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白髪のニール

2014-02-14 16:26:44 | 日記



「白髪のニール」(『せんせい』重松 清)
この本は、本名カズトさんから教えてもらった。

早速、書店でこの本を買って読んだら感動して涙がでてしまった。
(全編「先生」にまつわるストーリが描かれている)

「白髪のニール」のニールとはもちろんニール・ヤングのこと。

ある日、この物語の語り手である主人公たちが物理の高校教師から
ギターを教えてくれと頼まれる。
先生が教えを請うたのは、ニール・ヤングの楽曲だった。
先生にギターを教えながら、主人公の生徒たちは「ロック&ロール」とは
何かを逆に先生から学んでゆくという話だ。

私がニール・ヤングをまじめに聴いたのは大学生の頃だ。
もちろん、名前も知っていたし、それまでには聴いたこともあった。
「まじめに」というのは、強烈にのめり込んだということだ。

ニール・ヤングは私にとっては若いころから、現在にいたるまで、
常に「いたみをともなう」人だ。
はりのないひょろひょろした歌声や、ギター、そして常に反骨精神で
ロックと面と向き合い、勝ちのない戦にいどみつづけるドンキホーテの
ような人だ。つまり「いたい」のである。

最初にクレイジー・ホースをバックにしたがえたライク・ア・ハリケーン
を聴いた時は、ぶっ飛んでしまった。

オクターバーを踏みっぱなしで、ガツーンとコード弾きを、しかも開放弦の
コードを鳴らすという、絶対にやってはいけないと思われることをやった。
なんという、めちゃくちゃで破壊的なサウンドだ!

「…馬鹿か、こいつは!」

ところがである。私は不覚にもそれに、どはまりしてしまったのである。
ある種のぶざまさをひきずる、彼の姿勢、歌が最高にかっこよかった。

「ロックは始めることで、ロールはつづけることよ。ロックは文句をたれることで、
ロールは自分のたれた文句に責任をとることよ。ロックは目の前の壁を壊すことで、
ロールは向かい風に立ち向かうことなんよ。」


主人公の高校生は、いつか45歳のおじさんになる。
彼が先生にギターを教えた時の年齢をとうにこえている。もちろん先生もそれにともない
年をとってゆくわけだが、先生は今でも、向かい風に立ち向かい続けていた。
ロック&ロールし続けていた。

大好きなニール・ヤングをモチーフにした、こんな作品があったなんて!
重松清さんの作品は、少年の心の描写が絶妙で、私も好きで何冊か読んではいたが、
この作品は知らなかった。

世の「ロック&ロールおやじ」たちよ。
ともにがんばりましょう。
もし、気持ちが萎えそうになった時は読んでみてください。
きっと力を得られるでしょう。

必要とあらば、私を呼んでください。うちわをもって駆けつけますよ。

向かい風を起こしに。


翻訳会社オー・エム・ティの公式ウェブサイト

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (わんお31)
2020-11-29 20:12:31
今読み終わりました。
一気に読み終わり気が付いたら泣いてました。
本当に素敵なお話しでした。

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