フランツ・シューベルト:
・交響曲第3番 ニ長調 D200
・交響曲第8番 ロ短調 D759 「未完成」
指揮:カルロス・クライバー
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
Grammophon: 415 601-2
近代~現代ものばかりだったので、たまにはベタな古い曲でも。シューベルトは全く専門外なのですが、昔オーケストラで未完成交響曲を演奏したことがあります。従来第8番とされていた未完成交響曲は最近は第7番となっているらしいですね。シューベルトの交響曲の番号なんて後の世代の人が勝手につけているだけですけど。
前座の交響曲第3番は、ハイドンやモーツァルトに近い形式感のある古典的な曲。軽快でリズミカルな楽しい曲です。そして未完成交響曲は「歌曲の王」と言われるシューベルトらしく、朗々と歌うような息の長い旋律線による音楽です。このディスクではべったりした演奏にならずに、各パートの粒が見えるようなすっきりした演奏になっています。形式感も明確です。
さて、未完成交響曲と言えば「転調」です。数小節ごとに転調すると言っても言い過ぎではありません。しかも、スコア(総譜)を見ればわかるのですが、明示的な転調の指示ではなく、全て♯や♭などの臨時記号で表しています。というのも、おそらく一つのフレーズの中でころころと転調するため、いちいち明記していたら演奏者が混乱するからでしょう。実際にちょっとした気分の高揚で転調し、フレーズの終わり際にはもとの調に戻っています。車や自転車で細かくシフトチェンジをするような感じ。その転調の加速感によって、たとえ半分しか完成していなくても、聴いた人は誰もがお腹いっぱいになれるようです。
ところで、私がこれを演奏した時はトロンボーンの第3番目のパートを担当していました。この第3トロンボーンは一人だけ他の管楽器と違う動きをする部分があるため、管楽器だけの練習等でとても緊張しました。他にも弱音で他の木管楽器と和音進行する部分もあるのですが、本番の演奏会でうまく音が出ず、演奏後に副指揮者に怒られました。そのようなこともあって、個人的には聴くだけで緊張する曲でもあります。
おそらく本CDと同じ音源の「未完成交響曲」の第1楽章前半。
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