ぎませんが・・・

とにかく、隠居生活の余暇でバンドを再結成する・・・みたいなところとは全く無縁で、今、現代をリアルに闊歩しているミュージシャンとしての、それも第一線で活躍しているベテランミュージシャンとしての大きな自信を感じました。

いまさらいちいち説明するほどでもない有名曲が続いています(①だけは新曲)ので、僕が特によかったと思う曲を・・・
まずは、さっきも書きましたが「浪漫の騎士」です。
オリジナルと今回とを聴き比べても、ほとんど差のないほどに良い出来だと思います。
印象的なイントロから、コリアとディメオラのユニゾン・・・ドラマチックですねぇ~
ただ、なかばで挿入されるベースとドラムソロは、若干長い・・・かな?なんて思うのですが、まぁこれは愛嬌という事で。
ただ、同じ「浪漫の騎士」でも、ボーナス曲で入っている授賞式での演奏は、なんとなく消化不良気味でもありますが・・・

それと、続く「道化と暴君の決闘」。
ここでは、かつてのフュージョン・ギター少年達が感極まる位のディメオラの恰好いいソロが聴けます。
今となれば速弾きギタリストもたくさんいて、速いだけではディメオラよりも速いのもけっこういるのですが、でも違うんですよねぇ~
昨日今日出てきた速弾きギタリストとディメオラさんの格の違いは・・・
言葉では表現しづらいですが、「揺るぎない貫禄」みたいなものの匂いがプンプンと香り立っております。

コリアもディメオラも最近のアルバムが素晴らしかったので、まぁ何回も書くような「隠居の余暇」みたいにはならないとは思っておりましたが、いざ聴いてみると想像以上でしたね。
レニー・ホワイトが演奏にちゃんとついていけるのか?なんてのも一抹の不安でしたが、それも取り越し苦労でした。

本当は、もっともっと僕なんかよりもRTFを聴き続けてきた人や、純ジャズが好きな人たちにとっては、もしかしたら不足している部分もあるのかな、なんて思うのですが、ただそれでも、クロス・オーヴァーやフュージョンに心血を注ぎ込んでいた時代を知っている世代・・・
特に「ディメオラに憧れるも、指がつってしまった経験のある元ギタリスト達」や、「高価なものが買えないので、朝から晩までカタログと睨めっこしていた元キーボーディスト」や、「チョッパーを練習しすぎて親指に笑っちゃうくらい大きなタコが出来てた元ベーシスト」や、「変拍子についていこうとするも、右半身と左半身がてんでバラバラだった元ドラマーたち」には是非とも聴いて欲しいアルバムです。

Feather But No Wings / Alf Kjellman

2009年01月03日 | ジャズ・フュージョン


Alf Kjellman(ts)
Oystein Blix(tb)
Kurt Samuelsen(p)
Konard Kaspersen(b)
Trond Sverre Hansen(ds)

1. Walts
2. January 17
3. You'll Always Need Friends
4. Feather,But No Wings
5. Central European Time
6. Ola,The Norwegian
7. NoPlace
8. April 17
9. It's Been So Long

2008:REFLECT


「ノルウェー・ジャズ界の伝説的人物」、そして「ジャズ・ミュージシャン中のミュージシャン」と呼ばれるテナー奏者アルフ・エーリング・シェルマンの1999年録音作品です。

ネットや雑誌で見た限りでは、もうちょっとブリブリとしたハード・バップものかななんて思っていたのですが、案外、薄口、というか淡い・・・というか、なんとなく水彩画ハード・バップってノリですな。
まぁ、べつにそれが悪いという事ではなく、逆に、今のこう寒い日には合うような、そんなような肌触りがありますね。
ギンギンギラギラの太陽系ハード・バップも良いものですが、こういうクールでひんやりしたハード・バップというのもおつなものであります。
また、アルフ・シェルマンという人も、バリバリと饒舌タイプではなく、訥々とした語り口の中にしみじみした良さがあるって感じでしょうか。
ラスト曲のバラードなんて特に、そういう朴訥だけれど心温まる会話のような味わいがあります。

