朝目覚めると、東西に大きな風景が広がっていた。
剣山方面からの日の出である。
夏至の頃なら、ちょうど昨日の落合峠方面から上がって来そうである。
西側には、明日予定している▲梶ヶ森が立派に見える。
双方向の景色を見ると、さすがに日本の峠百選の上位に入るのも納得である。
ここのもう一つのアクセントが、豊富な水場と峠の茶屋である。
七時頃には、早くも茶屋のオジさんがやって来たので、挨拶して出発した。
すぐ奥の林道沿いに▲小檜曽山登山口があった。
ここは二十年前以来、三度目の気がする。
すぐに植林の急登が始まり、自然林が混ざってくると少し緩む。
このあたりで、今日出会った唯一の青年下山者に会った。
何と昨日、▲剣山からの縦走で▲三嶺~▲天狗塚~▲綱付森を下り矢筈峠で一泊、今朝▲土佐矢筈山から京柱峠への下り途中であった。
そう言えば、京柱峠にチャリンコが一台止めてあった。
苦しそうだが、ほとんど大縦走を終え、満足感が漂っていたように思った。
何とも羨ましいばかりの体力と精神力である。
軟弱な避暑山行とは訳が違うなあと驚いて別れた。
その後、いい雰囲気の原生林が多くなり、撮影しながら進むと稜線に出た。
昨日歩いた東祖谷の落合峠から▲前烏帽子山方面の祖谷山系がよく見えた。
<祖谷山系の眺め>
ここから▲土佐矢筈山にかけて、素晴らしい展望の笹原縦走路が始まる。
ツツジ咲く五月中旬や十月の紅葉時期であれば、さぞ素晴らしいだろうと思った。
<手前に三角点のあるピークが▲小檜曽山>
ほどなく▲小檜曽山に到着した。
この山のピークは二ヶ所あり、三角点がある西側の低いピーク(1524m)に先ず向かった。
<▲小檜曽山から高知県側の眺め>
<左側に▲天狗塚のピーク、右側が▲土佐矢筈山>
次いで1548mの標識のあるピークを通り、▲土佐矢筈山を目指して展望笹原のアップダウンを進んだ。
天候は曇りがちだが、何とか見晴らしは良かった。
<落合峠から▲寒峰まで、西側の山並>
足元には少なくなった夏の花が、ボツボツ見られた。
そうしているうちに、所々に大岩が見られる▲土佐矢筈山に到着した。
目の前には、剣山山系の最後を締める▲天狗塚がきれいなスカイラインを引いていた。
なお、ここの風景は、自分のブログ紹介カードを飾っている。
そして右側には、朝出会った青年が歩いてきた▲綱付森の膨大な笹原の山容も見られた。
この豪快な眺めを堪能して、下山することにした。
下りも撮影しながらゆっくり降り、昼過ぎに峠に着いた。
昼食は、お目当ての茶屋で、しし肉うどんと焼おにぎりを食べた。
閉店予定の15時半まで、オジさんと身の上話から世間話で過ごした。
もう84才になるらしい。脳梗塞を二度患い、跡継ぎも見当たらないので店じまいかもしれないとのことでした。
若い頃には、縫製工場の経営で、羽振りも良かったらしいが、全て飲み尽くすほど、酒が好きらしい。
橋本氏や尾崎氏など、歴代の知事も表敬訪問にやって来た、写真やサインも飾ってあった。
それより全国から訪れた、多くの茶屋ファンのメッセージが、部屋中に貼ってあるのに見入ってしまう。
まあリハビリのつもりで、身体の動く限り続けて下さい。とお願いして、お別れした。
その後、自炊で夕食を食べ、京柱峠から見えていた▲梶ヶ森を目指して出発、山頂付近で車中泊にしました。