おかもろぐ(再)

趣味のブログ

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」、他

2011-01-06 19:29:45 | CD


カミーユ・サン=サーンス:
・交響曲第3番 ハ短調 作品78「オルガン付き」
・サムソンとデリラ 作品47より「バッカナール」
・ノアの洪水 作品45 より「前奏曲」
・交響詩「死の舞踏」 作品40

指揮:ダニエル・バレンボイム
シカゴ交響楽団
オルガン:ガストン・リテーズ

Grammophon: 415 847-2



 感覚的なフランス音楽は厳格なドイツ音楽に対抗しているのかどうか知りませんが、交響曲についても違いがあります。ドイツでは通常4楽章構成ですが、フランスでは3楽章の伝統があります。ところが、フランスの作曲家サン=サーンスの交響曲第3番では2楽章構成になっていて、それぞれの楽章が2つの部分からなっているため、実質的には4楽章構成です。聴いていてもはっきりと4つの部分に分かれるのが明らかなんだから、4楽章構成と言えばいいのに。よくわからん対抗意識です。

 楽章の仕立てはドイツ的(と言ってしまおう)なのに、連弾のピアノがジャララララと暴れたり、タイトルにもあるオルガンがドジャーーーと吠えたり、最終楽章にはフーガがあったりと面白いことをいろいろやっています。全体はゴージャスで開放的な雰囲気で統一しており、タイトルの「ハ短調」のイメージは薄いです。スピード感もあり、色彩的で、それでいて端々にエスプリがきいており、聴いた後の満足感はかなりのものです。なんかよく出来過ぎているなあ。

 ドイツ的な「人生とは何か」みたいなものは無く、ドイツの形式を借りてそれを逆手に取って、最もおフランスな音楽を作っちゃったという印象です。サン=サーンスも人が悪い。こういうのも一種のエスプリ? 実は意外と拍子の取りにくい複雑なリズムの曲ですが、このディスクでは勢いに任せてやっちゃってるので、わかりやすく聴こえます。他にも「バッカナール」や「死の舞踏」もドンチャン騒ぎでいいですね。ノーテンキとイヤミがおフランスの精神なのでしょうか。

 このサン=サーンスって人は数学とか天文学とか詩とか何でも出来たマルチ人間だったそうです。他にもメンデルスゾーンとかもそうですが、こういう人の音楽ってよく「形式ばかりで内容が無い」とか言われてしまいます。きっと「苦悩」のようなものが感じられないからでしょう。ですが私の考えでは、音楽の内容とは様々な形式も含めた音の構成の妙であって、言わば形式こそが内容なのです。その中で「苦悩」や「人生」等を感じさせる形式もある、という話でしょう。このサン=サーンスの交響曲第3番は「内容」のある名曲だと思いますし、私がもし楽器を続けていたら現在最も演奏してみたい曲なのです。



 「オルガン付き」の第2楽章後半の動画。てっぺんにいるオルガン奏者が気持良さそうです。YouTubeの動画を幾つか聴いてみましたが、この曲は演奏者の個性が出しにくいような気がします。


クラシックCD紹介のインデックス


最新の画像もっと見る

コメントを投稿