俳句が上手くもないのに数ばかり溜まって行くので世間で言う断捨離めいての整理の意味で、句集を作ろうと思いたった。
第一句集の時にお世話になったH印刷へ電話をするとその折の奥さんの声であった。
発注したい旨を告げると覚えていてくれて十一年前のそれを持って行くとの返事で約束の場所へ現れたのは、社長であろう息子さんであった。
原稿とともに、それの入ったusbを渡しながら、こうゆう物も出来て仕事がしやすくなったから、安く出来るのでしょうというと人件費(手間賃)が上って来ているのでそんな訳には参りませんと言われた。
三日ばかりすると、校正ずりを持ってきた。見直して訂正箇所を書き上げて序文と題字を頂いている先生にその旨メールをした。
題字を細字にする件と言い廻しの判りにくいところを、赤字で指摘してきたので書き加えて宅急便で全部を先方へ送った。
次の日ゲートボール場で丁度休憩をしていると奥さんから携帯電話が入った。私がもっとも強調しておいた紙質がこれでは嫌という件は校正ずりだから、普通の印刷用紙でしたまでで、勿論前回と同じ紙で行きますよとのことだった。
前回は今は亡きエッセー教室の牧野先生がお世話くださり、出来上がりは印刷屋のご夫婦が家に届けて来られたので南区ということでもあり一度も尋ねたことはない。
紙を変えるなら値段も変わるだろうと、届いていた見積書も返してやっていたがどうもこのままの金額で良かったのらしい。
一度電話をすれば良かったのに、詰めの甘さは私の習性である。
でも玄人に任せておいたほうが良い場合が往々であって、この奥さんの鶴の一声で安心してしまう。
百戦練磨の主と疑心暗鬼の依頼者との待機期間は、後未だ二十日ばかり続く。
百冊がまあまあの装丁で現れてくれることを願って居よう。
俳句 ふうわりと風にそよげり花ポピー