Flour of Life

煩悩のおもむくままな日々を、だらだらと綴っております。

最近になって変わったこと

2023-10-28 22:59:26 | 読書感想文(その他)

阿川佐和子さんの近著、「母の味、だいたい伝授」を読みました。

食べることが大好きな阿川さんが、外食ができないコロナ禍をどう過ごしていたかというお話がメインのエッセイ集です。
コロナ禍に亡くなられたお母様のリモート葬についても書かれています。
そして、タイトルにあるように、お母様が生前作られた数々の料理の味を、阿川さんがどうやって受け継いだか、ということも。

阿川さんのお父様、作家の阿川弘之さんは阿川さん同様に大変食い意地が…もとい美味しいものが大好きな方で
いらっしゃったそうで、そんなお父様の舌(と腹)を満足させるべく、お母様はおうちの食事で出す料理に
大変ご苦労なさったそうです。
で、お父様もお母様も亡くなられた今、阿川さんはお母様の料理のレシピを受け継ごうと、レシピ帖のようなものを
探すのですが…これが見つから、ない。どこを探しても見つから、ない。仕方ないので「だいたいこんなもんだったかなー」と
うろ覚えで再現している、そうです。

まあ、阿川さんの料理のレシピも、非常にざっくばらんな書き方をされてると檀ふみさんが共著でおっしゃってたので、
お母様もそういう感じで料理をされていたのかもしれませんね。でも、お母様のレシピも阿川さんのレシピも、ざっくばらんな
説明なのに読むととても美味しそうなのが伝わってくるので、そのへんはさすがだと思います。ざっくばらんだから再現するのは
不可能だけど。一方、檀ふみさんのレシピは…いや、なんでもないです。

話が本の感想から脱線しました。この「母の味、だいたい伝授」に檀ふみさんの話は出てきません。
これまで読んだ阿川さんの本と同じく、この本もとても面白かったのですが、今までは気にならなかったことが
ちょっとひっかかってしまい、「うーん」と唸ることが何度もありました。
それは、お父様の阿川弘之さんに関するエピソード。
たとえば、阿川さんの誕生日に中華料理を
食べに行ったとき、店を出るなり阿川さんが「寒い!」と言ったことに対して、
「ごちそうしてくれた父親に感謝の言葉を言うより先に『寒い』とは何事か!」
とブチ切れたという話。同じエピソードをほかの本で読んだときは、
「高名な作家さんだし、子ども相手にも気難しい人だな~」
くらいにしか思わなかったのに、今回は「子ども相手にそんなに怒らんでもええやんか!」とモヤモヤしました。
そのほかにも、気難しいお父様への対応にお母様は大変だったろうな、と気の毒に思うことがいくつもありました。
だからといって阿川さんへの評価が変わるわけじゃないんですが。

むしろ、自分の変化に驚きました。最近、子どもとか自分より若い人がつらい目に遭ってるのを見るのがしんどいのですが、
これも年を取ったからなんでしょうかね。まあ、年を取れば取るだけ若い人にあたりがきつくなる人もいそうですが。

これを機会に、手元にある阿川さんの著作を読み返してみましょうか。今までとは違う感想になるかも?

で、阿川さんの本とは別に、最近読んで感想が変わった本がもうひとつ。

児童書ですが、かの有名な「スプーンおばさん」。この本を読んだ人は必ず食べたくなる(に違いない)、
コケモモのジャムのエピソードについてです。

このところ、スプーンおばさんのだんなさんが、なぜか機嫌が悪い。おばさんはだんなさんの機嫌がよくなるように、
いろいろ工夫をするのですが、一向によくならない。試しにパンケーキを焼いてみたけれど、反応は薄い。
しびれを切らしたおばさんがだんなさんに理由を問いただしたところ、

「コケモモのジャムが食べたいのに作ってくれない」

からでした。図書館で読んだので手元に本がないのですが、だいたいこんな感じでした。

子どものころに読んだときは、だんなさんの発言を「そうだったのかー」とのんきに受け止めたものですが、大人になると違います。
理由も告げられないまま何日も不機嫌につきあわされ、好物のパンケーキを作ったのに

「パンケーキを作るまではよかったんだけどね~コケモモのジャムがないとね~」

なんてドヤ顔(※私の想像です)で言われたら、私だったらブッチブチにブチ切れます。
だんなさんのハ〇頭に煮えたぎったコケモモのジャムを「これでも食らえ!」とかけてやりたいくらいです。犯罪です。やりません。

挙句、おばさんはだんなさんのために森へコケモモを取りに行って、例のごとくスプーンさいずに小さくなっちゃうんですからね。
踏んだり蹴ったり。まあ、そうならないと話が進まないので仕方ないのもありますが。

ちなみに、私がこのコケモモのジャムを初めて食べたのは、スプーンおばさんの本を初めて読んでから20年以上経った後の、
北欧へ旅行に行った時のことでした。美味しいけど、日本ではなかなか手に入りにくいのが難ですね。

昔読んだ本の感想が、今読むと違ってくるという話は、ほかの本でもちょくちょくあります。それはまた次の機会に。

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