美しいメロディーの空を、ゆっくりと進んでゆく冬の低い雲といった風情のテナーとトロンボーンが心地良い①、
②のテナーは、欲を言えばもう少し弾んでもらいたかったのですが、そのかわり、トロンボーンがよく歌っています。
硬く冷たい感じのピアノも、このアルバム全体を通してこういう感じで、このバンドにはとても合った音だと思います。
それと、ちょっとばかりベースにエフェクターがかかりすぎてるんじゃないかな?なんて思うのですが、特に③では、出来ればもう少しざらついた音でも良かったんじゃないかな?
ドラムのリバーブもなんとなく深い感もあるのですが、どうでしょう?
まあ、これは個々の好みの分かれるところで、あくまで僕はそう思う・・・という程度のことですが。
ただ、考えてみれば、こういうあまりガツンとこないリズム隊の音だからこそ、かえって凛としたピアノ音と、おしとやかなリード音が生きてくるのかな。

④なんて聴いていると、主役をさしおいてトロンボーンのOystein Blixが圧倒的に良い役を担っているように思えるのですが、クレジットをみてみると、この人がプロデューサーなんですね。役得といったとこでしょうか(笑)

まあ、良くも悪くも主役であるはずのアルフ・シェルマンは、あまり際立った演奏をしているでもなく、終始落ち着いて控えめなプレイに徹しているような気がするのですが、逆にこういう「目立たないところにある存在感」ってのか、「控えめの美学」ってのか・・・よくわからないけど、そういうところに良さを見出そう・・・なんて一生懸命に聴いてみるも・・・

・・・やっぱ、僕が一番よかったのは、Kurt Samuelsenの硬く冷たい北風のような凛としたピアノプレイでした。





Gentle Three

2009年01月01日 | ジャズ・フュージョン
稲葉国光(b)
中牟礼貞則(g)
小原哲次郎(ds)

1.Soul eyes
2.Triste
3.But Beautiful
4.Here's that rainy day
5.what am I here for?
6.Pannonica
7.Come rain or come shine
8.Never let me go

2008:jazzin

かつて国分寺にあったライブハウス「アレキサンダー」の店主・浅野康彦が、在任中こよなく愛したジャズミュージシャン3人と、常連のファンの一人が、4半世紀経って、当時の熱気に満ちたセッションを今に再現するレコーディングを実現した。ジャズ界のベテラン奏者として習熟した名人芸を今も披露する中牟礼貞則(g)、稲葉国光(b)、小原哲次郎(ds)のトリオと、自らのスタジオを構えて、レーベルを立ち上げた青年プロデューサー、加藤弘久とが、「アレキサンダー」へのトリピュートの念をこめて協力、製作した本アルバムがそれである。(CDライナーノーツより)


端的に言うと「地味」という言葉が合うのかも知れませんが、それが故に、それがために見えてくる「奥深さ」というのを感じます。
「音」そのものから発生してくる磁力のような力に、僕の身体は自然に吸い寄せられ、そして気付いたら、とても奥深いところにある「音の原理」へと近付いている自分がいる・・・といった感じでしょうか。
中牟礼貞則といえば、僕的には渡辺香津美の師匠ということで、ずっと前から名前だけは知っていたのですが、アルバム一枚をじっくりと聴くというのは今回が初めてでした。
そして、彼のギターが奏でる「どうしようもない生の音」に即座に魅了されたのです。
エフェクターなし、アンプ直結のエレキギター音。
これって、もう「どうしようもない音」なのですよ。
要するに、奏者の力量以外にどうする事も出来ない音、生の音なわけです。
このような音を、自由に手玉に取れる職人達に、僕は昔から憧れていました。そして、その思いは今でも全然変わりません。
稲葉国光さんの、大木を連想させるような豊かな太い音も、小原さんの粋人ぶりも、すべてそういう「どうしようもない音」なんですよね。
そんな彼らの凛とした演奏を聴いているだけで、こんな僕でも少しだけ背筋が伸びるような気持ちになりました。