軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

ロードマップ会議に参加

2010-06-05 19:48:07 | その他の雑記
 突然の首相辞任劇と続く後任選出などで、私もけっこう忙しかったです。来週は来週で組閣人事がありますから、なかなか落ち着きません。私も閣僚入りを求められるかも知れませんからな(一部嘘)。

 さて、一週間前の話題になってしまいますが、久々に、このサイトの本業(?)である軌道エレベーターの話題です。
 5月29日、宇宙エレベーター協会が開いた、実現へのロードマップ作りの会議に参加してきました。私自身はロードマップ作成のコアメンバーではないのですが、できることなら、いずれ本格的にかかわりたいという思いで、雰囲気掴みのつもりで覗いて参りました。内容についてはJSEAの方でやるでしょうから、ここでは参加した感想などを一筆。

 場所は千葉県船橋市の日本大学理工学部。ここを訪れるのは、2年前に日大所有の施設でクライマー実験をした時およそ以来2年ぶり。早いもんだ。参加者はJSEAの青木義男教授をはじめ、JSEAメンバーと日大の学生さんたち計10人。
 はじめは、JSEA会員のY野君(就職おめでとう!)が、ジェローム・ピアソン氏の軌道エレベーターに関する有名な論文"The Orbital Tower"を読み解いて皆に説明することからスタート。エレベーターにかかる力のバランスやテーパーを表す式を解説してくれました。正直言うと、最初のうちは式を構成する諸成分くらいは理解できていたのですが、途中でかなり難しくなり、♪右の耳から左の耳へ~ なんて状態になってしまいました。
 この論文はだいぶ前に目を通したことがあるのですが、わからないところは一知半解のまま(いや、無解かも)飛ばしまくってました、すみません。それでも、式が論文や軌道エレベーターの構造の中で持つ役割や位置づけなどは理解できたつもりです。まだまだ勉強ですなあ。
 このほか、青木義男教授による、我々が取り組むべき課題や踏まえるべき分野のおさらい、M村さんによるロードマップの概説などが続きました。青木教授は、成層圏プラットフォームを利用してエレベーターの昇降実験を行うことを想定していて、その意義づけなどが思案のしどころといったところ。おさえるべき課題は山積しています。

 今更始まったことではないけれども、全体として前途多難だな、というのが正直な感想です。まだ誰も見たことのない代物だから、私たちの中でも咀嚼できていなくて、深く話し合えば合うほど、色んなギャップが出てくることでしょう。
 しかし、まだ誰も歩いたことのない場所に道を作ろうとする以上、暗中模索で当たり前ですね。だからこそ面白い部分もあるのであって、このところ世間の関心は低まってきたように思える中、意気軒昂ではあります。あとは、時期がきたら第三者に評価を受けるべきでしょう。船頭多くして船山に上るというけど、軌道エレベーターが無軌道なままあらぬ結論に行きついてしまう危険は決して少なくないはずですから。

 それにしても、グレーゾーンにいるSS木君を除き、みんな「宇宙、宇宙」と。。。ピアソン氏の論文タイトルにはハッキリ"Orbital"と書いてあるではないか。この論文は軌道エレベーター研究の草分けというか、軌道エレベーター史をひもとく時には外せない、最重要クラスの論文の一つ。そして前にも紹介したとおり、日本で「宇宙」よりも「軌道」の名が先に広まったのに多大な影響を与えていると私は考えているのです。
 つまり、ジェローム・ピアソン氏は軌道エレベーター派。。。というより、我が軌道派こそ、ピアソン氏の正当なる後継者ということですな。勝手にそう解釈させていただきます、はい。
 ちなみにこの日、JSEAのT田さんがピアソン氏と一緒に撮った写真を見せてくれて、2年前の米国会議で撮ったとのこと。実はこの会議には私も参加して研究発表したんですよ。つまり会場ですれ違っていたということですか!? 知らぬこととはいえ何たるご無礼、ピアソン先生お許しを!!!

 次回のロードマップ会議にもなるべく出席して、ジワジワと「軌道」の名を浸透させてやろう、そう決意した一日でありました。
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