Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

最近見た映画

2020-07-06 22:30:58 | 映画

みなさんこんにちは。お久しぶりです。
全開の更新からひと月近く経ってしまったので、とりあえず生きてることをアピールするために更新させていただきます。

さて、このひと月ですが、ブログには感想を書かないものの映画は週イチペースで見てました。小説も読んでます。
なのになぜ感想を書かないかというと、これは前にも言ったと思うんですが、私はとにかく自分が見た映画・読んだ本のあらすじを書くのが苦手で、歳と共にそれがだんだん重症化して、とうとう「あらすじを書くのが面倒だから感想を書かない」ところに達してしまいました。

しかしそれはそれで勿体ないと思う(誰が?)ので、一応最近見た映画の感想をざっくり書くことにします。

「なぜ君は総理大臣になれないのか」
地元出身の国会議員、小川淳也氏の17年間の政治活動を追いかけたドキュメンタリー映画。タイトルが衝撃的なので誤解されそうですが、小川議員を礼賛するような内容の映画ではなく、17年の間に政界で起きた諸々を丁寧に追っている映画でした。監督の大島新氏は奥様が小川議員と高校の同級生だそうで、それが縁で映画を撮ることになったそうです。ちなみに小川議員の奥様も高校の同級生だそうで。香川県外の人が見たら、香川県にはひとつしか高校がないと思われてしまいそうですが、そんなことはありません。念のため。
都知事選を意識してるわけではないのでしょうが、映画の中に出てくる政治家の中では、小池百合子氏が一番印象に残りました。希望の党、あったねーそういうの。あれからどうなったんだっけ?と都知事選の前におさらいするような感じで。ついでに言うと2017年の選挙の自民党のポスター、現首相の写真の横にでかでかと「責任を取る」って書いてあって、飲んでたコーヒー噴き出しそうになりました。3年前は取るつもりだった責任を、2020年は「取ればいいというものではない」って開き直ってるんですね。
傑作とか名作とか言われる映画ではないと思うけど、この17年間を振り返ることが出来る、興味深い映画でした。大島監督の他の作品も見てみたいです。

「ストーリー。オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語」
タイトル通り、かの有名な「若草物語」の映画です。作者のオルコットと四姉妹の次女のジョーをシンクロさせて、オルコットの自伝と若草物語が同時進行で進むというメタな映画でした。若草物語は子供の頃読んで以来なので、あまり内容を覚えておらず、クリスマスの朝のごちそうをご近所の貧しい人に配る場面があったことくらいしか覚えていませんでした。でも映画ではその場面も再現されてたので、ストーリー上重要な場面だったんでしょうねぇ。映画に出てくるごちそうは炭水化物が多くて、あまりときめきはありませんでしたが。
当時の文化、特に服飾に詳しい方にはツッコミどころが多かったようですが、個人的には視覚的にもストーリー的にも楽しめました。なんて言い方したらちょっと無責任かな。この映画にはいろんなタイプの「女性の生き方」が登場しますが、どれについても否定的な描き方がされていなかったのがよかったです。
監督のグレタ・ガーウィグは「レディ・バード」に続きシアーシャ・ローナンとティモシー・シャラメを起用してますが、「レディ・バード」の時とは逆にティモシー・シャラメがシアーシャ・ローナンに泣かされているので、次はこの2人が結ばれる作品を…ってそれじゃつまらないか。
映画のラスト、ジョーが自分の書いた本が製本される工程を嬉しそうに眺める場面は、ジョーの幸せな気持ちに共感するのと共に、当時は本を作るのがこんなに大変だったのかと驚きもしました。この頃の人が今の本屋を見たら、さぞびっくりするでしょうね。
シアーシャ・ローナンのやや中性的な顔立ちが好きなので、いつか彼女主演でオルランドをリメイクして欲しいなと思います。その時はティモシー・シャラメにも出て欲しいな。

