大前研一のニュースのポイント

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リーマン・ブラザーズの行く末。政府救済はなし。買収されるか、破綻するか

2008年09月23日 | ニュースの視点
12日、英紙フィナンシャル・タイムズは、経営難に陥った米証券大手リーマン・ブラザーズの買収交渉に関して、米銀大手バンク・オブ・アメリカとともに投資ファンドのJ.C.フラワーズ、中国の政府系ファンドである中国投資有限責任公司(CIC)が共同で入札を検討していると報じた。

今のリーマン・ブラザーズの経営状況は、流動性危機に陥って経営破綻したことが記憶に新しいベア・スターンズにも引けを取らないほど「ひどい」状況だ。

それはリーマン・ブラザーズの株価の推移を見ても明らかだ。

今年の年初には60ドル前後だった株価は、2月~3月から急速に下落幅を拡大させ、この9月に至って遂に10ドルを割り込んで6ドル~7ドルという水準にまで達している。

この水準は、ほぼ「死に体」と言っても過言ではないだろう。

リーマン・ブラザーズの場合、手元流動性は確保されているので「即死」にはならないと言う人もいるが、株価がほぼ0(ゼロ)になるということは、市場からの「退場命令」と同等と考えるべきだと私は思う。

この週末、米国政府は必死に議論を重ねていることと思うが、おそらく結論としては「どこかが買収する」あるいは「倒産させる」のどちらかだろう。公的資金の注入による「政府救済」の可能性は極めて低いと私は見ている。

リーマン・ブラザーズとしては、バンク・オブ・アメリカに買収してもらいたいという意向が強いと思うが、バンク・オブ・アメリカにしても一人では抱えきれないというのが実情ではないかと思う。

そもそもリーマン・ブラザーズの資産がどのくらい腐敗しているのか、正確なところを評価できている人はいないのではないだろうか。

このような状況下にあってリーマン・ブラザーズの買収に名乗りを挙げているのが、米国のハゲタカファンドと中国政府系ファンド連合という、これまでにはない取り合わせだ。

中国投資有限責任公司(CIC)はいわゆる政府系ファンドで、中国政府が出資する投資ファンド。

そして、J.C.フラワーズは、旧リップルウッドのティモシー・コリンズ氏とともに、を通じて新生銀行の再上場で売り抜けて大儲けした、ティモシー・コリンズとJ.クリストファー フラワーズ氏という2人が立ち上げたファンドだ。

中国のファンドが米大手投資銀行を買収するなどということは、一昔前では想像もできない事態だが、米国政府が救済に乗り出さないことを考えると、中国ファンドによるリーマン・ブラザーズ買収という可能性もあり得る。

ただし、米国議会としては、150年もの歴史を持つリーマン・ブラザーズを中国に明け渡していいものかどうか、警戒感を強めていると私は見ている。

バンク・オブ・アメリカが主導権を握るならば話は別だが、本質的に中国に米国の投資銀行のノウハウが持ち出されることをについて渋るのではないかと思う。

バンク・オブ・アメリカ、J.C.フラワーズと中国勢による買収なのか、それとも破綻なのか、いずれにせよ、リーマン・ブラザーズの現状からすると時間は残されていない。全てはこの週末に決することになるだろう。

2 コメント

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野村HDによる買収 (野村)
2008-09-24 20:38:46
株取引高の急落、中国市場の閉塞感、原油の反落による先物市場の影響からして、全てとは言わないが野村へ流れるかと
Unknown (デンジャラス)
2008-09-25 15:10:01
前よら見やすくなりました
ありがとうございます
リーマンブラザーズ

どうなるのだろう…

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