ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

豚の涎 ~ 今日はノド軟骨を処理した

2014-01-09 23:06:21 | ホルモン・肉
人間も喉が渇いたときあたりの涎(よだれ)は凝縮して少し伸びるのかもしれないが、豚の涎はいつも思うがたいそう丈夫で粘性があり伸びる。
毎日処理する豚内蔵セットをパーツに分けるとき、赤物の最初、ベロ(トンタン)から続く喉骨についているノド軟骨を外すのだが、ここは指を入れてよく洗わないと涎が付着しており、先程のように細い糸が50㎝あまりも伸びてきたりする。
なかなか強くて取れないから要注意だ。

そんなことで今日はノド軟骨を仕入れた。
ハラミやハツなどは毎日処理する一頭セットからパーツを抜けばほぼ間に合うが、トンタンやカシラ、コブクロ(コブクロは一般豚の一頭セットにはついてこない、抜かれているのだ、もっともメスにしかないのだが)、ノド軟骨は単品パーツでも仕入れる。
なにせこのノド軟骨は一頭に一枚しかないので、セットから抜いていたんではとても間に合わない。
世の中にコリコリ属シコシコ派のホルモン党員は多く、このノド軟骨は人気なのだ。
呑兵衛もわりと好む。



さて、今日は5㎏の仕入れ。



先ずは内蔵の全てがそうであるように、水洗い。
きれいな赤色の血が落ちる。

(余談)
明日は日中も氷点下3℃とこの冬一番の冷え込みなそうだが、さすがのこの時期、内蔵を洗う水は冷たくて「手が切れそう」という表現がぴったし。
ここ大通店はまだ頑丈なビルの中にあり、「あ~冷てぇな」とつぶやくくらいだが、松園店なんかはビルでも配管が外を通ったりしていたので本当に冷たかった。
毎日内蔵あらいをしていた松園店の従業員には本当にご苦労をかけたと思う。

さて、このノドの部位からピラピラの軟骨を切り分ける。
ちょっとした「慣れ」が必要だが、コブクロほど面倒ではない。
ただ曲線を切り分けるので刃先には注意が必要だ。





こんな具合に二つに分かれる。
上がいわゆるメニュー名「ノド軟骨」。
下がその他大勢で、ここは明日、湯通し、ボイル、味付けして「ノド丼」でお出しする予定。
焼き物ではよほど好きな方でないと無理だし(原始人に戻ったみたいな食べ方になる)、お捨てになる方もいらっしゃると思うが、このノド骨まわりの肉もおいしいし、特に愛犬家には好まれる。
うちのポチなんかは一時たいへん喜んで、穴を掘って大事に埋めたりしていたが、贅沢は敵というご主人の相方に睨まれて、今はありつけない。
友人のブリーダーらしき事を試みているK氏にあげるのだが(もちろん有料)、これを食べると確かにピレニーズの毛並みが良くなるそうである。

さてさて、話はあちこち飛ぶ。

そうそう個体の写真の方が分かりやすいか。



この通りである。



そしてこの5㎏のノドの部分から取れたノド軟骨は87個。
つまり5㎏のノドは87頭の豚から構成されていたわけである。

・・ なんとも、、



重量にすると「ノド軟骨」の部分は1230g。
つまり仕入れの24.6%が商品化される部分である。

話はまたそれる。
この事を吟味しないで頭とパソコンで納品原価からメニュー価格をはじいた最初のころ。
しめしめ、(安い)原価のノド軟骨やコブクロって儲かるな、ウヒヒ・・
なんて考えたのが大甘で、何事にも「歩留り」というのがあることを「痛いほど」知らされたのは、店を開けてからであった。

で、さらにこのノド軟骨を当店の場合は三分割して



皿で提供する。

87頭だから261切れ。
提供する一皿が100g検討とすれば、
この一皿は約7頭分の豚さんから供給された、約7枚のノド軟骨ピラピラで構成され、それは一枚三等分なので21粒ほどになるのであります。
  (実際はもっとある、、、と思うよ)

そんな豚のノドのお話。

「涎」が出てきた方は、本物のホルモン党コリコリ属シコシコ派の方でありましょう。

明日は最近、黒豚内臓の解体でよく掲載する「コブクロ」が2㎏ほど入る予定なので、時間があれば写真をつけてご説明しますか?
いやいや、本当に最近、よく紹介しているので「もういい」かな。

そんな冷たい水に気の引き締まる内蔵洗いの日々。
明日は週末。
予約もちらほら。
新年会でも開いてくださいな。
お待ちしております。

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