-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

黒っぽいやつ(畑沢のサンショウウオ その2)

2020-12-29 17:20:07 | 自然

 サンショウウオの仲間と一口に言っても、複数のことを意味します。一般に日本のサンショウウオの仲間と言えば、体長が1mにもなるオオサンショウウオ(大山椒魚)も含めたサンショウウオ上科を意味し、オオサンショウウオを除いたサンショウウオの仲間はサンショウウオ科と言います。さらにその中からハコネサンショウウオの仲間を除くとサンショウウオ属となります。私が今までサンショウウオの仲間と言っていたのは、サンショウウオ科のつもりでしたが、恐らく閲覧者はサンショウウオ上科をイメージしたかもしれません。私の不勉強が招いた拙い言葉でした。

 次に山形県内のサンショウウオ科の仲間について調べたことを報告します。インターネットで検索しましたところ、山形河川国道事務所の河川学習システム編集部が開設している「最上川電子大辞典」というホームページに、大津高氏による山形県の両棲類に関する文章がありました。それによりますと、1937年に「荘内博物学会研究録」にトウホクサンショウウオクロサンショウウオハコネサンショウウオが報告されていたそうです。そして大津高氏もこの3種を山形県のサンショウウオとしています。恐らく大津高氏はこの文献を踏まえて仰っていると思います。しかし、大津高氏の時代はまだDNAによる種の研究が盛んではありませんでした。その後、ミトコンドリアDNAによる研究が進んで、山形県のサンショウウオも以前の3種ではなくなっています。

 そういうことですが、狭い畑沢地内ではサンショウウオの仲間は、具体的な種名は別としても3種以内だろうと思っていますので、その考えで強引に話を進めます。

 さて、「畑沢のサンショウウオ その1」でA沢のサンショウウオが箱根山椒魚の仲間でしたので、畑沢に生息している他のサンショウウオはトウホクサンショウウオ(東北山椒魚)の仲間とクロサンショウウオ(黒山椒魚)の仲間のどちらか又はその両方という事になります。

 

 先ずはB湧水です。ここのサンショウウオは黒っぽいので私のイメージに合致していた種類ですが、まだ幼生です。尾が側扁していますので、もしや黒山椒魚かと思ったこともありましたが、幼生なら東北山椒魚も尾が側扁していると思いますので、これだけでは決め手になりません。

 フラッシュで明るくしてみました。色が変わってしまいました。でも箱根山椒魚の仲間とはみえません。

 

 こちらはC湧水のサンショウウオの成体です。

 C湧水の水中には卵がありました。卵嚢(卵を囲んでいるゼリー状の袋のような物)は完全な透明ではありませんが、少なくともはっきりと卵が見えます。中の卵には既に目もありました。

 黒山椒魚と東北山椒魚は止水域に産卵するそうです。B湧水もC湧水も止水域です。しかし、黒山椒魚の卵嚢は白濁していると鮭川村に関する黒山椒魚のブログで教えて貰いました。その場合は卵嚢の中の卵が全く見えません。

 そうすると、C湧水のサンショウウオは黒山椒魚ではないと言えるようです。さらに黒山椒魚と東北山椒魚の尾の形が異なるというネットの記事がありましたが、識別するには私の能力が不足しています。何しろサンショウウオを触ることさえためらっていたぐらいですから、観察ケースに入れて側面から撮影することなどは頭に入っていませんでした。惜しい機会を逃したことになります。

 

 次の写真は、C湧水から20mぐらい離れているD湧水のサンショウウオで、外鰓はなくなっていますがまだ幼生です。C湧水と近いので同一種の可能性もあるのですが、結構、黒山椒魚と東北山椒魚は同じ場所に生息しているという事ですから、同一種でない可能性もあります。やはり卵嚢と成体の形を確認する必要があります。私の一番、面倒で苦手なことです。ところでこれは箱根山椒魚の仲間と比べると平べったさが足りない感じがします。

 

 最後の一枚はE湧水です。これら一連の湧水の写真は、湧水撮影を目的としたものですから、サンショウウオは「おまけ」でしかありません。どうしても手が抜けています。サンショウウオの姿が小さく写っているだけで、「黒っぽく外鰓がある」ことしか分かりません。でも少なくとも箱根山椒魚の仲間ではないと思われます。



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