「シェイクスピアの庭」
ケネス・ブラナー監督・主演。シェイクスピアの最晩年を描いた映画です。「ヘンリー八世」上演中にグローブ座を火災で失ったシェイクスピアが、20年ぶりに妻と娘たちの入る故郷に帰るという話。シェイクスピア版「父帰る」です。違います。
映画の原題は「ALL IS TRUE」、「ヘンリ―八世」の発表当時のタイトルだそうです。邦題が「シェイクスピアの庭」になったのは、映画の中でシェイクスピアが故郷の自宅に、幼くして亡くなった息子を悼む庭を作ろうとするから、だと思います。
主演のケネス・ブラナーの他、ジュディ・デンチやイアン・マッケランといったイギリスの大御所俳優が出ているので、見ごたえがありました。イアン・マッケランが出るならパトリック・スチュアートにも出て欲しかったですが、映画のジャンルが違うものになってしまうからダメですね。残念。
映画は終盤にどんでん返し(と言えるかどうかは微妙)があるので、結末を知った上でもう一度見ると映画の細部が違って見えて面白かったかもしれません。2回目を見に行く時間がなかったのが少し残念です。
映画の舞台は17世紀ですが、女性だからと教育が受けられなくて字が読めず、父親のシェイクスピアから期待されない次女ジュディスの心の叫びや、地位のある男性から「たかが演劇」と蔑まれたシェイクスピアが啖呵を切る場面など、現代にも通じるものが映画のあちこちにちりばめられていて、見ていてゾクゾクしました。しかし17世紀の女性が抱えていた苦悩には、21世紀の今になっても解決ないものがあることにため息も。
それにしてもJ.K.ローリングは、この偉大なシェイクスピア俳優のケネス・ブラナーになぜロックハートみたいな役をやらせたのか…。

「SKIN」
最後は、私の(じゃない)ジェイミー・ベルが、スキンヘッドで全身タトゥーまみれの白人至上主義者ブライオンを演じた「SKIN」です。もともとは短編ドキュメンタリー映画で、そちらはアカデミー賞短編映画賞を獲っているそうです。内容はこの長編映画とはだいぶ違うみたいですが。
白人至上主義のレイシスト集団「ヴィンランダーズ・ソーシャル・クラブ」のメンバー、ブライオン・”バブス”・ワイドナーは、シングルマザーのジュリーとその娘たちとの出会いをきっかけに、自身の生き方を見つめ直し、集団から抜け出す決意をする。しかし、リーダーのフレッドとその妻シャリーンはブライオンが脱退することを認めず、ブライオンたちを執拗に追い詰める…このフレッドとシャリーンの人心掌握術が怖くて怖くて、家出少年をスカウトする場面とか、「言うことを聞かないと娘たちがひどい目に遭うぞ」と遠回しに脅す場面とか、怖くてちびりそうになりました。いやちびってないけど。
ブライオンの更生を助けるのは、反ヘイト団体を運営するダリル・L・ジェンキンスという男性。この2人は実在の人物で、今も反ヘイトの活動を続けているそうです。ジェンキンスはブライオン以外にも何人もレイシストを更生させていて、彼を追ったドキュメンタリー映画も作られているそうです。見てみたいですね。
ブライオンは全身に入れたタトゥーを消すために、16か月かけて25回の手術をしたそうですが、その費用は匿名のある富裕な女性が出してくれたそうです。映画のパンフレットで北村紗枝さんが、この匿名の女性と映画に出てきた名前のある2人の母親(ジュリーとシャリーン)について書いておられますが、それを読んだ上で映画の内容を思い返すと、味わい深いものがあります。今まで、パンフレットは予算の都合で滅多に買わずにいましたが、これからは買ってみようかしら。ミニシアターだと売ってなくて手に入らないこともあるけど。。。

簡潔に書こうと思ったけど、気がついたらだらだら長くなってしまいました。
今週末からいよいよジム・ジャームッシュのゾンビ映画「デッド・ドント・ダイ」が高松のホールソレイユで上映されるので、次はその感想を書こうと思います。きっと。できれば。なるべく。もしかすると。

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